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異世界の魔法、すべて解明します!

ついに時が戻り始める。

予定通りのものばかりと思いきや次々と予測困難なものも発生していく。すべてうまく行くために、、孝二達はどんな未来を掴むのか。

ラジーナは産まれて間もない我が子を置いて里に飛んでいた。

里にいたのが転移魔法習得前だったため行ったことがあるイメージ自体はもちろんできたがさすがにそう簡単にはできないみたいだ。そして、里についた。みんな一様に嫁いできたラジーナが戻ってきたのだ。誰でも驚く。しかしラジーナは王に謁見したいと言った。王に謁見したいのであれば精鋭を倒してから、認めてもらえるまでは会わせない旨が出た。おそらくそうなるだろうことはラジーナはわかっていた。だから里のどのドラゴンよりも修行した。ドラゴンにはとある弱点があることを賢者から彼女は知っていた。だからその弱点属性を重点的に練習したのだ。

精鋭達と3連戦になった。しかしレベルは向こうが上であってもラジーナに勝つことができなかった。まず肉体強化によってバフをかけて殴る。なにもなしで高速で殴ることができるのでドラゴンたちはほぼ使わないこの技をラジーナは磨いていた。当然高速をさらに強化するため相手が殴る前に倒すことができたのだ。

次はレベル500の相手。相手もまた肉体強化をして殴ってくる。まぁこちらが使ったんだしそう来るのは理解していた。でもそれこそが狙いだった。ラジーナはさらに強化をわざと相手にかけた。慣れない強化に身体が変化が追い付かずラジーナの後ろの壁に物凄いスピードで壁に突っ込み戦闘不能になった。

次は里一番の精鋭レベル700を越える老ドラゴン。年老いるほど魔力に適応しドラゴンは強くなる。おそらく2つの作戦とも成立しない今があれの使い時だ。一番の精鋭で潰しにくるのをラジーナは待っていたのだ。その前に見せればまず間違いなく警戒されただろう。しかし老ドラゴンが動かないラジーナを見て突っ込んだのが悪手だった。ラジーナは他のドラゴンが逆立ちしても使えない氷属性魔法で攻撃して一撃で戦闘不能にした。ラジーナ以外の適正のないドラゴンがこれをするには体内魔力で冷やしたり準備が必要になるがドラゴンは爬虫類で変温動物の身体をしているため、寒さには非常に弱い。だから魔力で空気を冷やすのが無理なので、使えないのだ。そして氷属性は弱点なため、ラジーナは炎で解凍しつつ回復魔法をかけた。すると騒ぎを聞き付けた王自らお出ましになった。

「氷属性が使えるドラゴンは聞いたことがない、、」王は驚いていた。「王様、ラジーナは時の巫女としてここに帰ってきました。神の試練に関して教えてもらえませんか?」「あのラジーナが時の巫女だと?」「信じられん」「黙りなさい。巫女の試練は王である私が知っている。とりあえず訳を聞かせてほしい」

ラジーナは今までの経緯を話した。追放されたあと賢者に嫁入りさせられたこと。その賢者は時の巫女を知り導く時の賢者であったこと。それによって様々な氷属性を含む魔法を習得したこと。

さらに地球から時の巫女を補佐する女性が現れ、そのスキルを渡してもらったこと。その女性は戻ったこと。でその賢者との間には次代の時の巫女が産まれたことと全部を話した。

「大変だったのだな。それで変更するのはドラゴンの壊滅の歴史、そなたの母親レヴェーナの名誉回復とその生存でいいのか?」「はい、それ以降も変える歴史はありますがそれで間違っていません。」「時の賢者とは母親がやってきたことで知り合ったのだろう?その世界ではどう出会うのだ?」「おそらく母から会うように言われるでしょう。聞いている限り母は間違いなく巫女であることを知っているようですし。」「なるほど、、」

「巫女の試練だが、精鋭はすでに倒したので里としては送り出せる。だが神界に入るためには神の名前を冠する魔物を倒さねばならん。その魔物は二匹。リヴァイアサンとポセイドンだ。」

リヴァイアサンは海龍だ。その鱗はドラゴンよりも硬い。非常に強力で巨大な魔物だ。ポセイドンは海の巨人で三股に別れた槍、トライデントを持つ。非常に強力な再生能力を持ち生半可な攻撃では倒せない。どちらもラジーナのドラゴン形態より大きく、物理攻撃に耐性がある敵だ。つまり魔法で戦う必要があり巫女の試練としてはピッタリなのだ。地球では紛れもなく神様だが、この世界では堕ちてしまったことで魔物になってしまったようだ。

で、王様はさらに、、

「そのリヴァイアサンとポセイドンの肉体を食べろ。それにより神力を獲得できて認められる。」ちなみに仮にも神なので倒したとしても神界から復活できるようだ。だからこそ代々時の巫女の試練は同じでも問題ないらしい。

「今日の戦いで疲れただろう。明日から行きなさい。」「わかりました。」その晩。ラジーナの父親が訪れてきた。

「すまなかった。」「今さら謝られても母さんは戻ってきません。私がそのために修行して戻ってきたのは母さんを取り戻すためです。」「わかっている。時の巫女の役割を理解せず追い出してしまった自分の浅はかさを呪うしかない。」「いえ。この世界のこの時間軸では無理だっただけです。戻ったらすべて問題なくなります。」「試練もそうだが、お前の無事を祈っている。」

あえて無言でラジーナは父親のもとを去って、眠りについた。

「行ってきます。」里のみんなに別れをつげ、まずはリヴァイアサンの元に行ってみる。リヴァイアサンは里の漁を邪魔するようになったらしいので討伐をお願いしたいとのことだ。ちなみに漁はドラゴンだと不便なので人化して行う。

