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The・Create  作者: シュウト!!
第2章 爆誕!新たなる冒険者たち
31/98

【EX03】 東奔西走(ドタバタ)ドラグナー

今回は15話の終盤で、ガロウズが先に竜王国(ドラグディミオス)に帰った所から繋がる話です。

故にガロウズ視点で話が進行します。


故意でないとはいえ、無茶苦茶やってしまったガロウズくん。

同僚のドラグナー幹部達は、そんな彼に何を思うか。


ソレデハ、ご覧ください!↓↓↓

 ど、どうも、ガロウズです。

魔王ディミオス様の配下、ドラグナー筆頭"竜の右手"として知られていたあのガロウズです。


突然ですが、そして、あまりにも情けない話ですが。

誰でもいいのでボクを助けてください!!!


というのも・・・・・


「この、大馬鹿やろう!!」

「どれだけ!私達が!!心配したと!!!思ってるの!!!!」

「全く、あんたのせいで竜王国(この国)は大パニックになったんだからね?どう責任とるつもりなの!!」

「ギブ、ギブ!!締まってる、、、シマッッ、、し"ま"っ"て"る"か"ら"!!!」


 そう。ボクが竜王(この)国から旅立って丁度1ヶ月が経ったあの日。

あの忌々しき仮面の道化師、レクに襲われた。

しかもあろうことか操られ、意識を失い"魔龍魂帝(アジ・ダハーカ)"に乗っ取られ、そのまま大暴れしてしまった。


しかし、あの少年キノシタリクト君が壊滅した村を、亡くなったハズの人々を、そしてボクすらも救った。

『時間を巻き戻す』という禁忌的であり得ない、トンデモない方法で事件を終息させてくれた。


だが、その後もリクト君の友達のホノカちゃんがいなくなったり、テンペストカイザーや黒幕本人が襲来したりと多々トラブルが発生。


やっとの思いであの場の一同はトラブルを鎮めきり、ディミオス様の命でボクは一足先に『竜王城 ロード・オブ・ドラゴン』まで帰ってきた。


水晶球の転移で一瞬だったとはいえ、流石に色々と、特に精神的に疲労困憊だ。


 こうして、ボクはグッタリしながら城の扉を開けた。


すると突然!

プリンが出会い頭にドロップキックを仕掛け、それは見事(?)ボクの顔面に炸裂。


「どりゃああぁ!!覚悟ぉぉぉ!!!!」

「ぶっ!?なっ、なんすか!?」

「ッシャオラァ!!!」


驚いて退けぞるボクに、すかさずシャチホコのラリアットが決まり、そのまま流れるように床に組伏せられた。


「ガッ!!」

「とうっ!ふんぎぃぃぃ!!!」


そして、トドメといわんばかりにメリーがボクを締めあげる。

メリーの胸部の柔らかいモノが全くクッションにならないぐらいのとんでもない威力だ。

※この間なんと0.5秒。恐ろしや


「ぐえぇ!?め、メリー!!?それに、、シャチ、ホコ、、、プリ、ンも、、、!」


 という事があり、今に至るという訳ですね。

それにしても、プリンもシャチホコもメリーも、みんなみんなヒドイ……


「おいお前ら。もうやめてくれ」


おぉ(感涙)。やはりガイアは止めてくれるんですね!


「ガイア!お前は甘過ぎる!!俺ちゃんはなぁ、ブチギレてるんだ!!」


シャチホコはいつにも増して声を荒らげた。


「だからって、ここまでする必要ないだろ?ホラ、離れろ!!」


ガイアは必死に皆を止めようとする。

頑張ってくださいガイア!!

ちょっともぅ、限界近いんで、、、、、


「いいや、離れねぇぜ!操られただか何だか知らねぇが、ガロウズは罪のない人を殺した!

平穏な村人達の日常を破壊した!

