赤髪の少女
初チャレンジです。
おっ!起きた!起きた!臭い男が起きた!
俺の隣で小さな子供のような声が聞こえてくる。
一体何だと目を覚ますと、そこは日本にあると思えない、真っ赤な部屋だった。
なんだこれ。
センス悪すぎんだろ。
赤いベッドに赤い枕、赤いカーテンに赤い床に赤い天井に赤い壁。
それに.....
「おめぇ、どこから来たの?」
赤い髪をした10歳もいっていないであろう少女がいた。
こんなに小さいのに髪染めとは。
最近の子供は恐ろしい。
「茂木町だけど。えっと、ここはどこかな?」
少女はしゃべりだしたのがそんなに驚いたのか、口と目を大きく開け、こちらを見つめてきた。
「あ、あの.....」
5分以上固まってしまったため、さすがにこちらから声をかけざるを得ない。
「.....あっ、すまぬ、すまぬ、なんつった?」
いや、忘れんなよ。
てか、話し方のクセすげぇな。
「いや、だから、ここがどこかを知りたいの。」
「あぁ、そんなこと言ってたね!あはっ!」
「.....で、ここどこ?」
「クベーラ」
少女はそんなことも知らないのと言いたげな表情でそう言う。
「ヨーロッパら辺かな?」
何言ってんだというような表情にお互いになる。
「ヨーロッパってなに?ここはクベーラだよ、クベーラ」
クベーラ。初めて聞く、国だな。中学3年生のときに友達に自慢するために国名のほとんどは覚えたんだけどな。聞いた事もない。
「君すごいね。俺も知らない国が言えるなんて。で、ほんとの場所。ここの地域でいいからわかる?」
少女の表情は変わらずにいる。
「まあいいや。じゃあ、お母さんかお父さんはいないかな?」
俺がそう聞くとまた聞いた事がない単語が出てくる。
「母ちゃんはルピーを献上しに行っててね、父ちゃんは王様の城を守ってるの!」
ルピー、王様?なんだそりゃ。
ここはわかりそうなことから聞き、理解する。
学校の先生もそんなこと言ってた気がするし、そうするか。
「王様って誰かな?」
「王様も知らないの!お兄ちゃんバカだね!」
コイツ一言余計だな。
「王様は毘・沙・門・天」
んっ?
何を言っているんだこいつは。
やっとわかる単語が出てきたと思ったら、あの七福神の毘沙門天?
あれは空想上の生き物というか、実際に生きているわけがない存在だ。
そっちがそう答えるならこの質問をしよう。
「じゃあ、あと6人王様はいるのか?」
そういうと少女は当然のごとく言う。
「うん!恵比寿に大黒天、弁財天に布袋孫、あと福禄寿にうちの国の王様の毘沙門天!」
.....なんか1人忘れられている気がするがまぁ、いいや。
それにしてもどうしたものか。
この少女の頭も心配だが、俺のこれからの安否が不安だ。
まず、第一にここは本当にクベーラとかいう地なのか。
仮にここが本当にクベーラなら、俺はどうやってここに来た。
目覚める前の記憶が全くない。
「お母さんか、お父さんはいつ帰ってくるのかな?」
その問いかけに少し考えてから、少女が言う。
「ちょっと待って、見てみる」
見る?
疑問に思っていると、少女は自分の頭に人差し指を突きつけ、口いっぱいに息を吸い込み、
「母、父の遮蔽された未来空間を開放せよ!一意専心・フューチャース!」
はっ?と思った瞬間少女は元気よく言った。
「9時!」
ありがとうございます。