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七福の国  作者: やゆよ
7/7

戦争

夜9時

せ、せ、せ、戦争かぁ。

ジャパニーズ育ち、ジャパニーズ生まれの俺にはちと、そのワードは心臓に悪いなぁ。

フォティアさんもああ言ってくれたし、もちろん行く気もないけど、まじかぁ。

あの人達は怖くないのかな。

あの後もいつも通りに過ごしてたし。

どうしよう、どうしよう、あの人達死んじゃったら俺の身元引受人は誰、俺、この世界での知り合い皆無なんすけど。

.....。


「風呂入ろ」

あれ?まだ入ってんだ。


.....。


1時間後

ん?長くね?


また1時間後

フォティアさんとフローガが一緒に出てきた。

「2人してお風呂ですか。一緒に筋トレでもしてたんですか?」

フォティアさんが答える。

「君をそんな察しの悪い子に育てた覚えないんだけどな」

事後かよ。


次の日

「あの、ほんとに行くんですか?」

「なっは、心配すんなって!」

「いや、あんたは生き残りそうだから別にいいっすけど」

「おい」

問題はこれから戦争っつうのになぜか化粧をしてる女のほうなんだよなぁ。

「なぁ、フレア」

「あん、なんだ兄貴?」

9歳になったフレアは何にも変わらない。

ただ、俺の呼び方がお兄ちゃんから兄貴になっただけ。

死ぬほどかわいい。

「お前の母ちゃんと父ちゃんこれから戦争なんだぞ。お前、呑気に鼻ほじってる場合か」

「おっ!でっかい鼻くそ取れた!」

コイツぅ。

「はっはっは、鼻くそは取っとけ、取っとけぇ。いつまでも鼻にくそをいれてちゃあ、汚いからなぁ」

何言ってんだ、この親父は。

「って、お前、鼻くそを付けんな汚い、汚い」

ぷっぷぅ~、あいつ親父のくせに鼻くそつけられてやがる、ぷっぷぅ~。

「はい、兄貴にも」

「いやっ、いらねぇよ、おい、付けんな、うおーい!」


「よしっ、じゃあ、用意も終わったし行ってくるわ」

「うん」

「フレアをよろしくね」

「うん」

「フレアには手を出すなよ」

「うん」

「いやっ、出さんわ、犯罪だわ」

こいつ、自分の娘をなんだと思ってんだ。

「まあ、多分、1週間後には帰ってこれると思うから」

そう、言い残すと2人は俺とフレアの頬にキスをし、ドアを開け、旅立った。

ドアを開ける瞬間、ほんの少しだが、口角が上がっているように見えた。


次の日

戦争ということで、もちろん学校は休みになる。

ということは家に1人でいるという、俺の時間は必然的に減る。

「兄貴―、ごはーん」

「兄貴―、リモコーン」

「兄貴―、トイレー」

あああああああああああああああああああ。

うるさいぞ、まじか。

なんだこれ。

こんなに大変だったのか、主婦って。

すごく見直した。

「お前さぁ、ずっと家にいていいのか?友達とどっか行ったりしないのか?」

「兄貴もじゃね?」

ぐはっ、確かに。

「それに、なんか先生に言われたから、出れないの」

「なんて?」

「外に出たら死ぬって」

死ぬねぇ。

これは脅しか、それともリアルか。

異世界だとほんとどっちかわからんな。

「んー、具体的にはどうやって死ぬの?」

「燃え尽きる!」

おっほ、思ったより、えぐい。

でもなんかほんとっぽい。

「はぁ。早く帰ってこないかなぁ。」


「ムーブ!」

えっ?

「よっ!フレア!遊び行こうぜ!」

ん?誰だコイツら?

「あのー、君たちは?」

「あはっ、兄貴には紹介していなかったな、こいつらは!」

「俺はフランマ!」

「私はフロムマー!」

「僕はフラルゴ!」

「そして私がフレア!」

「「4人そろって赤き劫火隊!」」

なんか、可愛いな。

でも、最後の決め台詞っぽいのがフランマとフレアしか言ってなかったな。

「じゃあ、おじさんフレアは借りてくぜ、ムーブ!」


行ってしまった。

そんな日が2日、3日、1週間、2週間と続いたがフォティアさんフローガは帰ってこなかった。


ありがとうございます。

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