それなのに、綺麗さっぱり元通りになったからってお咎め無しだぁ!?ふざけんじゃねぇ!!!」


シャチホコの逆鱗はまだ続く。

そしてその言葉のすべてがボクの心に致命的なダメージを与える。


「この事件はァ、俺ちゃんらの筆頭がやらかしたんだぞ!これは許されねぇだろ!!そして易々と許していい訳もねぇだろ!!!」


ガイアに諭され逆上したシャチホコはボクの首を締める力を更に強めた。

もぅ、ヤバ、いっ、si、、、n、、、、、


「オイ3バカ。もうやめろ」


セインはどこから持ってきたのか、スリッパでシャチホコ、メリー、プリンの頭を叩いた。

お陰でボクの首が絞まることはなかった。

※十分手遅れ。白目向いてもうた


「ってぇな!何しやがる!!」

「~ッッ、セイン!!あんたまで何よ!!」

「お兄ちゃんまで私達を止めるつもり!?」

「当然だ。ホレ見ろ。ガロウズが泡吹いて白目向いてるだろ?やり過ぎだ」

「「「!!!」」」


呆れてため息を吐いたセイン。

大惨事のボクを見て、シャチホコ達はようやく冷静になったようだ。


プリンはペコリと頭を下げた。


「えと、ごめんね。やりすぎたわ」

「はぁ、はぁ、はぁ、、、キミ達は、キミ達は!

本当に、あり得ないっす、、、!(ま、まぁ、プリンのドロップキックはノーダメだったんすけど。なんて言ったら何されるか分かったもんじゃないので口には出しませんが………)」

「・・・ん、悪かったわねガロウズ。ほら、フル・ヒールよ」


メリーは回復魔法でボクの傷を癒す。

正直、身体なんかよりも傷ついた心を癒して欲しいんですが・・・


「わりぃわりぃ。俺ちゃん、本気で頭に来てたモンだから、つい☆」


はははと笑いながら謝るシャチホコにイラっと来た。


「っ、つ、ついじゃありませんよ!!シャッチーてば、本気で殺し(シメ)にかかってましたよね!?」

「ギクッ…」


シャチホコは体をピクッと動かした。

それに気付いたボクは本気で怒った。


「~~ッッ!!あのですねぇ、万が一あそこでボクが死んでいたらキミ達は犯罪者っすよ!?

それなのに何が『つい』っすか!!」

「犯罪者!?それは困る!!」

「そうですよね!みんなの憩いの場の『ドラゴンオンセン』の経営者にしてこの国の建設業界トップの『イタダキ組』のCEOという立場にいながらシャッチーは考え無し過ぎます!!!」

「うぐっ、悪かったよ……」


おっと。かっとなって言い過ぎてしまったようです。

ごめんなさいシャッチー、そんなにしょんぼりさせるつもりは無かったんです。


「心配ないわよシャッチー。メリーのスキル"光聖母(テレサ)"は超!回復特化なの忘れたの?

シャッチーのやり過ぎでガロウズが死んでも蘇生(リザレクション)効果のある天の祝福(ホーリーベル)で最悪何とかなるわよ」


プリンはなんてことを言うんだ。


「確かに、それもそうね」


オイ!メリー!!何納得してるんですか!!

それでもこの国の警察署長なんですか!!?


「「はぁ!!?」」


あまりにもサイコな発言にボクとガイアの声がハモった。


「あぁ、そういえばそうだったな・・・ぐへへへへ」

「(こ、これはヤバい気が・・・)」


シャチホコは凄く悪い顔で此方を見つめている。

結果的に、ボクの不吉な予感は当たることとなる・・・


「プリン!ガロウズを押さえろ!」

「合点!!」

「ちょ!!!」


 これだけどんちゃん騒ぎすれば場内の者達も異変に気付く。

リッキーとリュウセイが来てくれた!


た、助かった……


「おい、騒がしいぞ!!今何時だと思ってる、ん、だ……」

「し、正気かリアリー?」


ちょっとぉ!!!何してんすかっ!!??

リッキー!?リュウセイ!?諦めないで助けてください!!!


「また始まった・・・」

「もぅ面倒見切れん。俺は自室に戻る」


ガイアは頭を抱え、セインはあろうことか自室に戻ろうとした。

ふ、ふたりともぉぉ!!!!

