【68話】 続・パーティ対抗!スタンプラリー・バトル!!
【ざっくり前回のあらすじ】(←ゑ?コレいつぶり!?)
リクト率いる"クリエイト"を含めた冒険者ギルドの成績優秀組は火の国へ7日間の遠征にいくことになった。
到着早々に告げられた遠征1日目の内容。それは、お世話になる旅館がある街-ゴクラク-にて月1で行われるスタンプラリーに参加する事だった。
そのスタンプラリーはパーティ対抗で勝負するものであり、リクトは"ダークストリーム"から挑戦状を叩きつけられ、競う事になった。それと同時に、"クリエイト"は"ゴブレイダーズ"と協力関係を結んだ。
果たして"クリエイト"&"ゴブレイダーズ"は"ダークストリーム"との勝負に勝てるのか!
というかそもそも"ダークストリーム"以外のパーティ達にリクト達は勝てるのか!?
優勝賞品は誰の手に!!?
いざっ、勝負再開ー!!!
・・・待って。何だこのわざとらしい実況もどきは。
【スタンプラリー:ヒント!】
・訪れる者皆に安らぎを与える地、かの場所に一つ目の宝眠る(クリア!)
・極楽の時を刻み込むものありし塔、かの場所に二つ目の宝眠る(クリア!)
・極楽を守るべく祀られし道神眠る地、かの場所に三つ目の宝眠る(未クリア……)
・紅に染まりし泉が沸き上がる地、かの場所に四つ目の宝眠る(未クリア………)
・火の国の守護神たる精霊眠りし神聖なる地、かの場所に最後の宝眠る(未クリア………)
残り三つ!!!
◇
時刻はam10:30分。"ゴブレイダーズ"と別れて十数分が経過した。
俺達は、というか俺とユーカさんの二人だけだが、-ゴクラク-の街並に驚愕としながら歩いていた。
「ねぇみんな。この街さぁ、マジでなんなの?むぐっ。
左から、だんご屋にうどん屋、寿司屋。
そんでもって?右には銭湯に旅館に温泉、お土産屋・・・むぐっ、もぐもぐ。
挙げ句の果てにはお地蔵様!神社!!寺!!!
どうしてここまで日本といえばが揃ってるんだよ!!ww もぐもぐゴクン。っハァ・・・。
ホントに"この世界"、まじでどうなってんだ?」
俺はつい先程お店で買った三色団子(100c)を頬張りながら愚痴った。
ただ、当然、怒ってる訳ではない。
最早『呆れてる』と行った方が早いかもしれない。
正直な話、街の外見なんてさっきライム達と歩いた時や、なんなら旅館の庭からもチラチラ見えていたのだが。
こうやって実際に間近で見てみると、どうしても突っ込みたくて仕方なくなるのだ。
うずうずしちゃうのだ♨️
まるで京都の街を彷彿とさせるような、雰囲気を統一された木造の建物や石畳の道。そこを走る人力車や馬車。そして街を明るく彩る行灯や提灯の街灯等が織り成す『和の統一感』。
・・・異世界なのに和の統一感とはこれ如何に。
俺が、俺とユーカさんが突っ込みたいのはソコだけではない。
街だけでなく、-ゴクラク-の住民達全員!!
精霊族やら妖魔族やら、獣族に、人間に。
多種多様な人達がみんなみんなみーんな、和服で闊歩!!
不思議な景色に頭がバーグーるー!!!(某ド○え門風)
・・・やっぱり、"この世界"はおかしい!!
改めなくともおかしい!!変!!!
「本当ですよっ!街の外見だけならいざ知らず、はむっ。住民達の格好や建物の中だって、畳に襖に縁側に!はむっ。白炎亭レベルまでとは行かなくとも、どこも本家と比べても遜色ありません!
食べ物だって、団子に大福、お萩、お煎餅にあられ、金平糖、どら焼きに羊羹、お汁粉まで!!はむっ、もぐもぐもぐ。
い、いくらギルドの食堂でも食べられるとはいえ、このクオリティは!もぐもぐ!!どう考えてもパクパク!!
