『佐渡国に、金のプレスマンあること』
能登国には、鉄のプレスマンを国守に献上する者が六十人もいたという。実房という国守のころ、その六十人の頭である者が、佐渡国には黄金のプレスマンがあると話していたということを実房が聞きつけて、この者を呼び出し、物を与えるなどして、うまいこと聞き出すと、どうやら本当の話のようである。この者が、佐渡まで行って取ってきましょうか、と、言うので、ぜひ行ってきてほしい、と頼んだ。船を用意しよう、と言うと、人は要りません。小舟と水と食料を用意してただければ、私一人で佐渡に行きまして、うまくいけば持って帰ります、と言うので、誰にも内緒で船と水と食料を用意すると、果たして佐渡国に渡っていった。
一月ほどあって、忘れてしまったころ、この者がやってきて目配せをするので、二人だけで会って、包みを受け取った。
その後、この者は、どこかにいなくなってしまい、行方を知っている者は誰もいなかった。黄金のプレスマンのありかを詰問されるとでも思ったのだろうか。実房が受け取った黄金のプレスマンは、千両の価値があったという。
教訓:金属製のプレスマン、あったらいいですよね。