諦めないで、くださいッッ!!!!!


「帰ったぞ!!お前さん達・・・・・は?」


 あぁ、なんてタイミングでディミオス様が帰ってきてしまったんだ。


頭を抱えるガイアと、自室に戻るべく歩むセイン。

ため息を吐くリュウセイとリッキー。


「えぇ………」


そして、またも締められるボクに、容赦なく技をかけるシャチホコとメリー、プリン。

この惨状に、ディミオス様は頭を抱えた。


「こ、これはまた………(駄目だ。呆れて言葉も出ねぇ…)」

「お、お帰りなさい、、ディミオス、様、、、」

「今回も、3バカがやってくれましたよ」


言葉を失ったディミオス様にリュウセイは頭を抱えながら、そう言った。


「だろうな。知ってる……」

「オイオイ!俺ちゃん達を売るのか!?」

「酷い!」

「仲間売りの外道リュウセイ!」


シャチホコにメリー、プリンは口々にリュウセイに非難や罵声を浴びせる。


「(イラッ)売るも何も、お前らガロウズを締め技で天に召そうとしてたろ。

そんな3バカに酷いも仲間売りだの言われたくねぇよ」


リュウセイはシャチホコ達を突き放すように言った。

ショックを受ける三人を見て、ディミオス様はため息を吐いた。


「(全く。どうして俺様の所にはこうも問題児がばかり集まるのだ…!)・・・なァお前さん達、いつ如何なる時でも『仲間に技をかけるのはご法度』だと何度も言ってるだろ?

だのに、それを破るとは。覚悟は出来てるのだろうな?」


 ため息を吐きながらも、ディミオス様はシャチホコ達をギロリと睨む。


「「「ヒッ!!!」」」


竜の長の瞳を見て怯えるシャチホコ達。

はは。このような光景を見ると、いよいよ竜王国に帰って来たんだなという気分になります(※失礼)。


「まぁまぁディミオス様」


リッキーはディミオス様を宥めようとした。


「はぁ、今回もリッキーの顔を立てる事にしよう。お前さん達、後でガロウズに謝るんだぞ」

「「「ハイ、すみませんでした」」」


ディミオス様を前にシャチホコとメリー、プリンの三人は、横に揃って直角に頭を下げた。

ハハッ、こーゆーのも懐かしいっすね。(白目)