・・・おかしいですっ!!」
威圧するように眼鏡をギラッと光らせるものの、俺と同様に団子を沢山頬張るので威圧感もくそもない、120%素の状態なユーカさん。
そんな食いしん坊二人を呆れ顔で眺める人が一人。
いや、一人じゃねぇ。
7人全員だ(汗)※正確には6人と1匹
「あのねぇリクト君。それに、ユーカさんも・・・
愚痴る(?)か食べるかどっちかにして頂戴。 ソレ、か・な・り、行儀が悪いわよ」
「そうだぞリクト。団子の食べかすとかあんことか、道に落としたらどうするつもりなんだ?」
「ユーカさんも食べ過ぎ!この後のお昼、食べれなくなるよ?」※ソコ!?
アリスさんとライデン、ルナからしっかりめの説教をされてしまった。
こんな二人を見て、街の人達はギルドの職員やパーティのリーダーだと思うのだろうか。
いいや無理だな。
悲しくなってきた・・・・・
「「すみませんでした・・・」」
「ユーカさん。リクト君。とりあえず、あそこのベンチに座わってゆっくり食べてください」
「その気遣いは嬉しいけど、店のいす勝手に使って大丈夫かな?」
「大丈夫!傘の所に『是非とも気軽に使ってください』って張り紙があるから、ほら!」
ユキナはお土産屋の前に出ている赤い和傘のかかった椅子を指差し、提案した。
「本当だ」
「それに、ユーカさんもリクト君も。そのまま頬張りながら3つ目のスタンプを探すつもり?」
確蟹!!カニカニ・・・
パーティのリーダーをやらせて貰ってるというのに、このままみっともない姿を晒し続けて良いのかと。
駄目に決まってるでしょ!!!(迫真)
「ですねぇ。木ノ下君、ユキナちゃんの提案に乗りましょ?」
「そうですねー(水城T、口元に団子の食べかすが……)」
「私も、ちょっと休憩したいわ。初めての場所で疲れてるのかしら?はぁ………」
ホノカは大きなため息を吐いた。
「それ、あるかも。初めての場所って知らず知らずのうちに全身が興奮していてさ、披露に気づいた瞬間にドッと重たくのし掛かってくるもんだからなぁ」
俺はあるあるだよなーと言い続けながらコクコク頷いた。
「それに、わたし達は昨日絶島に行ってたじゃない?
人魔がどうかは解らないけど、モンスターには回復魔法と睡眠だけじゃ取れない披露もあるからね」
「そうなん?」
俺は首を傾げると、ピノは大きく頷いた。
「んピ。とーぜんよ、当然」
「(な、成程。ピノちゃんさんは本当に、本当にそこらの一般的なモンスターとは違うんですね……)」
「それもそうね。みんな、休憩しよう!きゅうけーい!!」
ピノの発言を受け、ルナは真っ先にお土産屋のベンチに腰かけた。
「(そういえば。今朝のホノカ、ちゃんとご飯食ってなかったよな。いや、ユキナも同じく食べきってなかったが。
……ま、そりゃ疲れるのは当然だよなぁ)」(62話参照)
今朝の朝食の様子を思い出した俺は、ため息を吐いた。
「ん?」
ふと、俺の目線に土産屋の向かいにある屋台が止まった。
「あそこ、飲み物売ってるじゃん。ホノカ、なんか飲むか?」
「へ?い、いいの?」
ちょっと、そんな頬赤らめながら上目遣いで見ないでよ。
此方が恥ずかしくなるじゃん!! ←?
「ウン」
俺は照れながらもコクりと頷いた。
すると、さっきまでの披露は何処へやら。
ホノカはあからさまに元気になった。
「ありがとっ!じゃあ、アッポーソーダで!」
その場でぴょんぴょん跳び跳ねるホノカ。
そんなに嬉しかったのかよ。
ま、元気になったのならそれでいいや。
「はーい(三○矢サイダーみたいなヤツか。にしてもりんご味………ホノカらしい)」
「(むぅー。ホノカったら、いいなぁ)あー、何だか私も喉乾いてきちゃったなぁ」
「(・・・・・)」
ユキナ。わかったよ。
わかったから、そんなわざとらしい演技しないで!?
「(っ!ユキナってば私に対抗して!?)」
「わかったよ、ユキナ。なに飲みたいの?」
「っ!」
「っっ///」
わぁユキナさん。すっごい素敵な笑顔ですね。
「ありがとう!じゃあ、抹茶ラテが飲みたいな」
あたかも自然な流れのように、俺の左腕にぎゅっと抱きついてきたユキナ。
「!?」
『『!!!』』
ちょっと待てぃ!?
ユキナさん。安易なボディタッチは駄目よだめだめ!!
アカン!!!駄目だから!!
え?何故、だめでアカンくて駄目なのかって?
