【36話】 『リベロ』と俺(リクト)
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&累計PV4000越え、誠にありがとうございます!!
嬉しすぎて叫びたい気分ですうおおおおおおおおお!!
やったあぁぁぁぁぁ!!!優勝だあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
では、本編どぞ↓ ※切り替え120%
珍妙な空気が漂っていたギルドのスタッフルーム奥。
だが、ある二人は驚いて声も出せなかった。
アリスさんとメイさんは、驚きの余り、両手で口元を覆った。
「・・・・・っっ!(嘘!『リベロ』って!?)」
「(やっぱり。そういう事、だよね?)」
「みんな、ちょっと待ってて。クロムを呼んでくるから」
「アリスちゃん、お願い」
アリスさんは慌ててスタッフルーム奥から飛び出し、クロムさんの待つエントランスへと向かった。
「・・・・・」
「(今、一瞬、アイコンタクトしてた……?)・・・ねぇ、メイさん。メイさんとアリスさんってどういう関係なの?友達?それとも幼馴染み?」
ルナの突拍子もない言葉にメイさんは目を大きく見開いた。
「いきなりだな。唐突過ぎて失礼だぞ?ルナ」
「大丈夫ですよ、ヒビキくん」
メイさんは右手を出してヒビキを制止させると、ルナに聞き返した。
「ルナちゃん。私とアリスちゃんの関係性なんて聞いてどうするんですか?
私なら、『どうしてアリスちゃんはギルマスとタメ口なのか』って質問をしますよ」
それは、確かに。
俺も思った。
クロムさんて、何となく軽い雰囲気があるけど、れっきとした勇者!らしいんよね。
それも、過去に"この世界"を救った英雄!
しかも御本人ときた!!・・・らしいんですよねぇ♨️
冒険者ギルドの一職員が何故タメ口でいられるのか。
確かにめちゃめちゃ気になる!!
「うん。確かに、それも気になったんだけど」
ルナは苦笑しながら頬をかいた。
「(いや、気になってたんかーい!)」
「うちは今日初めて二人と出会ったばかりだし、それに他の職員とのやり取りを見たからとか、別にそういう訳でも無いけど。
メイさんとアリスさんが楽しそうに話すのを見て、同じ場所で働いてるから仲が良いのかな?って思って」
ルナはうーん、と唸ると、続けた。
「それに、二人は『目を合わせただけ』なのに、まるで会話をしたかのようなやり取りをしていたからーー」
メイさんは目を見開いた。
「それって、あれか。アイコンタクト?」
「うん。それそれ~」
ルナは頷くと、続けた。
「それに、アリスさんと会話してる時のメイさんを見てると、まるでユキナ達みたいだなぁって」
黙るメイさんを見て、ルナはライデンとホノカ、ユキナを見やる。
面食らったユキナ達は自然と顔を見合せた。
「「「???」」」
俺は三人の方に目線を向けると、ライデンから口を開いた。
「何故僕たち?」
「仲が良いで私達ってことは、幼馴染みみたいってこと?」
「みたいって。何言ってるのホノカ。私達は幼馴染みでしょ?」
へ?と気の抜けた声を発した後、顔を真っ赤に染めたホノカ。
「そ、そうね!・・・///」
「わぁ。耳まで真っ赤じゃないか」
「もぅ、ホノカったら」
天然をかましたホノカに突っ込みを入れるライデンとユキナ。
メイさんは三人を暖かい目で見つめる。
そしてーーー
「えぇ、そうです。私とアリスちゃんは同い年で、出身地も魔法都市で同じ。正真正銘の幼馴染みです」
合ってた。ルナの予想、合ってた。
「・・・でもルナちゃん、どうして分かったんですか?」
あらま!!驚き過ぎて腰抜けるかと思った。
