第二章 四
「それじゃあ多数決の結果、海に行って遊んだり、バーベキューしたりってことに決まりました。」
オレは菊池、安達に助けられながらも、まぁスムーズに司会進行ができた。本当に持つべきものは友達だなって思ったよ。それに三國。海に行きたいって意見出してくれたのは三國だしな。
「お〜どこに行くか決まったかぁ?どれどれ…」
ゴリラがタイミングを見計らったかのようにやって来た。来るの遅いって!どんだけ大変だったか。
「ほ〜海か。えぇのぉ。それじゃあ後の細かい取り決めはわしがやるから、ご苦労だったな、安達、須賀!」
相変わらずのどこの訛りだかわからない喋り方でお礼を言われた。この一カ月、ゴリラを観察してきたけどなかなかいい先生だ。今時ここまで親身になってくれる先生はまずいないんじゃないかな?まぁ、時には暑苦しいってのもあるけどさ。
「おつかれ!須賀君かっこよかったよ。私、須賀君はあんまりこういったリーダーシップとるような仕事とか嫌なのかなぁって思ってたんだけど、全然そんなことなくてむしろテキパキやってたから、見直しちゃったよ。」
席についたオレに三國が話しかけてきた。なんだか三國にほめられるのは他の人にほめられる以上に照れくさい。恥ずかしくて三國の顔を直視できない。でも何か言わなくちゃ、せっかく三國から話しかけてきてくれたんだから、
「何だよそれ〜三國はオレのこと頼りにならないとでも思ったのかぁ?ひでぇな〜でも三國が海行きたいって言ってくれたからスムーズに決まったんだよ。その、ありがとな。」
今までのオレからは想像だにできないほど自分の思っていることを話せた。気持ちのもちようでこんなにも違うもんなんだな。
「そんな、私は何もしてないよ。お礼とか言われると照れるな。」
実際、三國は少しはにかんだ感じで照れくさそうに笑ってる。その笑った顔が本当にかわいいって思えたんだ。
今は付き合うとかそんなんじゃなくて、三國とずっと一緒にいれたらいいのにって心から願ってた。