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The・Create  作者: シュウト!!
第4章 夏だ!遠征だ!!火の国だ!!!
84/99

【76話】 遠征2日目 シャッフルチームクエストの終幕

復活!!(実に2か月振り)


明けましておめでとうございます! ←???

2025年もいつしか2月の二週目となり、あけおめの挨拶が季節外れの時期となってしまいました。


冗談はこのくらいにして、お久し振りです。シュウト!!です。

三度目の負走……二度あることはサンドパン(?)。うーん許せねぇ。


 疾走理由(単なる言い訳)としましては、リアルが忙しかったり、メンタルが落ち込み過ぎたりと、中々おはなし作成に取り組めなくなってしまいまして。

結果がこの様でございます。実に弱いヤツです。


 読者の皆様を長らくお待たせしてしまった事、そして、読者の皆様の期待を裏切る形となってしまった事、深くお詫び申し上げます。

僕の実力不足とメンタルが弱いという大弱点がそのまま露呈した形でございます。

約二ヶ月間、お待たせしてすみませんでした。



【本編行く前に小話】

 はい。本当に、(メンタル)の弱い小心者で申し訳ねぇです。

それにしても二ヶ月かぁ。二ヶ月も更新止まってたのかぁ。うぇ、胃に穴が空きそうだ……


毎日アクセス解析に数名の方々がいらっしゃったと表示される度に、申し訳なさと現状打破が困難な現実に対するやるせなさが混じり合い、どうにかなってしまいそうな日々でした。

エピソード編集の画面を開くことすら億劫になるレベルでした。(マジ)


あん?画面の前の読者様の声が聞こえたぞ。


えぇ、何々?くどい。んな事どうでもいいから本編始めろって?


うえぇぇんえんえん!!

(翻訳:それじゃあ早速、はっじまるよー)



2、3ヶ月前の俺ってこんな感じだったっけ?

リクト「の、ノーコメントで」

 "時空間支配(タイムゲイザー)"のタイム・ストップで時間が止まり、ありとあらゆるものが灰色になった"この世界"。


とんでもない荒業だが、そのお陰?で膨張したメガ・ゴーレムファイアの自爆を阻止する事には成功した。


だが、問題があるとすれば・・・


「(動けねぇ……。畜生、なんでこんな時に限ってオートヒーラーは止まるんだ!!)」


 止めた時の中で動ける俺が倒れて動けない事である。

ただ俺が動けないだけなら良かった。

"創造の手(クリエイター)"で回復アイテム作って元気になればいいからねー。


しかし、困った事に問題はそれだけではなかった。


「(回復薬(ポーション)作って、何とか体勢を……

ん?回復薬(ポーション)を作って、作って。作っ………え?

"創造の手(クリエイター)"が機能しないんだけど!?)」


体が動けないだけならまだしも、"創造の手(クリエイター)"さんも何故か使えなくなっていた。どうして?

なので、回復薬(ポーション)を作成してーーなんて事も出来なくなってしまった。


うぅん、致命的!余りにも致命的過ぎる!!!


「ち、、畜生!!」


 俺はただ、意味もなく正面に転がる無数の砂利を睨む事しかできなかった。


「(アイツを倒す為に、身体強化(オーバーブースト)とタイム・アクセルを同時に使った反動なんだろうけど……

くそっ。このままじゃ、ただ、単にっ、問題を先送りにしただけ、、じゃねぇか……)くそったれぇ、、、!倒したんだから、、そこで、終わっとけよっ、、、」


体力も魔力も、全てがすっからかんな今の俺はオートヒーラーの停止で完全に生命線を絶たれているのだ。

なので、どうしよう!目蓋が重たくなってきた!


「い、今、、気を失う訳には、、いか、、、全部が、、全部を無駄になんて、、させ、、な、、、い」


駄目だ。視界がどんどん狭くなっていく。

気絶するまいと必死に抵抗を試みるも、その抵抗も虚しく、目蓋はどんどん閉じようと下がっていく。


「(あぁ、ここで、、ここで終わってしまうのか、、?

これまでの俺の頑、張りは、、みんなの奮闘は、無駄になるのか?ヘドドンの想いは、、、?