すると「わが娘を奪い傷つけ殺したのは貴様か!」と激昂する声が。「娘って誰なのですか?」「決まっておる。レヴェーナだ。レヴィアタンの別名がリヴァイアサン。その名に由来するのがうちの娘だった」「私の母ですね」「何?」

私の母に何が起きていたのかを説明する。

「許せぬ!今すぐ里の連中を殺す!」と息巻いている。

「私がなんとかします、ですからあなたが祖父であろうが容赦なく倒させてもらいます。これはその母を救うためなのです。」

「よかろう。我が孫娘の実力がいかほどのものか、そして我が子を救えるほどなのか試してやろう。」戦いが始まった。

リヴァイアサンが水属性の嵐を何個も巻き起こす。「これぐらいなんとかしろ」「それは当然ですよ。」ラジーナは風属性魔法で本体ごと攻撃。竜巻の回転エネルギーを分散させて嵐を消す。

次々と繰り広げられる魔法の応酬。しかしここでラジーナが動いた。雷を召喚魔法ではなく上空の雲から落とさせた。これでは避けようがない。導体に向かって電気は流れる。発動者のラジーナには当然当たらないからリヴァイアサンが直接食らったのだ。

「今だ」とラジーナは接近。口に杖を差し込んで直接雷属性魔法を身体に流して勝負あり。杖は魔法が発動しやすくなる道具だ。

ちなみに手から魔法を受ける機構、魔法を加速させる機構、魔法を発動する機構の3つに構造上別れている。その道具を孝二から必要だろうと入れておいたのだ。普段はほとんど杖など使わないけど巨大で強力な敵がいれば必要になると準備しておいたのが功を奏した。「我を食べるのか?お前の祖父なのだぞ?」

「お母さんを助けたいんです。祖父を食べるなんて残酷なこと私も正体を知らなかったらできなかったでしょう。でも、あなたも家族だけどもっとお母さんが大切なんです、、」「そうか。」

「次に進め。時を渡る以上、これ以上の困難がお前を待っている。だから悲しむな」涙を流すラジーナをこれから食べられるリヴァイアサンが慰めるという変な光景だった。とどめを刺せと命じられたラジーナはさらに雷属性魔法を流して絶命させた。

そして大粒の涙を流しながらラジーナは遺体を食べた。身体に力が湧いてくる。次も負けられない。次はポセイドンだ。

ポセイドンは里から結構離れた島にいた。

「私に挑むそのドラゴン、何者だ。」「私はラジーナ、時の巫女です。」「なるほどすでにリヴァイアサンを倒したようだな。だが私は向こうと違って本当の神だ。そう簡単に試練はクリアさせない」「試練を知っているのですか?」「代々やってるからな、巫女の試練で倒されても我々は神界に本来の身体が存在するから何度でも復活できる。もちろんちゃんと記憶を残してだ。」

「では、行きます!」ラジーナは接近して魔法を当てようとする。何より超がつくほどの巨体だ。接近して弱点を見つけたりしなければ。しかしトライデントを持っていない左手に簡単に止められてしまった。「これほどのものか?」「まだまだ!」

ラジーナはあの魔法を使うことにした。「ブラックホール!」

消滅魔法だ。巨体が引力で吸い寄せられる。しかしすぐに止まる。「力が弱いのか?」「いや真空にするのならこちらはすぐに戻すまで」神の力は侮れない。ラジーナは炎属性の魔法を顔に当てようとした。顔が毛深いのはおそらくそこは再生しないからだ、と予想したのだ。確かに身体は濡れて電気を通しやすくなってる雷属性攻撃をヒットさせてもすぐに回復してしまう。だが、

脳が近くにあって毛深いのには何か理由がある。身体にはほぼ毛が一切生えてないからだ。しかし、「甘い!」彼女の身体はトライデントで貫かれた。「時の巫女は今回はこの程度か、つまらん。」「んぐっ、、」転移を試みようとしてるが貫かれてるせいで無理だ。ならば、もうあれしかない。


その頃。家では。賢者達が夕御飯の支度をしていた。

するとラジーナの娘ナリシャが突如として大声で泣き始めた。

「何が起きた?」「さっきおっぱいはあげたばかりだし、トイレもさっきやったばっかりなのに、、」リーナの声だ。

「もしかしたらラジーナさんに何か起きたんじゃ、、」ルーシャが言う。「ドラゴン族は家族の繋がりが強い種族です。離れていてもそれは同じ。だから何か良くないことが彼女に起きたのかもしれません。」テレパシーを使ってみるか。地球でも両親が赤ちゃんの言いたいことが分かるのはテレパシーが使えるからだと言う。するとなぜか宇宙みたいな異空間にいた。そこには、

「ナリシャなのか?」「ええ、そうですよ。お父さん。」なぜか成人済みの姿をしたナリシャがいた。「なぜこんなことができる?」「お父さんは知ってるでしょうけど、私は時の巫女で赤ちゃんの時代にも飛べるからですよ。」「どうして俺はここに?」

「赤ちゃんの姿だと説明ができないので精神世界に来てもらいました。ここなら姿形は自由ですからね。」「それで要件は何だ?」「さっき私のお母さん、ラジーナが戦闘中に死にました。」「でも、あれがあるんじゃないか?」「そうですね、確かに身代わりの魔法を使ってなんとか復活を試みているようですね。ただ肝心の身体が食べられてしまったのできつそうです。」「俺はどうすればいいんだ?」「私の細胞を貸します。それを回復魔法で培養してそれで母の元に向かってください。」「場所はドラゴンの里の北の海上の島です。」「わかった。」すると精神世界から元に戻った。リーナ達に説明すると深刻な表情に一気に変わった。「急いでラジーナの元に向かって!ナリシャ達はちゃんと見とくから。」飛行魔法で俺は久しぶりに空を飛んだ。このスーツも久しぶりだな、って余韻に浸ってる場合じゃない。このまま放置すれば身代わり魔法も失敗してラジーナは死んでしまう。急ごう。愛する妻を助けに。


ああ、ポセイドンに身体を食べられて今蘇生を試みているけど、いかんせんすぐに持っていかれたので細胞が全く足りない。

このままだと生命活動が維持できなくなる。時の巫女としての使命が私にはあるのに、、、って孝二さん?どうしてここに?

