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第二章 五

 今日は待ちに待った全日ホームルームの日だ。今はバスの中なんだけど、オレは昨日よく寝らんなくてついさっきまで寝てたんだ。なんでかっていうと、そりゃあ眠いからなんだけど、ガキっぽいが興奮してなかなか寝付けなかったからなんだ。んで、起きたらバスの後ろの辺りで男子数人が集まってなんだか盛り上がっている。いったい何なんだ?

「おっ、須賀!起きたか。お前もちょいこっちこいって。」

 オレが起きたのに気付いた菊池が話しかけてきた。オレはとにかく訳も分からずその輪の中に入っていった。

「え〜おほん。それでは須賀も加わったところで始めたいと思います。」

 男子の盛り上がりは最高潮!皆、拍手したり指笛を吹いたりしてる。

「ちょっと待った。皆一体何やるの?」

 オレは訳も分からず皆に尋ねたら、菊池が不適な笑みを浮かべている。

「よくぞ聞いてくれました。須賀健太君!今から何を隠そうミス1年5組を決めるのだぁ〜」

 菊池…妙にテンションが高いぜ。それに回りの奴らも。

「そんなのやるの〜」

 なんて言ったら皆からなんて言われるか。恥ずかしいからって反対は…できないよな。でも、そんなのやってもオレが誰に投票するかは決まってるんだ。

 オレは一人一枚ずつ配られた紙に勿論三國って名前を書いた。筆跡でバレたりしないように十分注意して。

 開票して集計された結果を菊池が発表することになった。皆固唾を飲んで菊池のことを見つめている。その姿はエサを前にしたライオンみたいだ。

「それでは結果を発表する。諸君準備はいいかね?」

 そんなのは言わずもがなと言わんばかりに頷いている。コイツら菊池に襲いかかりそうだな。

「え〜それじゃあ第三位から発表します!第三位は小悪魔っぽいと人気急上昇中の竹内美希です。」

 回りからお〜という歓声が聞こえる。まぁ納得。オレは苦手だけどあの振る舞いにイチコロって男子はいるだろうな。

「おほん。続きまして第二位を発表したいと思いま〜す!第二位は姉御肌が意外にも大人気。安達絵美だ。」

 皆やはり納得って感じだ。そりゃそうだよな〜安達は面倒見いいから男女関係なく人気あって、おまけにかわいいしな。

「栄えある第一位に輝いたのは〜」

 さすがにここは菊池も溜める。みのもんたと見間違えたくなるほど溜めるんだよなぁ。男子の催促が飛び交ったところで、

「笑った顔には何人の男が撃沈したか!そう、ミス1年5組は三國佳奈だぁ!」

 男子からやっぱりなぁって声が聞こえた。皆も三國のことかわいいって思ってたんだ。でも、それはそれでなんか複雑だな。

 前の方の席で隣同士の安達と三國がワイワイ言ってる。どうやら後ろでこんなランキングされてるってのには気づいていないみたい。

 バスが緩やかにスピードを落とし始めた。外の景色は松ばっかりだが、もう磯の香りが漂っている。海は近い、すぐにわかった。

 緩やかなカーブを曲がり終えると海が広がった。水平線は曲線を描き、地球が丸いことを証明している。

「お前ら〜もう到着だから荷物まとめて外に出る準備をしろよぉ。」

 ゴリラの合図で皆荷物を整理しだした。お菓子をしまったり、トランプを片付けたりしている。

 バスが止まってドアが開く。くぅ〜久々の海でテンション上がるなぁ。ずっとバスに乗っていたから背伸びをした。体がボキボキいったけど気持ちいいや。

 外に出ると海に太陽の光が反射していてきれいだ。キラキラと光った水面はどんな宝石よりも輝いて見えた。

 さっきのランキングは…三國達には内緒だ。もちろんオレが三國に投票したのも。

 この時は三國の事、気にはなっていたけど、まだ好きっていう感情にはほど遠かった。ただ、あの出来事があってから淡い恋心を抱き始めたんだ。

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