そんな、、、あ、あり、、得ない、、、)」


俺の心には怨嗟が渦巻き始めた。

そして、いつしか絶望にうちひしがれてしまった。


「こん、ちきしょう、め、、!」


 だがその時。ふと、声が聞こえた。


時の止まった世界で、俺以外が動けない世界でそんな馬鹿な。


そう一蹴してやろうと思った。

だが……


「あんた、ここまでよく頑張ったわね」

「お待たせ。後はぼく達に任せて」

「ーーーへ?」


 赤いヘッドホンに赤いパーカーのカジュアルな格好の赤髪ポニテの少女が目の前にふわりと舞い降りた。

同時に、白いハチマキと黒と赤のマントを靡かせるスーツ姿の青年が俺の横を通ると、ぽんっと俺の頭を撫でた。


そう、魔王アポロンと勇者クロムが現れたのだ。


「安心なさい。何とかしてあげるわよ」

「っ、、、!ーーー!!!」


にこっと微笑む二人の優しい顔を見ると、張り詰められて硬くなっていた心が、暖かいもので優しくゆっくりと解されていくような。

そんな不思議な感覚を覚えた。


「っと。さぁさ観客席の皆の者(リクト君)!刮目せよ!

BAKUNETUアイドルのアタシ、アポロンちゃんと勇者のクロムが夢の共演(コラボレーション)!!!

こんな事、滅多に見られないんだからね!」

「そうだねぇ。これはとーっても特別(スペシャル)な事なんだから、リクトくん!

しかとその目に焼き付けておいてくれよっ!!」


可愛らしいポーズと共にバサッと四枚のひし形のハネを展開したアポロンさんと、どこからか漆黒の剣を二本抜刀したどこかノリノリなご様子のクロムさん。


「さて。やるよアポロン」

「Ok!思い切りいくわよ!」

「メガ・ゴーレムファイア。きみの事情は解ってるつもりだよ。まぁ、止まった時の中でぼくの声が聞こえてるかは定かではないけども、安らかに、逝くといい」


瞬間、クロムさんは思い切り漆黒の双剣を振るうと、バツの字に空間を斬った。

アポロンさんは歌いながら真っ赤っ赤で灼熱の渦を二つ生み出し、投げた。


「ダークブレードッ!」

「吹き荒れるアカイウズマキ、敵も味方もアリーナ中を魅了して♪爆熱の渦(ストーム・イフリート)!!」


二人の鮮やかなる一撃にて、メガ・ゴーレムファイアは消滅!!

後にはヤツがいた痕跡となる、大きな大きな窪みだけが残った。


「すげぇ…!何だ今の!」


俺はすっかり二人の技の虜になり、完全に見入っていた。

自身の身体が、とうに限界を超えていた事を忘れるくらいには。


「あっ……(力が、力が入らない。まずiーー)」

「ちょ、うぇ!?ちょっと?どうしたのよあんた!!」

「!?(っ、灰色の世界に色が戻ってきた?)」


きっと、メガ・ゴーレムファイアが俺の視界から消え去った事で緊張の糸が途切れたのだろう。


いつの間にか起こしていた上半身を思い切り砂利だらけの地面に打ち付けた。

その衝撃で、俺は意識を失った。


「リーーーーっ!!」

「ちょっ、ーーー!ーーかりーーー!」


視界が黒で染まる瞬間、クロムさんとアポロンさんが必死な表情で此方に駆け寄ってきた。


そんな気がした。





「っ、、っっ、ん?・・・ッッ!!!」


 ふと、目が覚めた。


雲一つ無い澄んだ青空に、この少し息苦しい感じ。

加えて、背中のこの、布の上からでも判るゴツゴツトゲトゲした砂利の感触。


この布の感触が一体何なのか気になる所だが、どうやらここはまだクロガネ山脈みたいだ。


俺は身体をゆっくりと起こすと、下を向いた。


「(・・・あぁなーんだ、担架かコレ。いつの間に乗せられたんだろ)ん?」


およ?普段以上に身体の調子が良い。何と言うか、全身が軽い!

戦闘時に食らったダメージも、消費しきった魔力も全快である。誰かが介抱してくれたのだろうか?


