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婚約者はこの世界のヒロインで、どうやら僕は悪役で追放される運命らしい  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第88話 「お兄さん」と呼ばれて

「お、お前…何で、渋谷とか新宿、池袋なんて知ってるんだよ?しかもお台場まで……ま、まさか……」


王子は僕を指差し、小刻みに震えている。


「うん、そうだよ。僕は実は……」


王子の質問に答えようとした矢先――。


「やっぱりアリスから色々話を聞かされていたんだなっ?!地球の、日本という国の話をっ!」


「えっ?!」


何でそんな発想に至るのだろう?

まさか転生者……もしくは憑依者が自分たち以外にも存在していると言う考えは無いのだろうか?」


「その反応……やっぱり、お前はアリスの恋人だったんだなっ?!婚約者がいるくせに、とんでもない男だ!」


「違うって!!アリス……サチは前世で僕の妹だったんだよっ!!」


僕の大きな声が誰もいない公園に響き渡った――。




**


「本当にすみませんでしたっ!!」


王子は今、地面に正座して頭を擦り付けんばかりに土下座している。


あ〜あ……なんてことだろう。

王子?の着ている高級そうなスーツが汚れているよ。


「わ、分かったから土下座なんてやめてくれないかな?君は今は仮にも王子なんだよね?王子を土下座させたなんてことが世間に知られたら大変なことになるよ」


こんなことで不敬罪に問われたら追放されてしまうかもしれない。


「それなら大丈夫です。仮に貴方に何か言って来るような不届き者がいたら、俺がそいつをただでは済まさないから安心して下さい」


王子はニコニコしながら僕を見る。


「わ、分かったよ……ただ、1つお願いしてもいいかな?」


「何ですか?」


「その……敬語を使うのはやめてもらえないかな?王子に敬語を使われると……何だか、こう…身体がムズムズしてくるよ」


「そうですか…俺は前世では20歳だったから年下だったのですけどね……お望みなら、敬語を使うのはやめるよ。……その代わりと言っては何だけど……」


王子が僕を真剣な目で見つめてくる。


「な、何かな?」


何だろう……嫌な予感がする……。


「お兄さんと呼ばせてくれっ!!」


今度は王子の声が空に響き渡った――。



**



 結局散々押し問答した後……僕と王子、そしてサチの3人だけの時に限り、王子から「お兄さん」と呼ばれるのを渋々承諾することになった。


本当は王子から「お兄さん」と呼ばれるのは物凄く抵抗があったけれども、王子は頑なに拒否するのでやむを得ず認めることにしたのだった。



「さて、セドリック。あまり遅くなると皆が心配するからそろそろ戻ろうか?」


ベンチから立ち上がると王子も一緒に立ち上がった。


「そうだな。よし、帰ろう」


そして2人揃ってエディット達の待つ喫茶店へ向かって歩き始めると王子がすぐに声を掛けてきた。


「あのさ、今のうちに言っておくけど俺の口調……お兄さんと2人きりのときはこの話し方でいいか?」


お兄さんという言葉に背筋が寒くなるけれども、頷いた。


「うん。別にそれは構わないけど……サチ…じゃなくて、アリスと一緒のときも駄目なのかい?」


「そうなんだよ!アリスの理想の男はお兄さんみたいな人なんだよ。優しげな話し方をする男がタイプなんだってよ」


「ふ〜ん…そうだったのか……」


サチは僕のナヨナヨした言葉遣いをよく批判していたけど、本当はそうじゃなかったのか……。

でも実の妹に、理想の男はお兄さんと思われるのは…ちょっと嬉しいかも。



「それにしてもアリスも酷いな……。どうしてアドルフの中身がお兄さんだったって話してくれなかったのだろう……。俺って、ひょっとしてそんなに信用無いのだろうか……」


王子は明らかに落ち込んでいる。


「いやいや、何言ってるんだい?僕のほうが余程ショックだよ。大体僕はこの世界では本来、王子である君に追放される運命だったんだからね?」


「何言ってるんスかっ!この俺がお兄さんを追放するはず無いでしょうが!アリスの大切なお兄さんなのに!」


「そ、そうかい?そう言って貰えると嬉しいけど……」


それにしても王子のこの手の平を返したような態度は何だろう?


「とにかく、これから宜しくな!お兄さん?」


王子は意味深に笑った。


「う、うん…そうだね。これから宜しく…」


王子の態度に圧されながら返事をした。


だけど、内心ホッとしたのも事実だ。

これでエディットとこのまま婚約関係を続けても僕が追放されることが無くなったのだから、こんなに嬉しいことはない。



この時の僕は多分、今までで一番浮かれていたと思う。


本物のアドルフが何故エディットに冷たい態度を取るようになったのか、考えてもいなかったのだから――。


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