【EX07】 Summer Sweet memorieS (後編)
※12/2辺りの前書きです。ごめんなさい。
(by12/21のシュウト!!
最近、気温が下がりすぎてはないか?
(ヒント:12月)
ついこないだまでは、部屋の温度が33℃~35℃越えで『暑い!』だの『ヒィィー!!』だの『バーニンッ!焼き尽くせ!』だの言ってたのに。
これが本当に同じ一年なのか甚だ疑問ではありますけども。
リクト「(ダイハード……)温暖化って怖ぇ……」←?
僕「ね。怖いですねぇ」←??
はい。
今回は特に語りたい事が無いので。
そのまま番外編後半、逝ってみyo!
ツキカゲ「えぇ……それでいいのか?」
リクト「いいんじゃない?いつも雑だし」
キリュウ「それは、本当に良いのだろうか……」
ツキカゲ「同感……」
それではスターtーー
クロム「ちょっと待った!」
僕「!?」
一同『『!?』』
なんじゃあ!?ビックリしたぞクロムさん!
クロム「ちょーっと思う事があってね。ツキカゲちゃんのメインカメラ、ぼくに貸してくれないかい?」
ツキカゲ「(えっ、ギルマス!本当ですか!?)えと、アタイは全然良いですけど。原作者ァー!」
凄ぉい。建前を( )に納めてる……
※文面だから( )あっても台無しである。
ツキカゲ「で、どうなんだい?」
僕「(まぁ、別にいいけど)うっわ、俺の負担が増える………」
ツキカゲ「オイ!!」
クロム「おい!」
一同『『おぉい!!』』
リクト「台無しじゃないか!w」
冗談よ。ジョーダンジョーダンマイケrーー
リクト「あ"?」
僕「ごめんなさい」
通常本編では基本リクト視点固定なのを、EXだと気軽にメインカメラさんを交代できるので、その仕様を使いたいワケね?
読者様『『えっ、EXと○○話の違いってそーゆー事!?』』
はい。
※今明かされる衝撃の真実ゥ
クロム「そーゆーこと」
僕「成程ねぇ、Okぇい!」
クロム「やはり難しいか。……え?」
リクト&ツキカゲ「「え?」」
一同『『えっ!?』』
Okぇい!許可でぇす!
ユーカ「……前回の私みたい。っ!ワターシみたいザマスね」
僕「………」
一同『『………』』
ユーカ「せっ、せめて!何か反応してください!!」
ツキカゲ「ギルマス。メインカメラの件はアタイなら大丈夫です。原作者ァがOk出してるならいんじゃないすか?
ホラ、あそこで○ポーズ取ってますし」
クロム「……そうだね。ツキカゲちゃん、シューちゃん。感謝するよ!ありがとう」
ツキカゲ「おーす!」
僕「ファッ!?」
一同『『www』』
読者様『『草』』
おい待てぃ。誰がシューちゃんじゃ。
クロム「原作者のきみ以外いるかい?」
僕「え、いや。そこに居るやん」
モミジ&アケビ「「えっ!!?」」
シュウ「No!NoNoNo!!!」
僕「(´・ω・)」
いや。そんなに、必死に首を横に振らないでよ。
リクト「…ふっw」
パーズズ「…w」
フユ「……ぷw」
モミジ&アケビ「「ハハハっw」」
ヒナツ&ハルカ「「えぇ……(困惑)」」
シュウ「オイ!!!笑った人!ソコ!ソコ!ソコ!ソコ!ソコォ!あとソコの困惑二人!後で覚えとけよなっ」
クロム「…………とりあえず、本編始めな?」
僕「……そうしますか♨️」
シュウ「頼むから、真面目にやってくれよ」
リクト「………柊、良くやったよ」
という訳でぇ、EX07はクロムさん視点からになります。
リクト視点固定が無くなると自由度が増してイイネ!
ま、俺は苦しくなっていくんですけど……
リクト「頑張れー!(棒)」
クロム「……頼んだよ」
僕「(ヽ´ω`)……はい。頑張ります」
という事でしてぇ、本編Start!!
夜更かし冒険者達が旅館の調理室へ向かっている頃、ぼくは旅館の支配人さんと女将さんと合流し、二人を連れて影の中にダイブし、一足先に調理室の中へと向かう。
「よっと、到着っ」
床からにゅるっと生えるように出てきたぼく達。
「ま、マジですかい。一瞬瞬きしただけなのに!?」
「まぁ!すごい……あ、今明かりをつけますね」
超速影移動の便利さに感嘆としているミヤモトとササキを横目に、ぼくは白炎亭の厨房設備を一通り眺める。
流石に-アマテラス-内の凝りに凝った厨房と比較するのはアレだけども、此方も此方で必要な機材は揃っている。寧ろこれぐらいシンプルでいいのだ。
※シンプル……?
ぼくは手前のディシャップカウンターから奥にある三つのステンレスの調理台へと順に視線を向ける。
と、口角が少し上がったている気がした。
「(!ステンレス製って汚れが目立つのに。ここのスタッフ達は凄く熱心に丁寧に手入れをしてるんだ)」
年季の入った調理台とディシャップカウンターのアカ一つ無い綺麗な表面がキラリと光る。
何十年前かは忘れたけど、ここの設備は極楽の街の建物が出来上がった時に冒険者の都から寄贈したものだ。
寄贈と言っても、おめてどー!!って、すごく緩い感じだったけども。
「(あの頃から大切に使ってくれているんだね)…♪」
「………ところでクロム様。ワシらが連れてこられた理由をお尋ねしても?」
折り畳まれた旅館のエプロンを持ったまま、改まった表情のミヤモトとササキ。
もしかして、二人にまだ伝えていなかったかしら?
「あれっ。まさか……」
頷く二人を見て、ぼくは右手で目元を覆った。
「(あちゃー。またやってしまった)失礼失礼、さっきの件。許可を貰った手前で悪いんだけど、二人にも彼らの事を見守って欲しくてね。それこそ、調理室には彼らが普段使わないような設備が沢山あるわけだし。頼むよ」
勇魔六英雄たる勇者であるぼくの頼みなんて、余程の事がない限り、基本は断られない。
だからこそ、誰かに物事を頼む時には誠意というものが必要なのだ。
これは絶対、忘れてはいけない、当たり前の事だ。
そう。勇者/魔王になったからといい、決して偉くなった訳ではないのだ………
「……ほほぅ、成程。さっちゃん」
「えぇ、勿論です。私達にお任せくださーーーおや」
二人がにこりと微笑みながら承諾してくれた、まさにその時。
厨房の扉の鍵が開き、冒険者達がやって来た。
「ホント、何で電気がついtーーぎ、ギルマス!?」
「ミヤモト殿とササキ殿も。お二方の気配は感じていたが、不覚……」
目を見開くツキカゲと、珍しく素顔でいるキリュウ。
動揺気味に声を上擦らせているって事は、ぼくの気配に気付けなかったようだね。
ふふふ、みんなもまだまだ修行が足りないのぅ!