そりゃあ、俺がウブいからに決まってるでしょが!!!
駄目なの!!!(泣)
そーゆーのされると照れちゃうから!!!
「(む、ユキナってば。狡いなぁ)ぷくー」
「♪」
「(ひえぇー!!!)」
突然大胆な行動を取ったユキナと頬を膨らますホノカにたじたじ、というか混乱中の俺は知らず知らずのうちに助け船を求めていたようで。
ライデンは肩をすくめると、俺の右肩に左手を乗せた。でもってライデンは・・・
「(全く、仕方ないなー。助け船出してあげるよ)よーし、リクト。僕はカフェオレを頼もうかな」
「(ら、ライデンまで!?)」
「(むぅ~~!あともう少しだけこうしてたかったのに……)」
ちょっとライデンさん。
どさくさに紛れて何頼んでるのよ!
いや、助かったでしょ?みたいな見透かした顔しないでよ!w
実際助かったけどさ。
けどさ、そんなドヤっとしないでよww
「カフェオレか。ふむ、良いな」
「!!?」※ここに未来を悟った人が
ヒビキは不敵な笑みを見せた。
誰が見ても企んでるニヤッと顔をね。
「よぅし、ここはリクトに奢って貰おうぜ!」
「はぁ!?」
「俺からはスイカソーダで」
待て待て待てぇ!!
俺はまだ一言『はぁ!?』としか言ってねぇぞ!?
ってかスイカソーダって何?
そんなのあるの?
初耳なんですけど!!
「じゃ、うちはイチゴジュースで!!」
「んな!?」
「アリスさんもユーカさんもほらどうぞ!!」
ちょっとぉw
アリスさんとユーカさんも巻き込まれると断れなくなるでしょうが!!
さてはヒビキ、謀ったな!?(※草)
あ、駄目だ。ヒビキからピークマーク出されたでオイ。
完敗です。
乾杯だけn((殴!!!
慌てる俺とニヤニヤするヒビキを見て、アリスさんは微笑んだ。
「ふふふっ。ヒビキ君がそこまで言うんだもんね。
折角だし、遠慮なくお願いしちゃおっかな~
よーし、私からは紅茶をオーダーするわ!」
「それじゃあ、私は麦茶で!木ノ下君、お願いしますね?」
「リクト。わたしからはトマトジュースを頼むわ」
やれやれ。
見事にやられてしまった。
が、悪い気しないのがなんかとても悔しい。
多分みんなの笑顔に毒されたんだな、きっと。
もぅいいや。そう考える事にしよう。
「はむっぱくっ。ご馳走様っと」
「(ハハハ、食いしん坊かな?)」
「(わぁ凄。一瞬で残りを食べちゃった・・・)」
「(あはは、照れ隠しかな。リクト君てばもぅ♪)」
俺は手に持っていた残りの団子を全部頬張り飲み込むと、"創造の手"で二本の串を消去。
そのまま流れるようにオーダーをした。
俺の人生の中で、こんな恥ずかしい注文はここが最初で最後であってくれ。
真っ赤に染まった俺の顔を見て、ニタァーとにやける店主を見て、俺はそう思った。
◇
「ハァ、無理。もぅ疲れた・・・・・」
「ごめんよリクト。からかい過ぎた……」
もぅいいよ。(拗ねMAX)
タノシイタノシイ遠征の思い出が出来たんだからさ!(ヤケクソ)
「ハァ……」
「それでリクト。飲み物、何にしたんだ?」
椅子に座ってため息を吐いた俺に向かって、ライデンはそう問うた。
「ん?珈琲だよ珈琲」
「コーヒーか。カップで中が見えないけど、それはブラックかい?」
「ん。正解」
はい、ブラックコーヒーです。
「へぇ~意外。大人だねぇ」
本当ならミルクティを飲みたかったんだけども。
甘ったるい空気に甘い飲み物飲んだら胸焼けする気がして・・・
メニュー表に居たのを発見したのでなんとなーくコレにしたのだ。
はぁ。なんか落ち着く・・・
「まぁね♪」
「おマセちゃんだね、リクト」
「やかましい。これでもルナよりは年上だもんね」
ニヤニヤからかうルナに俺は軽く突っ込みを入れた。
「ね、年齢マウント!!・・・ず、ズルいぞ!!卑怯者ー!!」
「卑怯者て。ま、なんとでも言いなさい!!」
『『(酷いヤケクソを見た……)』』
みんなが苦笑してる気がする。
そんな事実から目を背けるべく、俺はカップに口をつけた。
「(あ。美味ぁ……)」
「(コイツ、本当に表情豊かだなー)さて。リクト、そろそろ本題に入ろうぜ?スタンプラリーの用紙を見せてくれ」
「ようやくだな?ほい」
随分脱線していたものだ。
俺は鞄から用紙を取り出すと、それをヒビキに渡した。
「ふむ。『極楽を守るべく祀られし道神眠る地、かの場所に三つ目の宝眠る』、か」
「極楽を守るべく祀られし、道神眠る地、ねぇ……」
ヒビキに復唱したホノカ。
「ねぇ。なんか急激に難易度上がってる気がするんだけど、気のせい?」
ルナは頬をかいた。
「そうだよね。あでも、この『極楽』というのはこの街のことでいいよね?
