【37話】 弱虫セイバーと"ダークストリーム"
35話の後書きにパーティ内役職を纏めましたが、皆さんがそれを読んだという体で僕から一言。
何かとパロディやらオマージュの多いこの作品ですが、某なにトリアさんは一切サブタイトルと関係ありませんので悪しからず♨️
【投稿が遅れた理由について】
YouTubeでONE PIECE見てました(正直)
めっっちゃ懐かしかったし、最高に面白かったです(^-^ゞ
すみませんでした。
【前回『後書き』のアレ】
ドキンダムXはコスト4以下の呪文に選ばれない。
故に4以上の呪文を踏んで負けーー
にはなりません!
エアプめ!それでもDMPかッ!!
(※大丈夫、DMPです。端くれだけどね?)
ま、オリオティスジャッジ踏んでたからどうせ死んでる(カードゲームの話)んですけどね。ハイ。
(※ほな、駄目やないかい)
本当にすみませんでした。
2025 5/5追記
少しだけ手直ししました。設定ミス(名前の呼び方、君付けさん/ちゃん付け等々)や誤字だつ爺を修正しました。
ほんの少しだけ変わった部分もありますが、1章や2章みたいに魔改造を施したワケではござんせん。
安心して閲覧してくださいまし
突然の"クリエイト"のリーダー就任を告げられた俺は、思わず「えええ」と半狂乱な声が出そうになった。
だが、その時!
「助けてギルマス!」
ギルドのエントランスにいた"マジカウインガー"が助けを求めてきたのだ。
あまりにも突然の状況に、俺達は皆呆然としていたのだった。
「と、兎に角エントランス!エントランスに来てください!!」
(※多少のカットはあれどここまでの展開は前回と一緒)
パーラは一心不乱にクロムさんの腕を引っ張っている。
「アリス、メイ。きみ達は"クリエイト"と一緒に現場に行ってくれ。犯人を確実に押さえる為、ぼくは少し経ってから向かうよ」
「・・・わかった!」
「了解です。"マジカウインガー"の皆さん、案内をお願いします!」
いつも明るくて、形振り構わずグイグイ詰め寄るクロウだが、今は額に汗を浮かべ、表情にも陰りが見える。
それだけで、緊迫感と事の重大さが此方にも伝わってくる。
「(ギルマスはまだ待機………。大丈夫かなぁ?いや、大丈夫。ギルマスを信じなきゃ!!)はい……!」
今の返事一つだけでも、俺の知らない姿『冒険者としての顔』である。
もぅ、愚痴愚痴リーダーがどうの言っている場合ではないらしい。
「(ハァ、納得いかないけど……。むんっ!!)よし、俺達も急ごう!」
俺は両手で頬を叩いてスイッチを入れると、クロウ達に着いていこうとした。
「うん…!」
「おう!」
着いていこうとした。
その時、クロムさんに俺の肩を掴まれた。
「ちょっと待った。リクトくん、悪いけどきみは居残りだよ」
「(うおっ力強!?びっくりした…)居残り、ですか?」
「ごめんね、ちょっと話したい事があってさ」
クロムさんは右手を自身の胸の前に出し、謝る仕草でそう言った。
「悪いみんな、先行ってて!」
「了解!」
「わかったわ」
「行ってくるよ」
「いってらっしゃい!気をつけてなー!」
俺はエントランスに向かった皆を見送った。
そして、居残りを理由を聞く為に、俺はクロムさんの方を振り向く。
すると!!!
目があった途端、クロムさんは吹き出して笑った。
「ぷっ、あっはははは!」
!?
「(なんだ!?いきなり笑い出して!)く、クロムさん!?」
「いやぁまさか、いきなりあんな事を言い出されるとは!驚いちゃってさ。
そうだねぇ、これはディミオスとルミナスが気に入る訳だよ」
えーっと、この人は何を言っているのだろう。
「え、どういう事ですか?」
「あぁ、ごめんごめん。ぼくともう一人の勇者、ゼロードはね、500年前にあったゼロ対戦の影響でほぼ不老不死に近い存在なんだよね」
?????
「ゑ・・・・・!!?」
え、なにそれ。
500年前にあったゼロ対戦の影響でほぼ不老不死!?
ということは、俺の目の前にいるクロムさん(勇者ゼロードも)は少なくとも500歳以上であると!?
いや、外見めちゃめちゃ若っか!!
パッと見20台前半なんですけど。
・・・500歳以上!?