「まぁ。私としてもシャチホコの言った『筆頭の起こした不祥事なのにお咎め無しだった』という点に苛立ちを覚えるのは理解できますがーー」


シャチホコは喋るリッキーを遮って喜ぶ。


「おぉリッキー!お前は俺ちゃん達の味方か!!」

「いや別に違うが?怒る気持ちは解る。だけど、だからと言って怒りのままに当たるのはいけないよな。な?」


リッキーはシャチホコを宥めるように言った。


「ぐうの音も出ない……」

「ハハハ。ま、この話は一旦置いといて。実を言うとな、俺様も悩んでたんだ。

向こうでの結論としては、ガロウズは無罪で、お咎めも無しでいい。

俺様としても非常に嬉しく喜ばしい結果になったのだが、魔王という立場から見たら話は別だ。

本当にこのままで良いのだろうか、とな」


ディミオス様は深い深~いため息を吐いた。


「・・・」

「すまないな、ガロウズ。お前さんが一番辛いのは皆、解ってるさ。

そ、れ、に、この話題は、こんな所で話す話題でも無いなよぁ」


ディミオス様は城の玄関に屯するボク達を遠くから伺う配下達の方を向きながらそう言った。


「とりあえず、全員、俺様の部屋に来い。セイン、お前さんもな」


ディミオス様はスーッと帰ろうとしていたセインに笑みを向けた。


「ッ!?ぎょ、御意……」


 ディミオス様はボク達全員を自身の部屋へ向かわせた。

ディミオス様は軽く羽ばたくと、向こうで此方を伺っていた配下達の所へ行った。


みんな凄くビクッと怯えていたが、ディミオス様はとても優しい声でこう言った。


「悪いなお前さん達。お前さん達には後で結果のみ伝える。それでいいか?」

『『ぎょ、御意……!』』

「おぅ、ありがとうな。おーい、お前さん達も早く来い!」


ディミオス様は此方に手を振った。

きっと、ディミオス様は繊細なこの話題がドラグナー幹部意外の者に知れ渡ると尾ひれがついて大変な噂になり、それが国中に広まると考えたのだろう。


流石は仲間思いとして"この世界"でも有名な魔王(ディミオス)様です。

こんな、ボクなんかのために………



 あれから、5分程経っただろうか。

ディミオス様の部屋にボク含めたドラグナー幹部全員が集った。

ディミオス様は久々に8人全員集合したドラグナー幹部を見て微笑んだ。


「この部屋に幹部全員を召集したのはいつぶりだろうな。進行頼むぞ、ガロウズ」

「今回の議題ですが、そうっすね。『ボクの処遇』についてーー」


 ボクの本職はディミオス様の秘書。

ですので、会議等の司会進行を行うのは毎度ボクの仕事なのです。

しかし、まさか自分で自分の犯した事件を取り扱い、会議を進行させる事になるだなんて、想像できただろうか。


 会議を進めれば進める程に辛く苦しい現実がボクに重くのしかかる。

そして、普段は会議中でもおちゃらけているシャチホコ達ですら腕を組み、無言でボクを見つめる。


そんな状況が苦しく、辛い………


「ガロウズ・・・」


心配そうに見つめるガイア。

心配してくれるのは嬉しいが、今はその視線が辛い(くるしい)


それから暫くして、ソウルフォレストで起きた事件と、その後南の村で行った会議、そして"歩く大嵐(ウォーカータイフーン)"の3つの件について説明する、長きに渡る地獄の時間(ごうもん)が終わった。


「……これにて、現状の報告を終わります。質問等はこの次の仮面の道化師の対策を考える時、纏めてお願いします」

「・・・よしっ。ガロウズ、お疲れさん」


ポンと肩を叩いてくれたディミオス様。

それだけでボクは涙が溢れそうになる。 


しかし、今ボクが泣くのは明らかに違う。

ボクは必死になって涙を引っ込めた。


「さて、今の話と水晶球の映像は紛れもなく事実で本物ッッ!?

オイシャチホコ。それにメリーも。間違っても仮面の道化師を探そうとするんじゃないぞ!」


ディミオス様は今にも立ち上がりそうなシャチホコとメリーを止めた。


「ディミオス様ァ!!俺ちゃんの仲間がやられたんだぞ。このまま黙ってる訳にはいかねぇ!!!」

「そうですよディミオス様!!!今すぐ仮面の道化師をとっちめちゃいましょう!!」


アツく激しく怒りを爆発させる二人。

あの、キミ達さっきボクのこと締め上げてましたよね?


