混沌たる世界で踊る鉄仮面5
カリルの街――
街の門の前には冒険者が50人程集まっていた。
ガヤガヤ賑やかに待つ冒険者達、そこへこの集団のリーダーであるアンドレがやってきた。
「おう!お前ら集まってるか?」
「はい、準備万端ですよ。ランクの低い奴らは伐採させて俺たちが魔物を狩っていく手順でいいですよね?」
「ああ、問題ないな」
「面倒だから森に火を放った方が早くないっすか?」
打ち合わせをしていたアンドレとBクラスの冒険者アーロンの間に若い冒険者が入ってきた。
「馬鹿か、何の為に森に入るんだよ?」
「あ…そうっすね。あははは」
仕事前に盛り上がってると、門外から白いマントを羽織った背に天秤の紋章がある鉄仮面が歩いてきた。
もの凄い覇気で歩いてくる鉄仮面、冒険者達も誰だ?とその鉄仮面を見ていると、そのまま近くにいた冒険者に声を掛けた。
「おい貴様、マルク商会とかいう店を知っているか?」
「なんだお前?もしかして俺たちの仕事を手伝いたいのか?変な仮面をつけて新入りがその態度はなんだよ?」
「どういう意味だ?」
聞き返す鉄仮面に冒険者は呆れた様子で答える。
「はあ?森の伐採の仕事をしたいんじゃねーのかよ?誰だよお前」
それを聞いた鉄仮面は激怒した。
話していた冒険者の頭を鷲掴みにしてそのまま掴み上げると足が浮いた状態でもう一度訪ねる。
「貴様!森の伐採だと?我が陛下の森の伐採だと?もう一度言ってみろマルク商会は何処だ?」
「ああああああああ…頭がぁ…は、離せ…がぁ…頭が…」
「おい、お前離してやれ!何をしてるんだ?」
見ていたアンドレは直ぐに声を掛ける。
鉄仮面は掴んでいた冒険者の頭に力を入れるとまるでスイカが割れたようなグシャっと変な音を立てて破裂しドサっと頭の無い死体が地面に落ちた。
「は?」「え?」「ひっ…」
そしてアンドレの方を向いた。
「マルク商会の場所を聞いているのだ、我が陛下の森へ勝手に侵入し、あまつさえ伐採等している愚か者共に天誅を食らわしに来たのだ、早く教えろ。殺すぞ?」
鉄仮面はマルク商会を教えろと言っている、そして冒険者の頭は破裂し死亡している。
アンドレは呆気に取られていたが、そこはAクラスの冒険者だ数々の修羅場を潜ってきている、何とか我に返って言葉を投げた。
「お前…今人を殺したんだぞ?分かってるのか?犯罪だ。おい誰か直ぐに衛兵を呼んでこい」
「それがどうしたと言うのだ?犯罪者は貴様達だ、我が陛下の森へ無断で入って資源を荒らしたのだからな、私が直々に天誅を食らわせにきただけだ、貴様らも当然死刑だ」
アンドレは頭を高速で思考する。
この鉄仮面が言っている事は何処までが本気なのか分からない、鉄仮面は何者なのか?こいつが言う陛下とは誰なのか?森は陛下の物?50人もの冒険者を死刑にする?
そこへBクラスの冒険者アーロンが誂いながら鉄仮面を挑発した。
「おいおい、陛下って誰だよ。あんな馬鹿でかい大森林が個人の物ってか?頭沸いてん――」
「貴様あああああ我が陛下を侮辱したな!貴様は死刑では済まさんぞ」
鉄仮面は言葉被せ気味に動いたかと思えばアーロンの体に見えない攻撃をすると既に頭はなく、手も足も胴体もバラバラになっていた。
そこへこの街の若い衛兵が駆けつけてきた。辺りを見渡し死体が2つ、そして血塗らてた鉄仮面が佇んでいる。
「な…なんだ…これは?とりあえず話を聞きたいから衛兵所まで――」
「まて、それには及ばん。この件はこの国は関係ない…行くぞ」
部隊長らしき男が走ってきて若い衛兵を咄嗟に止める。
「は?それはどういう事ですか隊長?殺人ですよ」
「お前は知らんだろうが…まあいい、説明は帰ってからだ」
「ま、待て」
アンドレは衛兵達を呼び止めるが、無視されそのまま帰っていった。
どうなっているのか?アンドレの頭は混乱していた。Bクラスのアーロンも瞬殺する無慈悲な鉄仮面、殺人であるにも関わらずお咎めなしで帰っていく衛兵。
こんな事があっていいのだろうか?
「お前が頭か?」
「ぎゃぁぁぁぁーっ」
アンドレが呆けていると鉄仮面が手刀を振り下ろす、するとアンドレの左腕がボトリと落ちた。