「え、それって聞いても大丈夫なんですか?」
「公になってるから問題無いよ」
なんだ。聞いてはいけない事を聞いたかと思った。
「それにね、ぼくは勇者でありながら、ギルドマスターという立場でもあるから、自ずと沢山の『異世界から来た子達』を見てきたんだ。
その中でも、『スキルをズルして貰った』とか『スキル無しだと全然駄目だと自覚してる』子は初めてでね、、ぷっw」
クロムさんは、また吹き出した。
「あっはははは!www 傑作だよ傑作!
特に、異世界から来た子達の場合は大抵、強大な力をまるで『最初から自分が身につけていたものだ!』って力量をコントロール出来ないまま調子に乗って、最終的には玉砕する子が大多数だったのに。
きみは『皆が努力して勝ち取ったものと違って、これはズルして貰ったもの』、『だから俺は弱い』なーんて言っちゃうんだもん!
そんな事言い出す子なんてぼく、生まれて初めて見たよwww
いやぁ本当、世の中にはまだまだぼくを笑わせる子がいるだなんてねぇ。長生きはするもんだねぇ~」
クロムさんは涙を浮かべながら笑い続ける。
一方で、此方は真っ赤っ赤である。
赤くなりすぎて破裂してしまいそうだ。
なんなら破裂出来るならしてしまいたい!!
あぁ!俺がク○ーパーさんだったらなぁ!!
いくら恥ずかしくなっても自爆できるのになぁ!!
(※やめんかバカもん!)
「………///」
「そういえば、スキルにばかり目を取られていたから、きみのステータスをじっくり見れてないんだよねぇ。
と、いうわけで、きみのステータスを見させてもらおうかな」
一頻り笑ったクロムさんはこんな事を言い出した。
確かに、よくよく考えたら俺も自分のステータスを見たことが無い。
(※全部"創造の手"がイカれてるせい)
先程メイさんが使っていた水晶球に解析結果画面が残っていたので、クロムさんと揃ってそれを見てみる。
「どれどれ?」
「(何気に俺も初めて見るな。ステータスなんて見る機会いっぱいあったハズなのになぁ……)」
【能力評価】(あくまで参考程度にどうぞ)
体力:A 攻撃:C 魔攻:D 速度:S
魔力:C 防御:C 魔防:C 幸運:B
(Sが最上位。次点でA、B、C、D、E、と下がっていく。
だから、体力:Aで速度:Sのリクト君はかなり凄い方。
攻撃面や防御面は紙みたいにペラペラだけども♨️)
「な、え!?なんだこれ」
「そ、そう、だねぇ」
クロムさん、苦笑いしておるやん。
「あのー、正直に言ってもらって大丈夫です」
「そうだね、ハッキリ言わせて貰うと、きみは実にアンバランスだね」
アンバランスか・・・。成程、アンバランス……。
というか、こんななら死ぬまで知りたくなかったかも。
クロムさんの死体撃ちはまだ続く♨️
「防御面がC評価だからいくら体力が高くても撃たれ続けたらあんまり意味ないし、折角の速度:Sも攻撃の火力面が弱けりゃ決定打に欠けて持久戦でじわじわ負け越していくタイプだし」
ぐふ!うっ!ごほっ!ばたり。
カンカンカーン!!!
クロムさんの言葉の殴打が炸裂し、俺は今にも倒れそうです。
ていうかもぅ倒れていいですか?いいですね。ありがとうございました。
チキショオオオォォォォォ!!
「(うぅ……、ゴングの音が聞こえるようだ)」
「んーでも、全部が全部悪いわけじゃないさ。フォローするとしたら、体力と速度だね。見てよホラ、特に速度なんて評価Sじゃないか!
きっと元の世界にいた頃から頑張ってたんだろうね~」
「ア、アリガトウゴザイマス」
クロムさんの雑なフォローを受け、俺は適当な返しをした。
それを聞いて、クロムさんは目を瞑り、考え込むかのように黙ってしまった。
「(あらー、傷心しちゃったか。ま、仕方ないよね。リクトくんは元の世界ではスキルや魔法、モンスターとかが無いって言ってたからね。
それと学生、だったかな?此方の世界でいうところの学校の生徒だったみたいだし、いきなり異世界で冒険者はちょっと酷だったかな。
ならば!アフターケアも完璧にしてあげないと、勇者じゃないよねぇ)」
クロムさんはゆっくりと目をあけると、優しい声で聞いた。
「冗談だよ、冗談。体力:Aは相当凄いんだぞ?相手の攻撃をある程度連続で受けても立ち上がれる!いいかい?体力が多いと防御:C魔防:Cの並耐久でもカバーが効く!」
なんかそれ、ポ○モンで聞いたことあるぅ。
H:B:D=2:1:1に近い種族値、努力値配分だと、物理と特殊の耐久の効率がよくてーーー
カ○ルドンをーーー
的なやつ。
いや、別に俺、ポ○モンじゃなくて人間だからね!?