「お前の娘が教えてくれた。貸してくれた細胞をやるから回復し続けろ。俺も手伝う。」ナリシャ、すでに時の巫女としての能力を覚醒しているんだね。娘の細胞を使い賢者さんとの共同作業でみるみる身体ができていき、1日で元に戻った。

今戦ってる相手を再生中に説明した。すると、

「毛深いのは脳を守るためだろうがおそらく目と耳が一番だ」

「目が巨大なぶん一気に強烈な光が目に入れば人間の比ではないぐらい怯むはずだ。あと、耳の音はさすがにあまり毛深いだけでは防げない。おそらく音を使って攻略するのが正攻法だ。」

なるほど、人間より大きい器官を持ってるぶんその器官が弱くなるんだ。なら勝ち目は相手がでかかろうが十分にある。

再生後、再戦が始まる。賢者様ではなく、ギレーノさんが隠密で見守ってくれている。あと2回使えるとは言え、さっきみたいな負け方はまずい。そこをカバーできるようにだ。

「時の巫女は復活もできるのか、驚いた。」とポセイドンは言ってた。あなたも復活できるだろうに、、そこをついてドラゴンの咆哮を放つ。ドラゴン族固有の鳴き声を巨大化して音魔法に昇華させた技だ。ただ正攻法と言っていたぶん、ポセイドンは対策を持ってるはずだ。「何か言ったか?」「闇魔法ですか。」

真空にすれば音を伝える媒介物質が消えて伝わらなくなる。ただ、闇魔法を打つであろうことは夫はすでに想定していた。だからこそ本命が大きく効果を発揮する。

「シャイニングブレス!」光属性のブレスを顔に向かって放つ。

物質なら闇に吸い込まれるが光は問題なく真空中を進める。明暗差のぶん目には大きくダメージが入っただろう。トライデントを振り回すが明後日の方向を攻撃している。今だ、これをまず奪い取る。ドラゴンの爪で腕を切り裂き、トライデントをアイテムボックスに手ごと収納した。すぐに手自体は再生したが武器がなく目に大きなダメージを受けてどこにいるかわかっていない敵にとどめを刺すなら今だ。肉体強化をかけて高速で飛び、ファイアーブレスで顔を焼き尽くす。目に加えて顔が攻撃を受けてポセイドンは腕で消火しようと海水を顔にかける。これも待ってた。

リヴァイアサン同様接近して杖を使って極大の雷を顔に落として攻撃。身体なら再生できるが再生の核である脳は無理で絶縁破壊を起こして絶命した。やっと倒せた。光だけ当てても殺せない以上泥臭く倒した。これでついに時空魔法を使う準備が整った。神界に移動する。「巫女よ、運命を変えるのだ。すべてを好転させるのだ。」「はい。」ラジーナは時空魔法でタイムスリップをした。ちなみにタイムスリップは莫大な魔力エネルギーが必要なので、本人だけで発動することはあまりない。大体が神にその時代に送り込まれるのがオチか、アイテムを使って戻るのが基本。似たようなものでタイムリープと言うものがある。これはプログラミングのループ命令をイメージすると分かりやすい。要は特定条件を満たすまではループをし続けるようになっているのだ。で、このループの設定される理由は物語の主人公、つまり歴史の分岐点にいる人物であることが大半なのだ。

そして、ラジーナはその日に戻ってきた。


良かった。普通に魔法が使える。ラジーナは魔法が使えることを確認した。明日は巫女であることを示す日だ。過去ではここで魔法を何も発動できず母レヴェーナは追放の憂き目に遭った。

巫女であることを示すなら普通のドラゴンは使えないあの魔法しかないだろう。普通の魔法ではおそらく信じないであろうことは今日のみんなの態度から見ても明らかだ。

当日。「では巫女であるその証明をしなさい。」

ラジーナは同年代のドラゴンから普通の魔法が使えないことでいじめられていた。母がかばったことで巫女として証明できる舞台が与えられたのだ。でも、もう二度と追放なんてことはさせない。使う魔法は老ドラゴンを一撃で倒した氷属性ブレスだ。

「氷属性が使えるだと?」「信じられん」「あの無能がいつ使えるようになったのだ」「他はどうせ使えないのだろう?」

ラジーナはこの反応も想定内だった。闇魔法のブラックホールを上空に放つ。「な、なんだあれは!」「闇魔法も使えるのか!」

「とりあえず消しなさい、危ないから」ラジーナは風魔法で真空状態を解消する。「巫女である証明は皆が確認したであろう。故にラジーナを時の巫女として認める。」王が結論付けた。