なんて。冗談はさておき、ぼくは微笑みながら冒険者達に手を振った。
「やあやあ諸君。きみ達はこれから調理室を借りる訳だけど、その格好でするつもりかい?」
あっ……と声を漏らす寝巻き姿の冒険者達。
もー、しょうがないなぁ♪
ぼくはにっこり笑み、ミヤモトとササキを冒険者達の前に出るよう促す。
「だと思ってミヤモトくんとササキちゃんに、此方!エプロンと三角巾を用意してもらったよ。
ほら、ある程度の準備はこっちでやっておくから、急いで着替えておいで」
『『!』』
その後のぼくの合図によって、ミヤモトとササキからエプロンと三角巾を貰い、慌てて部屋から出る冒険者達。
「みんな慌てて飛び出してくるものだから、何だろうって様子を見に来たけど。なーんだ、あんたの仕業ね」
冒険者達と入れ違いになるように、アリスがやって来た。
「仕業って何だよ。仕業って」
「いや?勇者サマは何を企んでいるのかなぁって」
「企むて。人聞き悪いなぁ」
自身の口元に指を当てて、くす、くすと不敵に笑うアリス。
あぁ………。そういえば、クロガネキャンプ場で夕飯食べてた時、みんなと飲んでたなぁ。(※85話参照)
一見普段通りだし、"クリエイト"と"メイプルソルジャー"の戦いを目の当たりにして酔いが覚めたって言ってたけど。
もしかして、アリスはまだ酔っているのか?
「もしかsーー」
「別にぃ、酔ってませんけど?」
ムスッと顔をしかめるアリスに先手を取られた。
どうやら本当に酔っていないらしい。
「そうかい。それは失礼」
「・・・それで、どうなのよ」
「……いくらクロノスくんにカブくん、カキくん達がいるとはいえ、調理室のものを勝手に使わせたらいけない気がしてね。
普段の生活で彼らが見ない・使わないような器具が沢山あるからね。万が一壊して弁償、なんてなったら目も当てられないし。恥ずかしいし」
ぼくの本音を聞き、アリスは驚いた表情をしている。
「えっ!?真っ先に賛成したのはあんたでしょ!そういうのを丸々飲み込んだ上で私達に許可を貰いに来たんじゃないの!?」
「それはそうだけど。みんなの話を聞いてるうちに、色々不安を覚えてきてね」
人数が多いだけに、考え方や感性の違いのズレで衝突する可能性が大いにある。
それに、今は深夜だ。普段以上に注意力が散漫になっているだろう。
ぼくが見守ってなくてはいけない。
「ある程度の導線はこっちで引いてあげなきゃ、と思ってね」
そこまで言うと、アリスは笑った。
「……む。過保護過ぎたかな?」
「ふふっ、あんたらしいわね」
アリスは一人で納得したように頷く。
「成程ね。それで、この間街の人達から貰った材料をあの子達に使わせようと」
というのも。この間、遠征1日目のスタンプラリーバトルの時にゴクラクの住人達から色々と贈り物を受け取ってしまったのだ。
断じてタカってる訳では無いし、貢がせてる訳でも無い。なのに、どういうワケか、沢山貰ってしまった。
(※ヒント:勇者)
中には、冒険者の皆さんにどうぞ~なんて進められた (※押し付けられた)薄力粉やら卵のパックやらがあったのだ。
まさか、この展開を見越して?
いや、まさかね・・・
「そう。ぼくの方でささっと使っても良かったんだけど、良い機会ができた事だし。
それに、遠征でお世話になってるのに白炎亭に材料の負担をかける訳にもいかないしね」
アリスは、ふーんと流すと、更なる問いを投げた。
「そうなると、貰った材料から何を作らせるつもり?」
「ツキカゲちゃんは確かホットミルクがどうこう、と言っていたけど。ミツバちゃんの蜂蜜をメインに使うのだろう?披露回復が極めて高い特別な蜂蜜をね。
そこに、貰った薄力粉、卵、んーーんー、ベーキングパウダーもあったような………、うーん………。
・・・・・あ。そうだ、マフィンにしよう」
「マフィン?」
『『マフィン?』』
アリスと冒険者達の疑問の声が揃った。
いつの間にか全員エプロン姿に着替え終わっていたらしい。
おぉー!みんな似合ってて、実に微笑ましい。
おや?ミツバにユキナ、ヤマブキ、モミジはヘアアレンジまでしてきているぞ。
長い髪を後ろに纏めて、ポニーテール。よく似合ってるじゃないか。
それに、ホノカやクロウ、パインは、ツインテやサイドポニテ、パイナップルヘアを崩して後ろに流していた。
三人ともロングヘアも似合ってるけども、パインは何故か機嫌悪そう。やはり真夜中で眠いのかな?
あれ、珍しい。アルセーヌが普段の仮面を外してきているぞ。
そして、どこでマスクを調達してきたのか、キリュウは素顔を隠せて満足そうだね。
それに、ライムの頭にトレードマークでもある『どこかの勇者リスペクトらしい青い鉢巻』が巻かれていない。
あれっ、左目隠れのフキノがヘアピン使って両面解禁させている。道理で照れてる訳だ。
照れてるといえば、寝巻きとエプロンの相性の問題で裸エプロンみたいな、ヤバめ外見になってしまい赤くなっているルーラがいるね。
あと、似た外見なのに涼しい顔のジンも。
そんな、個性爆発!な冒険者達の中でも、ブブとピノの二人はそのままの姿だった。
ミヤモトとササキの会話がチラチラ聞こえていたのだが、どうやら、小さい種族用のエプロン等でも入らなかったようで。
仕方ない。二人には悪いけど、そのままやってもらおう。
ん?ええと、何の話だっけ?
