【28話】 ボロボロ”クリエイト”
さぁ、今回からぁ!
第3章、新米冒険者大奮闘篇の開幕だぁ!!
と、思っていたのか!!
<ダニィ!?
※いつもの。好きな茶番回収ドラゴン(?)。
はい、どうもこんにちは。The・Create作者のシュウト!!です。
出たわね!とお思いの方々、はい。僕が出てきましたね。
元々は今回から3章を予定していたのですが、色々ね、色々と事情がありまして、まだ2章のままです。
※理由は活動報告ページにて。
という訳で、魔改造にて改稿前よりも表現が(色んな意味で)パワーアップした、僕色に染まってしまったThe・Createをお楽しみください!
ソレデハ、ご覧ください!↓↓
勇者クロムから唐突な休みを貰ってから3日経った。
過ぎてしまえば一瞬だが、模擬戦しかりシャドウバイトの件しかり、※1"クリエイト"強化計画もとい地獄の稽古しかり……
この3日の間に色々あったなぁ。
ん、地獄の稽古!?
何やら聞きなれないワードがあるなぁと思ったそこの貴方。
頼む、それにだけは振れないで……
俺はその稽古で、スキル無しの実力が、どれ程までに終わってるのか、弱いのかを知った。
同時に心をバキバキに砕かれたんだ。
ホントにもぅ、そっとしてください………
※豆腐メンタル男
そっとしてくれとは言ったものの、休暇、自由時間として貰った3日は、それはもぅとてもとても濃いものであったのもまた事実。
何だかんだで俺達は全員強くなった。
焼け石に水程度ではあるが。(※悲しい)
時刻はam7:00を過ぎて数分経った頃。
例の地獄の稽古でボロボロになった俺達"クリエイト"は、本日休業中だというユキナ宅の喫茶店に屯していた。
おうおう!
朝から喫茶店だなんて良いご身分じゃねぇか!!と、思う方がいるかもしれないので先に言わせて貰う。
今の俺達に優雅に寛ぐ余裕なんてモノは無い!!
というか無理です。
助けてください(?)。
おや。『何故、そんなに死んだ顔してるのか』だって?
知るか!!!こちとら疲れとんじゃい!!!
※やつあたり
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「うーん、困ったなぁ・・・」
六人全員が座りながら顔を埋める様子を見て、ユキナの父親、ヒョウは頬をかいた。
黒の楕円メガネと中央の大きなポケットからシロクマが顔を除かせる可愛らしいデザインの水色エプロンを着用するヒョウ。
この人はユキナの家、もといこの喫茶店の店主である。
「朝食を食べたら多少元気になると思ったんだけどなぁ・・・」
「ねぇ、お姉……!いい加減体起こしなよ」
「・・・・・」
「ほら、ルナもいつまでそうやってるの?」
「うるさい……」
ユキナとルナを執拗に揺さぶるこの子はユキナの妹のアラレだ。
ユキナにメガネをかけさせて全体的に一回り小さくした様な感じだが、ユキナと違い、あまり感情の起伏を顔に出さない。
ポーカーフェイスが出来るの、凄く羨ましい・・・
「うぅ…アラレ、もう少しこうさせて・・・」
「やめて、揺さぶらないで、、、」
「はぁ………お父、どうしよう」
アラレは、最早私ではみんなの元気を出させるのは不可能だと、無理だと諦めたらしい。
すがるようにヒョウの袖を引っ張った。
「うーん。朝ご飯食べていた時も、残念ながらみんな死んだ顔で食べてたもんなぁ。
リクト君にはカレーライスを。ライデン君にはたこ焼きを。ホノカちゃんにはアップルパイ(りんご)を。ルナちゃんにはいちごジャムサンド(いちご)を。
ヒビキ君とユキナにはスイカとチョコミントアイスわデザートに着けて出したのに、僕が力不足のせいで、みんな変わらず。
ごめんね、お役に立てなくて……」
あぁ、ヒョウさん。
貴方は悪くないんです!
