【12話】 パーティができて、問題もできた
森の管理者、ルミナスが登場!
現場は(一部以外)パニック!
はてさてどうなるThe・Create!
かつてここまで雑なあらすじがあったであろうか。
「えええええええ!?」←前回の続き
「細部に至るまで、わしの予想通りの反応じゃ……」
ルミナスは驚く俺達を見て苦笑した。
その後すぐに魔王ディミオスと勇者クロムに後悔の言葉を投げた。
「はぁ。来るんじゃなかったわぃ」
「ルミナスよ。俺様達みたくお伽噺になるようなやつがここへ来たんだ、当然の反応だ。寧ろこれが正しい反応だろうよ」
ディミオスは肩をすくめた。
「あはは~。まぁ、ルミナスは頼まれたら断れない性格だもんねぇ^^」
クロムは爽やかな笑顔をルミナスに向ける。
すると、それを見たルミナスは怒った。
「むうぅクロムめ!わしを馬鹿にしおって!!」
「ははは、来てくれてありがとうね。それはそうと、今度なにか奢ろうか?」
「お主、本気でで後で覚えておくがよい……!」
「はは、怖いって」
俺達を前にしてるのに軽口を叩き合うクロムとルミナス。
周囲の反応は自然と同じものになっていった。
ディミオスとクロム、ルミナスの三人以外は全員!全員がポカーンとして置いてけぼりになっている。
周りの人達と同じように、俺も唖然としながら三人の様子を見ていた。
「本当に、凄い人が来たなぁ・・・」
「そうね・・・」
「同感」
俺の呟きにホノカとライデンが乗った。
その時、俺はルミナスと目が合った。
「ぬ?(ふむ、こやつがキノシタリクトか?ほぅ、こやつがか)ふぅん♪」
「?!(な、なんだなんだ!?)」
「まぁ、そうじゃな。来なきゃいけない理由があるからここへ来たのじゃがな。リクトよ!」
「!?」
完全に気を抜いてた。
突然ルミナスからお呼びがかかり、椅子に座る俺の背筋が伸びた。
「わしはお主に礼を言わねばならぬのだ。ほれ、さっき座った所で悪いが立つがよい。お主らもだ」
どうやら俺だけでなくライデンとホノカ、ユキナ、ヒビキ、ルナにも用らしい。
俺達は慌てて立ち上った。
「は、はい!」
「(僕達にも用?)」
「(何だろう……)」
「(さ、さぁ)」
「(とりあえず立つぞ)」
「(?うん……)」
「うむうむ。まず、わしはな、かなり特別な精霊族でのぅ、木霊族や木妖人の様に森と一体化できる力を持つ。故にこの森全土で起きた事象の全てを知っておる。
つまるところ、お主だけでなくこの村の人達の事も余すことなく知っておる」
「は、はぁ・・・(何それ。自動解析よりプライバシー無いやん)」
このデカイ森で起きた事全て分かるって。
スケールの大きさに俺はまぬけな声が出てしまった。
「安心せい。わしがこの力を悪用したことは一度もないし、する気なんて微塵もない。この森に誓ってな」
心を読まれたのか?
※否、顔に出てただけです。
「お主は五日前の忌々しき事件の被害を南の村で抑え、この森全体へ被害や悪影響が出る前に"魔龍魂帝"を食い止めた。
ただの人間がそんな事をするなんて、それでけでも十分凄い偉業じゃ。じゃが、お主はそれだけにとどまらず、この南の村を完全に修復してみせた!」
改めて聞くと、ドン引きだ。
俺、そんな事やったんだ。めちゃくちゃバケモンじゃん!
まぁ、それもこれも全部"創造の手"達イカれスキルがあったお陰なのだが。
「はは。"創造の手"の、スキルのお陰ですけどね」
「よいよい。じゃがの、あの時のわしは生憎、事件前日に行われた大会議のせいで眠っておったのだ。すまんが言い訳も聞いてほしい…!」
ルミナスの表情は悔しさに歪んだ。
凄くすごく、顔を見てるだけでも心が痛くなる。
「この森には元々強固な防衛体制があっての?お主らが良く見ていたであろう光るキノコがそれじゃ。カース・ゼロより生まれし呪い、モンスターを浄化するわし特製のキノコ、それのお陰でこの森は"この世界"で唯一モンスターが沸かぬの場所になっていたのじゃ」
あの光るキノコって、そんな効果あったのか。
え、あの時(2話)万が一食べてたら死んでた可能性あるじゃん!