いくら"この世界"がゲームぽい側面持ってるからって、ねぇ?
「それに、速度:S評価を貰える人魔なんて滅多にいないよ?さっきぼくは火力の低さが足を引っ張って決定打に欠ける、というニュアンスの事を言ったけども、足が速い、行動力、瞬発性が高いと、その欠点を補える!ヒット&アウェイ戦法が分かりやすいかもね。
素早く攻撃を仕掛けてすぐ引く。そして直ぐ様攻撃をして、また引く。
ま、これでも基本のきの字だけどね?」
腕を組むクロムさんは楽しそうに言う。
まるで勝負事を本気で楽しむ勝負師のように。
「でも、そうすれば、低い火力も気にならずに強いモンスターを殲滅、格上の敵を翻弄!そして攻略できる!」
そうか。この人は勇者。
そして冒険者ギルドのギルドマスターなんだ。
人をワクワクさせるのが、上手い!!!
「・・・ねぇリクトくん。きみが冒険者になった理由を聞かせてくれないかな?」
「冒険者になった理由ですか?」
え、貴方達が提案したからでしょ。冒険者にならないかって。
そう言おうと思ったが、出かけたそれは俺の喉で止まった。
「あ、出来れば強くなりたいと思った理由もセットで。よろしく~」
あぁ駄目だ。この人は俺の考えを全部見透かしているみたいだ。
優しい目で、ふふって微笑まれたよ。
「冒険者になった理由、最初は本当にクロウが『わたし達みたく冒険者にならない?』って提案したからでしたよ」
「うんうん」
「でも・・・」
「でも?」
言いたいことを纏める為に俺は一旦間を取った。
てかクロムさんはこんな所にも合いの手を入れてくれるのかよ。
「"この世界"のみんなは、どこから来たか分からない俺を、『余所者の俺』を暖かく迎えてくれたんです。
・・・まるで、数年前。兄を亡くして絶望のどん底にいた俺に対して、ずっと励ましてくれていた向こうの世界の親友のように」
「(過去と似た体験をしたと。・・・成程ねぇ。リクトくんの行動原理が少しだけわかったかも)」
「・・・だから、元の世界に帰る前に"この世界"に恩返しをしたいんです。
冒険者として強くなって、世話になった"この世界"の平和を脅かす仮面の道化師を倒す。その為です」
「へぇ……」
クロムはまたも優しい目で俺を見つめる。
「・・・喋ってもいいかい?」
「はい。……?」
「そもそもの話、"創造の手"を始めとしたきみのスキルは"この世界"では紛れもなくきみの力だ。
元いた世界ではどうとか、そんなの関係ない。所有した時点でそれは、神様からの贈り物さ。きっとね?
だから、別に使うのに躊躇なんて必要ないよ?」
その言葉。
今、一番欲しかったヤツだ……!
「でも、もしもきみが、本来の強さに不安を抱くなら、ぼくはきみの師匠になるよ。
結果が出るのはきみ次第だけど、強くなりたいというきみの望み。叶えてあげる」
「クロムさんが、師匠に!?」
待て待て待て!!ヤバいヤバいヤバい!!
勇者が直々に俺を弟子に取るって、一体どんなシチュエーションだよ!
あ、でもあのクロムさんがか。
何がとは言わないけどすっげぇ振り回されそうだな、俺・・・
「ちょ、リクトくん?それは、どんな表情なんだい?」
「嬉しさと疑問と困惑と、色々混ざった顔ですが」
「即答!!?」
クロムさんは全身をビクつかせた。
リアクション芸までできる勇者って何なんだろう。
「ま、まぁいいさ。ぼくは強要しないからね?
