第一章 三
「え〜お前らの担任になる山内だ。入学式も済んだばっかりで悪いんだが、このクラスの中から学級委員を決めにゃならん。それでだが、自らやりたいっていう奴はおるかぁ?」
学級委員だぁ〜、絶対にゴメンだね。こんなのやっても得することねぇしな。こういうのは真面目君がやってりゃいいのよ。オレには関係ないこと、黙って寝てよ。
「なんだぁ、誰もいないのか?」
ゴリラの少し不機嫌そうな声がこだまするも皆だんまりである。あるものは友達と相談するふりをし、あるものは俯いてゴリラと目があわないようにしている。そんななか目を付けられたのが、案の定眠っていた健太だった。
「おっ、そこで寝てるのは…え〜っと須加健太か。オレにはだいぶ関係ないって感じだなぁ、ん〜。」
えっ、ヤバッ。いきなし目付けられたよ。ここは何が何でも阻止しねぇと。。健太の焦りとは逆に回りのクラスメイトはどこか安堵の表情を見せている。
「えっオレですかぁ?オレなんかよりもっと相応しい人がいますよ。ねっ、先生。」
「い〜や、一人目はお前に決定だな。あんな態度とってたんだから文句は言えないよな、健太!」
うまく言いくるめられたオレは素直に返事をするしかなかった。こうなったら最後の望み!後一人、三國が、三國がやってくれれば…
「それじゃあ、もう一人誰かいないかぁ?男子から一人出たから、女子からもう一人!」
おっ、ゴリラ良いこと言うじゃんかよ。女子は15人ぐらいだから三國が選ばれたりなんかも…
「はいっ!先生、あたしやりまーす!」
げっ、誰だよ〜オレの計画崩れんじゃんかよぉ。大分威勢のいい子が立候補してきやがった。見るからにテンション高そうなヤツが…
「おっ、立候補か。え〜っと安達絵美か。よし、じゃあ学級委員は安達と須加ってことで皆いいな?」
「は〜い」
皆ここぞとばかりに声揃えやがって。はぁ〜やっぱりマンガみたいにはいかねぇよな。
安達か…どんな奴なんだ?あんまりテンション高い奴は苦手なんだよなぁ。