「お前らな。ガロウズの言ったことを忘れたのか?ガロウズは冒険者パーティ"マジカウインガー"を守る為に一度交戦したと。

だが、圧倒的な力を以て捻り潰され、意識まで完全に操作され、文字通りの操り人形にされたと。

俺達の筆頭が敵わなかったんだ。俺達じゃあ無理だ」


セインは冷静にシャチホコとメリーを止めた。


「でもよセイン!このまま大人しく指咥えたままでいいのかよ!」

「そうだよ!シャッチーの言う通りだよお兄ちゃん!」


怒りの炎が爆発寸前のシャチホコとメリー。

そんな二人を呆れたような眼差しで見つめるディミオス様だったが、二人どころかこの場の全員を震え上がらせる言葉を発した。


「(ガロウズをシメてたお前さん達がソレを言うのか)シャチホコ、メリー、よく聞け。

ヤツとは俺様とクロムの二人がかりで挑んだ。だが、ヤツにすべての攻撃を捌かれたんだ」


ディミオス様の言葉を受け、ボクは口を結び、みんなは目を見開き驚いた。


「本来の実力をヤツに見られるのは余りにも不味い。万が一ヤツに仲間がいて、どこか別の場所から観察されてたんじゃ対策(メタ)を構築されかねんからな。

その理由により俺様とクロムの双方はフルパワーを出せなかった。

しかし、それは向こうも一緒だったらしい」


ディミオス様は苦笑した。

ボク達は全員、黙っている事しかできなかった。


「この際ハッキリ言おう。仮面の道化師、レクは俺様達よりも強い…!お前さんでは到底敵わない。

それに、仮にあの場にメリーがいたとしても、レベル差(・・・・)により精神攻撃無効を突破されていただろう。全く、デタラメなヤツだ」


 ディミオス様はそういうと、やれやれと肩をすくめた。


『『・・・・・』』


部屋に一時の静寂が訪れる。


「『対仮面の道化師』は一度各国と話し合いを設ける必要がある。なので一旦保留とさせてくれ。

ヤツに実力で劣る哀れな(・・・)俺様が、お前さん達の主として頼める事は一つだ。

今、自分達の出来る事を探し、それを全力でやり遂げろ…!」


ディミオス様の言葉に対し、堅苦しく「御意」と返すリッキーとセイン、ガイアに、軽く「了解」と返すシャチホコとリュウセイ。

そんな彼らとは対称的に「はーい」と気の抜けた返しをしたメリーとプリン。


だけど、『今、自分達の出来る事を探し、それを全力でやり遂げろ』。

そう言われても、ボクは返事を返せなかった。


「・・・」

「さて、ガロウズ。実はだな、お前さんの処遇についてだが、既にみんなと決めていてな」

「はい?」


今、なんて?

ディミオス様は黙ってて悪かった、と一言詫びるとメモのような紙をボクに渡した。


「ほれ」

「は、はぁ。(なんっすか、コレ?・・・ハァ!!!?)」


理解が追いつかなくて固まるボクにシャチホコとプリン、メリーがダル絡みしてきた。


「まぁ、そういう事だ。これから忙しくなるぜ?」

「頼んだわよ!さぁて、久々に腕がなるわねぇ!!」

「なるべく沢山討伐(・・)してきてね~」


 忙しくなる?腕がなる?沢山討伐?これは一体!?

ディミオス様から受け取った紙にはこう書かれていた。



【こうです↓】

※(かっこ内)は読者向け。

素材元のモンスターがどんな雰囲気なのかを書いただけなのでガロウズ達には見えてません。


特殊機能用素材の材料 

・『ミースー』の灰 (炭。燃えてる個体とそうでない個体がある)

・『トルマール』の毛皮 (トルマリン+トロール。宝石シリーズモンスター)

・『ガラガラス』の羽根 (ガラス状のからす)

・『サンダーレオーネ』の体毛 (6話に出てきた電気のライオン)


合成繊維用素材の材料

・『ユメヒツジ』の毛皮 (もっこもこの羊)

・『チュリチュラ』の糸 (喜怒哀楽4種の顔のどれかが背中にある小さなクモ)

・『スライム』の粘液 (モンスターの癒し枠の一匹)


黒革用素材の材料

・『ファイトバッファー』の首毛 (ただの闘牛)

・『コロックス』の尻尾の毛 (デカイきつね)

・『ゴリゴラ』の体毛 (ただのゴリラ。ゴリゴリなアフロの個体もある)



「(うっわ。この雑な感じ、プリンの字っすね!?)何すかコレ。買い物のメモみたいなんですけど・・・」

「買い物のメモとは失礼ね!これはねあんた、『おつかいメモ』よ!」


いや、おつかいメモて。

買い物のメモと大差ないじゃないっすか!!