あ、そうか。何故マフィンを提案したかだったか。
「程よく、それこそ罪悪感を感じない程度の甘さがあって小腹を満たせる。極端に調理時間もかからない。
それに確か、水晶球にブックマークしたレシピが……、これだ…!!」
今は1:39分か。
アポロンにアテネさん、ミクセルくん、ミロルちゃん。ミヤモトさんにササキさん。冒険者が42名、ギルド職員がぼく含め6名。
残り一つは、ディミオスに贈ろう。マフィンのアイディア料としてね。
ぼくは手をパチンと叩き、冒険者達の注目を集める。
「よーし、今からみんなにはマフィンを作ってもらうよ。55個」
ぼくは水晶球をぴ、ぽ、ぱ、と操作しながら冒険者達にそう告げる。
すると、冒険者達は目を点にした。
『『え?』』
「マフィンを55個ね」
『『ごじゅう、ご……55個!?』』
「ギルマス。アタイらの予定はホットミルクのーー」
驚いたツキカゲにウインクをして言葉を詰まらせると、ぼくは続けた。
「ーーーっっ(な、何を?)」
「そう!!今いる冒険者の力を合わせて課された難題を突破せよ!」
数秒の静寂の後、躍起な表情のクロノスは言った。
「………成程。僕達はギルマスに試されていると」
「成程。ならば」
深く頷いたカブを見て、ジンはニカッと笑いながらツキカゲの背中を軽く叩いた。
「おぅよ!グズグズしてる場合じゃないよな?なぁ、提案者!」
「・・・・・よぅしわかった、旅は道連れ世は情けだ!折角エプロンまで用意してもらったんだ、外出中のアイツらの為!寝てるやつらへのサプライズの為、何よりアタイらの為、最高のマフィンを作ろうぜ……!!」(※小声)
『『おー!』』(※小声)
ツキカゲの掛け声に合わせて拳を突き上げる冒険者達。
「(あったあった、これだ)……♪」
「(……どこからマフィンか出てきたんだろうと思ったけど、成程ね、ディミオスさんの影響か。
そういえばあの魔王、料理サイトまで運営してるんだっけ。何でもありじゃない……)」
ぼくはそんな冒険者達を見ながら、水晶球にブックマークしてあったページをコピーする。
「あ、五枚しかないや」
本当は全員分印刷したかったけど、今、ぼくの手持ちにある分だけ、水晶球にて印刷。
材料やレシピが纏められた五枚の紙を調理台に置いてっと。
よし。後は、ぼく達は傍観に徹しよう。
◇
「言い出しっぺとして結構恥ずいんだけどさ、アタイ、料理の腕はからっきしなんだよね。
だから、ミツバやカブさんみたく料理ができるヤツに全体の指揮をして貰いたいんだが」
頬を赤らめたツキカゲは、右手に持ったレシピ用紙をひらひら靡かせながら言った。
「(やはり横着する為に人手を募ったのか)…………」
ジーっと睨むキリュウ。
カブは、軽くため息を吐き、頷いた。
「………分かった。任せて貰おうか」
「しっかし、ある程度準備するって話だったろ。器材の用意をする所からか」
「そ、そこまでギルマスに甘えてはいられないだろう?」
腕をグイッと捲る素振りをしたライムを見て、確かに、と返したパーズズ。
「ホラ、準備しよう」
「……はーいよっ!」
「(撤退したい。パーソナルエリアに、女子が多すぎる……)二人とも、オレも手伝おう」
「(あ、キリサメのヤツ。逃げたな?)じろーー」
「(ん?アオバのヤツ、どうしたんだ?あぁ…)今のうちに色々準備をしておくから、クロノス、ルーラ、ミツバ。分担頼んだぜ」
率先して準備に勤しむライムとパーズズの手伝いに向かったキリサメとジン。
「うん。任されたよ」
クロノスは親指を立ててジンに返事をすると、ルーラは残ったメンバーを集めた。
「それじゃあ、みんなおいで」
「はーい。ええと、ギルマスが用意したこのレシピだけどー」
皆が集まった事を確認すると、ミツバがレシピ用紙を見ながら言った。
「六人前のグラム数が書かれてるんだけど………。あ。
ちょっと待って、そう言えばだけど、この中でどれくらいの人数料理に苦手意識持ってる?恥ずかしがらずに教えて頂戴?」
話の途中でハッとしたミツバは皆にそう問いかけた。
「アタイは最初に言った通り。ま、指示が出りゃその通りにやれるよ」
「ツッキはセンスあるのに、なんで苦手意識があるのかなぁ?」
ニコニコしながらツキカゲをからかうミツバ。
すると、手がちらほら挙がった。
「そもそも我に料理はできぬ。どれだけ協力したくとも、この身体ではな……」
『『・・・』』
普段の威勢の良さはどこへやら。
気弱なブブの声を聞いた冒険者達は、ソレが紛れもない本心であると気付いた。
「ピィ……」
「んー、ブブとピノは仕方ないよね。やれる事があったら手伝って頂戴?頼んだわよ」
ミツバはにこりと微笑むと、ピノは躍起になった。
「ンピ!任せてよね!」
「……すまないな」
そして、彼ら以外で挙手した者だが。
ルーラにマッキー、アルセーヌ、アオバ、メロンの五人が手を上げた。かな~り小さく挙手した。
顔を赤らめ恥じらうルーラを見て、目を丸くするメロン。
「ルーラさんもですか!?意外ですね」
「………意外かぁ。クロノスとジン以外に料理が苦手なのを知られたのは初めてでね。……かなり恥じてる///」
三角巾から触角が飛び出ているマッキーは、カブ、ミツバ、ホタルに視線を向けながら堂々と言う。
「ワタシはパーティ内に家事のレベルが高いヤツしかいないからな!横着している訳ではないぞ?」
「ソレ、自分で言うんだ……。でも確かに、"セクトール"は料理、というより家事全般できるイメージあるかも。凄い、"ジェットソーダ"とは完全に真逆だなぁ。
私もヒナツもキリサメも、外食や携帯食糧なんかで適当に済ませるからなぁ」
たはは~と困り眉のアオバ。
「………無理。ごめん」
拒絶反応レベルで苦手意識があるらしいアルセーヌは、凄く首を横に振っている。
ミツバ達が首を傾げると、ユキナが補足を入れた。
「私、ソウルフォレストの南の村にある喫茶店が実家なんだけどね、小さい頃に色々あったんだ。アルセーヌがこうなるきっかけがね……」
あははーと視線を下に落としたユキナ。
ホノカはペニィと顔を見合せると、話の続きを語る。
「あったあった。ルナとペニィ、アルセーヌ、ライデン、パーズズとで店内探検だー!なんてやってたらね、アルセーヌは厨房に迷い込んじゃったのよね」
「それでその時、偶々東の村長バッツが厨房にいて、凄い怒鳴られたのよね。コラァァ!!!って思い切りね」
ユキナとホノカ、ペニィの話を聞き、あぁ……と納得する冒険者達。
「それじゃあ、なーんで今回は手伝いに来てくれたんだよ」
ツキカゲは呆れたようで、笑いながら言った。
すると、アルセーヌはギュッと拳を握る。