『極楽の時を刻み込むもの』。二つ目のヒントのもこの街の時計台のことだったし」
まじまじと用紙の裏面を見るユキナはそう言った。
「そうだね。それは確定とみて良さそう」
「となると、この街を守る為に祀られてるもの。場所?なぁリクト。それにユーカさんも。
この街は二人の故郷の色が強いんだろ?それも相当」
ヒビキの質問に俺とユーカさんは交互に頷いた。
「なら、何か思い当たるものはないか?」
ヒビキは眉間にシワを寄せながら言った。
「すみませんヒビキ君。ギルド職員が参加者へヒントを教えるのは禁止されてるんです」
「そうね。それに、そもそも私達ギルド職員達はスタンプラリーの参加者じゃないの。
それにこの街についてかなり、いや、それなりにだけど熟知してるつもりだし」
ユーカさんの話にアリスさんは補足した。
それを受けてヒビキは腕を組んで唸った。
「ん~~成程、そうですか。んまぁ、そりゃそーだ。至極当然だよな。すみませんユーカさん、無茶振りして」
ユーカは頭を下げたヒビキに慌てた。
「い、いえいえ。此方こそ、お役立てできずすみません」
「・・・うーん」
「おっと、真打ち登場か?」
止めてよライデン。
俺はただ唸り声あげただけなのに、ハードル上げないでよ。
「いや、ちゃうちゃう」
「えー、違うの?」
ごめんよルナ。期待を裏切るようで悪いね・・・
「ごめんな。候補が結構あるんだよ。さっきからチラチラ見えてた交差点やT字路に等間隔に配置されていたお地蔵様」
「オジゾーサマ?それって、私達の膝丈くらいの小さな石像の事?なんか、みんな苔むしてたけど」
意外だ。平然と道の角っこに設置されてたからみんなにも馴染みのあるものだと思ってたけど。
"この世界"でポピュラーになっているものと、そうでないものがあるらしい。
いや、その差って一体なんだ?
無理だ、分からん♨️
だが、とりあえず今のホノカのは正解であることは確かだ。
「そうそう。それのどれか1ヶ所にあるのか、もしくは結構な数ある寺か神社。その敷地のどこかに・・・」
俺は再度唸り声を挙げた。
『道神眠る地』ねぇ・・・
うーん、困った。
ニュアンス的にはお地蔵様ぽいけどなぁ。
目を閉じてるのを眠るって無理やり解釈できるし。
でも、寺や神社に祀られてる神サマや仏サマも眠ってるって捉えれるし。
もっとも、魔法やモンスター、魔王や勇者の存在する"この世界"に神や仏がいるのか甚だ疑問ではあるが。
一つ一つ調べに行ってもいいけど、そうすると時間がかかりすぎるし、お昼休憩を挟む関係上、4つ目と5つ目にも支障が出かねない。
かといって当てずっぽうに探すのも馬鹿のする事だ。
「うーん、どうしようかなぁ。まさか急に難易度上がるなんて。いや、ブブ言ってたよなぁ『かなり難易度高い』って。
いやー↑、ごめんみんな!楽観視し過ぎた!!」
俺は天を仰ぎながらみんなに謝った。
まさかここまでほろ苦い展開になろうとは……
右手に持つブラック珈琲だけにって?
