沙耶とレイラ②
「鈴木さんですね、はじめまして刈込です!お世話になります」
「はじめてじゃないけど沙耶ちゃんは覚えてる訳ないね、まあまあ話は家についてから。行きましょう」
私のキャリーバッグを引いてスタスタ歩いていった。
鈴木さんの家はレンガ作りの素敵な家で、ついた時は夜なので気づかなかったが素晴らしい庭園が家の前に広がっていた。
「沙耶ちゃん、いらっしゃい」
暖かい家の中には奥さんの玲子さんとゴールデンレトリバーのレイラが待ち構えていた。
レイラは私の周りをクンクンしたあとお座りした。
案内された部屋に荷物を置いてダイニングチェアに腰掛けるまでレイラはずっと着いた来てくれた。
「レイラは沙耶ちゃんが気に入ったみたいね」
奥さんがステーキとプーティンをキッチンから運んでいる。
レンガ造りの暖炉が優しく身体を温める。
レイラを撫でながら暖炉の上に飾ってある写真に目が止まる。
鈴木さんが暖炉の上から2つの写真を持ってきた。
「これは君の両親と沙耶ちゃん、君だよ」
若いパパとママに挟まれて鈴木さんが赤ちゃんを抱っこしている。
「そして、信じられないかも知れないがコレはミーシャ」
美少年が高々とトロフィーを掲げてる写真を指さす。
「ミーシャ?」
「ミハエル モルトジャール、君のコーチだ」
「え!」
あまりにびっくりして大きな声を出してしまい、恥ずかしくなった。
美味しい食事を食べながら鈴木さんの
話を聞きた、私の周りの話なのに全て初めて聞く話だった。
父がモルトジャールのコーチで鈴木さん達がホストファミリーだった事。
コーチが世界のトップジュニアで怪我がなければグランドスラムで活躍していた事。
私がこの家に来た事がある事、、、
楽しくてあっという間に時間が過ぎていく
「沙耶ちゃんも疲れてるでしょうから、今夜はここまで!沙耶ちゃん明日の朝、レイラの散歩に付き合ってくれる?」
玲子さんの「さんぽ」の言葉にレイラがソワソワしている姿に皆で笑った。