「………苦手を一つ、克服したい。迷惑なのは分かってる。
だけど、みんなとやれば、前に進めるかもしれない。そう思って……」
ほんの少しの静寂の後、アルセーヌの三角巾にペニィは軽くチョップを入れた。
「………ばーか。なんの為にワタシ達がいるのよ」
「そうねペニィ、よく言ったわ!アルセーヌ、ウチらは迷惑だなんて思わないから。一緒に苦手を克服しよう!」
「助力が欲しいのなら、当然!ワタクシも力を貸しましてよ?アルセーヌ、遠慮は要りませんわ」
メロンはアルセーヌの両手をギュッと掴み、モミジはグッと親指を立てた。
「………感謝」
アルセーヌは恥ずかしそうに、だけど、嬉しそうに顔を赤らめた。
数分後。分担をし終えた冒険者達がマフィン作成に取りかかった。
「オーブンの準備OK。よーし!向こうが薄力粉とベーキングパウダーをふるってる間に、こっちはこっちの事をやるよ」
「よっしゃあ!」
「あぁ駄目駄目!先にバターからだよ!卵はもう少し後でね」
「!? すまんすまん」
調理台に置いたボウルと格闘するツキカゲを指導するように両サイドに立つミツバとクロウ。
左手でボウルを抑え、中のバターを滑らか~なクリーム状にするまで、シャカ、シャカ、シャカと泡立て機を動かすツキカゲ。
「ん、ん、む。………やっぱ、慣れねぇな」
「そお?苦手って言う割には上手だよ?」
「うんうん、動作にキレがあって、ね。正直、苦手だなんて言うから右も左も分からない状態かなって身構えてたけど、ほら!もぅいい感じにとろけてるじゃん」
攪拌されたミツバとクロウに褒められたツキカゲは、自然と口元がにやけた。
そんな三人の後ろから、キリュウは笑った。
「うむうむ。クロウ殿、こやつは褒めて伸びるタイプ故な。天狗にさせてやれば良いものが出来るかもしれぬぞ?」
「へぇ~」
「そうなんだ」
キリュウの冗談に乗ったミツバとクロウ。
ツキカゲは慌ててお邪魔に抗議する。
「オイ!恥ずかしい事言うな!ってか料理なら得意なあんたがやりな!」
「なぁに、今宵の拙者は脇役で十分。ツキカゲよ、修行の一環とでも思って喜ぶがいい」
「何だよそれ……。ホレお前ら、頃合いじゃねぇか?」
静かに笑うキリュウに唖然としたジンは、脱線しかけた流れを戻した。
「お?本当だ。サンキュー、ジンの兄貴!」
「おぅ(………しっかし、コイツはいつまでオレの事をジンの兄貴と呼ぶつもりだ?こそばゆいから呼び捨てでいいと何度言えば……)むぅ……」
「(! 尻尾の先の炎がオレンジ一色の時は……)ふふ、ジンさん楽しそうですね♪」
にまーっと微笑むクロウとミツバを見て、ジンは声を荒らげた。
「!! いいから!w お前ら、目の前の事に集中しろッ」
「は~い」
「はーい」
「(ふっ、甘美な夜が始まったな。時間は、ふむ。まだ問題なしか)」
厨房の壁掛け時計には1:47分と表示されていた。
キリュウはチラリと、隣の調理台に視線をやった。
「 !向こう、バターに蜂蜜と卵を入れ始めたみたいですよ」
キリュウの視線を受けたホタルは、調理台にて粉をふるうヤマブキとフキノ、パーズズに声をかけた。
「そうか。ありがとな、ホタ君」
「………やっぱりホタ君なんですね。僕のあだ名は」
最早諦めた口調のホタル。
それに対し、うーんと唸り声を出したヤマブキ。
「何だろうな。なーんか、呼びやすいんだよな」
「分かります。ホタル君の人柄の良さがそうさせてるのかも?」
ヤマブキの回答に賛同するフキノは、にこりと微笑む。
「やめてくださいよぉ。あ、バター届きましたよ」
「はいよ!」
後ろの班から届いた溶かれた卵とバターを、ホタルはパーズズに渡す。
パーズズはふるい終えた粉とそれを、手際よくゴムベラで混ぜる。
「こう、ホッ!って切るようにするのがコツなんだよな」
素早く、されど丁寧にゴムベラを操り、ボウルの中の材料を攪拌するパーズズ。
「……凄いね」
「・・・パーズズお前、料理できるんだ。やるじゃん」
思わず作業の手をピタリと止めてしまったルーラと、ニカッと白い歯を見せたヤマブキ。
「サンキュ//………意外かもしれないけど、ソウルフォレストの連中は、殆どみんな料理できるんだ。
まぁ、料理なんて久々過ぎるからボクチンの腕は相当落ちてるけどな。ブブ、牛乳!」
「ん。ほれ」
パーズズはブブからプラ製の計量カップを受けとると、照れ隠しだといわんばかりに作業を進める。
少しずつ牛乳を入れ、生地を混ぜる。
「ほほう。一見乱雑に見えるがヘラを切って返してまた切って、とても丁寧に攪拌されている。 !それに、ボウルの周りが綺麗だ」
「わぁ、本当ですね」
頷くフキノは、両隣のヤマブキとパーズズを参考にしながら一生懸命生地を混ぜる。
そんな彼らを横目に、ルーラは現状を打破せねばと躍起になった。
三角巾に隠れて見えないが、きっと彼女の二本の癖っ気はぴょこぴょこ動いている事だろう。
「現状に甘えてちゃ駄目だな。わたしも、君達を見習わなくてはね」
「…………そういやルーラさん。料理は苦手なんだってね?」
ヤマブキは生地を混ぜながらルーラに問うた。
「あぁ。どうも、苦手意識が拭えなくてね」
「苦手意識かぁ」
「きっと、冒険者になる前の影響なんだろう」
そう言うと、大きなため息を吐いたルーラ。
普段の彼女からは想像もつかない弱気な表情に、フキノは勇気を出して声を出す。
「・・・・・すみません。敢えて伺いますが、ルーラさんの過去を聞くのは」
「無しで頼むよ」
『『(ノータイム……!)』』
即座にNOを出したルーラ。
皆は目を見開きびっくり。
「は、はい、すみません。此方こそ、野暮な事を……」
いいんだ、とフォローを入れるルーラ。
そんな皆の様子を見てかブブは感傷的になったらしい。
「………こういう、貴様らの知らない一面に我が触れる機会が来ようだなんてな。
半年前ならいざ知らず、悪名高きと呼ばれた我らがな」
「!! おっと、どしたー?おセンチおメンタルか?」
驚いたヤマブキは、ブブにダル絡みする。
「(こうやって、当たり前に反応をくれるだけでも有難いのだ。全く、今の我はどうかしているぞ。……///)」
ブブは首を軽く横に振ると、口を開く。
「ん、パーズズ達を受け入れてくれた貴様らにもだが。何より、我らと友達になろうと手を差しのべたアイツ……。
もしあの時、アイツが我に歩み寄らなかったら、こんな未来にはたどり着かなかったのだろうな」
「………ふーん。要は、オレ達とマフィン作れるのが嬉しいんだな?」
「なっ!?」
ヤマブキに図星を突かれ、何とも変な声を出したブブ。
「お前ってやつは!嬉しい事言ってくれるじゃねぇか!」
「なっ、わわわ我はそのような事を、況してや嬉しい等と言って……!!」