「あれ。止まってたオートヒーラーが動いてる……?」

「ンピピ!リクト!!」


涙目のピノが飛び付いてきた。


「うわぉ!?ピノ!?」

「っ!!良かった。リクト君、目が覚めたんだね」

「リクト殿、気分は如何かな?」

「ルーラさん!?キリュウ!?え、いつから(ソコ)に!?」


二人はビクリと身体を震わす俺を見て、安堵の表情から驚きへと変えた。


「おやおや。気付いてなかったのかい?」

「えぇ……ワタクシ達、元から側にいましてよ?」


呆れ顔のモミジはため息を吐いた。


「もっ、モミジ」

「ははっ。もしかして、まだ寝惚けてる?」


目をパチパチさせる俺を見て困惑顔で笑うアオバ。

そんな俺を見て、キリュウは水で満パイのコップを差し出した。


「ほら、リクト殿。これを飲んでシャキッとするでごさる」

「お、おぉ、並々だな。丁度喉渇いてたから助かるや。いただきます……」


キリュウからコップを受け取った俺は、中に入っていた水を一気に飲み干した。

それを見て、安心したのかニコリと笑ったアオバ。


「わーお、いい飲みっぷり~(はぁ。一先ず、いつものリクトだね)」

「(一度気絶した影響でしょうか。今は落ち着いているようですが、また先程みたく怒りに任せて暴走される可能性が、無いとは言い切れませんわ)」

「(むっ。その時は我に任せろ。・・・あまり乗り気ではないが、何とかしてやらんでもない)」

「(全く、ブブ殿は素直じゃないな)」

「(ッッ///や、喧しいぞッキリュウ!)」

「(う"っ……全部、聞こえてる……)ご、ご馳走様っす」


 その後、俺は改めて周囲を見渡してみた。

俺が寝ていた担架の側には、Cチームのメンバーとユーカさんがいた。


加えて、少し離れた岩影の方には、砂利の中に大きな凹みが。あれは、メガ・ゴーレムファイアがいた痕跡だろうな。間違いなく。


そのすぐ隣には、その凹みを眺めて会話をするミクセルさんにクロムさん、アポロンさんの姿が見られた。


「(Cチームのみんなにユーカさんと、あ、ミクセルさん。クロムさんにアポロンさんもいる。

良かった。あれ、夢じゃなかったんだ……)………ん?」


え、誰だあの人?


聖騎士、といえばこうだよね。みたいな武装をした男装の麗人がクロムさん達と会話してるんだけど。


どなた?


「さて、木ノ下君。先程のキリュウ君の質問に答えてくださいザマス」

「質問、あ……」


ちょ、ちょっと。

みんなして忘れてたな?って目で見ないでよ。

ソコ!苦笑いしない!肩すくめない!!


「木ノ下君、気分は如何ザマス?どこか悪い所はありませんか?」

「えと、気分は良好です。それに、体力も魔力共に満タンで異常も無いです」


俺は頬をかきながらそう言うと、一同はブブに視線を向けた。

ブブは静かに頷くと、一同は改めて安堵のため息を吐いた。


「そうですか、それは何よりです。で・す・が、木ノ下君。話があります!」

「っ!?ハイッ!」


眼鏡をギラリと光らせ威圧するユーカさん。

クラスの担任(元の世界)の頃からは考えられない恐ろしさに、俺は自然と正座して背筋をピシッと伸ばしていた。


「(あれ?もぅ正座してる。え、私、怖がられてる?)

・・・・・メガ・ゴーレムファイア戦の顛末ですが、いち早くヤツの自爆に気が付いた貴方の機転により、アポロン様とギルマスが間に合い、対処ができた。そうお二方から伺いました。

これに関してですが、私含め皆さんを命の危機から脱してくれた木ノ下君には感謝してもしきれません。ありがとうございました」


 ペコリと頭を下げたユーカさん。


突然の感謝に困惑していると、ユーカさんは俺の真正面に座った。

砂利の上に正座、痛くないのかな……


「ですが、木ノ下君。一つよろしいですか?」

「はい(ア。これは、説教確定コースだ……)」


 俺は助けを乞おうとルーラさん達全員に視線を向けた。


「(・・・リクト君、ファイトだ)」

「(是非もない。しかと怒られよ)」

「(貴方の自業自得ですわ)」

「(私達が見守ってあげるから安心して?)」

「(戯け)」

「(フピっ、フピピピ♪大丈夫よリクト、雷が直撃するだけだから♪)」


あ"ぁ"駄目だ。みんなプイッとそっぽを向いて、誰も目を合わせてくれない。※ちゃんと怒られなさい。


「すぅ~はぁ~、すうぅ~」

「!!!」


ヤバい。ユーカさん、めっちゃ息吸っとる。

ヤバイ。これはデカイのが来る。

間違いない!雷が、雷が来る……!!(戦慄)


「木ノ下君っ!!!」

「ひゃい!!?」

「貴方は!どれだけ!!無茶をすれば!!!気が済むのですか!!!!!」


耳が!!!耳がキーンて!!!