(※誇張:おおげさに表現すること)
メイさんに聞き返されたルナは自分の頬に指を当てた。
「んー、何でだろ」
おいコラ!危うくみんなしてずっこける所だったぞ。
(※これはマジ)
「( °ロ°)」 ←フリーズ中のメイさん
「えぇ……(困惑)」
「もぅ!ルナったら」
「何でだろって、それは無いでしょ」
俺達以外の人がいない静かなスタッフルームに、爆笑の渦が巻き起こった。
「ごめんごめん/// り、理由かぁ~」
ルナは、笑顔で怒る(?)みんなの事を見ながら、唸り声をあげた。
「んー、強いて言うならだけど。うちがガンマンだからかな」
「何だよソレ。答えになってねぇぞ?」
ヒビキは鋭い突っ込みを入れた。
「答えにはなってるよ!」
「ほぅ?じゃあ言ってみろ」
「おぅとも!・・・リクトに話すのは初だけど、うちが銃を握ってる理由。みんなは知ってるよね?」
ルナが周りを見渡すと、ライデンとヒビキは力強く頷き、ホノカとユキナはニコッと笑った。
そんなみんなを見て、ルナはズボンの左右の外ももに着いた銃ポケットから銃を二丁取り出して、語り始めた。
「うちはさ、冒険者になる前からお父さんに憧れてたんだ~。ガンマンとして色んな所へ出張するお父さんに。
だから、『モンスターと戦う術』として銃を選んだ。
そのお陰かは分からないけど、うちは兎に角、色んなものを観察するようになったんだ。
だからかも。アリスさんとメイさんを見て、『あ。この二人、ユキナ達みたいに笑うなぁ』って感じたんだと思う」
真面目に語るルナの横で、ヒビキは笑いを堪えて震えている。
「よく観察してる割には、すぐ必殺技をぶっぱなすよね?」
ごめんルナ。我慢できなかった。
恨むなら、君の隣で震える兄貴分を恨んでくれ。
(※酷すぎる責任転嫁)
「ちょ!リクト!?折角うちが良いこと言ったのに茶化さないでよ!」
ぷんすこ怒るルナは頬を膨らませる。
同じ村出身だからなのか、ホノカとおんなじ怒り方だ。
「ごめんごめん!ヒビキが『観察するように~』の辺りからプルプルしてたもんだから、つい。……ぷww」
「あ、お前!俺を売ったな?」
面食らったヒビキは口角を不自然に上げながら睨んだ。
笑うか怒るか、どっちかにしてくれ。←ブーメラン
「ぶふっ、あっははははww売るも何も、この中で一番最初に笑いを堪えて震えてたのはヒビキでしょうに!」
「お前っwこ、この野郎www」
そう言いながらも、もぅ笑うしかないヒビキ。
「これでも俺は、真面目に話を聞くつもりだったんだぞ?w」
「その割には誰よりもゲラってるじゃねぇか!!」
「仕方ないやん!ツボったんだもん!!ヒビキのその震えにる姿に!」
「ちょっお前!まぁた売るかコラ!!」
「ストップヒビキ!」
笑いながら口論する馬鹿二人の間にホノカが割って入った。
同じく、宥め役として入ったユキナも笑ってしまっている。
「こらこら、リクト君てば!」
「やれやれ……」
「もぅ滅茶苦茶よ」
そんな俺達を見て、ライデンとホノカが呆れて肩をすくめた。
その瞬間、メイさんは吹き出した。
「ぷふっ、あはははっ!ぷっ、ど、どうしよ、笑いすぎて、涙出ちゃった!」
次第に俺達は、メイさんに釣られて笑い出す。
そして、誰かの笑い声に釣られて笑いだす、無限ループに入った、
「おーおー、みんな楽しそうだね」
「え、なにこの状況」
クロムさんを連れて戻ってきたアリスさんがひきつった表情をしていたのは言うまでもない。
そんなアリスさんの冷めた目を見て、メイさんと俺達は、これでもかと顔を赤く染めたそうな。
◇
アリスさんは水晶球の解析結果画面を指差し、クロムさんに解析結果を見るよう急かした。
