第二章 一
入学式からもう一ヶ月くらいたったかな。大分クラスの奴らとも馴染んできた。最初はあんなに不安だったのが嘘みたいだ。学校生活にも慣れ始めたし毎日エンジョイしてる…ただし、勉強を除いてだけどね。
そうそう、オレ、菊池、安達、それから三國はテニス部に入部したんだ。高校入試でブランクはあるけど皆テニス経験者ってだけあってそれなりに上手い。中でも菊池!何でも、中学時代はそれなりの成績を残してたらしい。普段のおっとりした感じは全く見れず、気迫に満ちたプレーをする。オレは入部当時から菊池とペアを組んでるせいか、今じゃ大分息があってきた。まっ、阿吽の呼吸ってやつかな。
安達、三國もペアを組んでる。二人ともかわいいし、部活の奴らからも人気がある。スコートがヒラヒラするたびに男共の視線が釘付けになってる風景ってのは馬鹿みたいに笑える。これも男の性なんですかねぇ。
そういやぁ、そろそろ全日ホームルームっていうのがあるらしい。まぁ、名前気どってるけど、ただの遠足だ。その取り決めを学級委員がやるらしい…そうオレと安達がね。面倒くさいけど、菊池と三國も手伝ってくれるらしいしやれるだけのことはやってみるつもり。でも、こんな責任感ある仕事は初めてかもしんねぇな。
中学時代、面倒なことから逃げてた健太にとって自分を変える機会が訪れた。高校デビューって訳じゃないけど、今までの自分とはおさらばするんだ。妙なやる気が健太の中でメラメラと燃え上がっていた。