ユーカさんの捲し立てる説教はまだ続く。


「大前提として、貴方があそこで激昂する気持ちはよーく解ります。解りますが、今回はチーム戦(・・・・)なんですよ!?チーム戦!!

チーム戦という味方同士の連携が大切な場面で!一人無謀な行動をとって!味方に迷惑をかける人がっ!何処にいるんですか!!!」


ヤバい。心当たりありすぎて辛い。

ユーカさんの言葉(ド正論)が鋭利な凶器(トゲ)となって俺の心に次々と刺さっていく。 ※安心して。自業自得だから。


「決して結果オーライで片付けないでください。貴方、今回はCチームの回復役(ヒーラー)なんですよ?

ヒーラー(貴方)が最前線に出て、万が一でも戦闘不能になったらどうするつもりですか!!」


ぐうの音も出ません。

冷や汗も止まりません……。


「ケッ、そうだな」

『『!!』』

「自己中心的な立ち振る舞いは一番周囲を、そして仲間を困らせるんだよ。あの時の我らの、いや、我のように。

………"ダークストリーム(我ら)"と"クリエイト(貴様ら)"の勝負、忘れたとは言わせないぜ。

慢心し、調子に乗った我がアルセーヌにアンチスペルフィールドを命じ、それが切っ掛けとなり"ダークストリーム"の敗北に繋がった」

「っ、、、」


 感傷的に、されど乾いた声でそう言ったブブ。

周囲のみんなは目を丸くしているが、俺は言葉を詰まらせた。


「リクト、貴様もいい加減大人になるんだな」

「ブブ……」

「そうだねぇ。リクト君、元々君一人(ソロ)でならまだしも、パーティ間で連携したい時に独りよがりな行動をされては困るよね。ハッキリ言って迷惑極まりない」


俺が悪いのは当然なんだけど、ルーラさん(先輩)にこうもハッキリ言われると(メンタル)がギュッと絞られてしまう。


「聞くところによると、リクト君は頻繁に無茶を通して強敵と渡り合ってきたみたいだしね。私は、それ自体を悪い事だと言わないけど・・・・・

うーん。パーティで行動する意味を、誰かと協調するという事をもう少し意識した方がいいんじゃないかな?」


ルーラさんは腕を組みながら、誰かを連想するかのようにそう言った。


「ぅっ、すみません、でした」


はい。調子に乗りすぎた阿呆は私です。

本ッ当にすみません。


「そうだ。キリュウ君、モミジちゃん、アオバちゃん、ブブ君、そしてピノちゃん。

一応念のため、君達にも告げておくが、明日は我が身だからね。今の忠告、きっちり胸に留めておくように」


ルーラさんはその後、OK?と聞き返すと、呼ばれた五人は深く頷いた。


「(ルーラちゃん、凄いいいこと言ってるけど、打ち合わせと違いますよぉ……)まぁ、今回に関してですが、木ノ下君の無茶な押しきりが無ければ、Cチームはじり貧で押し負けていた可能性が限りなく高かったですし」