「ほら見てクロム!これよこれ!!」
「どれ?・・・・・ほぅ。『リベロ』適正か。リクトくんに属性が無いって所も気になる所だけど」
クロムさんはじっ、と目を細めた。
「そういや、何でリクトは属性無いんだろうな」
ヒビキが聞いた。
そんなこと聞かれても、俺も知らんよ。
「さぁ?"この世界"生まれでないから、とかじゃない?」
「おっと、それは違うよリクトくん」
適当に返したら、クロムさんに真正面から否定された。
「"この世界"にはね、度々転生者やきみみたく異世界からやってきた子達が現れるんだけど、その子達はみんな漏れなく何かしらの属性を持っているんだ。
属性無しなんて、見たのは君が初めてだよ。いいかい?500年以上生きてるぼくですら初めて見たんだ」
正直俺は、今の今まで属性が無い事に対して何も考えていなかった。
だが、これはそれ程の問題なのだろうか。
属性無しということは、寧ろデメリットなんて無さそうだけども。
それこそ、属性間の弱点が無い、とか。
「ふーん、その顔だと属性が無い事に対するデメリットを全く知らない様だね」
「ヴっ!(やば、バレた)」
ポーカーフェイスができない自分を怨みたい。
「はぁ、リクトくん。"この世界"属性における属性が何なのかは一応知ってるよね?」
「はい。物理攻撃や魔法・・・後、様々な物理法則に絡んだり。属性間に相性があるというのは知ってます。
まぁ、これらは全部、ライデンからの受け売りですけどね」
ちらっとライデンの方を見やると、ライデンは頷いて返した。
「うんうん、初歩的な事は知ってるみたいだね。完璧だよ!そこだけはね。
・・・でもね、実はそれだけじゃないんだ。属性というのはね、あらゆる面に関与してくるんだ~」
あらゆる面、とな?
「例えば、これから7月になって暑くなるけど、その暑さ、"熱"にはだいたい火属性を帯びている。太陽からの"光"もだから光属性とも関係がある」
俺はコクコクと頷く。
クロムさんはニコッと微笑むと、続けた。
「それを踏まえて、リクトくん!きみは夏の暑さを凌ぐ為に海に行きました。そして、水浴びしたり泳いだりしました。
この時!属性が絡むとしたらきみは何だと思う?」
「え」
な、何?クロムさんが笑ってるんだが。
え、怖いんですけど。
「み、水属性です・・・」
「(あーあ。クロムの悪い癖が……リクト君、ここは耐えて……!)」
彼の異図が解らず萎縮する俺と、そんな俺を見てめちゃめちゃ嬉しそうに笑みを浮かべるクロムさん。
そんなクロムさんを、呆れた顔で眺めるアリスさんの構図が完成した。
「だよね~。『海』で『水浴び』まで言ったのにぼくがきみの思考の裏をかく訳ないもんね♪」
「わざとですね!!?」
「そう怒らない怒らない♪」
俺、この人嫌いになりそうだ・・・
「これも例だけど、寒い日には暖かいものを食べたり飲んだり、暖炉やこたつに入って体を暖めたりするでしょ?
この場合だと"寒さ"に氷属性が、こたつとかが火属性だね。
他にも、湿った洗濯物を暖かい風で乾かしたり(湿った=水、温風=火/風)、暗い部屋を電気をつけて明るくしたり(暗い=闇、電気で明るく=電気/光)と、様々な所で属性が紐付けされているんだ」
成程。"この世界"だと、そんな『日常生活の当たり前』にも属性が絡むのか。
てか待て、"この世界"にもこたつあるんか。
「さて、ここからはそんな属性が戦闘とどう関連性があるかについてに移ろう。
きみの『リベロ』とも関連があるから、耳の穴かっぽじってよーく聞いてね?」
「はい」
もう俺は突っ込み入れません。
「(おや?突っ込みが来ると思ったのに。残念だね……)」
なんで残念そうにしてるの!?
