はじまり
とても眠いです。
その後、ありがたいことにこの家に居候させてもらえることになった。
もちろん、ただ住みではなく、条件付きだ。
条件は3つ。
1つ 義務教育で覚えなくてはいけない魔法150を覚えること。
2つ 雨が滅多に降らないこの地ではどの家庭にも貯水された地下タンクがあり、そこに水を発生させる魔法、ストリームを毎日欠かさずに行うこと。
3つ フレアの母、フォティアをさん付けして呼ぶこと。
うん。3つ目は絶対いらない。
この条件の他にもすることはたくさんあり、家事に買い物に毘沙門天への30分の祈りなどのやることが多い。
また、これは本で知ったことだが人には魔力というものが備わっており、これは生まれたときに大体が決まっている。
ちなみに、俺は平均より遥かに少ない。
うっざ。
また、俺がここに来た日。
フォティアさんが帰ってきた日にはフレアの父は帰ってこなかった。
帰ってきたのはその1週間後だった。
なぜ1週間も帰ってこなかったのかは聞かなかったが、俺の挨拶を無視してすぐに寝床に行ってしまったことから相当疲れてるらしい。
次の日にはあ、いたの、ごっめ〜んっと言いはなち、肩を思いっきり叩かれた。
手加減を知らない暴力じじいだ、あれ。
そんなこんなで2年が過ぎたある日。
いつものように、フレアと魔法腕相撲をしていると、いきなりアナウンスがなり、低く、威圧感のある声がこのクベーラに響いた。
これは俺の憶測に過ぎないが、フォティアさんの強張った表情や街の異様な静けさで誰の声かは分かった。
毘沙門天だ。
そして毘沙門天はこう言った。
明日の正午、男は15歳以上、女は18歳以上のものは毘沙門天の住む城の前に集まれとのこと。
これが一体何をするのか。
小さな子供は一体どうしろというのか。
まぁ、よくないことであるのは確かだ。
よしっ、明日は風邪ひいたことにして自宅警備をするか。
そう思っていると、フォティアさんが深くため息をつき、父、フローガと何か話し出した。
5分くらい経過したころ、フォティアさんが言った。
「コンタ君。明日はここにいなさい」
ほう。
それはありがたい。
だが、まぁ、聞いておくか。
「どうしてです?なにが起ころうとしているのかは俺は知らないですが、まずい状況なんですよね?俺だって1人の男。放っておくわけにはいきませんよっ!」
よしっ決まったぁ。
上出来だな。
「ありがとう。コンタ君の気持ちはよく分かったわ。でもね。もしも、コンタ君が明日、私達と一緒に来るならあなたの人生は終わりなの」
終わりだと?
「あの。明日、なにがあるんですか?」
恐る恐る俺がそう聞くと、フォティアさん、そしてフローガはニカっと笑い、小さな声でこう言った。
「戦争」
ありがとうございます。