困り眉で肩をすくめたユーカさん。

はあぁ~と微笑の混じったため息を吐くと、こんな事を言った。


「・・・仕方ありませんね、今回は大目に見てあげましょう。ね?ルーラちゃん」

「そうですね、ユーカさんがそう言うなら。・・・ほら、リクト君」


 ルーラさんは徐に拳を差し出すと、俺にグータッチを求めた。

俺は頭上に沢山(ハテナ)を浮かべながら拳を前に出した。


「へ?は、はい・・・」

「ナイスファイトだっ。君の頑張りがあったから、私達は危機を脱することができたんだ」

『『ナイスファイトっ!』』


一斉に拳を前に出し、グータッチしたCチーム一同。

皆からしたら、単に雰囲気に乗ってくれただけかもしれないが、俺にとっては堪らなく嬉しく、暖かかった。


「(っ!!!やっべやべやべやべやっべ)」

「ンピ?リクト、泣いてるの?」

「ハハハッ、光栄に思え。貴様のその(なっさ)けねぇ面、しかと我が目に焼き付けてやるよ」


にんまりと悪魔のような微笑みで此方を見るピノとブブに、俺は精一杯の(強がりな)返答をしてやった。


「う、うるせぇ」

「あははっwリクトってば、顔も耳も目もぜーんぶ真っ赤だよ?」

「うふふっ。ピノに負けない赤さですわね」

「うむ。貴殿の恥じらう尊顔は正しく烈火の如く、彼方に聳える灼熱のホワイトフレアの様でござろうな」←?

「やっ、喧しいわっ!!」


 やいのやいのと盛り上がるCチーム。

そんな俺達を眺めながら、ミクセルは呟いた。


「良いですねぇ、良いですよ。最高ですねぇ、彼らの友情!とても即席で作られたパーティとは思えません!

いやぁ、これですよ!僕が求めていたものは!!

この為の『シャッフルチームでクエストに行こう!』と言っても過言ではありません!」


くうぅ~と言いながら力強く拳を握り締めるミクセル。

そんなミクセルを見て、アポロンはニヤニヤと悪戯に笑いながらクロムの脇腹を肘で突っついた。


「だってさー、クロム」

「ちょ、何するんだよアポロン!くすぐったいよ」


驚いたクロムはアポロンに抗議をする。

だが、アポロンはその場でくるりと一回転すると、再度クロムの脇腹をつん、つんつん、つんつくつんと連打。


「へへへーっ♪」

「ふふふっ。相変わらず、クロム様とアポロン様は仲が宜しい事で」


じゃれ合う二人を見て笑うのは、ここ火の国(アポロヌス・マイト)の隣国リバイヴバレーの(イージス)(・オブ・)(ガーディアン)団長のミロル。

幸せそうに微笑む彼女を見て、(アポロン)が調子に乗ることを恐れたミクセルはゾッとした。


「じょっ、冗談!止してくださいよミロル殿。僕が撒いた種ですが悪乗り厳禁です。

それに、アポロン様?止めてください。クロム殿が嫌がってるじゃないでs、ーーっっ!?」

『『!!?』』


 混沌としだしたこの場の中央に、レクが現れた。

メガ・ゴーレムファイアのいた跡。砂利のクレーター部分にヌルッと、突然姿を表した。


だが、不可解な事に、レクの体は実体ではないように感じる。

まるでホログラムのように青く、ザザザっとノイズの走るその姿は、違和感を覚えない方がおかしい程。


 パチ、パチとまるでCチームの戦闘を褒め称えるかのように拍手をするレク(?)を見て、この場の一同は即座に身構えた。

無論俺も臨戦態勢に移った。しかし・・・


「(っ、あ"。無茶したせいで剣先、折っちったんだった……っっ、マッズイな。今、おもいっきり突っ込まれたら厳しいなんてもんじゃねぇぞ……)」

『いやぁ、お疲れ様!冒険者達、よく頑張ったね!!』


・・・え??


『『『!!!』』』

『おや?嫌だなぁ、止めてよぉ。身構えるなんてこわ~い!!』


わざとらしく拍手して褒め称えたかと思いきや、急にぶりっ子ぶるレク。

ヤツの姿がホログラム状の影響か、レクの声にも不自然なノイズが走る。


「お喋りは、これで終わりかい?」

『え、まだ話したい事あるんですけdーーーえ?』

「はっ!!」


クロムさんはいつの間にか、まるで黒い弾丸そのものになり、右手に持つその剣でホログラム状のレクをぶち抜いていた。


『ーーあれ?』

『『『!!?』』』


な、なんじゃあ今のは。

踏み込みどころかクロムさんが抜刀する瞬間すら捉えれなかった。見えなかった。音すら聞こえなかった。


え?今のが、クロムさんの本気の一端?

ゑ?嘘だよね?本気(マジ)で言ってる?