きみが強くなりたいと、力を渇望して叫びたい時でもいい。もしくは、やることなくて暇だなぁと思った時でもいい。
時間が合えばいつでもきみに手を貸してあげるよ。
勿論、元の世界に帰る為の手伝いも一緒にね」
その言葉を聞いて、俺は泣きそうになった。
「ありがとう、ござい"ま"す"」
「おや、目が赤いよ?」
にまーっと笑うクロムさん。
俺は目頭を抑えながら言った。
「ちょっと、いや、凄く嬉しくて」※涙、出ちゃった☆
「そっか」
クロムさんが、どこか照れくさそうに微笑んだその瞬間だった。
どこからか爆発音が鳴り響き、少し遅れて悲鳴が聞こえた。
「なんだ!?」
「~~~、行くよリクトくん」
「は、はい!」
背中のマントをかっこよく靡かせ俺の横を通り駆け出すクロムさん。
?何か呟いた。
「ーーーー」
「っ!分かりました」
ほんの一瞬、チラリと見えたその顔は、少しの憎悪と深い哀しみが混ざっていた。
◇
俺はクロムさんの後を追いかけながらエントランスに戻った。
「うわっ!……何か爆発したのか!?」
エントランスに戻ると、火薬のような匂いが鼻についた。
それだけでなく、掲示板?の場所には瓦礫が散らばっており、壁と床に大きな穴が開いていた。
パッと見周囲には負傷者はいなさそうだが、如何せん野次馬が多い。
「なんだ、これ?」
「これは・・・!ここまで派手にやらかしてくれたのは初めてだな……」
「あ、リクト!」
「おーい!ここだぞ!」
声の先を見ると、ホノカとライデンが手を振って合図を送っていた。
クロムさんは、俺の考えを察したのか、にこりと微笑んだ。
「いいよ」
「ありがとうございましたクロムさん、みんなの所行ってきます」
「行ってらっしゃい」
クロムさんは俺に手を振ると、ギルドの職員とおぼしき女性の所へ向かった。
「遅くなってごめん。なぁ、一体ここで何があったんだ?」
「それが・・・」
ユキナが答えようとした時、野次馬達に囲まれた場所から爆笑する声が聞こえた。
「ハ↑ッハハハハ!ボクチン達に逆らった罰だぁ!!」
「ギャッハッハ!!!なんだ貴様ァ、死に損ねたか!」
え。露骨なチンピラ。
そーゆーの、"この世界"にもいるんか。
(※多分、どの世界にもいるよ?)
「(ちょっと待て、物凄ーくヤバい予感がする)すみません!そこ、通してください!」
「っ!?リクト!!?」
「おい、どこ行くんだ!」
「そっちは危ないよ!」
いてもたってもいられなくなった俺は、人だかりを掻き分けるように、声のする方へ向かう。
「っっ、なんじゃあこりゃ!?」
俺の目の前に広がっていた光景。それは、瓦礫まみれの壁際に、坊主頭に青いハチマキを巻いた、『創作に出てくるゴブリンみたいな雰囲気を持った』緑肌の少年が倒れていた。
彼の側には、同じく緑肌の銀髪ショートの少女がぼろぼろと涙を溢し、文字通り必死に回復魔法を彼に向けて放っていた。
だが、その少年少女は何かが違う。俺の、世間一般が想像する粗悪で狂暴なソレとは明確に違う。
決して『瓦礫に埋もれてボロボロだから』、『声が枯れかけるほど叫びながら回復魔法を使っているから』、という下らない理由ではない。
まぁ、根拠や証拠を言語化しろよ!バーカ!
って言われたら難しい、ってか無理だけども♨️
根拠は0だが自信は100%。実に俺らしい。
(※あれ。それ、どこかで……)
「カハッ、、、、、ゴフッ、、」
「お願い!起きてライム!死んじゃダメだよ!!」
どうやら、あの怪我してる少年はライムというらしい。
それはそうと、酷い怪我だ。
顕になっている上半身の痛々しい傷。
それだけで、無慈悲な攻撃を浴び続けた事を物語っており、"魔龍魂帝"が南の村を破壊した時の事を思い出してしまった。
「うっ……(っっクソ!最悪だ……)」
「ヒール、ヒール!ヒールっ!!お願い、ライム起きてよ」
少女は泣きじゃくりながら何度も、何度も、彼に回復魔法を放ち続ける。
だが、彼が目を覚ます気配はない。
何とかしてあげなくては。
そう思った俺は、彼女達の元へ駆け寄ろうとした。
が、その時。
俺を、この場全てを、凍てつかせる発言をした者が現れた。
「ふんっ。アタシ達"ダークストリーム"に楯突いて、この程度で済んだんだ。
ブブに感謝しろよな、"ゴブレイダーズ"さん?」
白いワンピースを着たポニーテールの人間の少女が、銀髪少女を見下しながらとんでもない事を言い放った。
「あんた達……!よくもライムを!」
その少女の隣には、緑色のジャージに身を包んだ、ちょっと小太りのモコモコアフロの少年。
嘴のような仮面を着けて素顔を隠し、フードまで被った黒装束姿の人がいた。
若干猫背なのか、ここから見たら性別がわからない。
それに、よくよく見たらハエもいた。
何故ハエなのだと聞きたい人が出てくるかもしれないが、俺は知らん!
しかも、ハエにしてはなーんかちょっぴり大きいような気もする所も、俺は知らんぞ!