「ごほん。・・・まず、『リベロ』の役職について。
これはね、他の役職とは違った特徴を持っていてね、『技を使った時に、その技の持つ属性に変化する』という効果があるんだ」
「技を使った時に、その技の持つ属性に変化・・・」
俺はクロムさんの言った事を復唱した。
クロムさんは頷くと、続けた。
「さっきリクトくんは『物理攻撃や魔法、それに物理法則等に絡む』と言ったよね?」
「は、はい」
「その後、ぼくは『あらゆる面にも関与する』と言った。
戦闘における属性はね、『技を使う人』と『技』の属性が揃うと技威力が上がるんだ」
それって、○カチュウ《電気タイプ》が10○ボルトを撃ったら威力が通常より1.5倍上がるよ。的な?
「つまりだ!きみが火属性の属性斬を使った。その時、『リベロ』の効果が発動し、使ったインフェルノスラッシュの火属性にきみ自身も変化する。そして、技がより強くなる」
ん。コレ、どっかで聞いたことがーー
(※○ッコウガ。○ースバーン)
「それに、相手が火属性になったリクトくんに水属性の技を放った。例えば、ウォーターバースト。勿論食らえば効果はバツグン、大ダメージだ。
だけど、被弾する直前にきみは電気属性か、水属性の技を行使した。ここの技は何でもいい。簡易魔法のウォーターやらスパークでも何でも」
「すると、俺の属性が切り替わって、水、もしくは電気になってウォーターバーストが半減になる……と?」
クロムさんは、大きな声でパーフェクト!と言った。
「役職『リベロ』が適用されると、元々属性がセットされていない技以外は、全部自動的に切り替わるんだ。まさに攻防一体!!完全無欠!!
でも残念なことに、きみが属性を持たないことで欠点が生じたんだ」
クロムは目を閉じ力強く拳を握った。
それはまるで非常に残念だ、といわんばかりのポーズだ。
「(あー、嫌な予感するなぁ。属性が無い俺には使えない!的なこと言われそうだなぁー)」
「属性を持たない。それ即ち、きみはリベロの恩恵を全く受けれないんだ」
やっぱりか。
そうだと思いましたよ!!!
「はぁ・・・やっぱり!流れ的に、こうなる気がしてたよ」
「ど、ドンマイ」
「でも、リクトには"創造の手"があるじゃん!」
「そうだよリクト君。役職の恩恵を得れなくても、リクト君は十分強いよ」
ライデン達は俺を励まそうとしている。
違うよ。俺は折角の適正能力が使えないことにがっかりしてるんじゃ無いんだよ。
"創造の手"を始めとした『スキル達で強くなった気でいた自分が哀れ過ぎて悲しい』のであって。
昨日までの、スキルを縛っていたあの地獄の稽古で、俺はそれを嫌という程痛感したのだ。
(※27話~28話までの空白の3日間の出来事)
ガルさん達星空マジックのショーや、ディミオスさん達からのサプライズプレゼント等。
気を紛らわしてくれる事が重なったから一時的に現実逃避ができてただけで。
「(……だから。俺は強くもなんともないんだよ?)」
俺は泣きそうな気持ちでいっぱいになった。
そんな俺を見てかどうかは解らないが、クロムさんはふと、ポツリと呟いた。
「しっかし、驚いたよね。リベロなんて、もぅ二度と見られないと思ってたもの」
「え、どういうことですか?」
興味を持ったルナは、クロムさんに質問を投げた。
「リベロの役職はとってもレアなんだ。それこそ、ぼくと同じ勇者でお馴染みのゼロードと、彼とぼくの師匠しか持ってないんだもの」
『『えぇえ!!?』』
「は?」
声をハモらせて驚く皆とは別に変な声を出す俺。
「勇者でお馴染みのって、えぇ!??革命の剣聖勇者ゼロードですか!?」
「それに、クロムさん達の師匠って、まさ、まさか……!