いくら手加減してくれていたとはいえ、キョウさんと"ダークストリーム"との稽古の時でさえ、悲しいくらいに露骨なまでの実力差でぼこぼこにされていたというのに。



 ギロリと睨む、らしくない(・・・・・)青年を見た俺は、冒険者()達はこの時、この勇者に心の底から畏怖の念を抱いた。


「(・・・ダークドライヴを選択したのは甘かったかな?)手応え無し。ダークドライヴを当てて尚、体力を吸えないとなると・・・」

「そうね。あんた、最初から(・・・・)そこにいたの」


アポロンさんは四枚のひし形のハネを展開すると、巨大火山-ホワイトフレア-の山頂をキッと睨んだ。

同じく、クロムさんも漆黒の剣先をホワイトフレアの山頂へと向けた。


『ご、メイ、、察、、、』

「あーあ、あーああらあらあーららら。バーレちゃったバレちゃった。

アハッ♪流石はゼロ対戦(災禍)を終わらせた者、勇魔六英雄(ゆうまろくえいゆう)ね。

正解。本物のアタシはホワイトフレア山頂(ここ)にいるわ」

『『『!!!』』』


脳内にレクの声が響いた。

皆の様子を伺うに、皆同じく脳内にレクの声が聞こえているらしい。


「ケッ。テレパシーか」

「まーまー、そう怒らないの。あんた、カルシウム足りてないんじゃない?」


レクのテレパシーは、怒りそうなブブを(煽りながら)咎めた。


「ゴミが。調子に乗るなよクソビッチめ」 

「ゴミ!?クソビッチ!?酷いっあんまりだわ…!!うぅ~虫は、無視してやるもんねぇ。こんの虫ケラめ……!キン○ョール(ピー!!!)で一撃の癖に!」

「何だと?低俗な道化師衣装の分際でよく言ってくれるなヤ○○ン(b a n!!)風情が!!」

「ちょっと!!ヤ○○ン(b a n!!)は止めてよ!風評被害よ風評被害!!悪辣な印象操作反たーい!裁判!裁判起こしてやるわよ!」

「世界の敵、テロリストの分際で裁判だぁ?」


・・・馬鹿じゃねぇの?

揃いも揃って何やってんだ。

口の悪い子どもかよ。バカじゃねぇの?


「もぅいい。本題に戻るけど、アタシはねぇ、あんた達冒険者に感謝しているのよ?虫ケラ一匹除いて」

「オイ……!」


いい加減にせぇ。

ハエタタキ出すぞ?


「我が悪かった……」

「こら、ブブ殿」

「悪かった!悪かったからそれだけは勘弁してくれ!」


ハエ叩きにビビったブブはキリュウの背中に隠れた。


「・・・ふん♪メガ・ゴーレムファイアの被害を最小限に抑えてくれたあんた達Cチームと、特殊個体の中ボス達の暴走を阻止してくれたCチーム以外のあんた達にね、アタシは感謝しているって言ってるのよ」

「・・・つまり、きみは何が言いたいんだ?ぼくにはさっぱり理解できないね」


クロムさんは山頂に向けた剣を納刀しながら質問をした。


「いや、言葉の通り受け取って頂戴よ」


ガチトーン!?

それに、言葉の通りに受け取れて!

メガ・ゴーレムファイアはお前が放った刺客じゃねぇのかよ!!


『ここだけの話、今日のアタシは単に仲間の尻拭いに来ただけなの』


 俺はふと、メガ・ゴーレムファイアと戦う前のレクの言葉を思い出した。

それを思い出したが為に、余計にワケ解らなくなった✌️


「(駄目だ。今日はもぅ駄目だ、無理だ。後で情報を整理しよう………)」

「Cチーム、そして、クロガネ山脈各地で特殊なモンスターを倒したみんなにお礼をアゲル。本来、ボス討伐時に貰えるハズだった経験値を、ねっ」


 レクが言い終わると同時に、パチンと指を鳴らす音が聞こえた。その直後、膨大な経験値が何処からか流れてきた。


ステータス表示(3話参照)の獲得経験値の欄と次レベルへの必要経験値の欄がアホみたいに動いてる!?