あ"ぁ"!?やかましいわ!!!←※苛々メーター35%
『此方"ゴブレイダーズ"のカキだ。"クリエイト"。今、時間大丈夫か?』
「おっとリクト。カキから連絡だぞ」
ヒビキは言いながら俺の肩をポンポン叩いた。
本当だ。カキから貰った改造イヤホンマイクからカキの声が聞こえる。
「あ、もしもし?」
『もし、もし?あぁ成程。お前の故郷の挨拶か。シュウやヒナツ達もどこかで使っていたような……』
「えと、何用で?」
『おっと失礼。では、リクト。単刀直入に聞く。そちらに進展はあっただろうか?』
カキの問いを受け、俺は皆の顔を見渡した。
みんな、目を閉じ首を振った。
だよねぇ・・・
ただ観光してるだけみたいになってるもんねぇ。
そんなの、真面目に頑張ってる"ゴブレイダーズ"に口が避けても言えねぇ。
「ごめんよ。此方は進展ナシだ」
『そうか』
「でも、一応三つ目の場所の候補は挙がっt
『本当か!?』
「・・・」※不服そうなリクトさん
おっと、食いぎみですねぇ。
「交差点やT字路に小さな石像みたいなのがあったと思うんだけど」
『あぁ。ジゾーとかいうヤツか?』
「そうそう!それと、神社とお寺」
『ジンジャ、オテラ・・・はて?わたしは初めて聞いたが、皆は知ってるか?』
おっと。カキには伝わらなかったみたいだ。
『私は知らないよ!!!』
わぁおパインさん、即答かよ。
『ごめんよ、オレも知らない』
『うーん。名前だけはヒナツちゃんから聞いた事があるけど、名前と見た目が一致しないなぁ……ごめん!』
『ジンジャ。オテラ。うーん、すみません。僕も知らない判らないです』
『そうか……』
成程。"ゴブレイダーズ"、全滅らしい。
「ごめん。分かりやすく説明する」
『すまない。頼む』
「んー、超簡単に言うと、神社には入り口に鳥居っていう赤い門みたいなものがある。
お寺には鳥居は無いけど敷地中に仏像がある。
・・・先生、それであってましたっけ?」
俺はチラッとユーカさんを見た。
「っ!!そ、そうですねぇ。全く情報が足りてませんが、んーいいでしょう。
今回は特別に、40点にしてあげます」
「赤点回避!!?危ねぇ・・・」
『つまり、どういう事よ』
パインから文句が飛んできた。
「んー、あ!そうだ!旅館の庭にいた時にさ、デカイ樹木があった方に赤い門があったハズだけど、覚えてる?」
『デカイ樹木と赤い門?』
「そう!最上部が若干剃るようになってて、黒と赤の板と、それより少し短い赤い板が下にもあって・・・」
あぁ駄目だ。説明下手過ぎて伝わらんかもしれん。
いや、このチンパン説明では無理だ。(アホ)
『・・・あー!アレか!!あのなんかやけに豪華な見た目の建物!!』
「!?」
『そういえばありましたね』
「!!?」
パインの手を叩く音と、ラゴンの何か納得したような声が通話越しに聞こえた。
ゑ?伝わった!?何故!?
『リクト。あの赤い門が鳥居ですか?』
「そうそう!」
『では、鳥居がある方が神社で、無い方がお寺と?』
「そうそう、正解正解!!」
『やりました!』
フンス!、と喜ぶラゴンの鼻息が通話越しに聞こえてくる。
『なら、僕達は神社の前にいますね』
「え、マジ!?」
『えと、あ。山之神、神社……?とありますね。というか、その鳥居に神社と書かれてましたね///』
ラゴンは照れてるらしく、苦笑の声が聞こえた。
「あら。山之神神社というと、-ゴクラク-の街の"ゴブレイダーズ"は結構東の方まで行ったのね」
「この短時間であそこまでですか。凄いですね」
アリスさんとユーカさんは口々に呟いた。
『"クリエイト"。先に言っておくが、此方にスタンプの台座は無いぞ』
「ありゃ。無かったかー」
カキのため息混じりの声に、ホノカは同情した。
『すまないな。それと、此方の方にはお寺?の建物は無かった。殆どが民間住宅か、温泉宿だった』
「民間か温泉宿、か」
いや、"ゴブレイダーズ"凄いな。
此方が食べ歩きしてたり休憩してたりだらけてた裏でそんな頑張ってただなんて・・・
これは彼らの為にも本気ださねば。
『とりあえず、此方は参拝した後で、そのお地蔵様とやらを探してみるぞ』
あ。ちゃんと参拝するんだ。
「参拝、やり方大丈夫?」
『ノープロブレム!看板に方法が書かれてあるからな。二礼二拍手一礼だとな』
「ちゃんと手水舎で手を清めてからな~」
『無論だ』
なんか凄く楽しそうなカキさん。
通話越しだが、声がウッキウキだ。
「とりあえず、またあとd………
<やったー!!3つめーだー!!