「え、ということは万が一食べたら……」
「む?アレは食べられんぞ。じゃが、万が一でも食した者はそうじゃの。体内から浄化されて即座に天に召されるじゃろな」
「(ゾッとする……良かった。あの時食べなくて………)」
「(え、リクト君。アレ食べようとしたの?)」
人知れず俺の顔は青くなった。
「今回の事件は、数百年破られなかったわし自慢のシステムだとたかを括っておったわしの注意不足とクロムの冒険者達の適当な采配からなるものじゃ。
・・・まさに一生の不覚。申し訳ない!!」
ルミナスは目を閉じ頭を下げた。
「ちょ、え!?」
俺は突然の事に周囲に助けを求めた。
だが、みんな騒然としていて助けは得られなかった。
「っっ・・・(持たれてる。凄い根に持たれてる・・・)」
その一方で頬をかいて目線が定まらないクロムの姿もあったわけかだが。
え、この人も関係してるの!?
「ちょ、ルミナス!適当とは失礼な」
「お主!今は黙っとれ!!!」
「すみませんでした………」
「えぇ(困惑)」
そうだ思い出した。
そういえば、ガロウズさん達の話にあったよな。
クロムさんの指示で精霊樹?に向かったって。
あ、そうじゃん!!
クロムさんてガロウズさんや"マジカウインガー"さん達がソウルフォレストに行くきっかけを作った張本人じゃん!
(詳しくはEX01後参照)
ま、まぁ、仮面の道化師については本当にイレギュラーだったんだろう。
「リクトよ。そしてライデン、ホノカ、ユキナ、ヒビキ、ルナ。村長バルと一緒にこの村を、そしてこの森を守る為に戦ってくれてありがとう!お主らには後でわしから詫びをさせてくれ」
「いえいえそんな…!」
「森の管理者からのお詫びなんて、そんな大層なものは流石に受け取れないです!」
「ユキナの言う通りです。俺達はやるべき事をしただけです。それに、俺達はロウズに手も足も出なかった。受け取る資格なんて無いです」
慌てて手を振るホノカと慌てながらも断るユキナ。
そしてキッパリと断ったヒビキ。
ルミナスはポカンとしてしまった。
「なんと、想定外の反応じゃ」
「ユキナ、ヒビキ。お前達の気持ちは分かるけど、貰えるもんは貰っておけ。管理者本人が言ってるんだ。大丈夫さ」
腕を組んだバルはユキナとヒビキを諭した。
「師匠……」
「うむ。こやつの言う通り、そう悲観するでない。お主らのお陰で森の平和が保たれたのじゃ。
わしの森を守ってくれてありがとう。感謝するぞ!!」
俺とライデン、ホノカ、ユキナ、ヒビキ、ルナの六人は森の管理者ルミナスから直々に感謝の言葉を伝えられたのだった。
「後。ついでに、旧友の配下を救ったことにも感謝してるぞ!」
「あ"?ちょっと待て!」
「つ、ついで・・・」
ディミオスは不意にガロウズの件を出されて面食らった。
当然の話だが、ガロウズをついで扱いしたルミナスに対して癪に障ったようだ。
「おいコラ。俺様の可愛い部下をついで扱いするんじゃない」
「あ"ぁ"?ついでじゃついで!」
ルミナスはまるで逆鱗に触れたかのように怒りだした。
勇魔六英雄と森の管理者のぶつかり合いが今ここに勃発するのか?
「えぇ・・・」 ←可哀想なガロウズ
「おいおいルミナス、そんなにいきり立つなよ」
クロムが興奮するルミナスをなだめようとした。
あ、ちょ!貴方がそれしちゃマズイでしょうが!!
案の定、怒りの標的がクロムに移ったようで、ルミナスは徐に首を動かし、目をギランと光らせた。(予定調和♨️)
「なんじゃと!?(←ぷっちんお怒りモード)何故わしがいきり立っておるか解るか?いや、自由人なお主には解るまい!
