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七福の国  作者: やゆよ
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日常2

楽しいです。

今日はフォティアさんに洗剤を買ってくるように言われた。

当然俺は移動魔法を使えと何回も言った。

だが、魔力がもったいないでしょと跳ね返されてしまった。

そして、やっといつもの店へ来たわけだが。

「おばちゃーん、いつものせんざーい!」

店の前でそういうと

「ごめんねぇー、今日売り切れなんだよー」

と返ってきた。

ううん。

困ったねぇ。

もう、これは致し方ないことにして何も買わずに家に帰るか。

それとも、ここから10分ほど離れた洗剤専門店に行くか。

はぁ、まぁ、10分ならいいか。

それに、あそこで働く店長の娘さん可愛いんだよなぁ。

まぁ、1回も話したことないけど。

よしっ、今日こそ話しかけるためにいくぞー!


到着すると紙が貼られていた。

・本日の洗剤の販売は終了しました。

おいぃぃぃ。

なに?

なんなの?

今洗剤ブーム到来してんの?

こんなにないことあるの?

てか、お宅洗剤の専門店でしょ?

1番なくてはならない店やん!

「あの、洗剤買いに来たんですか?」

なんだ、俺は今猛烈に腹が立っているってのに。

「はいっ?」

「なら、すみません。今日の洗剤は毘沙門天様の配下の方達が全部買ってしまって」

あっ、この子、ここの娘のかわい子ちゃんや。

やべっ、近くで見るとめっちゃ可愛い。

真っ赤な髪に隠れた片目。

それでいて、真っ白な肌に小さな胸。

あぁ、ジャストミート。

「あっ、いやっ、そうなんですね、えっ、あっ、そのっ」

あー、ダメだぁ。

相手を異性と思っちゃうと全く話せないよぉ。

「あの、私これから隣町まで洗剤を買いに行こうと思うんですが、一緒に行きます?」

わお、まじか。

生まれて初めて女の子に買い物誘われちゃった。

しかも、タイプの女性に。

「もっ、もっ、もちろんどす」

「どす?」

「あっ、はい、自分地方生まれなもんで」

なんかよくわからない言い訳しちゃったよ。

もう、終わりだ。

「よくわかんないけど、行こっか」

「あっ、はい」


「あのぉ.....」

「なに?」

「あっ、いや、なんでもないです」

「そうですか」

やべぇ。

話すことがない。

今のこの空気地獄なんだけど。

というかこの人も全く話さないし、ずっとまっすぐ前を見つめているし。

「ねえ」

「えっ」

あっ、話しかけられた。

「君さ、どこの国の方?」

ああ、俺が黒髪だから珍しいのか。

「日本です」

「日本?」

「はい。まぁ、正確には日本の茂木町ですけど」

「茂木町?」

まぁ、知らないよなぁ。

俺だってこの世界のことさっぱりわかんないし。

「それで、そこに住む人達はみんな黒髪なの?」

「あー、まぁ、基本そうだね。外国とかなら金髪とかもいるかもしれないけど、日本は皆んな黒髪」

「へえー!じゃあ、じゃあ、その、日本ではどんな魔法が使われてるの?」

「いや、魔法なんて使われてないよ」

「えっ!なんで、なんで?」

うわっ、なんかめっちゃグイグイくるやん。

しかも、メモまで取ってるし。

まぁ、可愛いからいいけど。

「なんでって言われてもなぁ。魔法なんてそもそも無かったからなぁ」

「ええっ!なんでっ!馬鹿なの!?」

そんな話が隣町の店に行くまで永遠と続いた。

「ごめんね、少し話過ぎちゃった」

「いや、大丈夫、俺も楽しいし」

「そう?ならよかった」

嘘です。

いや、半分嘘で半分本当です。

序盤はとても楽しかったよ。

でも中盤あたりから一問一答みたいになってしんどかったよ。

「あっ、この洗剤、使ってみたかったんだよね〜」

洗剤マニアなのかな。

「えっ、これ、見たことない!買お〜」

うん?ちょっと待って。

これ、側からみたらデートに見えない?

てか、もう、これはデートでしょ。

ひゃあー、俺17歳にしてやっとデートかぁー。

「ねぇ」

いやー、俺のこと非リアって馬鹿にしてきてた奴ら見てるかー。

「おい」

俺、異世界でデートしちゃってまーす。

「うおい!」

「いていっ!」

「私買ったから、君もちゃっちゃと選んで買いな」

あっ、もう買ってたんか。

やべ、さっさと買っちゃおう。

「おっちゃん、これ、ちと高くないか?俺の住む街だとこの洗剤、50ルピー安いぞ」

「悪りぃな、黒髪少年よ。俺の街ではこれでも売れんだよ。まぁ、買わねえなら別に俺は構わんけどな」

くそ〜、この、ジジィ。

「まぁ、それが現実だよ、黒髪君。私は100ルピー安くしてもらったけど」

「おいっ、ジジィ。どういうことだ。なぜ、俺には安くせず、この子には安く売るじゃコラ」

「うるせぇな。可愛い子には安く売る。これは基本。義務教育で習ってきたんだよ。あのなぁ、こんな美女と一緒に歩いてるような奴には本当は1000ルピーぐらい高く売りてぇのを我慢してこっちはてめぇに売ってやてんだよ!感謝しろ!」

.....。

「よかったの?」

「うん。ぐうの音も出ないほど、正論だったから」

「そっか。じゃあ、さっき聞きそびれた、そのヨーロッパって何?」

.....。

勘弁してくれい。

ありがとうございます。

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