「???」
『どうかしたか?』
・・・ん?
なんか、声聞こえなかった?
『リクト?おーい、大丈夫?』
「あ、ごめんごめん。いや、なんか急に日夏の叫び声が聞こえた気がして……ハッ!!!」
この時、俺に電流が走った。
「ちょっと待って。ライム!メロン!みんな!お参り終わったらでいいからさっきの二つ目のスタンプの所まで戻って来て!!
でもってみんな!ちょっと待ってて!!三つ目のスタンプ、場所がわかったかも!!!」
『え?』
『わ、わかったわ』
困惑120%のライムとメロンの声。
いや、なにも困惑中なのは"ゴブレイダーズ"達だけではない。
突然嬉しそうな顔になった俺を見てこっちの一同も大困惑だ。
「「「「「!???」」」」」
「ピェ!?」
「リクト!?」
「リクト君!?」
俺はバッと立ち上がると、全速力でDASH!!!
「すぐ戻ってくるから!!」
急にどうしたって?
いや、さっきの日夏のとおぼしき声よ!!
ってか絶対アレは日夏の声だ。
ラッキー!!これは超幸運だ!
あいつは昔から、喜ぶ時も全力だったからなぁ。
無論、所作も声もデカかった……
という事はよ!という事は!!
通話中だったのに聞こえたってことは、多分きっと、この近くで3つ目GETしたんだろ!?
「街の人達に迷惑かかないように・・・そうだ、身体強化だ!使っちゃえ使っちゃえ!!」
発動、身体強化!!
軽快に、ふわっと通り抜けるそよ風のように。
絶対に住民に迷惑かけないように!!
街のなかを爆走する俺は、路地を右へ左へ、そしてもう一度右へ曲がった。
すると、お地蔵様の像の前でぴょんぴょん跳ねるお馬鹿さんの姿とスタンプ台がうっすらと見えた。
皆さん、勝ちました✌️
「やったやった~っ♪3つ目ゲット~!!」
「もぅ、ヒナツったら喜び過ぎだよ!」
「全く。そういうアオバも顔が緩んでるぞ。で、どうするつもりだヒナツ。
そうやって他の冒険者達が駆けつけて来たらどうする、ん、、だ・・・」
「「「あ」」」
身体強化を止め、軽く息を整える俺と、"ジェットソーダ"の三人との夢(笑)の会合。
「あ、どうも」
ヨッシャー!!!!
3つ目見つけたァ!!!(※アホ)
「り、りりり陸斗!?」
「どっどうしたのリクト君!?そんな嬉々とした表情しちゃって」
めちゃめちゃに狼狽える日夏とアオバ。
キリサメは何が起きたのか、その全てを悟ったらしい。
「ハァ……ヒナツとアオバがきゃっきゃと騒ぐから、"クリエイト"のリーダー殿に3つ目のヒントを与えてしまったらしい」
キリサメさん、解説ありがとうございます。
「ありがとうございます!!助かったよ日夏!」
「うえぇ!!?」
「うわぁウザぁ」
ちょ!アオバさん!
ウザぁは酷いでしょ!(※妥当of妥当)
シンプルに傷つくから……(※もろ過ぎ)
「陸斗!!どうしてここに!?」
狼狽え過ぎな日夏さん。
余程3つ目GETで浮かれてたのだろう。
「いや。単純に日夏の声が煩かったからだよ?
