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婚約者はこの世界のヒロインで、どうやら僕は悪役で追放される運命らしい  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第12話 ヒロインに、パートナーの申し込み

 あの創立記念パーティーの内容は本当に気の毒な話だったな……。



それはエステル学院の創立150周年を祝う、大規模な記念パーティーでの出来事だった。

学院側からは、この記念パーティーに出席する場合の注意事項が特別に指導があったたわけでは無かった。

けれども学生たちの間では暗黙のルールが敷かれていたのだった。


『婚約者や恋人がいる場合、必ずパートナーを組んで参加すること』


エステル学院は名門貴族ばかりが通う学校だ。

なので僕のように婚約者がいる学生たちも将来を約束した恋人同士も多数いた。


だから当然アドルフとエディットはペアとして出席するべきだったのに、何故かアドルフは別の女性を誘って記念パーティーに参加してしまう。


アドルフに相手にされなかった気の毒なエディットは結局1人で記念パーティーに参加することになってしまい…学生たちから陰で嘲笑されることになってしまった。


そして1人園庭で泣いているエディットをこの物語の真のヒーローが登場して、慰めることになる。


それがきっかけで2人の仲は急速に縮まるんだっけ…。


等とボンヤリ回想していたその時――。


「あの…。アドルフ様…」


エディットが僕を呼ぶ声で我に返った。

慌てて彼女をみると、目に戸惑いの色を浮かべた様子でじっと僕を見つめている。


「あ、ごめんごめん。ちょっと記念パーティーのことについて考え事をしていたから…」


笑ってごまかすと、エディットが目を見開いて笑みを浮かべた。


「え……?そ、それでは……私とき、記念パーティーに……」


そこでエディットは言葉を切ってしまった。

う〜ん……やはり、女性の方から、パートナーになって貰いたいなんて言いにくいだろうなぁ…。


僕はエディットをチラリと見た。


エディットは両手を組んで、伏し目がちにチラチラ僕を見ている。

いくら苦手な婚約者でも、僕しかパーティーに参加する相手はいないからなぁ……。

何しろ僕とエディットが婚約者どうしというのは皆に知れ渡っているから1人参加なんてありえないだろうし…。


 けれど、僕と参加すれば本当の運命の相手との出会いのイベント?を潰してしまいそうだし……。


一体どうすれば……。


そこで僕にある考えが浮かんだ。


エディットは学園でも有名な美人だ。彼女に思いを寄せる学生が多数いるのも事実。

幸い?学園にはまだ婚約者や恋人がいない男子学生は大勢いる。

だから僕が一緒に参加しなくても……。


「ねぇ、エディット」


「は、はいっ!」


エディットは背筋を伸ばした。

うん、やっぱりどの動作一つ取っても可愛らしいなぁ。流石はこの物語のヒロイン。やっぱり僕に彼女は勿体なさ過ぎる。


「エディットには、僕以外に一緒に参加してくれそうな相手はいないのかなって……ええっ?!」


何とエディットは涙目になって体を震わせて僕を見ているじゃないかっ!


「エ、エディット?ど、どうして泣くのかな……?」


オロオロしながら尋ねた。


「ア、アドルフ様は……そ、そんなに…わ、私の事が…イヤですか……?」


「え?ええっ?!」


一体エディットは何を言い出すのだろう。

いつも僕を怖がっているから、誘わなければ喜ぶと思ったのに。


「そうじゃないよ。た、ただ…エディットは僕といると緊張するみたいだからもっと、親しい相手と参加してもいいんじゃないかと思って……ほら、クラスに仲の良い男子学生がいるはずだろう?」


確か僕の記憶ではエディットに親しげに話しかける学生たちが複数いたはずだ。


「そ、そんな人私にはいません。だ、だって…私にはアドルフ様がいるではありませんか……」


エディットは首を振りながら涙声で訴えてくる。


ああっ!何てことだ!

彼女の為を思って言ってるのに、ますます墓穴を掘っている。

これじゃ、今の僕は悪役令息そのものじゃないか!


「ごめんよ、エディット。どうか泣かないでくれないかな?僕は君を悲しませるつもりで言ったんじゃないんだよ」


ポケットからクリーニング済みのハンカチを取り出すとエディットの前に差し出した。


「あ、ありがとうございます……」


エディットはハンカチを手に取ると涙を押さえている。

もう、こうなったら仕方がない。僕がエディットのパートナーとしてパーティーに参加するしか無いようだ。

……と言うか、元々そうするべきなのだけど。


僕は覚悟を決めた。


「エディット、どうか僕と一緒に創立記念パーティーに参加して頂けますか?」


笑みを浮かべて、エディットにパートナーを申し込んだ。


するとエディットは一瞬驚いた様子でこちらを見たものの…。


「はい、私の方こそどうぞ宜しくお願い致します」


そしてエディットは愛らしい笑顔で笑った――。



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