土妖聖剣王のキョウ・A・イバウロさんの事ですか!?」
ルナとヒビキは目を輝かせている。
待て待て待て!!
何がなにの何!?
「! そうだよ。勇魔六英雄で有名なゼロードは兎も角として、師匠の名前を知ってるなんて凄いね」
ヒビキに感心したクロムさん。
褒められたヒビキは、嬉しそうに頬を赤らめた。
「剣の道を極めんとする俺達からしたら、キョウさんは誰もが目指す先。憧れの対象です!!
知ってて当然!な?ライデン」
「あぁ、勿論さ!」
胸を張るヒビキと、爽やかな笑みを見せたライデン。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「お、おぅ、どうした?」
「リクト?」
ライデンとホノカがジッと此方を見つめる。
駄目だ。もぅ、限界だーーー
その瞬間、重荷という負荷に耐えきれなかった俺の自信は、ぶるんぶるんに揺れる豆腐メンタルの上でドサァーっと崩れた。
そして、その衝撃で、豆腐はグシャリ、と不快な音を立てて崩れ落ちた。
「俺は一週間前までただの高校生だったんだよ?
それなのに、なんで勇者や勇者の師匠と同じ役職の適正なんだよ。俺はただの人間だよ?」
俺の中にあった溜めに溜め込んだ思い。
それが遂に溢れだし、言葉として吐き出してしまった。
「ちょ、いきなりどうした」
「リクト君……?」
今、何が起きたのか理解が出来ていない。
だけど、明らかに調子のおかしい俺を見て、ヒビキとユキナは、それ以上言葉を続けられなかった。
「(ふむ、今までずっと抱えてた不安がここに来て大爆発したみたいだね。さぁ、きみは何を聞かせてくれるかな?)」
クロムさんは興味津々に。他の皆は心配そうに、俺を見つめる。
だが、眼差しの全てが、今の俺には酷く恐ろしいモノに見えた。
「みんな知っての通り、俺には"創造の手"のスキルがある。『創造』の名の通り、何でも作れる。ご飯でも飲み物でも、それを乗せるお盆や机だってそう。服や装備、武器、盾。スキルまでも新規で作れてしまう。正に、俺が望めばなんでもできちゃうイカれ能力。
コレのお陰で俺は南の村事件やシャドウバイト事件でみんなを守れた。
その結果、みんなから森の英雄だのなんだの言われてさ、正直俺は舞い上がってたよ。嬉しかったし、何となく達成感もあった」
一瞬だけ視線を上に上げた。
「(ヴ)」
駄目だ。目、合わせられない。
2秒でも誰かと目を合わせたら殺されるかもしれない。
「でも、俺のスキルはみんなが努力して勝ち取ったものとは違う。言っちゃえば、ズルして貰ったようなもん。
いくら、生きとし生けるもの全てが生まれた時にスキルを獲得するからって、みんなはそのスキルの効果を使うために死にもの狂いで努力する。
でも、"創造の手"で出したヤツはその過程をスキップできてしまう。だから、俺自身は貧弱……」
「(どうしよう。言葉が出ない自分が情けない……)」
「……………」
「そんな、こと・・・」
「(・・・・・)」
「っっ、、、」
「皆は努力で勝ち取ったのに、自分はズルして、ねぇ」
クロムさんは、俺にだけ聞こえるような小声で呟いた。
「俺達は昨日まで、バルさん達にしごかれたじゃん?
