表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The・Create  作者: シュウト!!
第4章 夏だ!遠征だ!!火の国だ!!!
91/99

【83話】 色無き虹の誕生(カラーレス・バースデイ)

 過去話を読み返していたら、ユーカさんの技を書き間違えてました。


ユーカ「え?」

一同『『え?』』

読者『『何の話?』』

僕「ごめんなさい!!!」


色無き拘束(カラーレス・バインド)

虹無き拘束(カラーレス・バインド)


読み方(ルビ)でなく漢字の方をミスってました。

他だと、渾身の蹴りをお見舞いする虹無き(カラーレス)強襲(・ストライク)だとか、ドス黒い結界を展開する虹無き防壁(カラーレス・バリア)だとか。


何故か『虹無き』と表記しなきゃいけない所 (さん) を『色無き』と表記していました。

えー、謹んでお詫び申し上げます。すみませんでした。


読者『『どっちも同じようなもんじゃろ』』


そうはいかんのじゃ!!


ということで、過去話のミスってた所は修正済みでございます。(4/8と4/9にやってやりました)



 それともう一つ。この作品はあくまでフィクション(・・・・・・)です。いくら2022年の日本が出てくるからとはいえ、本作品で出てきた地名や事件、事故等々は創作での出来事です。

当時その時期に本当に起きた(・・・・・・)ものではございません!!

(てか不謹慎過ぎだろうが。本当にそーゆーのを扱ったらさ)

(僕はそこまでブッ飛んでいません。大丈夫です)←?


ですので、安心してご覧くださいまし(?)


リクト「えと、つまり、どういう事?」

僕「前もって言っておくことで、トラブル防止。的な?」

リクト「あぁ、そう?」

僕「う"ん"!!」

リクト&僕「「はぁい!」」(オチ不在)



あと、もう一つ。先に謝っておきます。

完全にやり過ぎた。


すみませんでしたっ!!!



以上!!本編へ、どぞ/

 私の人生って、一体何なのだろうか。

なんで、どうして、いつもいつも、悪い方向へばかりいくのだろう。

私は何一つ、悪いことなんてしていないのに。清く正しく、全うに、誠実に、真面目に生きているつもりなのに………




 見てみてお母さん!お母さんとお父さん!上手に書けたでしょ~


わぁ、上手ね。・・・あら、電話?もしもしあなた。え?離婚………?なんで、えっ、出張先で不倫・・・!?

そのまま、相手の女を、孕ませた……!!?


私には元々愛想尽かしてたから、丁度い・・・って、そんな冗だーーー 嘘……。


お、お母さん?はい、携帯落ちたよ。

え、お母さん?なんで、なんで泣いてるの・・・?


由花。お父さんね、もぅ、帰ってこないって……


え?なんで・・・?



 この前、駅の近くにミ○ド(ピーー)が出来たって言ったじゃん。昨日の部活帰りにね、早速行っちゃったんだ~


へぇ、そうなんだ。


うんっ!だからさ、今度一緒に行こうよ。・・・どうかした?


・・・ハァ。いいよね、由花は進路決まっててさ。

アタシなんて、高校、第2希望すら受からなかったのに……


っっ………




 それじゃあ、今日の授業はここまでにしようか。


はい…。由花センセ。本日も大学でお忙しい中、ありがとうございました。


ふふ。それじゃあね、真冬ちゃん。また明日。


またーーー



もしもし。はい、水城です。あら、柏木さん!

……え?昨日の家庭教師の後に、入院?そのまま急死!?

葬式が来週にって、え、そ、そんな………




 遂に明日からかぁ。1年1組の副担任として、私の教師人生がここから始まるんだ。気を引き締めなくちゃ……!



え、うちの生徒が自殺!?屋上から身を投げたって、そんな……

え、うちのクラスの子ですよこの子!??嘘でしょ、この子、ついさっき職員室から出たばかりですよ!?


そんな、春華ちゃん………



すまないねぇ、水城先生。まだ教師になってから一年だってのに、転勤だなんて。


・・・仕方ありませんよ。生徒の自殺を事前に防げなかったのですから……

あの時、あの子の違和感に気づけていれば……


うっ。・・・ええと、水城先生の転勤先の高校では2年生の担任になるんだよね?