「はははw ブブ、流石に動揺し過ぎだぜ」
手を止めて笑うパーズズ。
挙動不審なブブに笑みが溢れる一同。
「ふふふ、僕も凄く嬉しいですよ?」
「!!…………///」
フキノの笑みを見て、ブブは悶えてしまった。
そんなブブにホタル達は暖かな視線を送るのだった。
一方で、難色な反応が飛び交っていた調理台のグループもあった。
一見、秘めたる恋心を燃やす二人と、恩人の為と志しを投合させた四人。
彼女達がマフィン作りに挑んでいるように見えるがーー
「……う"っ」
突如、ぐるぐる、まぜまぜとボウルの中の生地を混ぜている最中にピタリと身体の動きを止めたキリサメ。
「・・・ライム殿。すまぬ、交代してくれ………!!」
「えっ!?い、いいけど、どうした?」
いつの間にか全身ガッチガチになっていたキリサメは、後ろで待機していたライムと交代を頼んだ。
「……キリサメ?」
その隣には、ため息を吐いたアオバの姿があった。
ディシャップカウンター越しから冒険者達を眺める此方にも聞こえる程の大きな大きなため息だった。
「・・・アオバ、、わ、悪いが、もぅ駄目だ。無理だ…!」
いつの間にか、キリサメがかけている眼鏡のレンズに亀裂が走っている。
しかも、ヒビが入っても欠片は一切飛び散らない。
加えて、いつの間にかあのレンズ、元に戻ってるんだよね。不思議だ。
「わ、分かった!交代交代!」
「すまん、、、みんな、、片付けの時に、また、、!」
ライムはキリサメから攪拌途中の生地が入ったボウルを受けとると、キリサメはスッとその場から消えた。
「ピェ……な、何事!?」
「うーん。……やっぱ駄目かぁ」
唖然とするピノと、唸り声を出したアオバ。
「ねぇ、ホノカ、ユキナ。二人もソウルフォレスト出身なんだよね?キリサメって昔からこんな調子だった?」
ホノカとユキナは顔を見合わせる。
そして、コクリと頷いた。
「これでもだいぶ良くなった方だと思うよ?私達が小さい頃なんかは、うん……」
「私達が側にいたのに泡を吹いたり気絶しなかったんだもの。アオバ、後でキリサメの事をフォローしてあげてね」
キリサメの所有スキルには、女難の相という呪いが付与されている。
この呪い、どういうワケか、生まれつきらしいのだ。
個人的な興味があったのは否定しないが、冒険者が苦しむのは好まない。
なので、様々な冒険者の都の外部の機関に協力を仰いだり、それこそジークやアポロンにも助力を求めた。
その結果はなんとビックリ、正体不明のまま……
それでも、ヒナツやアオバには呪いの効力が弱まったり、特定の条件下で呪いに打ち勝ったりと彼の努力の成果はあるのだ。
それに、今はドが着く程の深夜なのだ。(※am1:52 now)
日中にクロガネ炭鉱でモンスター達と戦った後でもあるんだし、限界が来るのも仕方ない。
「……うん。わかったよ」
アオバは、困り眉のまま微笑み、ユキナに返事した。
「と、ところでさ、ユキナは班を振り分ける時に料理できるって言ってたけど。ホノカも、どうしてそんなに手際が良いんだ?」
ライムの素朴な疑問に、ホノカは首を傾げた。
「んーー、どうしてと言われても・・・。親が弟の世話をしていた時とかに家事を手伝ってたり、ちっちゃい頃からユキナの家に入り浸ってたからかも?」
「ピ?」
「か、家事の手伝いは分かるけど」
「なんでユキナの家?」
ピノ、ライム、アオバは一斉に頭上にハテナを浮かべた。
「あ。そっか、まだピノにも言ってたなかったんだ。私の家はソウルフォレスト南の村にある喫茶店なの。
ホノカにルナ、ペニィ、ヒビキにライデン、パーズズ達が遊びに来てはお客さんの居ない時間を見計らって、厨房に呼んでおやつを作ったりーーーなんてね」
「そうそう、ユキナのパパや妹ちゃんと一緒にね。たまに厨房にフユさんもいて、ホットケーキの出来を褒めてくれたりもしたんだ」
楽しそうに幼少期の思い出を語るホノカとユキナを見て、ピノ、ライム、アオバも自然と楽しくなってきた。
いや、元々楽しかったが、より一層楽しくなった。
「(同じパーティにいても、まだ知らない事ばかりね……)・・・今度、今度また、こういう機会があれば。キリサメも離脱せず一緒に楽しめたらいいわね。
その時はわたしも、見学したり味見したりだけでなく、みんなを手伝えたらーー」
ピノはつい、心の内を溢していた。
当人が独り言に気付いていない様子だったので、ホノカ達五人は今のを聞かなかった事にして、紙が敷かれたマフィン型に混ぜ終えた生地を流し込んだ。
「ストップストップ!」
「わわわ、ご、ごめん」
「ーーコレくらいならまだ大丈夫ね。あまり入れすぎちゃ焼く時に上手く膨らまないの」
「な、成程……」
「そうそう。それぐらいで一旦止めて、中の空気を抜くの」
「……あのさユキナ。今更だけどさ、トッピングしないの?」
「何かデコりたい気持ちは分かるけど、全体で揃えたいし、何より今日はもぅ遅いからだめだよ」
「んなぁ~」
ホノカとユキナの指導を受けながらマフィン型に生地を流し込むライムとアオバ。
「(……ふふ)!………」
彼女達の調理台から自分達の方に視線を戻したペニィ。
此方の台では、アルセーヌとメロンがモミジとカキからレクチャーを受けていた。
「そこで一度紙容器を取って、生地から空気を抜きますの」
「空気を抜く!?生地から、空気を………、???」
「大丈夫だアルセーヌ、焦るな。まずカップを持ち上げて」
「うん……」
困惑しながらも、メロンとアルセーヌは台から容器を取る。
カキは頷くと、次の指示を出す。
「そこから10cm程上げて、台に落とすんだ」
「こ、こう?」
メロンは唾を飲み込むと、そっと手を放す。
すると、容器はスポッと台に収まった。
「そうだ。上手いぞメロン。アルセーヌも、今のメロンの通りにやってみな?」
「………それっ」
「上手ですわ!これをもう2、3回やりますの」
拍手をしながら微笑むモミジと、にっと笑うカキ。
いつしか、アルセーヌとメロンから料理への苦手意識による緊張がなくなっていた。
「中の空気が減って、焼いた後の仕上がりが綺麗になるんですの。それに、無駄な気泡がなくなると、食感もきめ細やかで滑らかになるんですの」
「「成程」」
「………流石は王都のお嬢様と機械の天才ね」
モミジとカキに妬いたのか、声色が強くなってしまったペニィ。
「ワタシが出なくてもアルセーヌとメロン、上手に出来てるじゃない(!!しまっ……)」
意地悪に言ってしまったと後悔していたらーー
「ありがとう。お褒めに預かり光栄だ」
「料理は淑女の嗜みでしてよ。というかペニィ。貴女、なに妬いてるんですの?