地獄の稽古。その時、全てのスキルを縛って実戦形式のトレーニングをして理解ったんだ。
・・・俺は誰よりも弱くて臆病で、欲張りで見栄っ張りな子供だと」
空気が重たい。その重くした元凶の分際で、何真っ先に潰れそうになってるんだ。
何故って?簡単だよ。
俺が弱いからだよ………
「星空マジックのショーで元気づけられて、ディミオスさん達から贈り物を貰って装備を着て。
ここに来る前にも皆から応援されて、めちゃめちゃ嬉しかった。
でも、同時に後ろめたい気持ちも溜まってさ。
今また、クロムさん達の師匠やもう一人の勇者と役職適正が一緒だーー、とか言われてさ」
う。言葉が詰まった。
一旦深呼吸をして、続ける。
「そんな資格、俺には無いんだよ。
結局、"時空間支配"で村を元通りにできたのも、"守護者Ω"でテンペストカイザーやシャドウバイトの攻撃を防げたのも、全て"創造の手"ありきの事。俺は何もやってないし、やれてない。
やれ『森の英雄』とか、やれ『リベロ』とか。俺には荷が重すぎるよ。
俺は、"創造の手"で都合の良い夢を見てただけのただの子供だyーー」
「違う!!!!」
ふと、ホノカは叫んだ。
目に大粒の涙を蓄えながら力の限り、ホノカは叫んだのだ。
「ホノカ?なんで、何で泣いてるの?」
「馬鹿な事言わないで…!!何もやれてないしやってないって、忘れたの?
リクトは魔法を上手く扱えなかった私を助けてくれたじゃん!!」
そう言うホノカは、胸元の真っ赤なネックレスを握っている。
そういえば、あれ(4話)以来ずっと着けていてくれてたんだ。
(※え、忘れてたの?)
「見てよリクト、炎のネックレスよ。これのお陰で不安定な魔力が安定して、今まで私がやりたかったことが実現したのよ?
それに、誰よりも弱いって、スキル無しでも私達の誰よりも足早かったじゃん!臆病でって、丘の上で模擬戦した時、私達の技にびびってても最後まで勝つ方法を探してたじゃん!!」
「確かに。あそこでルミナスさんのストップが無きゃ勝ってたのはリクトだったな」
腕を組みながらそう言ったヒビキに、ホノカはでしょ?と言った。
「欲張りで見栄っ張りって、リクトが欲張りだったから"攻撃者Ω"も"魔術師Ω"もあるんでしょ?
見栄を張ったから、あの時サンダーレオーネを討伐できたんでしょ?
ライデンも、ユキナも、ヒビキも、ルナも、みんなみーんな、あの時リクトがピンチをひっくり返したから、今ここに"私たち"がいるのよ?」
ホノカは俺の目の前まで詰め寄ると、崩れた。
そして、俺の胸元めがけてぽこぽこ叩き始めた。
「それなのに、安易に都合の良い夢だなんて言わないでよ!馬鹿ぁ……!」
馬鹿、馬鹿、馬鹿ぁ、と言い続けるホノカは、涙をボロボロ溢しながら俺に訴えた。
「そうねリクト君。お願いだから、都合の良い夢だなんて言わないで・・・!!」
ユキナはホノカの隣に立つと、俺の手を取り、両手でぎゅっと握った。
「私達は、向こうの世界にいた頃の君が、どんな風に暮らしていて、どんな人だったのかなんて、全く知らないわ。それこそ、クソガキかなんて、もっと知る由もないわ。
でもね、そんなこと、正直どうでもいいわ。
私達の、私の知るリクト君はね?まともな防具や装備が無いのにも関わらず、赤の他人の村なのにも関わらず、村を襲う理不尽な驚異に立ち向かった!
一軒無謀にも見える、その大きな勇気で、私達を窮地から救ってくれた、英雄なのよ……?」
ホノカ同様に、目の下に大粒の涙を蓄え、溢すユキナ。
「え、それはただ、俺が馬鹿なだけでは?」
「え、違うの?」
ずでっ!
何て事を言いやがるんだルナ!