「なぜ突然できるようになった!」といじめていた一人が叫ぶ。

ラジーナはこう返す。「それは正真正銘の時の巫女だから、ですよ。」レヴェーナはこう思った。「あの子、おそらく未来から戻ってきたんですね。あの自信から見てもそう考えざるを得ません。」ラジーナはいじめられていたこともあり、自信をほとんど持っていない子供だった。それがほとんど誰も使えない氷と闇魔法を堂々と使った。明らかに経験値を積んできた顔をしているのだ。「おそらく、重要な何かがあったのでしょう。夜聞いてみましょう。」そして、家に帰ってラジーナは母に向かってこれからの出来事を話し始めた。レヴェーナはその経緯を黙って聞いていた。時の賢者のおかげで魔法が扱え、ここに戻ってくることができたこと。そしてたった今レヴェーナを追放の未来から防いだことを。「よく頑張ったわね。偉いわ。」ラジーナはただただ母の胸で泣いた。「でも、そうなったのはおそらくだけど、私が何でもやりすぎたからなのよね。」そう、レヴェーナは優秀だった。でもあまり人に教えると言うことをしなかったし、なんでも一人で抱え込んでしまい、任せることが苦手なタイプだったのだ。だから引き継ぎがうまく行かずに放置という最悪の未来になったわけだ。「これからはちゃんと考えてもらうようにするわ。人に教えるし、行動もしてもらう。だから貴女もそばにいて、私を手伝って欲しいの。」「わかりました。あ、それとお母さん」ラジーナは過去で教わった受精の魔法を教える。「浮気者と言われたのは私がスキルを身につけてなかったからでしょ?だから弟を産んで、ちゃんとお父さんのスキルを身につけているって改めて確認すればお父さんもきちんと私のこと評価してくれると思う。」

「わかったわ。ちょっと長い話をしてくるわね。」母は父と長い話を始めたようだ。そして消音の魔法を使ったのを確認した。

「弟か。前回はいなかったから、楽しみですね。」

翌日からラジーナは母と共に官僚として働き始めた。未来ではあり得なかったが、経験不足で何度も失敗することになる。でも「ちゃんとできるようになるまでは落ち着いてやりなさい」と母からの励ましもあり、徐々に失敗は減っていった。官僚たちもまた、レヴェーナの指導もあり優秀な官僚が育ってきていた。

で、ラジーナがこう言う。「サキュバスをドラゴン族で保護したらどうか。」と。母レヴェーナに教えた魔法はサキュバスオリジナルだ。で、これをドラゴンたちに広めてもらう代わりに、迫害を受ける彼女達を保護するのだ。ラジーナがサキュバスが避妊と受精の魔法を作ったという話を聞いて反対する者は「命を吸うという噂があるのでは?」「それのせいで迫害を受けていますが真っ赤な嘘です。今のサキュバスにそんな必要がないんです。」

避妊の魔法の仕組みを説明すると流石に納得したようだ。

ラジーナが先遣隊としてサキュバスの街に向かう。ただ普通に行っても入れないし、今の時間軸ではあのポータルはない。でも、

「隠蔽解除!」無理やり結界を突破した。サキュバスはドラゴンによる襲撃と勘違いして一斉にドラゴン達を包囲する。

「待ってください!私たちは攻撃をしに来たわけではありません!」「ならなぜ結界を破壊した!」「話を聞いてもらうためです。」ラジーナは冷静に保護の件を説明した。

「なるほど、悪くないですね。ドラゴン達も子供を作りやすくなるし、我々はドラゴンの保護下に入る。いいですね。」サキュバスは納得して、里で生活することになった。これにより、ドラゴンとサキュバスの子供が産まれたり、子供を連れ去られる危険から避けることができるようになった。それだけサキュバスの迫害は魔王国でも深刻だったのだ。見た目はよく女しか産まれない種族である以上、街に買い物に出掛けて捕まって奴隷として高く売り飛ばされるなんてザラだったのだ。

「でも、お金が使えないしお金が入ってこないのは困るなぁ」

ラジーナはこう考えていた。ドラゴンの里は国家ではあるのだが、付近の種族とは独立していてお金を使う必要がない。魔物を狩ったり、魚を取ったりで栄養は十分取れるのだ。

しかも、文化が長生きゆえに世代交代が遅くなかなか発展せず生産的な職業がないため戦いがなければいわゆるニートが多い。

「そうだ、魔力はドラゴンはたくさん持っているんだし、魔石をたくさん作って人間の国と交易しよう。」魔石は作り方さえわかればどんなドラゴンでもできる。たくさん作ってそれを交易すれば原価はタダだ。それの収益を使って生活に便利な魔道具や農作物を買えばいいのだ。賢者が頑張って魔石を作っていたところを見ていたラジーナならではの発想だった。ちなみにダンジョン内では魔物は倒されると魔石に変わるという作品も多い。これは遺体を自動で魔力変換して変換しきれないものを魔石にしているのではないかと思われる。

「ラジーナさんは本当に素晴らしい発想をお持ちだ、さすがは時の巫女様。」と周囲から謎の期待を集めてしまうラジーナ。

里は暇しているドラゴンに魔石作りをさせた。しかも人間では逆立ちしてもできない巨大サイズの魔石だ。それをカットして使いやすい大きさに切る。巨大な魔石はその分高密度な魔力が蓄えられている。多少カットしようが出力がだいぶ変わる。要は魔道具がより強力にできるはずなのだ。ラジーナはこのドラゴン魔石を使ってより生活に使う魔道具の発展、コストダウンを狙ったのである。もちろん、ドラゴンが豊かな生活をすることも。

人間の国、ベータスとアトワースでは早速ドラゴンとの交易を始めた。最初こそ信じていなかったが代々伝わる時の巫女という名が飛び出したことで信じざるを得なかった。ドラゴンの魔石は最初こそ値段は高かったがドラゴン一同が生産しまくったせいでだいぶ値段が崩れた。出力が低い魔石も需要があったので基本的には既存のものと食い合うことにはならなかった。これで高出力の魔道具を安価で作れるようになったのだ。