落胆しないでぇ!!
だが、今の俺にそれを言う体力も気力も残っていなかった。
いくら体力が回復したとしても。
体の傷が癒え、腹が満たされたとしても。
圧倒的とも言えるレベル差の暴力に蹂躙され、心にトラウマ級のキズを負わされ。
加えてボロボロのボロッボロになってしまった全身や、自身の装備・武器を目の当たりにしては、誰だって椅子に座って顔を埋めたくなるさね。
(※え?地獄の稽古って一体……)
「はぁ……」
ヒョウはお手上げだといわんばかりにため息を吐く。
その瞬間だ。まるで電話の着信音のような音が喫茶店内に響いた。
「ん!お父、電話だよ」
「こんな時間に誰だろう。ごめんねみんな、ちょっと席を外すね」
ヒョウはそういうと厨房へ急いだ。
※(一応捕捉)"クリエイト"は皆顔埋めてるから部屋で何が起きてるか知らない状態です。
それを踏まえて続きをどうぞ~
「(今、電話って言ったか?"この世界"にも電話とかあるんだ……)」
"この世界"にも電話の概念があることを知った俺はその事を聞くために体を起こそうとした。
が、まるでオイルの切れた機械の如く動きの歯切れが悪い。
ここまで酷いとガタガタガタ、と俺の体から効果音が鳴っているかもしれない。
「んぎぎぎぎ……!!ういしょっ!……ん?」
「やっと一人起きた……」
体を起こした俺を見て、アラレは少しだけ微笑んだ。
「あれ、ヒョウさんは?」
「電話がかかってきたから厨房へ行ったよ」
アラレの返答を聞くと、俺は無理やり体を伸ばしながら呟いた。
「やっぱり・・・"この世界"にも電話はあるんだ」
すると、アラレは俺の呟きに反応を示した。
「やっぱりってことは。あなたの元いた世界にもあったの?」
「うん。スマホっていうヤツがあってね。見た目は薄い板状だけどとても精密な機械で、カメラとか電話とか。
他にも色々、凄い沢山の機能を持ってたんだ」
ここでふと、俺は思った。
そうやん、"創造の手"あるからスマホ作れるやん!と。(←電波繋がらんことに気づいてない哀れな少年)
「すまほ?何それ。電話といえば水晶球じゃないんだ」
「水晶球?」
すいしょうきゅう。水晶球。水晶球。
あ!!
確か、昨日や一昨日泊まらせてもらったホノカの家やヒビキの家にも意味ありげな水晶の玉が置いてあったかも。
そうそうそうだ!
ライデンの家のリビングにも水晶の玉があったわ!
「あなたが今言ったすまほ?とちょっとだけ似たような物かも。
見た目は別物らしいけど、凄く精密に作られてて沢山の便利機能を持ってる所とか。
一般的な商品として出てきたのは数年前だけど、今でもずっと便利過ぎて最早"この世界"のインフラだよ」
「へぇ~成程・・・(すげぇ。水晶球、マジで"この世界"でのスマホの役割やってんじゃん)」
「リクト君、話を折るようで悪いけどごめんね。みんな起きて!!」
電話のため席を外していたヒョウが何やら慌てた表情で戻ってきた。
何か嬉しい事でもあったのだろうか。
ヒョウは慌てながらも興奮している。
「君達"クリエイト"が招待されたんだって!!」
興奮の余り言葉が抜け抜けのヒョウに、アラレはたじろいだ。
「招待って、何処に?」
「あ。ごめんごめん、言葉不足だったね。
さっきの連絡はセツナからだったんだけどね、あの『星空マジック』が君達をショーに招待したいんだって!