まぁ、俺が馬鹿なのは俺が一番知ってるんだけど。
それにしても酷くない?
「そうだ!!!だから今更うじうじすんなよ!
そんなひでぇツラも見せんじゃねぇ!ホレ、これやるから鼻かめ。そんで、涙拭けよっ」
「痛ッ!?」
ヒビキはバシッと力強く俺の背中を叩くと、ポケットティッシュをくれた。
あれ、俺はいつの間に泣いてたんだろう。
オイ。というか待て!
しれっと馬鹿を肯定すんな?
ひでぇツラとか言うな!!?
ヒビキから貰ったポケットティッシュで鼻をかみ終えると、開口一番にヒビキとルナに問うた。
「ヒビキ、ルナ。二人してしれっと俺が馬鹿だって言いやがったな?」
「ん?うちは知らないよ?」
「さぁな。なんの事やら~」
「おいコラ二人ともっ!!確信犯だな!?」
ニヤニヤとからかう様な表情のヒビキとルナに、俺は怒鳴る。
すると、ルナは目を反らしながら口笛を吹いた。
「ぴーひゅー、ひゅるー♪知らないったらしーらない」
「さぁな。お前らも、溜まってたモン全部吐き出して満足したか?今のうちにもっとぶつけろよ?
そうそう。ライデン、お前は何か言わなくて良いのか?」
「ううん、僕は満足かな。また一つ、リクトの知らない一面を見れたからね。大満足」
そんな、ドヤ顔で言うなよ、ライデン。
「ふんっ!」
「あーあ、リクト君。ちゃんとホノカに謝らないと駄目だよ?」
いつの間にか泣き止んでいたホノカとユキナ。
ホノカは頬を膨らませてそっぽを向き、ユキナはもぅ!と優しく怒った。
「(ユキナは俺のお姉さんか何か)・・・悪かったよ。変な事言って」
「キコエマセーン!私には、ナンニモキコエマセーン!」
ホノカは更に頬を膨らませた。
「(耳まで真っ赤にして、マジでごめんって)本当ごめんよ」
あ、ホノカ!焦る俺見て楽しんでるな?
「リクトくん、一つ聞いていいかな?」
ふと、クロムさんは、見透かした様な目で俺を見つめた。
「きみ、冒険者、するは気ある?うちのギルドで働く気はある?」
クロムさん。俺がはい!って答えるのを確信してるな?
むー、何か納得いかなーい。………よし!
「する、一択です!」
「(する、一択……か。はいっ!で来ると思ってたのに、読み間違えたか……)だよね~」
嬉しそうなのに悔しそうな。何とも複雑な顔の勇者。
そんなクロムさんとは対称的に、呆れと安堵のため息を吐いたアリスさん。
「はぁ、良かった。まさかここに来て辞めるつもりなのかと思ったわよ」
「変な事言い出してすみませんでした」
「全くよ!!反省文書かせてやろうかと思ったもの、今!」
アリスさん、ガチギレしてらっしゃる!!!
(※当然じゃい)
「本当、すみませんでした!!」
誠意は見せます。
っても、俺ごときの最敬礼で許してもらえるのか?
「反省文は冗談よ、冗談。でーも、もう二度とパーティメンバーを不安にさせないであげてね?」
貰えました。許し。
「ぜ、善処します」
「本当だぜ。しっかりしろよな?リーダーっ!」
ニッコニコなヒビキは俺の肩に腕を回した。
ん?リーダー!?
何それ。
「リーダーって、何の話だ?」
「あれ?"クリエイト"のリーダーはリクトくんだと伺ってましたけど。違うんですか?」
メイさんはきょとんとしながら俺に聞いた。
は?俺がリーダー?初耳なんですけど。
「は!?えっ、リーダー!?俺がリーダーなの!?」
「リクト意外に誰が適任なんだ?」
「私達は満場一致でリクト君を推薦するよっ」
慌てて聞き返すと、ライデンには親指を立てられ、ユキナには笑顔であしらわれた。
「は?」
「なんならパーティの話が上がった時(11話の頃)からそのつもりだったよ。ね、ホノカ?」
ルナは、自身の腕を頭の後ろへ回しながらそう言った。
パーティの話が上がった時って、そんな前から!?