冒険者レベル35が36、37、38……うわうわうわ。


「な、なんだ?!?ちょっ、やばやばやばやば。(あちょっ、語彙力がっ、俺の語彙力が!俺の語彙力返して!)」

「なっ、嘘だろう?私の冒険者レベルが上がった?!最近Lv.57に上がったばかりの私が!?」

「拙者もだ。みるみるうちに冒険者レベルが上がっていく……」

「気味が悪いのに、どこか心地よく感じるような?な、何なんですのこれはっ!!」

「凄い凄い!!何コレ凄いよ!レベル40の大台を越えたよ!!?」

「レベルが上がることに奇妙だと感じるのは後にも先にも今この瞬間のみだろうな。我は今日だけでLv.45だ」

「ピ、ピエェ……も、もしかしてだけど。アイツの話が本当なら、この場の全員が、いや、遠征組みんながレベル40を越えちゃった?」


 Cチーム一同、七者七様のリアクションを目の当たりにしたユーカは完全に狼狽えてしまった。


「一体何が、何が起きてるの?」

「おっ、落ち着いてください。確かに奇妙な現象ですが、皆さんのお体にこれといった異常は感じられません」


額に汗を浮かべながらユーカを宥めるミクセル。

その発言に頷いたミロルだったが、皆が抱いた違和感とは別の違和感を感じたようだ。


「えぇ。だけど、不思議ね。まるで世界の敵(レク)冒険者(あの子)達を育ててるみたい……」

「ヤツが、あの子達を?ミロルちゃん!?」

「アポロン様。どういう理屈かは、正直な所、私ですら答えれません。ですが、私の脳は直感的にそう捉えたのです」

「直感的に……」


 再びレクのテレパシーが聞こえてきた。


「ふむふむ。ま、こんなもんかぁ。君達全員のレベル平均が49.5。約50レベルじゃまだまだ不安だけど、後は皆の努力次第って事にしておきましょうかね~」

「何のつもりだ!きみは一体、何を考えて……」


レクの奇怪過ぎる行動に、クロムは遂に言葉を詰まらせてしまった。


「安心なさい、直に判るわよ。それじゃ、満足したし今日はこの辺で。ブブ君、アタシの戯れに付き合ってくれてありがとう!けどいつかこの怒り晴らさせてもらうから。覚悟しといてね」


おいおい、大丈夫かよブブ。

名指しで死刑宣告されてるじゃないか。


だが、ビックリする程感情が込もってなかったから意外と耐えるかもね。←(?)


「ジャンヌ・ヴァルクの冒険者諸君!数日後、あんた達が生き延びたいのなら死ぬ気で乗り越えることね」


 レクのテレパシーはここで途絶えた。


「ダンジョンボスを刺客として放って。かと思えば俺達のレベルを上げて。あいつ、本当に何考えてんだろうな」

「解らん。行動に一貫性が無さすぎて推察困難だ」


ブブは舌打ちした。


「あのアンポンタンめ……よくも我をコケにしやがって……!!」


あらぁ。ブブさんお怒りMAXだこと。


「ぷw」

「言ってる場合ですか!」


俺とアオバはモミジから手痛いツッコミを食らった。

すみませんでした。


「ギルマス!!本体なら(・・・・)、今なら間に合いませんか?」

「任せて。超速影移動(シャドーバニッシュ)で追iーー。・・・駄目だ。"この世界"からレクの気配が消えた。

これは完全に逃げ切られちゃったね」

「マジ?」


目を見開いて問うアポロンさん。

対してクロムさんは大きなため息を吐いた。


「マジ」

「(嘘でしょ?だってクロムの超速影移動(シャドーバニッシュ)は影から影を移動する技。一般的に知れ渡ってるシャドウダイブの完成形とも呼べちゃう、このあたしだって認める技。

そこに影があるならば、クロムは無制限に移動できる。それなのに逃げ切られた?レク。あんた一体何者なのよ。そこまでして何故勇魔六英雄(アタシ達)を煽るの?)・・・・・うーん」