わしはな?ガロウズと、"マジカウインガー"達を!!わしが披露MAXという最悪なタイミングで精霊樹に向かわせたお主に、いっちばん腹を立たせておるのじゃあ!!!」
「「「ヒィィ!!」」」
"マジカウインガー"と急に名指しされたので、クロウとウル、パーラは怯えた。
だが、怒りの対象が自分達じゃないと知って心底安心した様子を見せた。
寧ろ冷や汗をかいているのはクロム本人だ。
「(マズイマズイ、ルミナスったら完全に怒ってるじゃん!!)」
「あの時お主がテキトーにこやつらを動かしていなければ、今回の事件は防げたのやも知れないのだぞ!」
「なっ、テキトーにとは失礼な!!」
「DA・MA・RE!!」
「はい」
怖。
「更に言うとな、中央王都の会議にお主が!当日に!わしを呼ばなければあそこまで疲労困憊になることもなかったのじゃ!
コレはお主の杜撰さ適当さが此度の原因じゃ!!」
Oh~こーれは完全に八つ当たりである。
※ルミナスは悪くないというのもまた事実
「る、ルミナス。杜撰で適当ってのは流石に酷くない?」
「ほぉ?適当に決めたというのは"マジカウインガー"の三人が証言しておったぞ。なぁお主ら?」
ルミナスはニヤニヤした目付きでクロウを見た。
クロウとは口笛を吹いて誤魔化そうとしているが、ガロウズとウルは諦めたように力のない声で笑っているし、パーラなんてあちゃーと頭を抱えている。
「ソウルフォレストに入ってからこやつらは馬車内で言っておったぞ?
『長い会議が終わって一段落しているルミナスさんがわざわざわたし達につき合う訳無いよね』だとか、『ギルマスはいつもノリだけで決めてるよね』とか、『寝かせろ!!ってドやされるだろうなぁ』とか。他にも色々あったぞ?五月蝿くてよく寝付けなかったけどのぅ」
「す、すみませんでしたぁ!!」
「ごめんなさい!!」
「こ、心当たりが、ありすぎる……」
「(確かに。ボクは何度もクロム殿の愚痴を聞かされたっけ)」
必死に謝るクロウとパーラ。そして冷や汗をかくウルと苦笑するガロウズ。
彼女らを無理やり見させるルミナスは、更にクロムに追い討ちをかけた。
「・・・ふふふ、杜撰で適当な指示のせいで愚痴をずっと聞かされていたガロウズの身にもなったらどうかのぅ?勇者クロムよ」
「わ、悪かった!悪かったよ!ぼくが悪ぅございました!」
クロムは胸の前で手を合わせてルミナスに謝罪を入れた。
だが、ルミナスは邪悪な笑みを浮かべたままだ。
「おおっとクロムよ。謝るのはわしにだけかの?」
ルミナスはニヤニヤ120%だ。
クロウ達が慌ててルミナスの暴走(笑)を止めに入った。
「ちょ、ルミナスさん!!><」
「クロムさん、僕たちは大丈夫ですから!!」
バルやガロウズだけでなく、俺達がこのカオスな流れについていけてないのは最早言うまでもないだろう。
ルミナスの掌の上で弄ばれるクロムに、それを見て大爆笑するディミオス。
そして終始あわあわしているクロウ、ウル、パーラの姿が俺の脳裏に、記憶にガッツリこびりついたのだった♨️
(油汚れみたいだね)
◇Next…!
↑は?