貴女は生地を混ぜすぎた二人のフォローをやってのけたじゃないですか」
「そうだな。ペニィ、お前が二人分の生地を用意し直してくれたお陰で、わたし達はこうやって指示を出せたんだ」
「!?…………///」
まさかの返しがきて、ペニィは言葉が詰まってしまったようで。
あわや口論に発展するかと思ったが、案外やるみたいだね。
「とっ、ととと当然じゃない!ん"ん"っ、過去にあったのよ。今回のに似たシチュエーションがね」
詰まった言葉を無理やり出したせいか、ペニィに暖かい視線が向けられる。
「そのお陰よ、そ・の・お・か・げ」
耳まで赤くするペニィは外方を向いた。
「(かつて悪名高きと呼ばれた"ダークストリーム"のペニィがねぇ。本当にあの時のと同一人物なのか疑わしいよなw)そうか、成程な」
「(ペニィは何処を向いて………? あぁ、ホノカですの?)全く、貴女も素直じゃないんだから。兎に角、後は焼いてあげれば完成ですわね」
「そうね……」
顔を見合せたペニィとモミジ。
妙な達成感と深夜テンションからか、笑いが込み上げてきた。
「後は焼くだけ。……メロン。ワラワ達、頑張った!」
「ねっ!(とはいえ、カキに教わりっぱなしも癪だし、ペニィにもライムにも料理の腕でも負けて。……ウチも頑張らなくちゃ!)」
ふと、メロンは思った。
ウチらが混ぜ過ぎて、一旦寝かせている生地の末路を。
「あ、そういえば。コレ、どうするの?」
「うん?ササッとアレンジして、ホットケーキにでもしてやろうかとな」
何処から持ってきたのか、少し大きめなフライパンとフライ返しを握り、眼鏡をキラリと光らせるカキ。
「ホットケーキですか。……ほぅ?」
「良いんじゃーーーなんだ?」
「! 続報が来たか」
カキが着けていたインカムからピロリロリンと心地よい音色がなり始めた。
きっと、旅館の外でリクトを探すヒビキ達に何か進展があったのだろう。
厨房内の冒険者達は、各々の手を止め、カキに視線を向けた。
「(ッ! 2:05か。いつの間に……)ちょっと失礼して、もしもし。カキだ」
『おぅ、お疲れ様。ヒビキだ』
カキはインカムのボタンを操作し、厨房全体にヒビキの声が聞こえるようにした。
『ライデン、シュウ、フユ、ヒナツ、ハルカと合流した。さっきの話の続きだ。
・・・結論から言おう、俺達は過保護過ぎたようだ』
『『・・・???』』
カキの通信から、苦笑気味なヒビキの声が聞こえた。
場の一同が首を横に傾けた。
『過保護過ぎたというか、過剰に反応し過ぎたというか。うーん……』
『兎に角、リクトは無事よ!』
通信からスーノとモミの声が響く。
それを聞き、ホノカとユキナは安堵から崩れ落ちた。
「おっとっと。よかったな二人とも」
「(セーフ……!)ね、兎に角安心だ」
「全く、なーにしてるのよあんた達」
そんな二人をヤマブキとアオバ、ペニィが支えた。
『ライデン曰く、あいつ、流石に無茶に無茶を重ねた反動が来てるらしい』
でしょうね、と冒険者達からの総ツッコミ。
『で、そんなリクトだが、反動も落ち着いたようで、シュウやフユ達同郷組と話している。
きっと今頃、わだかまりも解けているはずだ』
真っ先に胸を撫で下ろしたのは、意外にもモミジだった。
「よかった……(!!!?ペニィとツキカゲから妙な視線が来てますの……)や、やめてくださいまし!」
慌てるモミジを見て、更ににやけるペニィとツキカゲの二人。
『カキ。そっちの状況を聞いてもいいか?確か、ホットミルクがマフィンになったんだろ?』
「さっき通信した通りな。此方の状況は……」
カキは周囲に視線をやる。
上手いこと分担したのが功を奏したようで、マフィンは後12個焼き上げれば完成。
そう、つまり2班分で課された試練が達成されるワケだ。(※マフィン55個)
「ノープログレム、と言いたいところだけど……」
「180℃余熱オーブンで後2、30分必要だ。こればっかりは仕方ない、必要経費だ」
顔をしかめるクロノスとカブ。
「で・す・が、安心してください!リクト達の分は用意できてますよ。
門限は確か2:30分、ですよね?急がないとそっちがOUTになりますよ!」
ラゴンは、トレーの上に乗せられたマフィンを見せて言った。
「じろり」
「食うなよ?」
パインにジロリと見つめられ、妙に狼狽えるマッキー。
「なっ!?く、食わないわ!パイン!!お前はワタシの事を何だと思っている!」
「………食いしん坊?」
「!!?か、仮にも先輩のワタシを食いしん坊と言うか」
「おん」
「おいコラ!!」
そんな様子もバッチリ向こうに聞こえているみたいで、向こうのヒビキ、モミ、スーノは笑った。
『そうかそうか。そんじゃ、そろそろみんなを迎えにいきますか』
『マフィンかぁ。みんな!モミ、楽しみにしてるから!美味しいの、頼んだわよ!』
『それでは皆さん、また後程』
通信が切れ、調理室に一瞬の静寂が訪れる。
冒険者達は互いに顔を見合せ、頷いた。
「よぅし、いよいよだ!クロノスさん達とカキ達の所はこのままよろしく」
ツキカゲは腕を捲りながらそう言うと、クロノスとカキはokサインを出した。
「そんじゃあ、手の空いてるヤツはこっち来い!洗い物するぞ!」
ジンは後片付けをすべく暇になった面々に召集をかけた。
すると、キリュウは分身体を出した。
「任されよ。分身生成!!」」」」
「どわっ!?キリュウ君ー?」
「貴様は。何をしてるんだ」
「こーら、分身は駄目だぞ?ここ、ただでさえ人数多くて狭いんだから」
キリュウは効率化を図ったのだろうが、そこで分身体を三つも出しちゃそうなるでしょうが。
案の定ルーラにブブ、ミツバに怒られた。
「?!………すまない。拙者としたことが、迂闊だった」
即座に分身体を消したキリュウ。
しゅんとするキリュウを見て、アオバ、ホタル、ツキカゲはフォローを入れた。
「いいよいいよ。時間も時間だし、判断力とか色々鈍るよねぇ」
「大丈夫ですよ、気持ちはしっかり受け取りましたから」
「ホレ、さっさと片付けるぞ」
「さ、急ごう…!」
復活したキリサメが手を差し出した。
「……かたじけない」
「あぁ!……オレの方も調子も戻ってきたし、ジャンジャン洗うぞ!」
「うむ、心得た」
◇
時刻は深夜、2:25分。
遂に、騒動の主が白炎亭に帰ってきた。
『『ただいまー』』
リクト達は、此方が心配していたのがアホらしくなるような満面の笑みでご帰還なすった。
全く、ようやく心の重荷が軽くなったよ。
「おかえり。……スッキリしたかい?」
真面目に注意しないと。
そう思っていたのだが、自然と上がっていた口角のせいで、うっかり本心の方が出てきてしまった。
ぼくの質問を受け、リクトは白い歯を出してニカッと笑った。
「はいっ!」