初めての学校、初めての担任。不安で押し潰される事があるかもしれない。

でもね、もし解らない事があれば、すぐに連絡するんだよ。後、なるべく思い詰めないようにね。


向こうの校長先生とはね、古くからの付き合いなのよねぇ。だからきっと、貴女の力になってくれるよ。

だからね、大丈夫だから。


っっ、はい。校長先生、副校長先生。教頭先生。

短い間でしたが、ありがとうございました。



 

 2年2組の皆さん、初めまして。今日から皆さんの担任となる水城由花です。本校に赴任して間もない為、勝手が解らず混乱することがあるかもしれません。


ですが、めけずに皆さんを導く存在として務めていきますので、暖かく見守って頂ければなと思います。

よろしくお願いしまふっ!!?


・・・よろしくお願いします。………/////



今朝のショートホームルームでは、っ、工藤君、細川君?

・・・え?木ノ下君がまだ来てない?本当だ。普段なら今頃、工藤君(あなた)達と笑いあってるのに。

って、机の横。リュックがかかってすら無い。


・・・私宛ての呼び出し?ちょっと職員室に戻りますね。5分経っても戻ってこなかったら各自一時間目の準備をしていてください。

今日の現代文、辞典必要だからね?忘れてきた子は後で職員室に言いに来てくださいね。



すみません、遅れました。・・・2組担任の水城です。

警察署から、一体何事ですか?


・・・う、嘘でしょ?木ノ下君が■■■!?

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■……!?

そんな、まさか……。あり得ない……。



・・・はぁ。まさか、廊下ダッシュの注意が最後の会話になるなんて……。


・・・え?


痛っ!?お腹、血……!?包丁が、刺さってる!?

嘘、通り魔!?犯人はっ、・・・!!

白と翠のアーガイル柄の、フードを被った黒、マスクの、、………!?


ッ、まさか!!!そんな!!!


そんな、逃げないで、、、あ。だめ、い、意識が……



 私の人生って、一体何なのだろうか。

なんで、どうして、いつもいつも、悪い方向へばかりいくのだろうか。



朦朧とする意識の中で、最後に脳裏に過ったモノ。

それは、呪われたような半生に対しての嘆きだった。



「っ!!?・・・はへ?」



 気が付いた時には、全く知らない場所にいた。


「なにこれ。ここは、どこ?」


通勤中によく見た田園風景や住宅街などはそこには一切なく、あるのは丁寧に整備された道路と、まるで童話に出てくるような素敵な建物と、巨大なお城がすぐ側にある。


そんな、摩訶不思議な世界に突然(・・)放り投げられた私は、高校教師といえども思考が追い付くはずもなく。

地面にへたり込みながら、呆然と、周囲の景色を眺めていた。


否。景色を眺める事しか出来なかった。


「なに、ここ……。あっ、日本語の看板がある。『中央王都 中心部までこの先2km』・・・?」


?????


「ここ、日本なの?中央王都なんて場所、今まで一度も聞いたことないけど。

でも、あれもこれも日本語でかかれている。

それに、現実味は全く感じられないのに不思議と現実であると思えてきちゃう。夢ではないみたい・・・。

私ってば、何を言ってるのかし、、ら、、、。えっ」


 ふと、私は腹部をさすった。

確認の為、何度も、何度もさすった。


邪悪で、鋭利な、凶器が突き刺さった腹部を何度も何度も。


「あれ、血が、出てない?それどころか、痛みが全くない………。」


意識を失う前、自身の周囲は血だらけだった。

あそこまで出血しては、病院に搬送された所で手遅れだろう。

すぐだったとしても、だ。


だというのに、私は今、無傷でいる。


 つまり、これはどういう事?

もしかして、何処か知らない場所に旅行していて、もしくは出張していて、私はそこの事を夢を見ている?


先の通り魔も、今朝の木ノ下君の件も、全部全部私の夢?


・・・なんて不謹慎で、最低最悪な夢なのだろうか。


「(頬、つねってみよ)・・・頬っぺた、痛い……」


 どうやら夢なんかではないらしい。

本当に意味がわからない。現実離れした展開に、ますます混乱してき、たーーー


「ギュルルル!」

「お"お"お"お"お"お"お"お"」

「ギャルギュルリィ…!」

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!」

「ヒッ!?」


 突如として、グロテスクな生物?が私を取り囲んだ。


見たこともない、とてもこの世のものとは思えないような造形。腐体、骸骨、海月?え、豚?なにこれ、昆布?