あれから30分が経ち、議題は『俺について』になっていた。
というのも、『魔王の配下筆頭と生身で戦っていた人間』というどこからどう見てもヤバそうな臭いがプンプンする奴をこのまま放っておくわけにもいかないらしく。(※当たり前)
俺は何故か突然"この世界"に来てしまったことから、いつの間にか手に入れていた"創造の手"、そして作成したスキルの概要等々、今に至るまでの出来事を全部話した。
「という訳で今に至ります。(あ、あぁ・・・)」
やはりというか、予想的中というか。
誰でもない、俺が聞いても『どうせ作り話だ』と小馬鹿にしそうな内容を俺自身が皆に話したのだ。
しかもね、これのどこが厄介って、全部が全部実際に俺が体験してきた事実だという所にある。
「はぁ、完全に想定外だ・・・」
「(本当にリクトくんがいい子で助かったな。万が一とんでもない悪人だったらと考えたら寒気がするね)はは……」
「ふむ・・・わしの森に危害を加えるような奴ではないと信じておったが。改めて聞くと、とんでもないのぅ」
「いやいや、とんでもなさ過ぎるわ!!」
「・・・・・」←クロウフリーズ中
「クーちゃん、パーちゃん。僕、こんな人間、ギルドでも見たことないんだけど」
「えぇ。私も、冒険者として色んな所旅したけど。人間どこか魔人でもここまで凄い人知らないよ」
「(えぇ!?誰も別の世界から来た所には突っ込まないんすか?というか、いや、いっか……)」←考えるのを止めたガロウズ
様々なリアクションを取ってくれる皆を見て、俺は笑うことしかできなかった。
「はは、やっぱりか」
「そりゃあ、ねぇ?」
「当たり前だよリクト……」
「私達ですらあんなリアクションだったのよ?」
「なら当然、こうなるさ」
「はぁ・・・ハハハw」
「ったくお前達。知ってたなら先に言ってくれよ」
バルはため息を混じらせながらライデン達にそう言った。
「それは流石に無理だよ村長」
「何故!」
「私達だってさっき知ったのよ?」
「さっき!?」
ルナとユキナの反論されてバルは驚愕した。
「おいおい、そりゃ本当か!?」
「はい。ライデンとホノカは出会った時に話してましたけど、ユキナ達にはついさっき、病院からここへ向かう道中で話せました」
「ここに来る道中・・・成程。だからあんな顔してたのか……」
ユキナとヒビキ、ルナがここへ来た時の反応を思い出したのか、バルは苦笑してしまった。
ふと、ディミオスがとある提案をした。
「リクトよ。お前さんは"時空間支配"というスキルを持つのだろう?」
「はい」
「話の通り空間転移能力で一度行った場所になら転移できるの
であれば、お前さんの言う故郷へ帰れるのではないか?」
確かに。ディミオスの言うとおり、"時空間支配"には空間転移なる機能がある。
実は病院のシャワールームを出た時に既に試していた。
だが、俺がここにいる時点で結果は勿論……
「空間転移で帰れればいいんですけどね」
「ということはやはり……」
「せーのっ、スペースワープっ!」
俺は実際にみんなの前で実演してみた。
「おぉ!」
「なんだ、成功したじゃないか」
「あっ、帰ってきた・・・」
「た、ただいま」
どうやら、皆が成功した!と思った瞬間に帰ってきたらしく、現場には微妙な空気が漂っていた。
「何度試してもこうなります」
「成程。うーん、これはどうしたもんかね・・・」
空間転移の失敗実演を見て、とうとうクロムも唸り声を出してしまった。
すると、今まで黙っていたクロウがある質問をしてきた。
「ねえリクト君」
「はい」
「君は異世界から来たんでしょ?なら、この先行く宛とかはあるの?」
「え、行く宛!?(やば、そうじゃん!どうしよう!!)」
クロウのその一言で一気に現実に戻された気がした。
サーっと血の気が全身から引いていくような、そんな感覚だ。
「(青ざめてるってことは、そういう事だよね。よぅし!)じゃあさ、わたしから提案があるんだけど。リクト君、わたし達みたく冒険者にならない?」
「冒険、者?(ぼ、冒険者!?)」
予想の斜め上を行くまさかの提案に頭の中で復唱してしまった。
「そう♪きっと楽しいと思うけど、どうかな?」
どうかなと言われても。
隣にいたライデン達に助けを求めようとしたら、クロムは静かに、かつ注目を集めるように呟いた。
「ふむ。ぼくがリクト君の監視をするっていう名目は他の六英雄に対する口実にも使えそうだな・・・
それに、ここ最近はダンジョンボスの復活の報告も相次いでるから、足りない人手もなんとか補えそうだね。
更にうちなら衣食住の心配も無いわけだし・・・
・・・うん。クロウの意見、ぼくは賛成だね」
すっきりとしたような爽やかな笑顔を見せたクロムに対し、ディミオスは驚きの余り引き気味だ。
「オタク特有の早口……」
同じように驚いたルミナス。
彼女はディミオスの悪ノリにガッツリ乗っかった。
「ぷふっ、オタクてw」
「二人とも酷くない?」
「お前さんがそこまで人のことを考えるなんて。明日は雨か?」
「雨天はじめじめするからのぅ。わしは後免じゃ」
「ねぇ、二人とも。本当に酷くない?」
「まぁ。一旦それは置いといてだな」
「えぇ……」
俺はちょっと可哀想だと思った。
ディミオスは優しい声で俺に語りかけた。
「話を逸らして悪かったな。それで、お前さんの答えはどうだ?」
「え、俺は・・・」
ふと、バルと目が合った。
「(おっと!助けを求められたら応じてやらんと村長の名が廃るな。よし!)結論を出し辛い難しい話なのは解るぞ。
"この世界"の冒険者ってのは報酬や名声だけに注目されがちだが、リスクも一緒に付きまとう危険な職種だ。後悔の無いよう、よく悩むんだ」
リスクか・・・
後悔の無いよう悩めって言われても、道はほぼ一つしか無さそうなんですが。
「ちなみに、俺は良いと思うぜ?なんせ俺はな、"サンライズ"っていうパーティのリーダーを務めていた元冒険者なんだからな」
バルは笑顔で親指を立てる。
めちゃめちゃ冒険者を押すなと思ってたけど、そうかそうか、元冒険者だったのか。
は???