「ガロウズ。南の村の丘にて、クロムの奴が"クリエイト"に3日の休養(正確には自由時間)を与える、って言っていたのは覚えてるな?」


あぁ。仮面の道化師が帰った直後の事ですね。

勿論覚えています。


「はい。ですがそれと何の関係があるんです?」

「あの人間、キノシタリクトは今回の騒動を収めたろ?」

「え、えぇ」

「で、本人は非常に困惑していたが、森の住人達から『森の英雄』と呼ばれるようになったよな」

「は、はい……」


ディミオス様は何を言いたいのだろう。


「この話はな、リクトがまだ目を覚ます前に決まった話なんだが、そしてその後、ルミナス達と『此度の件の英雄に何か贈り物を渡したいよね』って話題が上がったんだ」


そんなに前から!?と唖然としていると、ディミオス様は続けた。

何故みんながにやついてるのかは謎だが。


「俺様としてもガロウズを救って貰っているし、当然、礼を返したい。

そこで俺様は、お礼するなら、何か形に残るような物がいいと考えた。

そう思っていた矢先、リクトは目を覚まし、南の村での会議が始まった。

その時の最後に、行く宛のないリクトは冒険者ギルドに保護して貰いながら、そこで帰還する方法を探す事になったろ?」


ディミオス様はそこまで言うと、プリンを見た。


「ふふん♪」

「???」


ギリギリ理解が追い付いていないボクを見て、ディミオス様はボクの頭をくしゃくしゃになるまで撫でた。


「ちょ!何するんですか突然!!」

「わりぃわりぃ。オーバーヒートしそうだったからな。続けるぜ?」

「むぅ…!」

「さて、リクトが冒険者になるってことは、まず装備と防具が必要だ。

でも向こうで寝てる時に"この世界"に来たリクトは一文無しの状態。それを聞いて、俺様だいぶ不憫に思えてきてな」

「つまり、どういうことです!?」


 何故か回りくどい言い方をするディミオス様。

我慢の限界に来たボクは話の核心を最速した。


「ガロウズ、お前さんはそのメモに書かれたモンスターを討伐して材料を集めてこい!

うちにはプリンという俺様同様手先が器用な神職人がいるだろ?

プリン監修の元、それらの材料から"クリエイト"六人分の装備を作成する。

そうして、明日からの3日以内に彼らの装備を完成させ、それを贈呈する。

この一連の流れが問題なく終わらせれれば、それをお前さんの咎めとし、俺様とドラグナー幹部はお前さんの不祥事を払拭することにした」


言いきった!ディミオス様、とんでもないコト言いきった!!

えええ!!?嘘でしょう!!?


「ガロウズ。この案はオレが提案したんだ。どうしても、ガロウズを何とかしてほしいとな」

「ガイア・・・!」


ガイアは微笑みながらサムズアップした。

すると、シャチホコはニヤニヤと笑いながらガイアの肩に手を置いた。


「あぁ。大変だったんだぜガロウズ?

ガイアったら、鼻水垂らす程の大号泣でさ、『ディミオス様!どうか!どうかガロウズを!!!』なんて言ってさ」


シャチホコ、今のは名演技だ……

余りにもクオリティが高過ぎて、ガイア以外の全員が爆笑した。


「ぶふっ!(ガイアごめん!吹いちゃったっす)」

「ハハハハハ」

「はっハハハハハ!」

「ぷふっ、お兄、ちゃんまで、笑っ、てるwww」

「あっははは!!」

「これはw何とも可笑しい、スマイルッwww」


ガイアは酷く赤面し、シャチホコの両肩を掴んで揺さぶった。


「しゃ、シャチホコ!!!そっ、それは絶対!死んでも言うなと!他言無用だと約束したろ!!!!」

「ははは。そうだっけ?」


 顔をこれでもかと赤くするガイアにこれでもかと爆笑するシャチホコ。


「という訳だ。また明日から頼むぜ、筆頭(ガロウズ)!」


腹を抱えて、ついつい出てきた涙を指で拭き取るディミオス様。

そう言った直後、思い出し笑いをしてしまったディミオス様。


ぷふっと吹き出すと、ガイアは目をばってんにしながら叫んだ。


「ディミオス様まで!!笑わないでくださいッ!!」


頬を膨らませてぷりぷり怒るガイアを見て、ボクは再度、竜王国に帰ってきたんだと実感した。


やはり、ボクの居場所はここ意外あり得ないみたいです。


そう、染々としていると、立ち上がったセインがボクの肩に手を乗せた。


「ガロウズ、討伐は俺も協力してやる。対象のモンスターは北は『アイスコロッサス』の氷牙の荒野、東は『シェイクオーシャン』の絶島パイシーズ・パイン、・・・と"この世界"の様々な場所を回らねばならないからな」