間違いなく危機的状況だというのに、全く思考が働いてくれない。


加えて、その生物達が原因の血生臭さと、モザイク処理して欲しい程、気持ち悪い造形の集団。


それが、前も後ろも、ぐるりと私を取り囲む。


「う、う"っ"」


私は吐き気を催した。


「(あ、危"な"い"……、はぁ、ギリギリ吐き気は治まった。けど、な、何?何なの?逃げなきゃ。

っ、動かない。動けない……!?)ヒッ、ヒイィ!??」


怖い。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。



『恐怖』以外の感情を全て欠落したのか。

いやいや、そんなワケない!!あり得ない!! 


しかし、そうだと思えてしまう程には、恐怖で震えることしかできない。


ソレ以外の全ての行動が、まるでできない。


立つ事も動く事も、況してや叫ぶことすらままならない。


「グルルルルル……」

「(見てる。此方を、見てる……!!)」


 一体のゾンビのような腐体が私に向かって飛びだしてきた。


「グルガルガルゥゥゥ!!」

「ヒッ!!!」

「ヴッ!!」

「!?」


しかし、その腐体は私の足の手前で転んだ。

どうやら、足を何かに捕まれたみたいだ。


 瞬間、私の細胞という細胞が。私を構成する全てが恐怖に震えた。


「ヴヴヴヴヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」

「グル、グウッ!?(訳:な、何故!?)」


真っ白な頭蓋骨から、角と、鮹の吸盤のようなものを沢山着けた触手を夥しい数量生やしたナニカ。


ソレ(・・)は、左目をギラリと光らせ、陥没した右目からは木目のような薄い線で何重にも縁取りされた眼球のようなものがあり、ソレ(・・)はその目で此方を見る。


そして、首元を覆い隠す白いスカーフから下に生えた異様に少なすぎる肋骨と、その中で怪しく激しく渦巻くモノ。


ちぎれた生足のような右足と、妙に機械チックな左足。

そして、宙に浮かぶ両手と、右側にのみ生えた歪な造形のツバサ。


その全てに無数の瞳が、無数のギョロ目がついており、その全てがじっと此方を覗く。


「グッ、グルルルルル……(訳:何故、どうしてワタシが……)」


目の前の腐体は謎のセイブツ?から逃れようと必死にもがいているが、やけに鋭い五本指の爪と、空想生物たる龍のような左手でガッシリと捕まれているようで、中々抜け出せない。


そんな腐体を見て何かを悟ったのか、私を取り囲む周囲のゲテモノの群れは、ピクリとも動かなくなった。


「ヴヴヴヴヴヴ……」


 徐に、ヤツは機械のような左足を腐体に突き刺した。


「ヴヴヴヴヴ!」

「グルルルルル!?グッグルルルルル!グルルルルル……(訳:Neoリッチー様!?おやめください!おやめくだ……)」


そうして、ゴキュ、ゴキュという音を立てながら、腐体から何かを吸い上げ始めた。


「グル、ルルァァァァ……(あぁ、ああぁぁぁぁ……)」


時間の経過と共に、腐体の汚い紫色が徐々に薄くなっていることに気が付いた。


そして、どんどん痩せ細り、薄く、ペラペラになっていく腐体。その身体は異常なまでに真っ白け。


いつしかその腐体は、ピクリとも動かなくなっていた。

生命活動を完全に終えたかのように………


「・・・・・」

「ヴヴヴヴヴヴ……。・・・ヴヴヴ!!」

「ッヒィ!?」


 怪物と目が合った。

その瞬間、怪物は私目掛けてゆっくりと、だが確実に、歩き始めた。

ペタペタ、カタカタ、ペタペタ、カタカタ。不協和音のような、この上なく不快な足音を鳴らしながら。


「(身体が、動かない……動けない!逃げたいのに、身体が全く動かない。悲鳴を、周りに助けを求めたいのに、声も出ない……)!!、!!!」

「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……」

「(モンスターの群れの中に、人がいる!?)っ、危ない!!プライマルブリザード!!」


 もう駄目だと諦め、目を閉じた瞬間。

天から女の子の叫び声が聞こえた。


それと同時に、なんだか、寒くなってきた。いや、寒いなんて次元ではない!!