何でも、こないだ『星空マジック』の団長を助けてくれたお礼と、地獄の稽古の謝礼に貸し切りで招たーー」
その瞬間、今の今まで俯せ状態だったホノカとルナ、ヒビキが同時に体を起こした。
「えぇ!?嘘でしょ本当!!?」
「ガルさんがうちらを招待!!?しかも貸し切り!?」
「良いのか!?マジで良いのか!?くうぅッッ!!嬉し過ぎる!!」
「うぇ!?? っっ、どわぁ!!?」
三人の急なテンションの上がり具合に驚き過ぎて、俺は椅子から転げ落ちた。
「痛ってぇ~何だよ、急にみんなテンションぶち上げて大声出してさぁ………
(ん?え、何が起きてるんだ?いつの間にかライデンもユキナも大はしゃぎやん。何起き!?)」
俺は起き上がるといつの間にか立ち上がっていたライデンに聞いた。
「リクト!『星空マジック』のショーは凄いんだぞ!」
星空マジック?
何か聞いたことあるような。一体どこで?
・・・あ!!
あの時か!!(22話)
「『星空マジック』って、確か西の村長が団長の劇団だっけ?」
「そうそう!最初にガルさんに会った時は状況が状況で喜べなかったけど。
あの時は僕らの目の前に大スターがいたんだ!!」
ライデンの興奮具合も尋常ではなかった。
「へ、へぇ~。ん?ということは、俺達。
昨日までその大スター達にしごかれてたって……」
「皆まで言うなよリクト。気持ち切り換えてこうぜ!」
ヒビキ、さっきまで沈んでた人が一体何を言ってるんだ。
その眩しい笑顔にサムズアップ、今の俺からしたら何か無性に腹立つからやめてちょ。
「その通ーり!!リクト!何事も、切り換えは大事だぞ?」
突然部屋の中央に渦中の人物、ガルブレィが現れた。
余りにも突然の出来事にユキナも顔を上げ、今まで表情を変えなかったずっとアラレも驚愕している。
「が、ガルさん!?」
「だ、団長降臨……!!?」
「ども~♪」
尻尾を振って此方にピースを向けるガルさん。
何もない所からビュッと出てきたってことは、あれか。
転移魔法テレポーテーションで来たのか。
「(凄。何も無い所から突然出てきた……)もしかして、ルミナスさんも使ってた転移魔法ってやつですか?」
「うむ、正解だ!」
軽い気持ちで言ってみたら正解しました。
やったね✌️✌️
「やぁ"クリエイト"諸君。お前達とはうん。昨夜ぶりだね」
気さくに挨拶をするガルに対し、ヒョウは額に汗を浮かべていた。
「まさか、ガルさん本人が向かえに来てくださるとは……」
「あぁ、それね」
それね!?かっる!!
「君達を向かえに行く時、『星空マジック』の団員達が挙って向かえにいくなら僕が私がって大騒ぎになったんだ。
だけどね。今回ばかりは是が非でもわらわ自ら行かなくていけないと、無理やり押し通してここに来たんだ。
それくらい、今回の諸君らの招待はわらわ個人としても絶対に実現させたい事だったんだ」
ガルはそこまで言った後にボソッと、総団長には感謝だなと呟いた。
「総団長・・・それってルミナスさんの事?」
「っ!」
ルナは何かを疑問に思ったのか首を傾げながら聞くと、ガルは慌てた様子で咳払いをした。
「ううん、何でもないぞ・・・・・
さて!!今からわらわは、お前達をわらわの劇場へと招待するぞっ!
さぁさぁ皆さん、目を瞑って。OKOK!バッチリよ!