さらにドラゴン達は自分達の土地の価値を全然把握していなかった。魔力が高い土地柄、魔物も強いものが多いのだが、希少金属のミスリルやオリハルコンが産出される土地だったのだ。ちなみにこれももちろん、土地の調査をしていたラジーナがすでに過去に発見していたことだったのだ。この理由は魔力が高いことでそれに対応する金属が生成しやすいのではないかと考えられる。

魔物が強く他の種族ではまず取れない場所でもドラゴンなら悠々と採集ができる。そもそも空が飛べるので断崖絶壁でも採取が可能なのだ。ドラゴン鉱山とドラゴン魔石は大きくこの世界を発展させていくことになる。そしてこのドラゴン鉱山の発見により、ラジーナは次なるターゲットを亜人の国に定める。

「ミスリルなどの加工をお願いできる国は亜人の国しかありません。その技術力はドワーフが代々受け継いできた土地が育んだものです。亜人の国に加工をお願いし、加工して人間の国に販売、その利益の一部を我々がもらう形にするのです。」

これでドラゴンの里はサキュバスによる子孫繁栄と、ニートの激減、ドラゴン魔石の販売、ドラゴン鉱山からのミスリル、オリハルコンなどの採掘、亜人の国に販売して武器に加工してもらい、人間に販売することで利益を得ることに成功した。これすべてにラジーナがかかわったことで王に推挙されるレベルにまで名声が集中することになるのだ。しかし、魔王国はこの利益を一切受けることができなかったのだ。これが人間国侵攻を加速させる原因になった。人類側もドラゴンの行動により、武器の増産や魔石の大量確保が重なったことでだいぶ豊かになっていた。これが高速侵攻を加速させた。人類、魔族の戦いにドラゴンが関わることは禁止されている。ドラゴンは核兵器のような存在だ。速く、硬く強い。それでいてあっという間に敵を殲滅できる。だから街の発展とかもすべて無に帰すこともできるのだ。

人間側が大苦戦を強いられる中アトワースのフェイム王は過去よりも2年早く勇者を召喚することを決断する。「勇者よ、助けて欲しい。もう魔王国軍に包囲されかかっている」「もっと早く呼んで欲しかったよ、王様。」勇者は速見太郎と言う名前だった。

ちなみに今までの勇者と同一人物である。少し彼について語ろう。速見はかつてはただの日本の高校3年生だった。それが異世界召喚をされた。その世界では勇者がすでにいて、運が悪くなんと召喚された日に魔王討伐が達成された。王様は魔王軍との戦いが長く勇者が無理だと思ったので召喚したらしい。ただその王様はアホだった。凱旋パレードをやるとか言い出したのだ。実際には金庫にお金がないだけでなくスタンピートで被害を受けた村もあってそれどころではなかったのだ。凱旋パレードは速見によって即刻中止され、たくさんの魔導士を使う勇者の送還の魔法の使用もやめさせた。速見は被害を受けた村で魔導士とともに災害復興をしていく。そこでイブという存在に出会う。スタンピートの跡地で会った彼女はこの戦い以降全く見なくなった魔族最後の生き残り、ラストワンだった。

このラストワンは不死身とかのチート能力てんこ盛りのスキルである。それは魔族を爆発的に増やすための絶対生存スキルだった。ただ無性生殖での大量生成をした瞬間イブは絶対に死ぬ未来だった。彼女に一目惚れをした彼は彼女と共に生き残り、この異世界を救うことに成功した。その過程で速見は復興させるために必要なものを学んでいったのだ。もちろん、敵を倒す技術も含めて。そして、速見だけが異世界から戻されようとしたとき、とある約束をした。これにより、イブと共に戻ってきた彼。約束により、窮地の異世界を救う仕事をすることにしたのだ。現実にいる間はイブの能力で様々な知識を吸収していった。その約束に基づいて今、期間限定での世界を救い、復興する仕事が始まる。

ちなみにこの話は別で取り上げる予定はあります。宣伝は終わったので、本編に戻る。

速見は歴史通り、たった2日で無力化して降伏させた。

その力はチート持ちのイブも多分に関わっているが、魔族が魔族を倒したのはまずいので、全く分からない状態で行っている。

ここで文明を発展させる代わりに人類への敵対行動を止めろというこれまた歴史通りの未来が繰り広げられる。

この行動は当然、歴史を知ってるラジーナには想定の範囲内だ。

ただ気になったのが、本来より2年も早く進んでいることだ。

そして、ドラゴン族では例の会議が行われる。

「勇者の対策はどうする!」「我々に攻め込んでくるのではないか?」「待ってください。勇者と争うのはなしです。」ラジーナが割って入る。「勇者はそもそも人間の国の召喚で出てきました。我々は色々人間に貢献しているわけですから、ちょっかいを出さなければまず大丈夫なはずです。」「確かに」

すると、警報が。「誰か来ます!」まさかもう来たのか。

「勇者様でよろしいですかね?」「そうだ。」

「ふーん、お前、名前を聞きたいな。」「私ですか?ラジーナって言います。」「ラジーナ様は時の巫女なのですぞ!」余計なこと言わないで。「時の巫女、、つまりはタイムスリップをしてきて強さを確保してきたみたいだな。」「それが何でしょうか?」

「お前、強いのであれば戦いたい。いいか?」もう周囲が希望してるからおそらく逃げるのは無理だ。「いいでしょう。」

こうして勇者とラジーナは戦うことになった。過去の時系列では決してあり得ないし、そもそも直接勇者と会うことはなかった。

魔法同士の対決もあったり剣を物理障壁でガードししっぽで攻撃など高度なバトルが繰り広げられる。だがお互いの実力が拮抗していてダメージが与えられない。魔法はお互いに相殺ができるし、物理攻撃もラジーナが工夫してもすぐに勇者は対応するためだ。「やっぱりお前、強いな。どうしてだ?」理由を聞いてきました。もうタイムスリップしたことは勇者にはバレています。