(※目測10cm程)
「ボクチンはこの不届き者をもっと痛めつけてやっても良かったと思うけどな。
折角お前らの手柄を横取りしてやったのさ、生意気にも抵抗しやがって!」
「・・・・・」
「フン、全くだぜ。この、空前絶後の超絶怒涛のウィザード様が殺さずにいたぶる程度に手加減してやったんだ。ホント、我ってば、やっさしーい」
アフロ少年は呆れた表情で肩をすくめてみせ、黒装束の仮面男はポケットに手を突っ込んで黙ったまま。
そしてちょっと待ってくれよ。
ハエが、喋ったぁぁ!!!!
キエエェェェェ!シャベッタアアァァァ!
………すみませんでした。
「はぁはぁ、やっと見つけた・・・!」
「もぅ、リクト君てば置いてかないでよ」
余りにも『人の心が無い事』が重なり続けて、放心状態で突っ立っていたら、ホノカとユキナが人だかりの中から出てきた。
「ごめんごめん。あのさ二人共、もしかしてあれが……ん、あれ?どうしたんだ?」
「「ーーー!!」」
ホノカとユキナは信じられないモノでも見ているかのように固まった。
その視線の先は、"ダークストリーム"と思われる(※ほぼ確定)四人だ。
「っ!そんな、嘘でしょ・・・!?」
「ペニィ。それに、パーズズ、アルセーヌ、ブブまで……」
ホノカは青ざめ、ユキナはまるで因縁の相手を見つけたかのように睨み付け、声が震えている。
「あ~ら。なーんか聞き覚えのある声が聞こえたなぁと思いきや、ホノカとユキナじゃない」
白ワンピの少女は此方を見るなり、鋭い眼光を向けた。
って、え?二人とも、知り合いなの!?
「・・・っ!??」
「おいリクト。俺達を置いてどこに・・・!?っておいおいマジかよ」
「やはりと言うかなんと言うか。"ダークストリーム"はお前達だったのか……」
「やっぱうち、あいつらみんな嫌いだわ」
アフロ少年達を見て驚くヒビキと、ため息を吐いたライデン。
ルナに至っては、分かりやすく嫌そうな顔をした。
どうやらみんな知り合いのようだ。
「っ!?(困惑) ・・・(悲)…………!!(怒)」
仮面越しなのに何故か喜怒哀楽が伝わってくる。
何だろう。君、面白いね。
(※言ってる場合か!)
「おっと、ひでぇじゃねぇかルナ。お前だけじゃない、ライデンもヒビキも。お前らも揃いも揃ってそんな顔すんなよ。
俺達は同郷だろ?しかも、ライデン!ホノカ、ユキナ!
お前らはボクチンらとは幼馴染みじゃないか」
アフロの少年は、ライデン、ホノカ、ユキナ、ヒビキ、ルナ、の順に舐めまわすように視線を送る。
一通り眺めきった後、アフロの少年は、にへらーーー、と邪悪な笑みを浮かべた。
いや、知り合いも何も幼馴染みなんかい!!
「お前、堕ちる所まで堕ちたか」
「別に?ボクチン達は行くとこまで行ってはないさ。今はまだね」
「(どうやら、みんな知り合いっぽいな。・・・いや、そんな事今はどうでもいい。今やるべきことは……!)」
目の前に怪我人がいるというのに俺は何突っ立っていたのだ。
俺は俺の、やるべき事をやろう!!
俺は傷だらけの少年の近くへ寄ろうとした。
すると、銀髪の少女は怯えながらも睨みつけてきた。
「だ、誰!?まさかあんたも奴らの……!?」
俺は咄嗟に両手を上げた。
俗に言う無害アピールってヤツだが、大丈夫かしら……。
「待って!敵意は無いよ。俺は木ノ下陸斗、"クリエイト"のリーダーだよ、一応。俺はこの人を助けたくtーー
「あ"?んな事させる訳ねぇだろ!部外者は引っ込んでろ!!」
周囲がクリエイト?どこのパーティだ?と困惑する最中、俺の話を遮るように、ハエは此方に攻撃を仕掛けてきた。
自身の事を『空前絶後の超絶怒涛のウィザード様』とかほざいたあのハエが俺に向けて放った魔法、あれはダークバースト。
単体攻撃魔法の中でも威力が一際高いバースト魔法、それの闇属性版だ。
今の俺は、"守護者Ω"の防御補正を使っていない。
なので、当たったら言うまでもなく大ダメージだ。
というか威力:大なんてまともに食らったら死ぬ可能性の方が高い。
こんな所で死ぬ訳にもいかないので、今回はスキルに頼らせて貰おう。
ありがとうクロムさん。
貴方のあの言葉のお陰で、俺は誰かを助けれる!!