そして次にぃ、わらわが3数えたらアラ不思議!星空の遥か彼方へご案内~」
「(なんか、アレだな。テーマパークとかのアトラクションアナウンスみたいだなww)」
ガルに言われた通り俺達は目を瞑った。
「では行きますよ?1、2の、3っ!!(スペシャルマジック⑤発動!)」
ガルは"クリエイト"全員をテレポーテーションで西の村へと転移させた。
「ルナ!?お姉!?みんな、消えた………」
「わぁ凄い、生のスペシャルマジック⑤だ…!」
ポカンと唖然呆然のアラレとヒョウを見て、ガルは自身のスカートの裾を持ちつつ、礼をした。
「ではヒョウ殿、アラレ殿。宜しく頼むぞ」
「はい、此方は任せて下さい」
「え。もう行っちゃうの?」
「うむ。ごめんな、ショーの為に急がねばならんからな」
「ショー。あたしも見に行きたかったのにな・・・」
姉やルナ達は見れるのに自分だけショーを見れないなんて、と膨れっ面になったアラレ。
ガルはそんなアラレの頭を撫でながら優しい口調で言った。
「そう落ち込まないでくれ。そうだ、今度一番席を招待するぞ?」
「え本当!?」
「コラ、アラレ!ガルさん困ってるだろ?ちょ、ガルさん!そんな、悪いですよ!チケットの料金だってそんな安価なものでないのに……」
「大丈夫さ、ヒョウ殿!!団長であるわらわが直々に招待するんだ、こんな顔されちゃあ料金なんて受け取れないよ。
アラレ殿、少し待っててくれな」
「う、うん……!」
今日一の笑顔を見せたアラレを見て、ガルは心底喜んだ。
ガルは嬉しそうに尻尾を振りながら、きのえだをくるっと回す。
「ほいほいの、ホイ!」
そう言うや否やガルは木の枝を持ち、くるくると宙に何かを描く。
すると、掛け声に合わせて一枚のチケットが出てきた。
「わぁ…!」
ガルはそのチケットをアラレに渡すと、目線を合わせる為にかがんだ。
「次の公演は今日から一週間後だ。来てくれるか?
(うーん、子ども相手にこれをやるとはわらわも大人気無いなぁ。酷過ぎて心が痛むよ……)」
良心にチクリチクリと突き刺さり、嫌な冷や汗が出そうになる。
が、アラレはというと、ポーカーフェイスを崩し満面の笑みを見せた。
「勿論だよ!!」
「っっ!!!」←撃ち抜かれてる
「(わぁ、凄い尻尾振ってる…)ガルさん、娘の為にわざわざありがとうございます」
「何、礼には及ばないぞ。それと、ヒョウ殿にもこれを」
「うえぇ!?い、いいんですか!?」
驚愕するヒョウの手には、アラレの持つチケットと同じものが、もう二つあった。
「うむうむ!家族みんなでわらわ達のショーを楽しんで欲しいからな」
「あ、ありがとうございます!」
凄く格好いい台詞なのに尻尾をフリフリしてるせいでとても締まらないのが悔しい所である。
ガルは心の中で笑った。
「(ハハハ。相変わらず、格好つかないな……)では、また後程。
ヒョウ殿、そちらは任せたぞ!スペシャルマジック⑤!」
ガルはそう言い残すと、転移魔法にて"クリエイト"の後を追った。
「さーてアラレ、僕達も準備するよ。セツナ達が待ってる北の村へ行かなくちゃ」
「はーい」
一瞬で真顔に戻ったアラレ。
やはり大スターには敵わないなと頬をかくヒョウであった。
一方で、此方はソウルフォレスト西の村。
その中央に設置されたとある会場にて、叫び声が聞こえたという。
「ちょ、ここどこーー!!!」
To be continued!!!
次回、29話 星と空のサプライズ-1st-
※1 "クリエイト"強化計画だの地獄の稽古だのについてもうちょい捕捉。
時系列としては、シャドウバイト事件(17話~)を1日目として、旅立ちの日(今回)までの空白の3日間の間にあった出来事です。
当人達曰く、何度も死を覚悟する程の、本当に地獄と形容できるレベルの稽古だったそうな。
そりゃルミナスが慌てて止めに入るわな(白目)。
すみません。
話の都合上冒険者ギルドへ出発する回はもう1~2話先になりそうです。
とてもとてものんびり進んでますが、ご容赦くださいまし!
---To be continued---
(※↑2回目出てくるんは初やね。まぁ、ちっちゃいことは気にするな♨️)