勇者にドラゴン族の滅びを防ぐためと説明します。聞いていたドラゴン達は驚愕しています。まさか勇者に挑んでほぼ全滅する未来からやってきたのだと言うことに。「なるほどな。で、その賢者が色々とお前に教えたおかげで強いだけでなく今のドラゴン族の発展もあると。で、その賢者は未来の夫なのだろう?」「はい、彼との子供は次代の巫女です。」「なら、もうやってきてもらおうか。もちろん俺も期間の間はちゃんと協力する。」

え?もう孝二さんやってくるんですか?まだ4年もあるのに。

ラジーナはだいぶ歴史が変わってしまっていることに困惑したのだ。そして、勇者は王様に賢者の召喚を要請した。


その頃の役目孝二はまだ大学2年生で大学で研究したくて入ったがそこまでだった。しかし彼は呼び出された。ラジーナの未来に関することである以上別の人間が呼び出されることはあり得なかった。当然、召喚されたときには驚いた。ドラゴンの女の子がそばにいたからだ。時の巫女の要請として呼び出された彼は意味がわからなかったのだ。だが、こうなる事態まで未来の孝二はすでに読んでいた。だからこそ説明の魔道具だけでなく、最新版の未来の記憶を入れた記憶魔法の魔道具を用意していた。ラジーナは説明の魔道具でなんとか彼を納得させようとした。「なぜ僕なんでしょうか?」と彼は言うが彼でないとダメなことはラジーナが一番わかっていた。とりあえず今の孝二には魔力がないので記憶魔法から記憶を取り戻すことさえできない。そこでまずくなく、魔力がそこそこの肉を孝二に食べさせた。あまりにも強すぎたら魔力に耐えきれずに死んでしまうからだ。あのくそまず肉は夫には食べさせられない。なんとか魔力を獲得した孝二は記憶魔法で記憶を取り戻す。もちろん、妻たちに抱いていた感情も。

「ラジーナ、俺この世界に来たんだな。」「よかったです、口調がいつものに戻って。」「リーナはどうする?」「護衛にしてしまいます。もちろん、記憶魔法はお二人の分も用意してありますよ?」孝二は未来の俺は本当抜け目ないな、と思った。屋敷の面々はおいおいなんとかしよう。あの屋敷は今はまだジューレの家族が住んでいる。だから、ラジーナがこの国に貢献した貴族として屋敷が与えられることになり、その夫として孝二は住むことになった。もちろん、記憶を取り戻したリーナも一緒に。ラジーナが貴族になった関係で第一夫人はラジーナになった。

そのため妊娠するのもラジーナが一番先になった。というかナリシャがさっさと産まれるのが大事だという。そもそもリーナが、「今はちゃんと護衛をしていたい。子供はもう少しあと。」と言ったからだ。記憶魔法で記憶を戻した俺は4年前ということで亜人の国に出向いた。まだ飢饉が起きていないが災害に弱い状態だったからな。あんな無茶苦茶すぎる対処方法になる前になんとかすべきだ。流石に今の状況でいきなりルーシャと婚約するのはラジーナの力を持ってしても不可能だ。仮にも一国のお姫様だしな。一応、ラジーナのおかげで武器の交易があるのでそこまで貧困ではない。空港建設は流石にまだ早すぎる。あれは一年近くかかったしな。とりあえず勇者速見と協力して土地開拓や食糧増産、教育、医療を推進する。向こうは魔族側にかかりきりだからあんまり協力は期待できないが。

とりあえず魔法は全て取り戻したが結局レベルは1のままだから、MPが足りずに不便な状態だ。ホーンラビットで肩慣らしをして、エルバンド領の森へ。ボールさん達にご挨拶したけどこの当時リットちゃんすら産まれてないからな。というかまだ騎士団入りしてないリーゼとリーラがいるし。リーナはすでにお母さんのリズさんと接触しているようだ。またなんか嫌な予感が、、

とりあえずレベル上げはあんな無茶はせずにレベル50までは上げた。これで研究の発表はできる。論文は実はラジーナのアイテムボックス内に入っていていつでも発表はできるが、ちょっと修正したいことや加筆もあるので伏せていた。この事態も未来の俺は読んでるのだ。そろそろあれが来るころだろうし。

そう、魔力嵐だ。4年前と同じ時期に召喚されたのでこの季節がやってきたのだ。それを勇者がさっさと止めようとしたのでストップをかけた。勇者がいなくなったときに同じ手法が使えないからだ。「こういう方法がある。」「なるほど、これなら誰でも使えるな。ちゃんと考えているんだな。」勇者は発展を進めるために魔王国に戻っていった。勇者にはすでにとある人物を連れてきて欲しい旨を伝えていた。俺たちは騎士団と魔法使いと協力を

して歴史通りに魔力嵐を止めた。そして、歴史通り、俺の貴族昇進が伝えられた(リーナとはすでに結婚しているので関係ない)

。ここでラジーナが、「サキュバスの名誉回復をここでします。すでにドラゴン族が保護しているので歴史通り行きます。」

ラジーナが先手を打っていたんだな。そしてサキュバスは歴史通りに名誉回復が行われたことで魔族側で一番先に交易が開始された。これには勇者も驚く。「サキュバスは迫害されていたがここまですごい種族だったとは。本の変なイメージしかなかったからな。」ここでイレギュラーが発生する。そう真っ先に開始されたのがサキュバスだったせいで魔族側の動きが慌ただしくなったのだ。これに「俺がなんとかするからそっちはいつも通りやってくれればいい。」と勇者が対応。強硬派はすぐに捕らわれた。ちなみに勇者との会話は俺たちが教えたテレパシーである。