「!!(………ふふっ)」
してやられたよ。
あどけなさが残る少年の眩しい笑みに、ぼくはクラクラした。
「ギルマス。アタシ達に機会を与えてくださりありがとうございます。お陰様で、心が晴れ渡るようです」
フユは深く下げた頭を直すと、ニッと笑った。
「モミ達は振り回されっぱしだったけどね」
「ん?振り回されたから振り回し返しただけよ?」
「なっ!!あんたねぇ~」
「まぁまぁ」
小言を叩き会うモミとフユ。
いつも通り、そこにスーノは仲介に入る。
いつもの"フローズン"のやり取りに見えるが、心なしか、三人の距離がより縮まっている気がする。
「フユ姉、今深夜だぜ?もう少し声小さくしろって」
「オダマリ!」
可哀想に。ただ注意をしただけなのに、シュウは逆ギレされてしまった。
「!?もー、 何だよもー!折角下がった印象良くしてやろうと思ったのによー」
「ふん。お子ちゃまが、生意気なのよ。………ぷ」
何という事だろう。険悪ムードに進むかと思いきや、みんな笑い出した。
後方から様子を眺めていたライデン、ヒビキ、ヒナツ、ハルカまで巻き込んで。
あぁ凄い、みんな楽しそうである。
「もしあの時、ワシが少年の頼みを断っていたらどうなっていたのでしょうな」
旅館の門を施錠したミヤモトは、鍵束をくるくると回しながらぼくの隣に来た。
そして、冒険者達を眺めながら、そう呟いた。
「きっと、こんな未来にはならなかったろうね。ミヤモトくん、ありがとね。本当、ぼくの我が儘を受けてくれてありがとう」
「いえいえ此方こそ」
ミヤモトはニシシと笑うと、リクト達に声をかけた。
「さ、冒険者達よ。手を洗ったら食事処へ来てくれ」
『『はい』』
それから2分程経ち、お食事処に主役達がやってきた。
「・・・当初の予定では、ちょーっと身体を動かすだけだったんだけどな。
まさか、こんな素敵なのを用意してもらってただなんて……!!」
リクトは、唖然としながらも目を輝かせている。
「呆れるか喜ぶかどっちかにしろよ……」
「ん、ツキカゲ」
「提案者はアタイ。あんた、色々疲れてるだろうと思ってね」
ツキカゲがそう言うと、キリュウは大きな咳払いをした。
「ん"ん"っ!」
「???」
「悪かったよキリュウ!!圧かけんな!」
ツキカゲは大きなため息を吐くと、正直に話した。
「リクト。本当はな、ミツバの蜂蜜をホットミルクに入れて飲みたかったんだ。勿論アタイ自信の為にね」
「ミツバさんの、蜂蜜?」
「あぁ。アレは市販品じゃ味わえないコクと甘味があるし、披露回復効果が凄まじいんだ!だけど・・・気づいたらこうなった☆」
ずっこけたリクトは苦笑いしている。
「こうなった!?ツキカゲ、何だよソレ……」
「リクトっ!一つ取って」
「リクト君のマフィンだよ」
スタンバイしていたホノカとユキナは、トレーに乗ったマフィンをリクトに受け取るよう催促した。
「おぉ、めっちゃ美味しそう。え、食べていいの?」
何故聞くんだよと呆れる冒険者達と、コクコクコク、と首を立てに振るホノカとユキナ。
「(しっかし、ガン見された状態で食うのか)……わかった、いただきます」
リクトは胸の前で手を合わせると、マフィンの紙容器を取って、一口食べた。
瞬間、目を輝かせた。
「うまっ…!(蜂蜜味か、成程…)」
どっと沸き上がる冒険者達。
「「っっ~~///」」
「めちゃめちゃ美味しいからさ、ペロッと食べちゃったよ☆」
「「え!?」」
『『はっや!!』』
彼の手の中にはからっぽの紙容器だけ。
いつの間にか食べ終えていたようだ。
「ご馳走様でした。……ありがと、疲れ取れたよ」
ニッと笑うリクトに、ホノカとユキナは笑い返した。
「よかった、うん。本当よかった」
「リクト君には笑ってて欲しいからね、私達も頑張った甲斐があったよ」
「そんなこと、正面から言われたら照れるって」
顔を赤らめるリクトに、ヒビキやシュウを始めとした友人達が群がった。
そして、マフィン作成者のみんなも、彼を囲んでマフィンを食べ始めた。
「……ふふっ、見たかった光景が見れたのね?」
「良かったな、ギルマス。あんさん今、ものごっつ幸せそうやで」
いつの間に近くにいたのだろうか。
アリスとゼニシアはニコニコしている。
「うん。たまにはこういうイレギュラーも良いよね」
今の呟きに、メイとユーカは頷いてくれた。
「ふぉっふぉっふぉ。後は明日、起きた時にもじゃな」
「そうですね。今は寝てる子達も、喜んでくれればいいですね」
こうして、長かった遠征3日目は真に幕を下ろしたのだった。
不粋かも知れないけども、ま、これはこれで余談としてね。
言うまでもなく、夜更かししていた冒険者達は皆、寝坊した。
なので、4日目の予定はラムネードビーチのみになりました。
まぁ、元々この遠征自体イレギュラーにイレギュラーを重ねていたので、ギルド職員やアポロンやミクセル達と予定を練り直していた。なので外部に生じる問題はナシ。
単純に彼らが遊ぶ時間が減っただけなのは自業自得だね。
何だかんだで結束力を深めた冒険者達は、これからどんな姿をぼくに見せてくれるのか。とても楽しみにしている。
決して口外しないけどねっ♪
次回、91話 遠征4日目 遊べ!ラムネードビーチ!!その①
11/28(金)
サブクエスト103をクリアしました。トリミアン一匹で、レベルのごり押しで、クリアしました♨️
これにて、レジェンズZAは一通りクリアですかね。
さぁ12/10DA!待ってろメガライチュウX!!メガライチュウY!!お前達を向かえ入れる準備は万端だッ!!!
ヒャッホーーーイ!!!
12/15(月)
メガ次元ラッシュ、遊び尽くして来ました。
・エンディング後ストーリーも攻略!
・追加図鑑、コンプリートまで残り13匹まで捕獲(先が遠い)
・メガライチュウX、メガライチュウY無事GET!(最重要)
・No.0384、0678、0807。絶対許さん覚えとけ。
※12/20現在。追加図鑑残り9匹まで来ました。ランダム出現のせいで捕獲までいけません。助けてください!!
僕「メガ次元ラッシュアカン。マジでアカン!!」
リクト「(そわそわ……)もしかして、新規でメガシンカポケモン増えーー」
僕「ました!!」
リクト「おぉう!?」
一同『『(嬉しそう……)』』
僕「めちゃくちゃ増えたった。ZA本編含めて9世代のポケモン達も色々メガシンカ貰っちゃってさぁ!」
シュウ「……待て。何故そんな渋そうな顔をしているんだ?」
ライデン「確かに。君はポケモンやデュエマ、趣味の話題の時はもっと喜ぶハズだよね?それこそ、『わあぁぁ!!』ってオーバーリアクション気味に」
一同『『確かに』』
僕&リクト「「(モノマネ、結構似てるな……)」」
何故渋い顔をしてるかって?
