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プロローグ ざまぁは終わってました〜え?私、悪役令嬢だったの!?〜


「あ!?この世界、有名乙女ゲーム『緩やかな停止の中で』だ!それとこの金髪碧眼は…悪役令嬢の侯爵令嬢エリスだぁあっっ!!」


ある朝、私は叫んだ。


この世界に異世界転生してから、のほほんとおもしろいな♬って国中を探検したり楽しく勉強して学園生活も無事終わり卒業した。


卒業式のパーティーで何故か婚約破棄されたりもしたけれど、元婚約者とその浮気相手(?)が国外追放されて終わった。


で、家でのんびり進路について考えていたら思い出したのだ。


つまり、フラグもざまぁも逃して攻略対象者すらよくわからないまま――悪役令嬢の見せ場イベントは、ぜんぶ既に終わっている…終わっている!!


悪役令嬢役のはずが、気づいたときにはもう出番は全部終わっていた…間抜けすぎる。


「えっ私、本当に何もしてないけど……終わっちゃったの〜!?何のために転生したの〜!」


寝過ごした芝居の脇役として、私は自室で間抜けに呟いた。



「つまりだなエリス。家の体面はともかくもお前の婚期が――」

「ええっと、婚期……うん、その内考えますね」


父であるハルスト侯爵家当主、レオンは眉間に皺を刻み、声を荒げる。

「その内ないじゃない!お前くらいの年頃の娘はもう皆――」

「皆、皆ってお父様ったら!」


横で見ていた兄ユリウスが小さく咳払いする。

「父上。エリス。少し落ち着かれては」

「ユリウス!お前まで!」

「父上は婚期ばかり仰るが……妹は結婚以外にも考えがあるようだ」


優しい兄、ユリウスが私にウインクする。

なるほど、乙女ゲームだから兄もイケメンなのかしら?とはいえそんなの関係なく優しい素敵な兄である。


私は深呼吸して思い切って言った。

「結婚よりやりたいことがあるのです!女の子がもっと人の目を気にせずに自由に学べる学校を作りたいの!」


父の目がまん丸になる。

「エリス、お前……?」

「政治や歴史はこの国では男性しか学べない。でも、女性だって歴史の研究者になったり政治家として大臣になったりしたい人はいるはずよ!結婚がすべてなんて、おかしいもの」


兄が口元を押さえて笑った。

「なるほど。お前らしいな」


「夢はいいが!」

父は立ち上がる。


「夢のようなことだけでは――」

「夢って言葉で片づけないわ!私は本気で実現するの!とある方法でお金を稼いでね!」

私が遮ると、父は一瞬、言葉を失った。



そのとき、扉が叩かれた。

家令が目を白黒させながら書状を読み上げる。

「侯爵様!王城より、淑女教育の合同講師にエリス様が内定されたとの伝令です!」


「講師……?」

父がきょとんとする。

「前任が高齢で退任したため、急ぎ人材を求めていると応募があったのよ」


私は勢いよく立ち上がった。

「やったわ!思惑通り無事勝ち取ったわ!」


「「ええっ」」

父と兄の声が重なる。


「だってチャンスでしょ。夢の練習にもなるし女の子たちに“勉強って楽しいんだよ”って伝えられるし、お金も稼げるし」

「ま、待て待て。王宮はとても厳しいぞ」

「過去の経験上、分かってますわ!でも、夢に必要なのはちょっとの勇気でしょ?」


兄ユリウスは諦めたように笑った。

「……父上、止めても無駄です。エリスはもう決めています」

「ぬ、ぬぅ……だが婚期が――」

「…前向きに検討します!」



乙女ゲームの見せ場は終わっていました。

けれど、幕はまだ下りていない。

悪役令嬢(元)エリス・ハルスト、次の役は――王宮で淑女教育の先生!

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