そして、ギレーノがやってきた。勇者に頼んでいたのだ。

奴隷契約を結んで俺の影になってもらう。これで、ギレーノに暗殺されることはなくなった。ちなみに記憶魔法で覚えたがこの当時は一度も死んでいないので身代わりはフルの三回使える。

これで暗殺されて自分の葬式を映像で見ることはおそらく無くなった。「よかったですね。」と二人から言われる。「でもそろそろやってもらおうかな」とリーナ。色々あってもう3ヶ月は経ったしもういいか。予定通りというかリーナはケンジとリマを妊娠する。論文が発表されて世間が賢者の偉業を称えるようになる。

まぁ魔道具開発とかもしてどんどん稼ぐんだけどな。お金の使い道が分からないまま白金貨がまた数百枚貯まった。とりあえず、前回使わなかったミスリルやオリハルコンなどの貴重金属を加工して魔道具を作ることに決めた。これで作ったのがミスリルの杖だ。圧倒的な魔力伝導率を誇る金属であるミスリルの杖は発動機構とかを作るのがドワーフには厳しかったようだ。当然この杖は俺の武器として戦うときに活用されることになる。さらには通信機材としても使われることになる。今までの通信の魔道具より速度が圧倒的に速い。遮蔽倉庫及び金庫も作った。贅沢に素材を使ったがその分対衝撃、対魔法に強く、解錠魔法もイレギュラー以外では使えなくなる仕組みだ。つまり、確実に物を守ることができるということで貴族の皆さんがご購入された。

うちも大枚はたいて倉庫は作ったけどな。アイテムボックスがあるだろって?まぁ簡単だよ。シェルター代わりだ。あとあれは有限だし。

サキュバスを通じて亜人の国にはベビーブームが起きつつあった。ラジーナの協力のおかげだ。これで飢饉の回避と人口増加の功績を持って表彰された。ここで俺はルーシャと婚約したい意志を告げる。ここには入っていなかったし(今回は普通にお金があるのでお金)、なんなら国交が回復したことでベータス国の王子との結婚も視野に入っていた。でも、記憶を取り戻して妻として過ごしてもらった以上、愛している以上、ルーシャと結婚したいと思うのは当然だった。なんとしても結婚したい意志を伝えた。

女王も歴史通りまた妊娠していた。これはサキュバスを動かした孝二たちの活躍だ。無理に賢者との関係悪化は人類との交易もなくなると考えた女王は仕方なくルーシャを嫁がせた。

ルーシャも最初は嫌だった。なぜ賢者はここまで私に拘るのかと。でも未来の夫から魔道具を渡されて記憶を取り戻したとき、彼女は涙した。「ちゃんと私のこと覚えていてくれたんですね。」「当たり前だ。ハーレムが嫌なんて昔の考えだし。ちゃんと子供を産んでくれないと色々このあとが大変だからなぁ、、」

「そうですね、今夜頑張りますか。」

ベビーブームも来たので空港建設に着手した。フーシュさんはまだシュンくんを産む前だ。あんな奴隷になんてさせない。彼女はうちの屋敷のメイドにした。そもそも亜人の国が儲かってることで奴隷や口減らしはほぼなくなっていた。ベータス国で不満分子が影を潜めようとするが、「俺がいる間にそんなことはさせない」と速見のおかげで鎮圧。本当に便利すぎる、この勇者。

当然工場とかも建設していった。満里奈は来るのだろうか。まぁこの世界に役割がなければ来ないのだろう。と思っていた。

「ここはどこなんでしょうか?」なぜ来ちゃったんだ。

ニュートはまだいないけど、と思ったらリーナが「うちの騎士団にまだいるよ」との発言。ちなみにリーナは歴史通りの専属護衛である。付き合う二人なら最初からくっつけとリーナに言わせて王様はニュートを満里奈の専属護衛に指名したのだ。まぁ前回と立場は違うけど、まぁいいだろ。

そう言えばラジーナの母さんであるレヴェーナさんが妊娠だいたい8か月らしいので会ってみた。前回はアンデッドドラゴンとして戦うことになったからな。人間形態の彼女は本当ラジーナとほぼ見た目が変わらなかった。親子そっくりってことか。年齢が長命ということもありあまり老化はしてないらしい。でも200歳前後らしい。(ラジーナは30歳前後)

一応ラジーナと結婚したこととお腹に赤ちゃんがいることを報告した。「娘が時を渡って愛する人に出会えて子供も産まれるとは、この先の未来も明るそうですね。」そうだな。レヴェーナさんを助けだし、ドラゴンの不要な犠牲をなくして、俺の記憶を取り戻しただけでなく、その前に鉱山や魔石の販路を作るとか凄いなんてレベルでは済まない。時の巫女としての役目をきっちり果たしたのだ。

しかし、急激な変化は軋轢も大きい。サンタム教や人類至上主義者の連中もまた動き出す。俺や満里奈に対しての攻撃が始まった。まずは工場への嫌がらせ、魔道具に対するイタズラなど地味な攻撃から始まる。「とりあえず原因はわかってるが対処を何とかしよう。」ちなみにサンタム教の上層部は論文を出したあとからで歴史的にはすでに消されているのだが、今はジューレの両親もいるし、無理に消すつもりはない。ただ、ジューレはアトラではないにしろ、あんな豚みたいな婚約者と婚約させるのはなしだ。前回は見てなかったが、今回は首謀者として動いているらしいので見てみたがまぁひどかった。贅沢三昧だし、女を連れ歩くしでとても結婚相手にさせるべきではなかった。

