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ただ、平和な毎日を過ごせるだけで  作者: リア狂
第一章 日常
10/23

異変

遅れました

 青々とした木々を横目に、順調にコースを消化していく。


「バスではずっと本を読んでいたように見えましたが、何を読んでいたのですか?」

「ただの推理小説だ」

「へぇ・・よく読むんですか?」

「まあな」


 お昼を食べながら聞いたことによると、理子ちゃんもよく本を読んでいるらしい。偏見かもしれないが、彼女はメガネっ娘なので、イメージ通りだ。


「そういえば、合宿から帰ったら入部届の提出がありますよね。御影くんはどの部活に?」

「科学部にしようと思っている」

「そうなんですか。私は料理部ですかね」

「そうか」


 青い目印をたどりながら、道を進む。出発してからの時間的にも、もうすぐ道路に出るだろう。

 ふと、御影くんが足を止めた。


「どうしたんですか?」

「いや・・違和感・・か?これは」

「違和感ですか?」

「ああ。気づかないか?勘のいいあいつならなにか・・っ! そうか! マズイ、走るぞ風間!」

「えっ・・ええ!?」


 御影くんにがっちり腕をつかまれ、ロクに抵抗できずに全速力で走らされる。

 腕が・・いたい・・

 御影くんは走りながら何やらぶつぶつ言っている。器用だ。


「すでに補足されているとすれば、チカラは使えないな・・」

「ちょ、ちょっと何が起きてるんですか!? 説明してくださいよ!?」

「お前・・隠し事がないか?」

「話聞いてます!? というか私も人間なんで、隠し事の一つや二つくらいはありますけど!?」

「違う。普通じゃないことだ! 常識で測れないようなおかしいやつ!」

「っ!?」


 全力ダッシュ中の会話だからか、私たちは二人とも話し方がおかしくなっているみたいだ。それにしても、なぜ気づかれたのだろうか。確かに私には、常識的でない秘密がある。


「あるんだな! 何ができる!?」

「・・傷の治療、見えない壁を作る、あとは光を出せる!」

「上等だ! やるぞ、合わせろよ!」

「な・・なにをって、ええ!?」


 御影くんは私の腕をつかんだまま急制動をかける。当然私はぞれに引きずられるように止まる。

 走らされてきた道を振り返ると、迷彩柄の服で身を固めたいかにも怪しい集団が、追ってきているのが見えた。


「なっ・・誰!?」

「問答している余裕はない! 壁だ!」


 言われるがまま、目の前に強固な壁を作るイメージをする。それに応えるように、強く大きな壁の手ごたえが返ってきた。

 先頭にいた迷彩柄がそれにぶつかり、はじかれる。一瞬だけ、後ろの迷彩柄たちが動きを止めた。

 瞬間、()()()()()()()()

 驚いている間もなく、御影くんから指示が飛んでくる。


「光を出せ! 風間!」


 言いなりのまま、目を瞑って花火をイメージする。瞼越しにも分かるほどの閃光と、くぐもった発射音のような音が響いた。

 この状況で、私の自己判断でできることは少なかったから、御影くんの指示に従っていたわけだが、あんなに大きな声で指示を出せば目つぶしとしての効果は半減だろう。

 そんなことを考えながら目を開くと、そこに御影くんはおらず、迷彩柄が全員倒れていた。見ると、四肢の付け根を何がで貫かれたらしい。出血がひどく、目を背けようとしながらも、チカラのことを思い出して駆け寄ろうとした。しかし、現れた御影くんに止められる。


「何をしている。行くぞ風間」

「でも・・」

「冷静になれ。何か忘れてはいないか?」


 胸に手を当てて深呼吸。

 確かに違和感がある。私たちはふたりで、青い印をたどってきて・・


「甲本くん・・理子ちゃん・・」

「気が付いたか。すぐに探しに戻るぞ」

「うん」


 なぜだろう?わからないことだらけだ。

 二人がいなくなったことに気が付かなかったのは致命的だし、赤い印をたどるはずだったのに青い印をたどっていることに何の疑問も覚えなかったこともわからない。

 それに、突然襲われるような心当たりもない。

 御影くんはきっと答えを持っているのだろうけど、今は二人の安否を確認することが最優先だ。

 私たちは、黙々と来た道を戻った。

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