「え!?」
「嘘ぉ!」
「村長!ソレ本当!?」
俺は意外な事実に驚いた。
ホノカとルナが大声を出したことにも驚いたし、ライデンとユキナ、ヒビキも驚愕の表情を浮かべたのにも驚いたけど。
「バルは公には言ってないから今の若い子達が知らないのは当然じゃろ。まぁの、物凄く面倒じゃったがわしも"サンライズ"で冒険してた訳だし」
ルミナスはとんでもない事を言い放った。
『『ええええ!!!???』』
「「「嘘ぉぉぉ!!!」」」
絶叫をあげるのは俺達6人とクロウ達三人。
見事に声をハモらせたので相当五月蝿くなってしまった。
「えー!け、結構意外ですねぇ」
「じゃろ?まぁ、それもこれも」
「うん。ぼくが黒幕だね☆」
クロムさん、そんな笑顔で親指立てないでくださいよ。
それに、ルミナスさんがあんな酷い形相でクロムさんを睨む位って、本当に一体何があったのか。
「まぁの。面倒じゃったが良い思い出だったから、悪くは思っておらん♪そうだ、バルよ彼奴らは息災かの?」
ルミナスはばれたからかバルと普通に接してる。
まぁ、お互いに所々勘づける箇所はあったけども、今となってはどうでもいいか。
「あぁ。全員健康、みんな変わりないぞ」
「そかそか。また今度皆と会いたいのぅ」
「ハハハ、アイツが許してくれたらいいんじゃね?」
「うむぅ、あやつはわしの事になるとIQが下がるからのぅ。到底許しを貰えるとは思えん」
「ハハハハハ」
「笑い事じゃないんじゃぞ!?」
アイツ?アイツとは誰の事だ?
「あの、バルさん。"サンライズ"のメンバーについて聞きたいんですけど!」
興奮気味のクロウはバルに当時の事を聞きたがっている。
「俺は別に良いけど、まずはリクトの回答を聞いてからな」
「ギクッ!!!」
折角話が逸れたと思ったのに。(←ひよっとる)
まぁでも、頼れる先輩がいて、生活する場所も提供されているのはありがたい。
寧ろ、これ以上無いくらい条件が神がかっている。
「(……ひよってても始まらないもんな。よし!)」
「(ほぅ。かなり、いや。とても良い表情になったじゃねぇか…!)」
一瞬、ディミオスが俺を見て嬉しそうに微笑んだ気がする。
「俺、冒険者やります!やらせてください!」
「よし!」
「決まりだね」
ガッツポーズをしたディミオスと指をパチンと鳴らしたクロムは声を揃えて立ち上がった。
「うむうむ。実にめでたいのぅ。ん?お主らは何をもじもじしておるのだ?」
「「っっ!!」」
「「「っ!??」」」
「どうしたんです?(?あ。あぁ・・・成程)」
ふと、声を上げたルミナスにガロウズは首を傾げた。
「?(なんだ?)」
妙にやれやれといった表情をしているガロウズ。
一体どうしたのだろうか。
気になった俺はガロウズの視線の先を見てみる。
すると、そこにいたのはライデン、ホノカ、ユキナ、ヒビキ、ルナの五人だった。
「どうしたの?」
「(こーゆーの一度やってみたかったのよな♪)ふふっ、お主ら。言いたい事があるのなら早く言った方がいいぞ♪」
「っっ、!!」
ホノカは自身の頬っぺたをパチンと叩くと喋り出した。
「あのね、リクト。実はね、冒険者がどうこうって話はリクトが寝てた時にも出た話題なの。
それでね、私達がリクトの看病をしてた時に『もしリクトが冒険者をやるのなら、私達も一緒にやろう!』ってみんなとそう決めたの」
「え、マジ?いいの?」
驚きの余りポロリと本音が出た。
すると、ライデンがホノカに変わって話出した。
「うん。僕達は四日前の会議に参加してたからね。議題でリクトについて上がった時から僕達はどうするか、みんなで色々考えてたんだ」
ライデンに続いてヒビキも言った。