「(地獄の稽古以来の常時回復ON)ライトウォールっ!」
「きゃっ、!??」
「!?」
ハエが放ったダークバーストはライトウォールに激突すると、激しい爆発を起こした。
※室内でなんて事するんだ
「("創造の手"、煙を消せっ!)あっぶな。ってか信じられねぇ、ココ室内だぞ!馬鹿じゃねぇの!?」
本当、"創造の手"は便利だ。
黒煙が充満する前に、指パッチンで間一髪で消し去ることに成功した。
「煙が消えた!?」
「ナイスだ!」
驚く白ワンピースの少女と、喜びながら親指を立てたライデン。
「おぉ凄ぇ!!リクトがブブの魔法を防ぎきったぞ!」
「やったねリクト君!」
歓喜するヒビキとユキナ。
対称的に、驚愕するハエとアフロの少年。
「なぁにぃ!!?我の一撃を、防いだだと!!?」
「そんな、ブブはそこらのちゃっちい魔法使いとは訳が違う!Lv.20とはいえ、上位役職のウィザードなんだぞ!」
彼らのの言う通り、確かにダークバーストは防げた。
だが、同時に此方の結界もパリーンと硝子が割れた時の音を立てて、粉々に砕け、消えた。
(※破片が飛び散って刺さる、とかは無いです。ご安心を♨️)
「(うえぇマジか、一応これでも"魔龍魂帝と"テンペストカイザーの攻撃全部。それに、シャドウバイトの極楽鱗波?以外は全部防げた結界なのに。
ブブって呼ばれてたっけか?あいつ・・・・・やばいな、Lv.20、バケモンじゃねぇか!)成程、こりゃ本気で俺自身も強くならないと駄目だな………」
額に浮かんだ冷や汗を上着の袖で拭うと、俺はヒーリングエリアを展開する。
勿論、少女と、傷だらけの少年を魔方陣のサークル内に入れてだ。
「こ、これは?」
「ヒーリングエリアだよ。一気に回復させるならフル・ヒールでもいいけど、あそこまで傷が酷いと危険かもしれないしね」
「(ヒーリングエリア!?本当に!?魔力まで回復してるじゃん!これのどこがヒーリングエリアなの!?)良いの?ウチまで回復してもらって……」
少女は頗る困惑している。
いや、危機的状況なんだから、良いに決まってるじゃない。
「大丈夫。君は友達の為に必死に頑張ってたからさ。せめて、これぐらいはさせてよ」
「・・・ありがと。それと、ごめんね。奴らの仲間かって変な勘違いしちゃってさ」
あ。睨んだ事気にしてたんだ・・・
「ううん、別に良いよ」
「そう言って貰えると助かるな。改めて、ウチはメロンだよ。"ゴブレイダーズ"サブリーダーのメロン、うちのリーダーを、ライムを助けてくれてありがとう!」
メロンはそう言うと、ペコリと頭を下げた。
「(流石、困ってる人を見過ごさない。それでこそリクトね♪
でも、ちょっと、焼いちゃうかも。……って!私、何を考えて///)」
「じろ~~」
「ひゃっ、何!?」
ルナに見つめられ、ビクッと体を震わせたホノカ。
おいおいソコ、何してんだ。
「き、きさ、貴様…!貴様ァ!!!!」
ブブ、だっけ?この蝿。
滅茶苦茶ぶちギレてるんですけど。
いや、真面目にさ、何故お前が怒るんじゃ。
俺、話聞いてたよ?
10:0で君達が黒やん。
「ブブ、もうやめとけ!これ以上騒いだら見つかーー
"ダークストリーム"を名乗る3人は、激昂するブブを連れて、この場から撤退しようとした。
がーー
「誰に、見つかるだって?」
「あんた達。流石にもぅ無理よ。これは無理。無理無理。
私も擁護できない所まで行っちゃったわよ。だからさー、謝るなら今のうちにしなさい?」
アフロ少年は大慌てでハエを静止させてとんずらしようとしていたが、時既に遅し。
『『あ』』
満面の笑みを浮かべるクロムさんと、カッチカチに固まる正面の四人。
そして、呆れ顔のアリスさん。
「っっ、」
「ライム!!」
「うっ、ぐっ、、め、メロン?」
「安静にして!」
「な、待って。何が、何が起きたんだ?ってあれ?
ギルマスだ。それにアリスさんも。・・・ん?あれ?ゑ!?」
ライム君。君はなんてタイミングで起きてしまったんだ。
「ありがとねリクトくん。偶然かもしれないけど、完璧だ!お陰でバッチリ現行犯で取り押さえれそうだ」
にっこにこで親指を立てたクロムさん。
「いえ、俺はただ言われた通りにしただけです」
「え?どういう事よリクト!」
「うちらにも説明して」
ホノカとルナは説明を求めた。
ふっふっふー!