俺さ、ついさっきまで"ゴブレイダーズ"のみんなと通話してたんだけどさ、少し距離があったのに、それでもあそこまで聞こえたくらいだもん」
「ガーン!!」
日夏がショックを受けると同時に、頭の青リボンがヘニョッと萎れてしまった。
とある五つ子のお話が大好きだった日夏は、中学一年当時からずっとあの青いリボンをつけている。
俺からしたら馴染みのある日夏のリボンだが、なんだそのリボン。
いつから本体と連動するようになったんだ。(恐怖)
「通話ってことは、じきに"ゴブレイダーズ"も3つ目を入手しちゃうね。
あーあ。折角他のパーティが苦戦してる中でようやく見つけた3こ目だってのに」
アオバさんは頬を膨らませて拗ねた。
「ワタシ、幸運値S級なのに……スキルの効果で更に幸運バフを得てるのに……」
「相手が悪かったな。リクト殿、オレ達の完敗だ」
「むむむむむ!!悔しい~!!」
斯くして、"ジェットソーダ"の助力(笑)のお陰で、"クリエイト"と"ゴブレイダーズ"は無事に三つ目のスタンプをGET出来たのでした♨️
◇
「納得いかないんですけどぉ!」
開口一番、不平不満をぶちまけたのは日夏だ。
時刻はam11:45分。3つ目のスタンプをGETできた"クリエイト"と"ゴブレイダーズ"は少し早いけど昼食を取ろうと決めた。
だが、先程のが余程悔しかったらしい日夏さん。
『一緒にお昼食べたーい!!』から始まり、『食べる量で勝負だー!!』などと散々駄々を捏ねられた。
それで、俺達のお昼事情に乗っかったのだった。
「だーかーら、アレは日夏がはしゃぎすぎたせいって事になっただろ?」
「そうだよ!?」
えぇ……認めるんかい。
「それでも、悔しいものは悔しいの!」
「なんか、ここまでヒナツが地団駄踏むのを見るのは初めてだな」
アオバさんはほんの一瞬だが、遠い目で向こうを見た。
そして、その隣を歩くキリサメさんだが・・・
「確かにそうだな。オレも初めて見た・・・」
「?」
「だが、おいヒビキ!ライデン!リクト殿!何故こんなに沢山女子を連れてきたんだ!!」
『『『?????』』』
キリサメさん謎の発言に宇宙へ行った一同。
彼は一体、何を言っているのか。
「ハァ……キリサメ。女の子苦手、まだ克服できてなかったのか」
「情けねぇな」
「五月蝿いッ!!そんな簡単に克服できないから困ってるのだろうがッ!!」
なんか、どっかで聞いたことのあるセリフだ。
(※22話参照)
「えと、キリサメさんってライデンとヒビキと知り合いなんですか?」
「あぁ。というか、知り合いも何も、オレはソウルフォレスト出身だ」
Wow。そうだったんか。
「実家は南の村だが、ワケあって北の村のヒビキの父親の道場の世話になっていたんだ。云わばヒビキの兄弟子というものだ」
「キリサメはな、その頃からずーっと女の子が近寄ると眼鏡にヒビが入って身体も硬直してな?
マジ、どんな理屈でそうなってるんだよ」
「やかましい!!」
なんか、残念イケメン枠がまた一人増えたな。(※失礼)
「ムッ。リクト殿、何やら失礼な事を考えていないかね?」
「いやいやそんなまさか」
「リクト、諦めた方がいいわよ」※ニヤニヤ
「そうだよ?リクト君」※ニヤニヤ
「本当だ……顔に出てるぞ、リクト」※ガチ困惑
ええい止めんか!ホノカ!ユキナ!ライム!
ポーカーフェイス無理人間なのは俺が一番知ってる!!
たまには誤魔化させてよ……
「( ´~` )」
「陸斗も相変わらずだよねぇ」
シッシッシーと笑う日夏。
君には言われたくない……
「それで、どこでなに食べる?」
うわ。全員が話逸らしたな?といった目で俺を見てくる。
「っっ///何か行きたい店あったら行って頂戴」
「はーい!」
早速日夏が挙手した。
「ワタシ達ね、道中で立ち食い蕎麦の店を見つけたんだ!」
立ち食い蕎麦か。
そういえば、出発前にカブさんにオススメされてたな。
「そこのお店、メニュー表に『わんこそば』があったんだ~」
「はぁ?」
「はい?」
俺とユーカさんは同時に驚いた。
「だからね、みんなでわんこそば!勝負しよ!!」
「も、燃えてる……!」
「す、凄まじい熱気ですね」
ゴウッと目の中の炎を燃やす日夏を見て、ライデンとラゴンは唖然とした。
「一応確認とるけど、お昼は日夏の案の『立ち食い蕎麦』でいい?
もし蕎麦アレルギーで食べれないとか、蕎麦苦手ーとかあったら今のうちに言ってね~」
おや。みんな大丈夫そうらしい。
「本当に大丈夫?気を使ってない?」
「ふふ、リクト殿は心配性だな」
「だろ?それがリクトの良いところさ」
やめてヒビキ。恥ずかしい事言わないで。
そしてライデン!ホノカ!ユキナ!ルナ!ピノ!
力強く頷かないで!!