「でもってさ、ただ冒険者として行動を共にするだけでなく、リクトを元の世界に返してあげる為に俺達も手伝えたらいいなって思った。だから、俺達にも協力させてほしい」
「ライデン、ヒビキ……」
「それにねリクト。リクトはこの森の英雄なんだよ?」
「は?」
確か、病院で医院長さんも言ってたな。
俺が森の英雄?嘘だろ。
「え!?」←タイムラグで二発目の驚き
「病院でも言われなかった?」
「医院長さんに言われた」
「やっぱり!フフフ、多分今頃この森中にウワサは広がってるハズだよ?」
誉めたいのかからかいたいのか、混乱する俺を見てルナはケラケラ笑った。
「もう、ルナったらやめなさい。リクト君が困ってるでしょ?」
ユキナは言いたい放題言うルナを優しく静止させ、話を続けた。
「ありがとうユキナ。あのさ、俺が英雄って流石に冗談だよね?」
「ううん。リクト君が森の英雄なのは本当よ」
え!?
「え!!?」
「そもそも、英雄已然にリクト君は私たちの大切な友達です。友達の手伝いしたいっていうのは自然な話でしょ?」
そう言ったユキナははにかんだ笑顔を見せた。
「(なんてこった………)」
「(お前さん、良いこと言うじゃねえの)ん、おや?」
「(ふふっ。やはりこやつらは、わしの知る通りの良い子達じゃったな)おやおや?リクトよ、急に目を押さえてどうした?」
あーあやっぱり気付かれた。
涙堪えて全身震えてるというのに、こちとら顔に出やすいから必死に堪えてるの!
だから脇腹を突っつくのはお辞めください(切実)。
「こ、この場合は、よろしくで良いのかな」
手の甲で涙を拭った俺はライデン達に向けて笑顔で言った。
「うむ。わしはそれで良いと思うぞ~」
ルミナスは突然浮遊したかと思えば俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「新たな冒険者所か新たなパーティが爆誕したな」
「であれば、パーティ名も考えないとね」
ボンバーヘッドになった俺はライデン達やクロウ達も交えてわいのわいの盛り上がっていた。
だが、クロムのこの発言に皆固まって顔を見合わせた。
「パーティ名?(すげぇ、ここもゲームみたいだ)」
「そっかぁ、頭から完全に抜けてたな」
「パーティ名・・・・・」
「うーん、困ったな」
「良いアイディア募集」
「どうしよう。ごめん、全然思い付かないや」
暫くの間会議室中に俺達の唸り声が響いた。
ふと、ホノカがあっと大きな声を上げた。
「・・・・・あ!!やばっ!凄く良いの思い付いちゃった!」
「教えてホノカ!どんな名前?」
ルナにせがまれたホノカは一旦間を置いた。
「ずばり、"クリエイト"よ!」
「その心は?」
ヒビキは満点の合いの手を入れた。
ホノカは完璧すぎた合いの手に困惑しかけたが、由来を俺達に聞かせてくれた。
「え、えっとね。『リクトの持ってるスキル"創造の手"のように、私たちみんなでこのパーティを創りあげて行こう!』って意味を込めたんだけど、どうかな?」
「・・・賛成っ!!」
真っ先に賛成の声を上げたのは俺達五人ではなくクロウだった。
「え!?ちょ、クーちゃん!?」
「クロウちゃん///(恥ずかしいよぉ)」←パーラ顔真っ赤
「あ///(察)」
反射的に声が出たようで、妹二人の反応を見たクロウは茹であがったように赤くなっていた。
「す、スミマセンー」
「ごめんね、うちのお姉ちゃんか」
「いえいえ(ひえぇ、ビックリしたぁ)」
「まるでコントを見てるみたいじゃの。それにしても、ホノカの案は『クリエイト』か」
「そうっすねぇ。いいんじゃないっすか?ボクもアリだと思いますね」
凄く良い名前なのだが、ホノカには悪いけど、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!!