そこまで言われちゃあ説明しましょうよ!(ウザ)
「此方に向かう時に言われてたんだ。『犯人はきっとぼくの事を警戒している。だから、なるべく気を引いて時間を稼いで欲しい』ってね。クロムさんの作戦勝ち」
「き、きさ、貴様ァァァァァ!!!!!!!」
ちょ、お前!!某フリー○様みたいな感じに叫ぶなよ!
真面目なシーンなのに全部台無しだ・・・
「やぁ。今日も元気そうだね、"ダークストリーム"諸君。
ライムくんの防具があり得ない壊れかたしてボロボロになってるのと、ギルドを荒らした、というか、荒らした(物理)理由を聞こうじゃないか!」
いや怖!
明るい声色に満面の笑みが逆に怖い!!!
「ぎ、ギルマス・・・!?」
「・・・・・(慌)」
「あーあ。お前達は昔から変わらないな」
「本当、懐かしい・・・」
あたふたのアフロ少年ことパーズズと黒装束の人を哀れむ目で眺めるヒビキとライデン。
「馬鹿じゃないの?あんた達!こんだけ騒いだら見つかるに決まってるじゃない!!」
「わ、我は悪くないぞ!」
「あ"ぁ"?あんたが短気起こしてアイツにダークバーストなんて打つからでしょうが!!!!
それに、無理にでも止めなかったパーズズとアルセーヌも同罪よ!!!」
ペニィは怒鳴り散らす。
「ふーん成程。ペニィ、自供ありがとね?」
「あ」
「アホかお前!違うギルマス!誤解だ!!!」
誤解て、何を今さら。
ブブさんよ、回りを見なさいよ。
みんな、哀れむ目をしてるぞ?
「我らは抵抗しただけだ!そこの、クソゴブリンが我らの手柄を横取りしたから、それを返してもらおうたしただけだ!!」
ブブは目をぐるぐる回しながらクロムさんに申し立てた。
それに対し、メロンは立ち上がりブブに講義した。
「んな!?ちょっと、待ちなさいよ!!何ありもしない事言ってるのよ!
あんた達"ダークストリーム"は、ウチらが受けたクエストを勝手に割り込んで横取りしようとした挙げ句、ボス討伐の報酬まで奪おうとしたクセに!!」
あら。真実が白日の下に晒されちったみたいだぞ。
「ほらライム、あんたからも何か言って!」
「お、オレは・・・」
威勢のいいメロンだが、体を起こしたライムはもじもじおどおどしてしまっている。
「あ"?貴様が、何だって?」
「ひいっ!?何でも!!ない、です………」
「おわっ、ちょっと!?」
ブブに圧をかけられて震え上がったライムは、すっかり萎縮してしまった。
そしてなんと、俺の背中に隠れてしまった。
「すみません、すみません、すみません、すみません!!」
「わお!?」←(‘0’)な顔
待て待て待て!
震えすぎ震えすぎ震えすぎ!!!
「ライム!びびってる場合じゃないでしょ?」
「でも、オレにはもぅ、どうしようもないよぅ………」
「あっきれた。あんたセイバーでしょ!!その腰の剣はなによ!飾りなの?あんな奴らに、これまでも、これかはも、言われっぱなしでいいの!?」
ライムの煮え切らない態度に、メロンは感情を激しく昂らせた。
しかし、それは逆効果。
ライムは余計に縮こまってしまった。
「うぅっ、」
「あんな奴らだなんてひでぇじゃねぇか!
・・・しっかし、"クリエイト"のリクトか」
「!」
「成程お前がねぇ。我の一撃を防いだのは、最近話題の『森の英雄』サマだったか」
ブブは急に俺の回りを飛び始める。
止めろ、ブブブブ羽音が気持ち悪いから(※大の虫嫌い)。
「な、なんだよ。そんなので俺は喜ばないぞ?」
「へへへ、そう嫌がるなよ」
雑な馴れ合い!!
下手くそだなぁ……
「なぁお前、"クリエイト"だったか?あんなヤツらなんて捨ててうちに来いよ」
は?
