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第2話 鬼子

 逢神(おうがみ)たけるは、ある事件のため全国に名を知られている。

 普段は、オカルトがらみの依頼を引き受ける祓い屋をしている。

 しかし、仕事はほとんど来ない。

 そして、週に1回、情報番組のオカルト相談コーナーにテレビに生出演をしている。

 たけるにとっては安定して収入を得られる仕事である。

 今日は番組の日である

 たけるの横には少女が座っているが異様に距離が近いピッタリ真横に座っている。

 相談者がすりガラスの向こうで、ボイスチェンジャーを通した声で話す

 「宇宙から見張られているんです。」

 「人工衛星からですか。」

 「いいえ、電波で話しかけていて、隠れても無駄なのです。」

 「心療内科へ行くことをお勧めします。」

 「たけるのいう通りじゃ。」

少女が決めつける。

 コーナーが終わった後、フロアディレクターの清水えりなが不機嫌である

 「カウンセリングをしてどうするんですか。」

 「いや、あの場合、答えようがないですよ。」

 「宇宙人とか神様とか言えないんですか。」

 「嘘は言えません、もっとまともな相談者を選んでください。」

 「いいわ、来週は鬼がらみの子だから覚悟してね。」

たけるは警察官をしていたが、ある事件のため辞めてしまう、仕事をどうするか考えていたところをえりなが番組に拾ったのである

 「それから、美鈴(みすず)様も言葉を控えてください。」

 「たけるが正しいと思ったから言っただけじゃが。」

 「決めつける言い方はどうかと思います。」

 「うん、一理あるな。」

美鈴は少女の姿をしているが、稲荷様の使いである。

 鈴鹿(すずか)がいつの間にか、たけるの横にいる。

 鈴鹿はたけるといつも一緒にいるのでスタジオでは彼女位に思われている。

 翌週、オカルト相談コーナーが始まる。

 たけるの横には美鈴が座っている。

 「これは、久々じゃのう、鬼子のようじゃ。」

美鈴がつぶやくがたけるはまだ気配を感じていない

 「鬼ですか美鈴様。」

 「そうじゃ、近づいて来る。」

するとすりガラスの向こうに相談者が現れる

たけるの血は騒ぐ早く刀を出して、その刀に鬼の血を与えろと・・・

 「本当ですね、鬼が憑いてやがる。」

相談者が話を始める

 「鬼に犯されました、そして身もごりました、でも医者に見せても何もないと言われました、そのうち両親が行方不明に・・・」

たけるが怖い声を出す

 「1カ月と言ったところか、何人食った。」

 「たける、切る相手を間違えるなよ。」

美鈴が忠告する

 「承知」

たけるは立ち上がり、心の中で刀の名を呼ぶ

 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」

虚空に護符に包まれた鞘に収まる刀が浮かび上がる。

 彼は刀を手に取り、刀を抜く、心が鬼への憎しみに満たされる。

 そして、すりガラスを切り裂く、相談者は女子高生である。

 腹に大きな赤黒いこぶだらけの肉塊が憑いている。

 たけるは刀で肉塊を切りつける。

 肉塊は動き出し

 「ぎゃゃーぅおん」

と泣き、赤鬼が姿を現す、鬼子と言っても2メートル以上ある。

 「随分育ちがいいな、お前、何人食わせた。」

たけるは女子高生に質問する。

 「えっええ、分からない、人なんて」

女子高生は混乱する。

 スタジオは混乱するがカメラはしっかり撮っている。

 化け物騒ぎは初めてでないのだ。

 赤鬼は鋭い爪を振り回し抵抗する。

 彼は余裕でかわし、両腕を切り落とす。

 切り口は体液を座れるように干からびていき、再生はしない。

 そして両足も切り落とす、首をはねようとした時、女子高生が割り込む、赤鬼に覆いかぶさり

 「この子は、私の子です、殺さないで。」

 「鬼に操られているのか、どけ。」

すると赤鬼が女子高生の首筋にかぶりつき、首から右肩にかけての肉を引きちぎる。

 鬼が人肉を咀嚼する音がする、女子高生は息が無い、たけるは女子高生の服を引っ張りどけると鬼の首をはねる。

 たけるは鬼への憎しみにのみ込まれないように心を静め刀を鞘に収める。

 そして刀は虚空へと消えていく。


 スタジオに救護隊が駆けつける。

 しかし、既に手遅れである。

 えりなはたけるに

 「酷いことになっちゃったわね、来週の予定がどうなるか分からないわ。」

 「そうですね、女子高生が飛び出すとは思っていませんでした。」

 「母心じゃろ。」

 「でも、鬼ですよ。」

 「そういうものじゃ、放っておけばあの女も鬼と化しておったろう。」

彼に美鈴の言葉は理解出来ない。

 スタジオにいる鈴鹿が声をかける

 「今回は刀うまく使えたね。」

 「ああ、憎しみに飲まれなかったよ。」

たけるは、鈴鹿の手を取り

 「いつも、迷惑かけている。」

たけるは沈んが顔で鈴鹿を見る、これまで鈴鹿にしてしまったことは取り返しがつかないのだ。


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