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道場探し

「まずはあれだね、何しようかな」

ラギンは転生して真面目に生きるのはやめようと決めた。不良になろうと思った。でも何をすればいいのか、勉強→進学→就職のレールにのっていた前世では考える必要のなかったこと。自分は何がしたいのか?

「不良マンガは結構好きだったんだよな。喧嘩?女?盗んだバイクで走る?」

ラギンは悩んだ末、身体をきたえることにした。

「5歳で酒も女も無理だしな。まずは強くならないと主人公にはなれないよな。ボクシングか空手か、あるかな?何か実践向きの古武道とかあったら格好いいな。」

ラギンが住む町の名前はンドラゴラといった。人口千人ほどの街で、北側に大きな湖があり周りは森に囲まれていた。といっても危険な動物は少なく、温暖な気候もあって果実や野菜がよく育った。

「大通りは来たことあるけど、それらしい看板は見たことないなぁ。といって5歳児が裏通りを独りでうろつくわけにもいかないし。」

「ちょっとちょっと君、お父さんかお母さんは?その身なりじゃ孤児でもないだろうし、危ないわよ」

親切な女性から声をかけられた。背は低くてもえるような赤い髪を無造作に後ろへひつつめている。人間種のようなドワーフのような。

「あ、ありがとうございます。お母さんがそこの美容院にいるので、ちょっと暇つぶしで歩いてました。もう戻ります」

「あらそうなのね。このあたりは大丈夫だけど、もう少し婿右辺は怖い人がいっぱいいるから行っちゃだめよ」

そう言って女性は立ち去っていった。他の大人はラギンのことを気にもかけていないことを思うと、親切な人だ。

彼女が言うそこらへんとは名前なし地区のことだ。住所のない人が集まる地域、いわゆるスラム街。行ったことはないが知識として聞いていた。入ったら男も女も犯される。人間をやめるか名前のない土地へ行くか、人間の末路。

大通りへ戻ろうとしたとき、看板が目に入った。

日本流古武道

ん?

日本流?

この世界に転生してきてから言葉は自動で翻訳されていたが、日本流なんて単語は見たことがなかった。これは?

「すいません。話をきかせてもらえますか?」

古びた木製の扉を開けて声をかけた。作りもなにやら日本っぽい。

「まいど!入門希望?ええとこに来たわ。今ちょうどセール中やから安くしとくで~」

原色のスーツをきてハリセンもってそうな男がカウンターからでてきた。下手な作り笑顔にもみ手。大阪の商店にでも紛れ込んで師まぅたのだろうか。

「すいません。日本流っていう看板みてきたのですが、あれはどういう…」

「あーあれね、はいはい。わからへんやろね。オーナーの出身地やいうことなんやけど、地図にものってへんどっかの島国らしいよって。せやけど武術は天下一品やで?そこらの道場なんかよりみっちりこってり鍛えられるさかい」

どうやらオーナーとやらも転生者なのだろうか。しかも同じ日本人。会ってみたい気もするが、それより今は強くなることである。

「型とかではなく実践向きに強くなりたいのですが、こちらの方針はどのようなものですか」

「あー、それならどんぴしゃやね。もう、うちは実践あるのみやから。もちろん技術としての型はあるけど、練習だってフルコンタクト。青あざ作って骨折って強くなる方針やね」

若干過激すぎる感も否めないが、何より古武道という響きの魅力には抗えない。

「入門します。」

ラギンは不適な笑みでそう言った。

「おおきに。いらっしゃーい」

男は満面の笑みで右手を上げて返してきた。

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