東北の冬よりも厳しい北海道の冬。いや、このレベルだと海外の・・・


兎に角!それよりも遥かに、とてもとても寒い。

寒い寒い寒い寒い、寒過ぎる!!


肌を突き刺すような凍てつく冷気だが、不思議とそれから恐怖を感じなかった。


「(もしかして私、感覚が麻痺してる?)」

「(良かった、間に合った)・・・やぁ、立てるかい?」


 元気な声と共に、空から純白の翼を生やした女の子が舞い降りてきた。

この子、私よりも背丈こそ小さいのに、私以上の風格と気品をその佇まいから感じさせている。


さらさらの水色の髪を両サイドにお団子のように纏め、そのお団子からリボンのように髪を伸ばしている。


自分よりも遥かにサイズの大きい真っ黒で光沢のある軍服に堂々と袖を通すこの少女だが、


「あれ、おっかしいなぁ。わたしの事を見てすぐに名前が出ないなんて。

うーん、自惚れ過ぎかぁ。わたしもまだまだなんだなぁ」


なんて事を言っていた。


という事は、この、周囲の氷?を放ったのもこの子?!

いやいやまさか。


まさか………!!


「これ?そうだよ、私の魔法だよ」

「ま、魔法?」

「そう。原始の(プライマル)氷の力(ブリザード)。誰かを守る為の力として。わたしの好きな、わたしの最高の魔法だよ」


ごめんなさいすみません。

何を言っているのかサッパリわかりません。


「(あれれ?なんか、伝わってないみたいだね。という事は、まーさーかー?異世界からのー?)・・・!!」


 瞬間、女の子は私の事を抱き上げた。


「!?」

「っ、暴れないで!しっかり捕まって!!」


私の脳ミソは今、とてつもなく混乱している。


だって、私よりも小さい女の子が、私を抱えて凄い速度で飛び立ち、宙に浮かんでいるんだもん。


「!?!!?!?!?」

「あっちゃー、ハズレ引いちゃったかぁ」

「!!? ど、どういう、事、ですか?」

「丁度今さっき君の目の前にいたヤツの事。君を守りながらか……」


 女の子の頬をツーっと汗が通った。

その時、真ん中の大きな氷にヒビが入った。


「ヴヴ、ヴヴヴヴ!!!」


そして、その中からあの怪物が現れた。


「ヒッ!!」

「大丈夫、落ち着いて!!」

「・・・!?」


あの怪物は付着した氷を落とす為、全身をブルリブルリと震わせると、機械のような左足を氷に突き刺した。

そして、また、ゴキュ、ゴキュという音を立てながら吸い始めた。


「一体、何を?」

「わたしの氷を吸う気?いや、それなら氷が溶けてなくなるハズ。・・・白くなってーー?

解った!!色だ!あいつは色を、吸っているんだ……!」


自信満々に推察を述べた女の子だったが、その表情は険しい。


「ヴヴヴ……」

「(!?嗤った?)」


あの怪物は表情など一切変えていない。

だが、私にはアレが嗤ったように見えた。


「ヴヴヴヴヴヴ!!」

「きゃあ!!!!?(とっ、跳んだ!?)」

「瞬間冷却っ!!」


もの凄い跳躍力で私を掴もうとした怪物。

だが、女の子は冷静にそれを躱すと、再度怪物の全身を凍らせた。


そうして、少女はサッと地上に降り立ち、私をゆっくり下ろした。


「ごめんね。本当なら抱えたままでいたかったけど、アイツはヤバい!!」

「そんな……」


女の子は私の気持ちを察してか、こんな事を言った。


「大丈夫。わたしは勝つよ」

「っ!」

「さっきの雑魚(モンスター)達はもぅいないから、君!逃げるなら今だよっ」


私は小さく頷くと、女の子は満面の笑みを浮かべた。


「あの、ありがとうございました!!」

「またいつか会おうね~」


 そうと決まれば安全な場所へ逃げなければ。

でも、安全な場所ってどこ?