アリスさんもユーカさんも微笑むだけ微笑まないでよ!
「お!ヒビキ君、良いこと言うじゃん!」
「やったぜリクト!お前の幼馴染みから太鼓判貰ったぜ」
「いえーいおめでとう!!」
ヒビキ!そのドヤ顔ピークやめい!!
パイン!!むやみやたらに囃し立てないで!!
最早スタンプラリーという名の珍道中になっている俺達だが、とりあえず、目的の立ち食い蕎麦の店には到着した。
「よーし到着っ!」
「わぁ!美味しそうな蕎麦の香りがしますね」
「やば、お腹なっちゃった///」
「わ、私も///」
店に着くや否やお腹を鳴らした日夏とアオバ。
お昼だもんな。めっちゃわかる!!
そうです、現在の時刻はpm12:06分。
遠征はまだまだ始まったばかりだというのに肉体的、というか心の疲労が凄まじい。
しかし、いくら疲労が溜まってても食欲だけはいつも通りだ。
いや、もしかしたらいつもの倍かも。
「さぁて、混んでなきゃいいけどな……入るよ~」
『『『は~い』』』
俺は店の引戸を引いた。
「らっしゃーせー」
店の従業員の声。
それと同時に聴き馴染みのある声も聞こえてきた。
「Wow!!」
「あら、アリスちゃん!それにユーカさんも!」
「おおぅ!"クリエイト"に"ゴブレイダーズ"、それに"ジェットソーダ"やないか」
「ほぅ。来たか少年!」
「あら、さっきぶりかしら?」
「お疲れ様です」
「来たわねぇ!」
メイさんとゼニシアさん、それに"セクトール"が先客としてわんこそばを食っていた。
うわぁw
カウンターテーブル、お茶碗でど偉いことになってるぞ・・・
それも、ゼニシアさんとカブさん、ホタルさん所は数えるのを断念したくなるレベルの凄まじい量あるんですけど。
「あぁ駄目だ、屋台で色んなの食べたせいで、ワタシ、、、げん、かい、、、、、!!」
おおっと、マッキーさん!ここで無念のリタイアだー!
「もぅマッキーてば。だからアタシ、あれ程言ったのに」
ミツバさんは、くるしーと叫びながらお腹をさするマッキーさんを見て、やれやれと肩をすくめた。
「ん、どうやらワタシ、ハズカシイ所を見られちゃったみたいだねー」
唖然とする俺達を、まるで歴戦の戦士みたいな表情で眺めるマッキーさん。
「ふっ、あんた達は、ワタシの100杯を、、越えることが、出来るかな?」
いや、めちゃくちゃ苦しそうだな……
「これは、ワタシからの挑戦状だよっ!」
何てこった。"クリエイト"と"ゴブレイダーズ"、"ジェットソーダ"はマッキーさんから挑戦状を叩きつけられてしまった。
次回!!白熱のわんこそば対決が・・・?
「止めんかマッキー。挑戦状を叩きつけるのであれば、せめて500杯は食えるようになってからにしろ」
「カブったら何言ってるのよ。常人がそんなに食べれる訳ないじゃない」
「ご、500ぅ!!?」
カブさんのトンデモ発言にやれやれと肩をすくめて呆れるミツバさんと、お腹をさすりながらも声を裏返す程驚いたマッキーさん。
「そうだよマッキー。100杯じゃ簡単過ぎて話にならないよ?」
俺は、俺達は知ってしまった。
カブさんとホタルさん、ガチでヤベェ!!!
『『『・・・』』』
「・・・あれ、カブさん。ぼく達、引かれてません?」
「そ、そんなことは、無い。………ハズだ」
大丈夫かな、この店でお昼頼んでも?
そばの在庫とか、色々大丈夫かな?
俺の脳に、そんな愚行が過ったのであった。
次回、69話 続続・パーティ対抗!スタンプラリー・バトル!!
(ごめんなさい!まだ続いちゃいます申し訳!!)
スタンプラリー・バトル、まさかの第3弾決定(笑)
はい。まさかの第3弾です(真顔)
残りのスタンプはあと2つだってのにね。
あ、そういえば。今月の予定を纏めた活動報告、既に投げてます。
そこにて4章の方針だとか僕の考えとかを載せてます。
最近こんな調子でキャラ達の交流の描写を大切にやってる理由がわかると思います。
ハイ!今日は疲れてるので茶番無し!!
終わりーー!!!
---To be continued ---
 