「アポロン様。頭から煙、出てますよ?」


 男装の麗人が指摘するように、アポロンさんの頭はオーバーヒート寸前だった。


「っはぁ!?ごめんねミロルちゃん、ちょっと考え事してた」

「・・・アポロン様が考え事、ねぇ……」


呆れ顔でアポロンさんを見やるミクセルさん。


「ちょっと、どういう事よミクセル」

「いえ。他意はありませんよっ」

「もーっ!!アタシ、怒るわよ!?」

「ふふっ。ん、おや?」

「!!」


 男装麗人と目が合った。


「おっと、私としたことが。貴方とはまだきちんと挨拶できていませんでしたね。あの時は治療を受けた直後で貴方は眠りについていましたし」


麗人は目を閉じ腕を組むと、何やら懐かしむように染々と言った。


「え?あ。(あぁ~だからか。みんなこの人の説明をスルーしてた理由!確かに、寝てたもんなぁ。

ってか丁度いいタイミングが無さそうだからなぁ………)」


麗人はにっこり微笑むと、名乗った。


「改めまして、こんにちは冒険者"クリエイト"のリーダーさん。私はミロル・パフィック。火の国の隣国、リバイヴバレーの(イージス)(・オブ・)(ガーディアン)の団長を務めさせて貰っている者だ」

「?」


?????


火の国(現在地)の隣国リバイヴバレーのイージス、オブ、ガーディアン? 

(※この作品恒例、読者だけ何故か前もって知ってるヤーツー)

(※アホのミスじゃねぇです)


??????????????????

??????????????????


「ンピ、リクト?」

「意識が飛んでいましてよ」

「っっ、すみません、失礼しました。何分初めて聞いたものでして……」


俺は頭を下げると、頬をかいた。

ミロルさんは、織り込み済みだといわんばかりに頷いた。


「いい、大丈夫だ問題ない。君が何者なのかは予めクロム殿から伺っているんだ。だが、そちらが異世界人で、かつ約1ヶ月しか"この世界"で過ごしてないとなると、まぁ知らなくても仕方ないだろう」


 その後、ミロルさんは何か呟いた。 

えと?立場的にも知ってて欲しかったなぁ。だって。


ごめんなさい!!

興味のあるものしか学ぼうとしない典型的な輩でごめんなさい!!!


(イージス)(・オブ・)(ガーディアン)、詰まる所、国王直属の家臣にして、国家の最高幹部たる聖なる騎士。私はその団長なんだ」


ちょ、待て。待て待て待て待てまってくれぃ。(歌うな)


俺の耳が正しければ今、目の前のこのミロルパフィックって人はリバイヴバレーって国の国王直属の家臣でぇ、国家の最高幹部たる聖なる騎士。って聞こえたんだけど? ※大丈夫、合ってます。


えぇーーー!?まぁたど偉い人が現れたんですけども!

えぇ?何?何なの?俺なんか駄目な事しちゃったワケ?


何故こうも世界的に偉い人とエンカウントする率が高いのさ!! ※おめでとう


「えぇと。"クリエイト"のリーダーやらせて貰ってます、木ノ下陸斗です」

「混乱してるのに真っ先に挨拶が出るってか。つくづくおめでたいな、貴様は」


ブブは絶賛混乱中の俺を笑った。

だが、ミロルさんはくすくすと微笑むと、ブブを宥めた。


「まあまあ、そう言ってやるな。っと、そうだった。

ミクセル殿、もうじき16:00になる頃だぞ。行かなくてよいのか?」

「16:00ですか?・・・。・・・・・ハッ!!」


ミロルさんの言葉を受けたミクセルさんは首を傾げた。

だが、その後何かを思い出したように冷や汗をダラダラと流し始めた。


「すっ、すみません!シャッフルチームクエストの終了の鐘を鳴らしに行ってきます!!!」

「行ってら~」


 超スピードで飛び去っていったミクセルさんと、呑気に手を振るアポロンさん。

唖然とする俺達を横目に、クロムさんは言った。


「さて、時間だね。ぼく達も戻ろう」

「クロム殿。私も動向させてもらいますよ」

「了解カーイ」



 斯くして、短いようで長かった(物理)シャッフルチームクエストは幕を閉じーーー・・・ん?


あれ?クロムさんてFチームの記録者じゃなかったっけ?

何でメガ・ゴーレムファイア戦が落ち着いて尚Cチーム(俺達)といるんだ?


「あぁ、それはね」


 ごくりと唾を飲む一同。

どうやら俺だけが気になってる訳ではなかったらしい。


「また次回にね」

『『は?』』



続く!!!


次回、77話 シャッフルチームクエストの結果発表

やっとこさ纏まったでオイ

(無駄に二ヶ月間を消費した馬鹿がいるんだってさ)




後日、2月の予定表を出します。多分。


---To be continued---

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