ここは一面が私の知らない場所。


何処へ逃げる?どうすればいい?

逃げたとて、そこで先程の腐体や骨なんかと出くわしたら?


「(四面楚歌、絶体絶命……)だ、大丈夫!あの子が何とかしてくれーー」


あの子が何とかしてくれると思っていた。

なんで、なんであの怪物が、なんで!


なんで私の目の前にいるのよ!!


「ヴヴ、ヴヴヴヴ!!」

「っ」


しまった。足が縺れて転んでしまった!!


「ヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴ♪」


怪物は何処か嬉しそうに嗤うと、頭蓋骨の左上から沢山生える鮹のような触手をブンブン振り回し始めた。


「させない!!みずよせ、瞬間冷却!!」


突如として怪物の頭をすっぽりと覆った水。

それが、瞬きする間もなく凍りついた。


「ヴ!?」

「怖がらせてごめんね!」

「あ、貴女は……」


先程の女の子!よかった、やられたんじゃなかったんだ。


「やぁ、さっき振りだね」


女の子は、困惑する私を見て察したのか、ごめん、と呟くように言った。


「どうやらあの怪物、貴女が狙いみたいなんだ。

させるかー!って、わたしは何度も攻撃し続けたんだけどね・・・。

アイツ、わたしの妨害を掻い潜ってここまで来ちゃったんだ……。その、ごめんね」


彼女はしんみりとした顔で、心底申し訳ないといわんばかりの表情でそう謝罪した。


「い、いえ、そんな。ごめんだなんてとんでもない!

貴女に守って貰っている身です、文句なんて全くありませんよ」

「~~!!」

「!?」


女の子は徐に私に抱きついた。

そして、ほんの数秒後。


「・・・ありがと」


そう礼を言うと、氷の玉のようなものを四つ、自身の周囲に出した。


「マリナーガーディアン、起動」

「(衛星みたいに周囲を回って……)」

「もぅ、手加減はしない。アイス・ウイング……!!」


女の子の水色の瞳が発光した。

それと同時に純白の翼も水色に変色していった。


いや、変色しているのではなく、翼がパキ、パキッと音を立てて氷になっている……!


氷の翼、すっごくカッコいい……!