「あのさ、みんなはどう思う訳?俺はめっちゃハズカシイんだけど」
「そうかな?僕は気に入ったよ」
「私もしっくり来ちゃった」
「由来も込みで最高のパーティ名だと思うぞ」
「うちもクロウちゃん達とおんなじ!大賛成!」
Oh No………やっぱりそうですよねー
「リクトは変えた方がいいと思うの?」
「へ!?」
か弱い声が聞こえてきたのでホノカの目をよく見たら、涙目になっていた。
「いや、違う違う!パーティの名前のクリエイトは凄く良いと思うよ?でも待って、由来が、恥ずかし過ぎてさ・・・」
ここで周囲の目をよく見てみよう。
あらま、凄くニヤニヤしておる。
誰かに言われなくても解る。
俺の顔が赤くなっているのだろう?
仕方ないやん!!
「じゃ、決定っ♪」
「お昼も近いし会議はここで終えちゃうぞー」
「了解だ」
「お疲れ様~」
斯くしてこの日、ソウルフォレストから一つの冒険者のパーティが生まれた。
そのパーティの名は、"クリエイト"。六人の人間で構成された素晴らしいパーティだ!
いまはまだその予定だが、いつかきっと、最高のパーティになる!なってやるんだ!!
◇
長い会議を終え、村長宅からわらわらと人が出てきた。
その中に魔王と勇者がいるので、物珍しさにこの村だけでなく、他の村からも見物人が続々と集まってきた。
ディミオスは見物人なんてお構い無しだと体をぐいいーと伸ばした。
「さぁて、これで終わり!と言いたい所だが、クロムよ。実は全然始まったばかりなんだよな?」
「あぁ。きみの部下をも操った者が野放しとなれば、"この世界"全体が危機に瀕している。そう言っても過言では無いからね」
「てことは、次のお茶会には各国の管理者達も呼ばないといけないな。折角のお茶会だってのに、まぁこの際割り切るしかないわな」
「あぁそうだね」
クロムは視界の端で帰ろうとするルミナスを見つけると、慌てて声をかけた。
「おっとルミナス!当然、きみにも来てもらうからね?」
「わ、解っとるわい……!!(うえぇ、仕方ないのぅ……)」
「クロムさん、わたしたちは一旦ジャンヌ・ヴァルクのギルドに戻ります」
「あぁ、その方がいい。午後はゆっくりして、しっかり疲れを取るんだよ」
「「「解りました」」」
俺はギルマスとしての勇者クロムの姿を見た。
そのカッコいい姿に、ただのおちゃらけ自由人ではなかったようだと評価を改めたのだった。
「(凄いな、クロムさんって自由気ままな人だとばかり思ってたけど、やる時はやる人なんだな。というかなんだ、めちゃめちゃカッコいいじゃん!)」←そりゃ勇者ですから
俺はふと、体を伸ばした。
「んんー!!さぁて、お昼は何食べようかな」
「そっか。"創造の手"で出せるんだったな」
「そう。便利でしょ~」
「いいなぁ~羨ましいなぁ。っっ!!?」
何気ない、他愛のない会話をしていたら、急にホノカの表情が強ばった。
「ホノカ、どうしたの?」
「げ、どうしよう。パパと目があっちゃった」
「あーもしかしてホノカ、ホムラさんと喧嘩したっきり仲直りしてないのか?」
「ホムラさん?」
「あぁ。あの人、ホノカのお父さんなんだ」
ヒビキは遠目で見える赤と青のチェック柄の服を着た金髪の男性を指差して言った。
あの人が、ホノカのお父さんなんだ。
それにしても、今ヒビキの言ったホノカと父親との喧嘩って何だ?
人の家の事情に首を突っ込むのはアレだけども、気になるものは仕方ない。人間だもん。
「へぇ。それで、喧嘩って?」
「ホノカのパパって過保護で頑固だってプチ有名なんだ」
「それでね、私たちが冒険者になるって決めた時に各々家族に報告しに戻ったんだけど。
その時ホノカはホムラさんと思い切り衝突しちゃったみたいでね」
あー、直感的にヤバそうだって解った。
思い切り衝突かぁ。コレ、どうにか穏便に済ませれないかね?