「我は幼い頃からヤツらを知っている。中でも、魔力不足でろくに魔法を使えねぇのにその原因を頑なに解消しない馬鹿娘と、親の教えた一撃必殺にばかり気を取られて、一発も掠りもしないクソエイムのガンマンなんかがいる。
そんなチンケなお仲間じゃ、お前も癪だろう?」
ふと、俺の中に、黒い何かが生まれた気がした。
黒く黒く、ドス黒い、負の感情の、大きな塊が。
二度と思い出したくもない感覚に、虫酸が走る。
「っ!」
「~~~!!!」
「ホノカ聞いちゃダメ!ルナも落ち着いて!!」
ユキナは慌てて後ろからガバッとホノカを包容し、両手で耳を塞いだ。
同時に、ヒビキはルナの両肩をがっちり抑えた。
「放してヒビキ!!!あいつ、うちのお母まで馬鹿にしやがって!!」
「腹立つ気持ちは分かる!!だが、手を出すのは絶対ダメだ!!」
ルナは激しく、激しく、怒った。
「(落ち着け、昔と同じだ、落ち着け。アイツらの、馬鹿の挑発に乗るな……!!)そうだぞルナ!君の怒りは僕にも伝わってきた!だけど、暴力だけは、駄目だ!」
ライデンも震えながら拳を握りながら、自分に言い聞かせるかのように言った。
だが、ブブの口は止まらない。
「その点、"ダークストリーム"には最強のウィザード様である我だけでなく、成長途中だが、凄腕のエンチャンタラーとタンク、メイジと揃い組DA!!」
「・・・・・(満足気)」
ブブに誉められ心底嬉しそうなアルセーヌ。
ペニィはハッ!と嘲笑すると、此方に手を差し出した。
「そうね、あんた!そんな苛められっ子なんかより、こっちを選びな?」
「何ならいっそ、ボクチンらの子分にしてやろうか?ふふふ、光栄に思うがいいさ」
ブブの偽りの威勢の良さを見てか、ペニィとパーズズまで急に調子に乗り出して言いたい放題言いだしてきた。
「あらぁ、ぼくの事は完全に無視か・・・。舐めやがって」
『『(怖い!ギルマスが怖い!!"ダークストリーム"もあの男も意味不明だけど、今は何よりギルマスが怖い!!)』』
ぶちギレ寸前のクロムさんもそうだが、この状況でガッツリ調子に乗れるパーズズとペニィも怖い。
だが、今の俺に物事を客観的に見る余裕なんてものはない。
とうに限界を越えていた。
「ホレホレ、"クリエイト"なんて辞めてうちへ来ーー
刹那、咄嗟に"創造の手"でハエ叩きを出すと、俺の周囲を鬱陶しく飛び回るブブを、力の限り叩いた。
「黙れっ!!俺の仲間を、友達をッ、馬鹿にするな!!!」
ハエ叩きが当たる直前、ブブは防御結界を張り巡らせた。
だが、俺の怒りはそれすら砕き、ならず者を地に落とした。
次回、38話 見栄っ張りな覚悟
"ゴブレイダーズ"のライムとメロンが登場!
問題児としてパーティ名だけ先に出ていた"ダークストリーム"もパーズズ、ペニィ、アルセーヌ、ブブも参戦だ!
ちょっと、あまりにもやんちゃし過ぎだね。
やり過ぎたね。うん、やり過ぎた。描写盛りすぎた。
そして、余罪多数と来た。
ーーー成敗いたす!!
(までもうちょい待ってね!?39話で"クリエイト"と戦うけど、お願いだから38話も飛ばさずに読んで頂けたら嬉しいです!!
使い捨て、嫌味ヘイトだけ集めさせるだけの子達にだけはさせませんので)
俺の目標:主人公のリクトや"クリエイト"含め、すべてのキャラを読者の皆様に好きになって貰う。
はい、頑張りまーす!
【そういえば】
前回からですが、しれっと勇者ゼロードの名前が出てましたが、これで五人目の六英雄判明してましたね♨️
☆勇魔六英雄メモ~めもめも~
・竜王 魔王ディミオス(10話から)
・氷星の女王 魔王フレイザ(EX04:前編から。まだ名前のみ)
・聖天覇王 魔王ジーク・カイザー(10話から。まだ名前だけ)
・????? ??????(誰!?てか何!?)
・双黒の再生者 勇者クロム(EX01:後編から。今回もおったね~)
・革命の剣聖 勇者ゼロード(前回から。まだ名前のみ)
さぁ、最後の一人はどこで出てくる!?
というかジーク・カイザーさんやフレイザさん、ゼロードさんも名前だけしか出てないんですがそれは(´・ω・)
2025 5/5追記
前書きの通り、少しだけ。ん?少し!?
・・・手直ししました。設定ミスや誤字脱字を修正致しまっする。はぁ~マッスル!
読者様『『?????』』
すみません、戻します。
手直し前とほんの少しだけ変わった部分もありますが、まぁ、1章や2章みたいに魔改造を施したワケではござんせんしぃ?
これくらいなら安心して閲覧できるんじゃあ?
すんませんした。
---To be continued---