「マリナーガーディアン、シュート!!」


女の子は、身動きをしない怪物に氷の玉を投げた。

それは的確に怪物に命中し、怪物を後退りさせた。


「もう一度、プライマルブリザード!!!」

「ヴヴ……」

「頭を垂れてひれ伏せ!グラヴィティバインド!!!」


怪物が倒れた。地にひれ伏して、もがいている。


「これ、は……?」

「この星の重力に干渉して、二倍の重力で、アイツをそこに縛りつけてるんだっ!このまま5分、動きを止めて、削りとる!!!」


駄目っ。さっぱり何を言っているのか、理解できない。

なんか、あれね。ゲームの世界の住人ですか?って思っちゃった。


「ヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!」

「いいぞっ、このまま、!?」

「ーーーー」

「見ちゃ駄目っ!!」


重力に潰され、怪物の足、触手、翼、両手がブジュッと音を立てて潰れた。


「ーーー」

「(どうだろう、見ちゃったかな?うぅ、ごめん。ごめんね……)」


即座に女の子が私の視界を優しく塞いだが、ソレは私の脳裏に深く刻み込まれた。


「ヴヴヴヴ!!」

「何っ!?」


女の子が怪物の方を向いたと同時に、視界が開いた。


瞬間、私は言葉を失った。


潰れたハズの怪物の足や触手が、10秒程で元通りになった。


「ーーーー」

「なるほど、そうかそうか、超速再生(ウルトラ・ヒーリング)か。これはいよいよS(ランク)モンスターだね!しかも君、ダンジョンボスだねっ………!!」

「ヴヴヴヴヴヴ!!!」

「???」


私は一切理解できていないが、怪物が女の子に向かってそうだ!と言った事だけは理解できた。


Sランクモンスター。雰囲気だけしか理解できていないけど、私、意識を取り戻して早々、とんでもないバケモノと遭遇してしまったみたいです。



「ヴヴヴ!!」

「っ!!(さっき見た、色だけ溶かす溶解液……!)瞬間冷却!!」


 先程からずっと、女の子と怪物の激突が終わらない。

激突というより、執拗に私を狙う怪物を女の子が追い払う。

という流れを延々と続けている感じです。


「マリナーガーディアン、シュート!!」

「ヴヴヴ!?」


互角にぶつかっていた両者だったが、女の子が放った氷の玉が怪物の胸元の竜巻に当たった。

元々うめき声しか発してなかった怪物だが、ここで初めて、苦しそうなうめき声を上げた。


「ヴヴヴ、ヴヴヴヴッ、ッッ」

「へぇ、そこが弱点なんだね。みずよせ瞬間冷却(それっっ)!」


女の子は怪物の胸元以外全てを凍らせた。

そして、がら空きの弱点目掛けて氷柱の弾丸を浴びせ始めた。


「ブリザードバレット!!!今度こそ、手応えあってよね……!!」

「!!、!!、!!」


ビクン、ビクン、と身体をひくつかせるこの上なく気持ちの悪い怪物。


「これでお仕舞いだあっ!プライマルブリザード!!!」

「!!」


 女の子の全霊の一撃を受け、怪物はバタリと倒れた。


「っ~~、やったぁ!!!やたやた、倒したぞー!!」


元気に跳び跳ねる女の子。

なんだか、此方まで嬉しくなってきちゃった。


「いえーい!!」

「い、いえーい」


私は、軍服の袖を振り回す彼女とハイタッチをした。


「!君、ノリいいねぇ。名前はなんて言うの?」

「由花。水城由花、です」

「ミズキユウカ。ユウカか。……成程。君、やっぱり異世界から来たんだ。そうでしょ?」


え?い、異世界?


女の子は混乱する私にお構い無く独り言を言っている。


「(その反応は、……ビンゴっ!)道理で!やっぱそうだよね、そんな気がしたんだ!

魔王ジーク・カイザー配下、天空騎士団(ウイングナイツ)幹部の九星天使(プラネッタ)!マキュリーちゃんの名が通らない訳が、ねぇ!!」

「ええと……」

「あ、ごめんね?わたしはマキュリー。天使族(エンジェル)のマキュリーだよ!」


エンジェル。成程。

だから純白の翼と、頭上に光る輪っかがあったんだ……


「ねぇ君、じゃなくてミズキユウカ。・・・・・ユーカ!君、行く宛ある?」


満面の笑みのマキュリー。

だか、その真後ろには先程倒れたハズの怪物の姿があった。


グラヴィティ(甘い甘い、気付か)バインド(ないと思った?)

「ヴヴヴヴヴ!?ヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!」


悔しそうに叫ぶ怪物。


その時、空からまた、女の子の声が聞こえた。


「あっ、マキュリー!!おーい!」

「あっ、なんてこった……」


重力で縛られている怪物なんて忘れた!知らん!!

みたいな顔で頭を抱えるマキュリー。


そうこうしているうちに、声の主が降り立った。


「(また軍服姿の、女の子(エンジェル)……?)」

「マキュリーったら、何してるのよ」

「ええとね、この子がダンジョンボスに襲われていたんだ。だからわたしが何とか食い止めてるの。

絶賛足止め中でーす」


頭上に輪っかを浮かせ、純白の翼を生やす、金髪ポニーテールに黒いカチューシャの女の子。

だけど、マキュリーが上から羽織る黒い軍服は着ていない。


彼女の真っ赤な軍服は、シワ一つなく、毛玉や埃なんかも無く、とても綺麗。

心の底からその軍服と組織が大切なんだなぁと、装いから伝わってくる。


「へぇ~。!! っっ・・・。(この子、凄い見てくるんですけど。……でも、不思議と悪い気はしないかな?)