そりゃあ……
ガチ対戦の視点的に微妙な種族値なヤツが多くて……
(種族値:内部ステータスの非公式用語)
僕「メガシンカって、変身前の元の種族値のHP以外の種族値に+100されるんだけど、その振り分け方がしょうもない子が結構いるんだよねぇ」
種族値の上昇例)リザードン→メガリザードンY
(リザYは12年前から存在します。ZAのネタバレではないので安心してください)
HP 78 → 78
A 84 → 104 ←基本使わんからもったいない
B 78 → 78
C 109 → 159
D 85 → 115
S 100 → 100
※俺はリザYを超評価してる人間です。
しょうもないなんて思ってないのでご安心を。
後、リザYに関しては『ニトロチャージ』使う場合があるし……(No.1004で良いは禁句)
この例え話は、Cで殴るポケモンなのに使わないAが増えてるの、勿体ないよね。逆も然りよねっていう話です。
リクト「あぁ……。えっ?」
ヒナツ「えー?メガシンカなのに微妙なの?」
ソーナンス!!
一同『『………』』
読者様『『………』』
僕「(……///)9世代のポケモンはメガシンカを凌駕するようなバケモンがうじゃうじゃいてねー。そいつら見てたらしょっぱく見えるんだよねぇ。
ZAは特性無いからまだ弱い!(断定)にはならないけども」
リクト「……」
フユ「へぇ。って、何ウズウズしてるのよ」
リクト「いや、あと数ヶ月"この世界"に来るのが遅ければポケモンSV遊べてたのかなって……」
※2022 6/19"この世界"入り。ごめん。
僕「その節は、申し訳ございませんでした……」
ハルカ「まあまあ、『前書き後書き空間』なら何でもアリだから。ね?」
ホノカ「そうよリクト。この謎空間、リクトの故郷のものがいっぱいあるじゃない!」
【アナウンス】
前書き後書き空間は、現実世界の情報がリアルタイムで流れてくる無法空間です
僕「え?」
リクト「そうだよ!だから文句言えないんだよ!w」
僕「え?」
ユキナ「(私達だけ知ってた謎システム、やっと公開するんだ……)ま、まぁ、故郷に戻らなくても遊びたいものを遊べて良かったよね」
ヒビキ「そーだぜ?特に、作者不在の時なんかは俺達と遊べるんだからさ」
僕「何ソレ知らん。怖……。って、俺いない時はそんな過ごし方してたんだ……」
ルナ「作者の趣味全開だけど、結構色々コンテンツがあるから飽きないよ?ここ」
………とりあえず、良かったね。リクトさん。
リクト「本編と干渉が無いって設定を上手く使われた気がしてならない……」
僕「設定言うな!」
リクト「すみませんでした……」
僕「ま、まぁ、本編に関しては、いつか報われるから!みんな報わせる!!だから、安心してちょんまげ」
リクト「……おぅ」
今日も『前書き後書き空間』は平和です。
リクト「ちょっと待て!なんだこの終わり方は!」
◇NEXT!
リクト「おーい!!!」
僕「すまんかった」
【はちみつマフィンの材料】(6人前)
薄力粉:160g
ベーキングパウダー:小さじ1(小さじ1)
バター:60g
ハチミツ:65g
卵:大1
牛乳:100ml
※薄力粉&ベーキングパウダーは、ホットケーキミックスでも可(150g)
※バターはマーガリンでも可。僕はミスって入れ忘れた
※蜂蜜は好みの量でおk。何ならきなこでもくるみでもチョコチップでも良い。好きなの入れて美味しく食べよう
(Special Thanks:参考にしたページです)
https://cookpad.com/jp/recipes/19062970
作者はあまり料理が得意ではありません。何なら実家暮らしなので料理はほぼしません。
ですので、材料のグラム数などはクックパッド様を参考にして、自分で作りました!!(※12/5。すまんかった)
一同『『え?』』
読者様『『は?』』
https://x.com/Syuto_TheCreate/status/1996857077193691259
(※俺のツイート)
(※XになってもTwitterはTwitter。異論は鎮圧させます)
(※過激派かっ!!)
リクト「えっ!?(効果音w f○at-かよw)」
一同『『えっ!?ww』』
読者様『『!?!?』』
あの。マフィンなんて初めて作ったんで、大目に見てください。
リクト「マジか……。あの、あの口だけマンが……」
僕「(酷っ。風評被害ヤメテ!)俺はやる時はやるんですー。やれば出来る子YDKなのさー♪……ねっ?」
リクト&シュウ「「ぶふっww」」
ハルカ&ヒナツ「「ぷw」」
フユ「な、なんでw」
ユーカ「何故それを、持ってきたんですか?w」
読者様『『草』』
クロノス「?(僕が知らないって事は、成程!成程…)」
ピノ「・・・」
"この世界組"『『???』』
そうなんです。僕はやる時はやるんです。
ただ、絶望的にスロースタートなだけで……
絶望的に腰がヘヴィなだけで……
やる時はやる。やれば出来る子。
なのにやらない。だから駄目。
涙が止まりませんね。
ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!(号泣)
リクト「おーい!!」
ピノ「ちょー!!」
ライデン「台無しじゃないか……」
僕「俺の致命的弱点ね」(泣き止んだ)
ホノカ「弱点、自分から言うんだ」
ユキナ「・・・この感じだと、弱点の克服は難航してるみたいだね」
僕「はい……。行動力と継続力が欲しい所であります」
ヒビキ「んー、欲しいって言ってちゃまだまだだよな」
ルナ「まぁ、うちもあまり強く言えないけど……」
この最大の弱点は、僕の一生を費やしてでも『多少マシ』レベルまで抑えるよう努めたい!そう、思ってます♨️
皆さんも自分磨きやら何やら、頑張りましょう!!
パーズズ「………は?おいおい!何だこの終わり方!!」
僕「ふふふ、たまには良くない?」
ペニィ「どーでもいい。ふぁはふ、いい加減寝させてよ」
アルセーヌ「…………眠い」
あ。すんませんした。
テコとでっ、冒険者諸君、次回はやっと91話DA!
(本編と前書き後書き空間の君達は別人だけども)目一杯ラムネードビーチを楽しんでちょーだい!!
ブブ「………にわかに信じがたいが」
えっ?
ツキカゲ「どうかーん」
クロウ「あはは……」
えっ!?
キリュウ「貴殿の日頃の行いのせいだな」
カキ「わたしもあまり人の事を言えないが、普段からもっとやる気スイッチを押すことだな」
ちょ!!!!!
冒険者一同『『やっと?本当にぃ?』』
ギルド職員『『じぃーーっっ』』
アポロン「じーー」(便乗1)
ミクセル「じぃー」(便乗2)
読者様『『原作者なのに信用されてなくて草』』
僕「本当です!!やっと進みます!進めます(涙) 頑張ります……!!」
此方の世界からしたら季節外れもイイトコだけど!
(※此方12月。向こう7月)
ま、いいか。問題ない!
思い切りはしゃいでらっしゃい!!
冒険者一同『『おーっ!!』』
アリス「おーっ!」
ユーカ「お、おーっ!」
ゼニシア「なはは。羽目、外し過ぎんようにな?」
メイ「節度を守って、楽しく!ですよっ」
キョウ「ふぉーっふぉっふぉ!」
クロム「とりあえず、EX07はお疲れ様!」
僕「はい。お疲れ様でスター」
一同『『お疲れ様でスター』』
読者様『『お前まさか、これしたいが為にこの空間を無法にしたのか?』』
※ごめんなさい
---To be continued---