(※この作品がスローテンポ過ぎるせいで、実は一週間近くしか開いてないの。そんな前でもなかった件について)
「えぇ!?」
「………これからもよろしく。ね、リーダー?」
むすっとした表情から一転、ホノカは小悪魔な笑みを浮かべた。
「っ!(ドキッ?……???)」
驚愕の余り、えええ!?と叫ぼうとした。
その刹那、俺の声は助けを求める"マジカウインガー"の声にかき消される事となる。
「えeーー
「助けてギルマス!!!それにアリスさんとメイさんも!」
全力で走って来たのか、クロウは息を切らしている。
「?? 三人共、そんなに慌ててどうしたんだい?」
「急いでください!!事件発生なんです!」
慌てすぎて手をばたつかせるウル。
事件と聞いてアリスさんは顔をしかめた。
「い、嫌な予感がするわね」
「と、兎に角エントランス!エントランスに来てください!!」
突然の展開に、俺は置いてけぼりにされた。
だが、俺はまだリーダーに納得していないからな!?
次回、37話 弱虫セイバーと"ダークストリーム"
リクトさん、"クリエイト"のリーダー就任おめでとうございます(白目)
今回は『リベロ』の他にも主人公を始めとした個々のキャラがどんな人達かを改めて深掘る回(?)になっちゃいました。
そんな中でも、一言でリクトを説明するとこうです。
見栄張って勝手に苦しくなってく系の人、ですね。
※実は作者もそんな人(要はアホ)
馬鹿みたいにお人好しで、優しい。でも見栄っ張りなせいで自ら首を絞め、どんどん苦しくなってって自爆する。
完璧とは程遠い、でもそれで良いじゃない!人間だもの!
そんな子に育って欲しいですし、なりたいです(??)
リクトは普段はここまで煮え切らない状態にならないので、どうか嫌わないであげてください(切実)
・・・できれば私のこともね☆
※強欲!!
そうそう、『リベロ』の説明についてですが。
【わざを使うとそのわざの属性に変化する】
(※火力増強にも鉄壁の防御にもということで無理矢理サッカーとバレーまで紐付けようとする荒療治をしてしまう伝説のアホ降臨)
多分どっかで聞いた事ある気がしますが、根本的に使用不可ということでその問題を解決しています(?)
えー、すみませんでした。
(※作者はポ○モンが好き過ぎる余りオマージュ&パロディしてでも話にぶち込みたくなっちゃう病気にかかってるんです。どうか許してくださいまし)
【最後に】
他作品からのオマージュやパロディは遠い未来の最終回まで出てくると思われます。
どうか、広い心、許す精神をもって閲覧していただけると災害で……失礼しました。
幸いです♨️
今後とも、The・Crateをよろしくお願いします( -д-)
2025 5/4追記
リクト君。今後も滅茶苦茶なよなよします。
豆腐メンタル設定が暴走します。
ブレーキが、壊れちった☆
【ブレーキが壊れた経緯】
???「お前のスピードじゃ、届かない!!ぶっちぎってやるぜ!」
???「ぐるるるる、うおおおおおおおお!!!」
→キキーーッッ、ドカーン!!
???「うおおおおおおおお!!!」(クソデカ断末魔)
(禁断解放からの3点!!!んで、4以上の呪文除去トリガー踏んで無事死亡)
はい。
リクト「(デ○エマやないかい)」
※この頃にはまだ実装されてない。2024 3/28実装
僕「・・・えーっと、ごめんね」
リクト「おぉい!!!」
---To be continued---
 