大丈夫よ。ちゃちゃっと脅威を排除しちゃうんだから!」


金髪ポニテの女の子は、マキュリーに『交代!』と言うと、ポケットから銃口が二つある小さな銃を二丁取り出した。


「まずは、追いグラヴィティバインド!」

「ヴヴッ!?」

「マーズ。そいつ、胸元の竜巻以外ダメージ通らないみたいだから」

「ダメージが、通らない?」


マキュリーの助言を受け、女の子(マーズ)は目を見開いた。


「それに、超速再生(ウルトラ・ヒーリング)も持ってるみたい。S(ランク)のダンジョンボス、しっかりね~」

「・・・Ok。任せて頂戴っ、紅蓮炎破(グレンレンダ)!」


マーズはBAN、BAN、と銃口を轟かせながら炎を2発放った。


それは、見事に怪物の胸元の竜巻に命中。


「ヴヴヴヴヴヴぅぅぅぅ!!!!」

「まだまだ!温度管理(おんどかんり)、MAX!紅蓮炎破(グレンレンダ)!!」


次々撃ち出される炎を受け続ける怪物。

今の弾丸からは、先程の二発(初撃)とは違う熱さを感じる。


防戦一方で、追い詰められているように見える。


「いける……?」

「いや。弱点に当たってはいるけど、属性相性で不利がついているみたい……」

「つ、つまり?マーズの技は火属性。だけどヤツは水属性と闇属性を持つ。ほら、水は火をかき消しちゃうでしょ?」


確かに、炎タイプの技を水タイプにぶつけたら効果はいまひとつ。・・・え?!


あの怪物、こっち見て嗤った!?

あり得ない……。ちょっ、え?え!!?


この世界ってポケ○ンとかみたいな相性関係があるの?


何ソレ……(困惑)


「立てる?」

「はiーー痛っ!?」


マキュリーが差し伸べた手をとろうとした。

が、もたついた時に足を挫いたみたいで立とうにも立ち上がれない。


「足、やっちゃったか……。解った、マーズ!」


マキュリーは指をパチンと鳴らした。


「了解!グラヴィティバインド解除!か・ら・の、それっ!!」

「ヴヴヴヴ!?」


 マーズはとんでもない速度で飛翔し始めた。

え、何も見えないんですけど。


さっきの子、マーズちゃん、だっけ?

目の前からいなくなったんですけど………


「凄いでしょ。わたし達九星天使(プラネッタ)の十八番、マッハフライト。

実はねわたし達、音速(マッハ)で飛べちゃうんだ~」


なんて、当たり前の事を言うかのようなマキュリー。


でも、マッハで飛んでいるのなら、何故私を初めとした周囲に影響が出ないのだろう。


「ええーっとね、難しいな……。うーん、大昔に、約500年前の話なんだけどね。その時にあった戦争の影響で"この世界"、色々とおかしくなっちゃったんだ。・・・としか言えないや」


ごめんね、と謝るマキュリー。


やはり、私は日本から別の世界へ迷い込んだらしい。


「ヴヴヴヴヴヴ!!」

「っ、さっきからそのよだればっか!ダイモス・ヴォルテ(汚いでしょうが)!!」


音速で怪物の周囲を飛び回りながら、的確に超火力の炎を撃ち込んでいくマーズ。


「ヴヴヴヴヴヴ!!」

「っ、危ないマーズ!瞬間冷却!!」


怪物の唾液がマーズにかかりそうになった瞬間、マキュリーはそれを凍らせた。


「ありがとう、マキュリー。・・・超速再生(ウルトラ・ヒーリング)が何だっていうの!マキュリー!貴女の努力、絶対無駄にしないっ!!プライマルブレイズ!!」


 マーズの放った紅蓮の炎。それは、瞬く間に怪物を包み込んだ。


そうして、炎が消えた時には、怪物の角、触手、両手両足、右翼の全てが消し炭になっていた。

それに、先程のようにすぐに再生することもない。


肝心のコアたる竜巻も、………!!渦巻いて、いない!


という事は!!


「へへ、ちゃんとやったわよ」

「ナーイス!」


マキュリーは軍服の袖で、マーズは右手で、グータッチ(?)した。


「あの、本当にありがとうございました」

「ユーカ。貴女、疲れているでしょ?だって、初めて来た世界で、突然テロに巻き込まれたんだもの。疲れていない方がおかしいわ……」


マーズはそう言うと、表情を一変。


にこりと笑った。


「うちにおいで!きっとジーク様は歓迎してくれるよ」

「うち、とは?・・・まさか」


 先程からチラ、チラリと見えていたものがある。

そう、巨大なお城である。


「ここから見えるお城。天空城-ジャスティス・オブ・ロード-って言うんだけどね、私達の主、私達の上司。私達の魔王、ジーク・カイザー様が拠点とする地」


そこまで聞いて、私は失神しそうになった。


お城!?主!?魔王!?無理無理無理無理!!!