「あ、なんか聞いちゃいけないこと聞いたかも。ごめん・・・」
「え?あぁうん。大丈夫大丈夫!」
一瞬、ホノカは心ここにあらずといった感じだったが。
本当に大丈夫なのか?
「全く、一体何が大丈夫なんだ」
「げっ」
ホノカのお父さん襲来!
「なんだその態度は。父親に向かって『げっ』て何だ、『げっ』て!」
「別に、なんでもありませんけど……」
ホノカの態度は凄くよそよそしい。
ギスギスし過ぎて最早こっちが辛いまであるレベルだ。
「ホノカ、村長からも話は聞いたぞ。本当に冒険者になるつもりなんだな?」
「前からずっと言ってたでしょ?今の私は大丈夫よ」
「その大丈夫はどこから来るんだ。村の英雄がいるからか?それとも友達がいるからか?」
「っっっ~~~うるさいわね!!今の私は前の私と違うの。魔法を安定して出せるようになって完全完璧に"火魔術師"のスキルを使いこなせるようになったんだから!」
「それはお前の思い違いだろ。まぐれで技が出て喜んでるだけだろ。違うか?」
「マクレじゃないわよ!!」
「じゃあ俺の目の前で見せてみやがれ」
お互い引くに引けないようで、話があらぬ方向へと進んでいっているのに気づいていないようだ。
だがしかし、二人の圧が凄すぎて誰も止めに入れない。
「わかったわよ!リクト、結界おねがい」
「お、おう(こ~れは凄いことになったな……)」
偉いこっちゃと思いながら、俺はとりあえず村をぐるっとワイドプロテクションで覆った。
「ほぉ、流石は村の英雄。中々頑丈そうな結界だな」
「それはどうも(なんだ?皮肉混じりに聞こえたけど。ま、いい。こういうのは素直に受け取っとこう)」
「はあぁ!!」
ホノカはグランドフレイムやら、マジカルフレア、ファイアレーザー、火炎弾を結界に向けて放つ。
その後すぐに火の弓を生成すると、ダブルアローにファイアショット、そしてファイアインパクトといった魔力や火の弓を使う技を重点的に連発して見せた。
「はぁはぁ、どうよ?」
「……まだまだ甘いな。基礎が出来ていても応用に持っていけてないな」
「(イラっ!)別に、基礎がOKならどうとでもなるでしょ!」
「(こいつめ!)冒険者はそんな甘い考えで成せる職種じゃねぇんだよ!」
「何よ!これだけできて失敗する訳無いでしょ!?」
「お前なぁ!俺はお前の為を思って言ってやってるのに。チッ、少しは聞く耳を持て!このお馬鹿娘が!!!」
ホムラは、言い過ぎたのを自覚したのか大声を上げた刹那に青ざめる。
俺達はまるで時間が止まったかのように動けなかった。
「(や、やってしまった・・・)ほ、ホノカ……」
「そ、そんなに言わなくてもいいじゃん・・・グズっ、パパのバカぁ!!!」
涙目になったホノカは、捨て台詞を吐きながら全速力で、一目散に行ってしまった。
「なっ」
「えっ!!?」
「ちょ、マジかよ」
「ホノカ!?」
「どこ行くんだ!」
「嘘ぉ!?」
急展開再び!
次回、13話 接近する黒い嵐
気づいたらルミナスがネタキャラになってもうたんよ。
本当にごめん・・・
ホノカの父親(←ホムラ)の細かい情報は次回まで待ってください。
何であんなに過保護なのか、何故一般村人が冒険者を語ったのか、きっと全てが解るハズです。
あー、それとメイン六人の名称、決まりましたね。
今度から主人公組は"クリエイト"の六人になりましたので、よろしくお願いします( -д-)
12/12追記
ようやく魔改造という名の修正が終わりました。(逆ぅ!)
誤字脱字やら設定の抜け落ちor変更、意味不明な展開を良い感じに直したり。・・・キツかったです。
12/9からやっていたハズなのに、何故か3日もかかりました。
大きな変更点は無いですが、これでだいぶ読みやすくなったのてはと思います!
---To be continued---




