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第二章 七

 バーベキューも終わりお腹が一杯。本来ならここら辺で昼間をしたいとこなんだが、皆で集まってレクリエーションをしたんだ。まぁ、レクリエーションっていってもビーチバレー、ビーチフラッグスをやっただけなんだけど。皆は互いに打ち解けあっていて、はしゃいでる。

 でも、オレはあんまりそういった気分にはなれなかったんだ。もちろんオレだってレクリエーションには参加したさ。オレの笑った顔が、素人俳優みたいにどこかぎこちないってのが自分でもわかった。オレは上の空っていうか、心からレクリエーションを楽しめてはいなかった。

 レクリエーションが終わった。

 時計はないけど太陽の傾き具合から4時ぐらいだろうか。まだ夕焼けには少し早い感じの青空が広がっている。空を見上げると小さく見える物体がある。おそらく飛行機だろうな。一体目的地は何処なのか?明確な目的地がある飛行機は、今のオレとは違っている。今のオレは…あてもなくさまよう旅人みたいだ。

 予想より早く予定が終わってしまったため、今から帰りのバスに乗るまでの間は自由時間ってことになった。

 友達とビーチバレーの続きをする奴もいれば、バスの中でくつろごうとしてるゴリラの姿も伺える。オレは今は何だか一人になりたくて、誰かに声を掛けられるよりも早く海岸線沿いの砂浜を歩きだした。

 海岸沿いを歩く。ずっと遠くには灯台が見える。あの灯台は、暗い海で船が居場所を見失わないよう明るく輝くのだろう。その光は遥かかなたを照らしだすはずだ。あの灯台の光は、今のオレを照らし導いてくれないだろうか?

 しばらく歩くと小高い岩場があった。そのまわりにはテトラポッドがいっぱい積まれている。どうやらこの辺りは休日に釣り人で賑わうみたいだな。足元には置き去りにされているルアーがある。

「何かオレみたいだな。」

 自然とでた言葉だった。オレはその場にしゃがみ込んで空を見上げたんだ。

 空を見るのは嫌いじゃない。心が洗われる感じがして胸がすーっとするんだよな。…ただ、今日の青く澄み渡った空を見てもそんな気にはなれなかった。

 自分の長所とか性格について深く考えてみたことはなかった。オレの個性、オレにしかない特徴って?

 ……わからない。オレは誰かに必要とされているのだろうか?もし必要とされていないなら存在しなくてもいいんじゃないか?ここまで考えてしまったら、大袈裟なんだろうけどさ。でも、やっぱり悩む。自分についてもっと自信が持ちたいよ。

 もうどれくらい時間がたっただろう。バスの時間は大丈夫だろうか。いつも付けている一万円で買った時計。今日は朝急いでいたせいか忘れてしまって時間が気になる。

「今、何時ぐらいかな?」

「え〜っとね、今は四時半ぐらいかな。」

 オレは独り言のつもりだったのに返事が返ってきた。一体誰が?

 「須賀君、こんなところに一人で何してたの?」

 話し掛けてきたのは三國だった。今のふさぎ込んでいる姿、一番見せたくない相手だったのに。

 三國がオレの隣に腰掛けた。さっき見つけたルアーを指でチョイチョイとつついて遊んでる。

 オレは三國と話をするために体を起こした。オレの隣にはいつもと変わらない三國がいた。

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