いや、マキュリーちゃんやマーズちゃんを見ていれば、その魔王が私の考える邪悪なソレではないって、理解(わか)るけど……


「という訳で、ユーカちゃんを天空城にごあんなーい!」

「!?」


マキュリーはまたも私を抱き上げた。

どうやら、拒否権は無さそうだ。


だけど、途方にくれた私に助け船を出してくれた彼女らの好意。それを無下にするなんて、そっちの方が失礼である!


「GoGo!!出発だyーーー」


 その瞬間(とき)だった。

私の足を何かが掴んだ。


細く、長く、半透明な、まるで海月の触手のようなソレが、私の足を掴んだ。


「な、なんで……」

「あんた、私が倒したハズなのに……!」

「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!!」



き、きゃあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




次回、84話 色無き虹(ロスト・レインボー)

やりすぎた。Part2


ユーカ「うぅ、ひっく……」

僕「その、すみません」


リクト「・・・喋れねぇ」

シュウ「あぁ……(聞いてた話より酷いじゃないか!水城先生!!)」

ヒナツ「これは……あれ?春華?フユさん?どうしたの?」

ハルカ「へ?」

フユ「・・・。・・・・・」



ユキナ「あっ。お姉ちゃん!」

モミ「フユったら、何処へ行くのよ!」

フユ「・・・すぐに戻る。……じゃ」

スーノ「じゃって……。フユちゃん………」


ホォリィ「これ、『前書き後書き空間』から見ててよかったのか?」

テンメイ「さ、さぁ?」

ウィズ「・・・・・」

キララ「すみません。ノーコメントで」




やっべ。過去一『前書き後書き空間』の空気が重たいんですかど。


Neoリッチー「やっべじゃないです。全く、どうしてくれるんですか……」

ユーカ「ヒッ!?」

九星天使(プラネッタ)一同『『!!!』』

ジーク「なっ」

前書き後書き空間の一同『『えっ』』


Neoリッチー「あ、どうも。こんにちは」

一同『『しゃ、シャベッタアァァァァ!!!』』


僕「本編じゃ喋れんけどね?」

ジーク「これは、驚いた……」

Neoリッチー「あ、どうも。お久しぶりです。これ、フルール○くで買ってきた奥州ポテトです。皆さんも是非是非♪」

ジーク「あ、ご丁寧にどうも……。え?」


ブブ「んで?こいつはどうして喋れるんだよ?」

僕「御本人!よろしくー」

Neoリッチー「えぇ?・・・ええとですね、Neoリッチー・ファーストの状態ではうまく顎が噛み合っていないんです。ね?」

僕「ねー」


一同『『(仲良しか)』』

シャイニングリッチ「・・・(くだらないボケにワタクシを巻き込まないで。どうか、お願いですから……!!)」


Neoリッチー「それで、うなり声しか出せないんですよねぇ」

リクト「へぇ。…………じゃ、じゃあ何故、今は喋れて?」

Neoリッチー「あぁ。それはですねぇ、ギャグ補正ってヤツのせいです。ギャグ補正」


一同『『え?』』

リクト「つまりは?」

Neoリッチー「作者の彼のせいです」


僕「ははっwバレた」


ま、前書き後書き空間だけは楽しく行こうや!


一同『『舐めんなぁぁぁぁぁ!!!!』』



すまんかった


※ちなみに、ユーカさんの絶望はまだ続きます。

本来なら今回で収まるハズだったんですが。


ごめん。 


Neoリッチー「すみません。もう少しの辛抱ですので……」

ホノカ「本人がソレ言っちゃうんだ……」

ルナ「(なんか草)」


ユーカ「うぅ、酷いです……」

マキュリー「よーしよしよし……」


※ちなみに、マーズちゃんは10話以来の登場です。

ごめん……


マーズ「出番ー!デバンおくれよーあ↑ー」

僕「(汗)」

リクト「(キャラ崩壊してるー)てかアレね。本編では珍しいね、俺出てこないの」

一同『『確蟹!!』』


あ"


---To be(ごめー) continued(んちゃーい)---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