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沙耶とレイラ③

朝の冷たい空気が心地よい。レイラの息の音。青、赤、黄色様々な色の家を横目で見ながら試合会場の下見に行く。


ITFの看板や垂れ幕が見えてきた。

一気に現実に戻され、胃が締め付けられる。


明日から予選が始まる。


立ち止まった私にレイラがクンクン泣いてくれたから「大丈夫!」自分に言い聞かせながらレイラの頭を撫でた。


しばらくコートサイドを歩くと、簡易テントで出来た大会本部があった。


まだ誰もいない大会本部に張り出してある対戦表を覗き込む、対戦相手の名前の上にW.Cと書いてある、主催者推薦での出場者だ。


後ろから突然に大きなヘッドホンに赤いキャップがヌッと現れて私の肩越しに話し出した。



「おはよ!2試合連続で地元のジュニアと当たるんだね、、やりにくけどチャンスだよ」


ジュリア・メンデス


ポルトガル出身の選手で同い年だが彼女はデビュー戦から好成績を残し、前回のシドニー大会では優勝している。

本戦第1シードの選手だ。私の事を覚えている事が驚きだ、なんせ私は予選ですら1回も勝てていないから、、

本戦選手の練習相手はやってきたが、ジュリアとは練習した事はない。


「今日の練習相手は決まってる?空いてたら練習してくれないかな。」


ジュリアの言葉にびっくりした。


「え!いいの?」


「当たり前じゃない!じゃあ9:00にここ集合ね!」


素敵なウインクを残してジュリアは颯爽と駆け抜けて言った。


驚きのあまり、私とレイラはかおをみあわせた。「もどろうか。」鈴木さんの家に帰ることにした。


「おかえりー」


家に帰るとコーチが鈴木さん達と談笑していた。レイラはソファーに座るコーチに飛び乗るとベロンベロン舐めだした。


「レイラ、、わかったわかった、ただいま」


たまらず避けるコーチに逃がさないレイラを皆で笑った。


「コーチ!今日あのジュリアが練習してくれるって!」私が興奮気味に言うと


「あのって!君が言うとジョークだね」

コーチが笑いを堪えながら言う。


「なんで?」


コーチが真顔に戻り答える。


「ジュリア・メンデス。君の世代のジュニアチャンピオンだ。ウィンブルドンジュニアも取ってる。

、、、そして何にも知らない君が高校時代スーパージュニアの決勝でボッコボッコにして泣かした選手でもある。」

笑いを堪えるコーチ。


私ジュリアのジュニア時代を知らなかった申し訳なさと、気まずい気持ちで、顔が熱くなった。


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