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ただ、平和な毎日を過ごせるだけで  作者: リア狂
第一章 日常
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閑話 さくらとしおり

 カタン コトン カタン コトン

 電車に揺られながら、あたしはさっき別れたばかりのあいつらのことを考える。

 あたしはあの二人が好きだ。でも、その好きの方向はそれぞれ違う。


 あたしは勇太が心配だ。

 あいつは人の心が読めることがある。

 それはランダムで、いつ起こるかもわからないけど、それが原因であいつが苦しい思いをしていることがあるのをあたしは知ってる。


 あたしには、想像することしかできないけど、

 妬みや嫌悪、恨みとか警戒とかの悪感情を知りたくもないのに感じてしまう。

 それは決して気持ちのいいことじゃあないだろう。辛いかもしれない。


 せめて、あいつがそれを一人で抱え込まないように、助けてやれる奴が必要なんだろうけど、あたしには無理だ。


 ふ、と隣に座っている詩織に目を向ける。何やら難しい本を読んでいるらしい。


 今日、あたしと詩織は一芝居打った。

 勇太も源も気がついていないようだったし、成功したはずだ。ちょっと怖いけど。


「ねぇ、詩織」

「なぁに?」

「あのこと、いつまで黙っていればいいの?」

「うーん・・決めてないけど、明かそうと思ったら私から言うから、桜良はずっと黙っていてくれない?」

「そう、わかったわ」


 あの二人に隠し事はしたくないけど、詩織の頼みなら仕方ないよね。


 彼女はあたしと二人きりの時だけはタメ口だ。

 あたしのクソ親父と彼女のお母さんは兄妹、つまりあたしたちが従姉妹だからだ。

 あいつらには秘密にしておくらしいけど。


『あの事件』の後、あたしを見捨てたクソ親父は、あたしと詩織にマンションを買い与えてある程度の生活費を出す代わりに、今後一切の自分との接触と和宮本家を名乗ることを禁じた。


 所詮あたしの母さんは妾だし、詩織のお母さんは他の家に嫁いだんだから、仕方がないのかもしれない。

 お金をだしてもらえるだけ、住むところを確保してもらえただけありがたいのかもしれない。


 でも、いちばん家族にそばにいて欲しいときに、あたしたちが二人きりになってしまったのは事実だ。

 だから、あたしはクソ親父が嫌いだ。


「今日の晩御飯なににする?」

「甘いもの」

「私も好きだけどさぁ・・桜良、そればっかりじゃない?」

「あんたも好きならいいじゃない」


 詩織なら、あるいは勇太に寄り添って彼を支えられるかもしれない。


「そういえば、どうだった? 槇村くんは」

「うるさいわね。どうもこうもないわよ」

「ふーん?」


 もう一人の幼馴染みへの好きは・・

 まだ、あたしの心の中にしまっておこう。



キャラデザの時点から桜良がいちばん好き




やっぱり詩織も好き

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