「よし、俺も着いてってやろう!手助けするぜ、サポート!」

「セイン!リュウセイ!」


セインとリュウセイに感謝の眼差しを向けていると、メリーとリッキーも立ち上がった。

メリーは自身の胸を叩き、リッキーは親指を立てた。


「私は留守番してるから。でも、その代わりプリンのサポートは任せて!」

「素材を入手した後の事は安心して私達に任せるがいい」

「メリー!リッキー!」


プリンは勢いよく飛び立つと、ボク達みんなの前にとどまった。

そして、元気よく右手を天に突き上げた。


「てことでみんなぁ、頑張るわよー!!」

『『おおー!!』』

「っっ、感謝します!!」

「(良かったな、ガロウズ。本当、仲間に恵まれたな)」


 斯くして、色々とお世話になったリクト君に、"クリエイト"に装備というプレゼントを贈る為。

ボクの尻拭いを手伝う為に奮起する皆の為、ドタバタの3日間が始まるのだった。




次回、EX04 スクランブル・サプライズ-がむしゃら"竜の右手(ガロウズ)"と奇想天外な森の女王(ルミナス)編-

サブタイトル、『東奔西走(ドタバタ)ドラグナー』とありますが、真にドタバタするのは今回でなく、次回です。

(※今回ですら十分ドタってるんですがそれは)



【モンスターの素材の効果】(メモ程度にどうぞ)

『ミースー』の灰 →耐火

『トルマール』の毛皮 →防寒

『ガラガラス』の羽根 →麻痺耐性

『サンダーレオーネ』の体毛 →魔力遮断

※それぞれ20%程の効果があります。


【合成繊維について】

作中でもあった通り、『ユメヒツジ』の毛と『チュリチュラ』の糸、『スライム』の粘液を混ぜ合わせて出来る。

軽くてしなやかな服ができる。

『撥水加工』のオマケつき。


【黒革について】

作中de(ry、『ファイトバッファー』の首毛、『コロックス』の尻尾の毛、『ゴリゴラ』の体毛から成る。

兎に角頑丈で耐久性はバッチシ!毒で腐らず炎で燃えない。


【プレゼントの装備についてちょこっと補足】

 まだ序盤も序盤なのに最高級化け物装備をプレゼントーなんてアホみたいなムーヴはやりません。

プリン達が作成するのはあくまでもクセの少ない初心者用(・・・・)の装備です。

まぁ、プリンの内に秘めたる職人気質が出てきて、初心者用の装備にしては凄い(アホな)のが出来るのですが(白目)


余談のコーナー

※正直、チュリチュラさんは出したくなかったです。

どうしてって?

何故なら僕がクモ嫌いだからですねー。


そうです!ポケモンを愛して愛してやまない僕が!

1000匹以上いる中でも唯一イトマルが『嫌い』という程にはねぇ!(好きな方は申し訳ない)


※クモポケモン、バチュル(←ノミじゃね?)やデンチュラ、シズクモやタマンチュラ等のわりかし可愛い系(?)はギリッギリ!ホント、ギリッギリ克服しましたが、アリアドスやオニシズクモなんかはまだまだ苦手の部類だったりします。


イトマルとワナイダーは論外!!


ワナイダー「ナニィ!?」

お前も8本足だから嫌いじゃ。イーユイで焼き払ったる!

イーユイ「ミヨヨ(何故呼ばれたし)!?」

イトマル「僕、足6本だけどdーー」

DA・MA・RE!!!!!

イトマル「えぇ…(ドン引)」

読者「えぇ…(困惑)」



すまんかった。



あ、そうそう。余談ですが、いつかチュリチュラのヌシが作中に出てくる時がきます。

虫嫌いの方々よ、震えて眠れ(白目)




---To be continued---

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