特訓
お久しぶりです、帰ってきたので再開します
結局、誤解が解けないまま夜になってしまった。
「来たか」
「部屋を出るのに結構苦労したんですけど・・」
「そうか。それじゃあ聞きたいことを言ってみろ」
「スルー!? ・・なんで私が異能を使えるって知っていたんですか?」
「それに答える前に一つ。そのとってつけたような敬語をやめろ」
「本当、なんでわかっちゃうのかなぁ・・まあ、その通りなんだけど」
「では答えよう。お前が8年前の『あの日』の生き残りだからだ」
「うん、もう驚かないから」
「どうしてそれを知っているのかは言えないが、同様の理由で槇村、和宮、そして甲本もチカラを覚醒させる可能性がある」
私と桜良はそのことを知っていた。
だけど、槇村くんと甲本くんは、私たちが全員『あの日』の生き残りであることを知らないはずだ。ましてや、それが原因で異能が使えるかもしれないなんて。
「ということは、御影くんも?」
「ああ。俺も生き残りの一人だ」
「じゃあ、御影くんの異能は?」
「そう簡単に明かすわけにもいかないんだが・・まあいいだろう。貫通と認識だ」
突然いなくなったり、何人にも分身したりしたのはやっぱり異能だったんだ。
御影くんは強かった。私は何もできなかった。
「なんで襲われたの?」
「異能の研究のため、なんだろうな。どこから情報が漏れたのかはわからんが」
ならばこれからもあるのだろう。
その時、私は何ができるのだろうか。
部外者を、巻き込まないだろうか。
負けて捕まったりは、しないだろうか。
甲本くんや桜良を、守れるだろうか。
「一つ、お願いしてもいいかな?」
「言ってみろ」
「私を、鍛えてください。強くなりたいんです」
「・・ああ、わかった。明日の9時にここに来い」
私は、強くならなくちゃいけない。
ーーーーー
特訓をしなければならないわけだが、朝から普通に授業がある。体調が悪い風を装い、なんとか友達の追及をかわしたが、心配してくれるみんなの言葉に罪悪感を刺激された。
もう、仮病を使うのはやめよう。
さすがに桜良には気づかれたが、何か事情があることを察してくれたみたいで、偽装に協力してくれた。あとで、甘い物でも奢ろうと思う。
「おはよう、御影くん」
「遅い」
「みんなが授業に行ってからじゃないと抜け出せなかったの。逆になんで早く来られたの?」
「みな快く協力してくれた。かなり楽だったな」
「えっ・・もしかして、話したの?」
「うん?お前と会うから授業はさぼる、とな。そのほうが簡単だろう?」
「はぁ・・うん、わかった。君は、ダメな類の人だ」
なぜ、言ってしまったのだろうか。
これで後でからかわれることは必至だし、場合によっては先生にも伝わってしまうかもしれない。
どうやら彼は、そういう騒ぎの渦中に入ることにも、入りたくない人を引きずり込むことにもためらいを覚えていないどころか、自覚すらないようだ。
「無駄話をしている暇はない。行くぞ」
「はぁい」
その日の訓練は過酷だった。
そもそもこっちは異能を使ったこと自体が二度目なのに、彼は一切容赦しなかった。自分の訓練ペースに無理やりこちらを巻き込み、習うよりも慣れよといった体で進めていくのだ。
もう本当に嫌だあの人。
果ては昼食がないからと野外炊飯に合流し、先生からは心配そうな目を向けられ、みんなにはしっかり御影くんとの関係を問い詰められて、身も心もボロボロというやつだ。
誤魔化せなくなって、付き合ってはいないけど両想いに近いとかそういう関係にさせられてしまったし、本当に散々な日だった。
早くオリエンテーション合宿なんて終わってしまえばいいと思う。




