第二章 三
「皆ぁ〜席ついてぇ!今から全日ホームルームでどこ行くか決めるからさ。」
安達は手をパンパン叩きながら皆の注目を引いている。ここら辺はさすが四人姉弟の長女っていったとこだろうか、妙に手際がよい。安達は将来先生とかむいてんのかもしんねぇな。
「それじゃあ今から色々決めていきたいと思うんだけど…須賀、一先ず皆に説明して」
「えっ、あっおう!わかった、ちょっと待ってて。」
焦ったぁ〜安達の奴無茶ぶりもいいとこだな。オレは自分の机まで全日ホームルームに関する資料を取ってきて、皆の前に初めてたった。
皆がこっち見てる。あぁ、皆の視線が気になる。ただ、皆に説明するだけなのに…言葉につまる。
「情けない」今のオレにピッタリな言葉だ。
「ほらっ、須賀!早くして、皆待ってるよ。」
安達の声で我にかえったんだけど、早速やっちまったんだよな。
「え〜っとそれじゃあ説明します!」
声が裏がえった。超はずい。皆がクスクス笑ってる。オレは自分の顔が真っ赤になってるのがわかる。
「須賀〜あんまし緊張するなって。いつものスマイルはどうしたんだよ。」
一番後ろの席から話しかけてきたのは菊池だった。あいつ、オレを励まそうと…
「だ〜もう、軽いジョークだよ。菊池もスマイルとか余計なこと言うなよな。」「は〜い、わかりましたぁ。皆も静かにするんだぞぉ!」
ゴリラの真似をした菊池のおかげで教室中に笑い声がこだました。さっきまでの緊張が嘘みたいだ。言葉がすらすら出てくる。ありがとう菊池、お前のおかげでだいぶ気持ちが落ち着けたよ。