とりあえず、こんな上層部は解体させよう。死刑はなしで。

騎士団に襲撃される前に突入してもらいガサ入れを開始。すると不正の証拠がどんどん出てくる。両親、婚約者を含む上層部は逮捕された。まぁ前回と違って殺さないだけマシだが。

ちなみに婚約者はあまりにもひどいので奴隷の強制労働者にジョブチェンジさせられた。まぁ頑張って働いて返してくれ。

ジューレは前回同様、家を追い出された。しかし俺たちが買い戻した。こっちに前回同様基本拠点は移動することに。

「いやー、帰ってきたね、こっちに。」妻達の感想。正直ここ住み続けたからここ以外拠点はあり得なかった。

アトラやメイドさんも前回同様雇用する。

ジューレに前回同様の話を振り、聖職者としてここに住むことになる。そのあとはリーナが面白がって先に関係を進めたせいであっという間にアトラとジューレは婚約したのだった。

ところで満里奈の役割って何だろう。だってラジーナにはすでにMP軽減があるのだから。聞いてみるか。

「おそらく全く別の役割があると思うぞ?」神様がこう回答する。「そもそも、錬金術を使いきれておらんじゃろうが。」

確かに。あくまでも反応したものを扱っているだけだったり、一部のものだけを使っているだけだ。「本当」の意味で使っているわけではない。ここで、魔力を物質に変化させることを錬金術として定義してみる。ドラゴンの変身を例に考えてみる。ドラゴンは人間の形態に変身できる。これは質量をエネルギーに変換している。一方でドラゴンに戻るときにはエネルギーを質量に変換する。でもこれは保存されていなければいけないはずだ。なぜなら変換効率が1でないと変身の度にロスが発生するからだ。つまり、式に表すとこうなる。

E=Am、m=BEとなる。で、生物の変身はA=B=1で定義される

で、Aを魔力質量変換定数、Bを質量魔力変換定数と定義する。

で、一般的にAの値が創作物におけるDP(ダンジョンポイント)の値である。Eは魔力エネルギー、mは魔力質量である。

つまり、エネルギーを使えば基本的に任意の魔力質量を持つ物体に変換することができて、かつ、魔力質量のある物体はエネルギーに変換できるという式なのだ。

つまり、ダンジョン物でMPの数分の1を回収するのはそのまま魔力がDPだからだ。ダンジョンマスターはダンジョン内のすべての空間の魔力を操る力を持つ。その魔力を用いて、物質を創造したり、物体を召喚することができるのだ。魔力を直に質量に変換する魔法を創造魔法と呼ぶ。

ダンジョンものは死体を変換してDPにしているが、理屈さえわかれば簡単である。で、彼女の錬金術はそんな創造魔法の一種だったわけだ。つまり、、ここにはないけど伝説の金属が作れるから錬金術なんだな。ここで彼女に作らせる金属が決まった。

彼女のレベルを上げて作ってもらったのはヒヒイロカネとアダマンタイト。この世界にはどちらも彼女にしか作ることのできない物質だ。ヒヒイロカネは熱伝導が異常な物質でかなり軽い赤色の金属でかつ頑丈だ。これで剣を打ってもらい勇者にプレゼントした。あんまり武器は使わないみたいだが、「これはすごいな。妖刀って感じがする。ありがたく使わせてもらう」と喜んでいた。

アダマンタイトもオリハルコン同様の硬さを持つが、何しろ貴重すぎて値段がつかない。彼女が全部のMP消費してようやく数百グラムを産み出せるのだ。ヒヒイロカネと合わせて指輪にすることにした。婚約指輪を前回は作ってなかったからな。妻達はもちろん大喜び。満里奈も「指輪ですか、素敵ですね。」と誉めてくれた。まぁ効率悪いし武器としては似たようなオリハルコンがあるからな。「これでいいのか?」「ああ、素材を作った以上この世界のどこかで産出されるようになった。役目はなくなった。」

「なら、帰していいんだな?」「それはもちろん」

こうして彼女はニュートと一緒に帰ることになった。前回は7か月もかかったが今回は2か月で済んだ。ちなみにある程度はニュートに記憶は戻してある。あくまでも本人の記憶ではなく俺視点の記憶ではあるが。まぁこれで、人類至上主義者は満里奈を狙えなくなったわけだ。勇者も俺も人類のために活動してるので表だって批判することは奴らにはできない。


ラジーナです。タイムスリップしてから怒涛の一年でした。

結局勇者や孝二さんが来るのが早まって、みんなが記憶を取り戻して、3人とも妊娠しました。ルーシャさんはテーラとセナを妊娠中です。まぁひとまずはこれでいいでしょう。

あの冒険はなかったことになってますけど、大丈夫なんでしょうか?ちょっと心配ですね。


ベータスでスタンピート発生と聞いたのはそのあとのことだった。前回はニュートが入っていたけど、おそらく今回は捕らわれた強硬派の生き残りが今回の事件を引き起こしたのだ。

勇者が当然対処に回る。ギレーノ、ラジーナを連れて俺も出ることにする。「壊滅は絶対にさせない。前回起きなかったことが起きたけど、歴史は変えさせない。」

ボーツマスにきた。おびただしい数の魔物がいた。すでに勇者が頑張っている。ちなみに今回はプライベートでの小型のヘリコプターだ。魔石を溶かした魔力燃料を動力源に使っている。

空港開発が2度めなのでドワーフの方にお願いして作ってもらった。魔力燃料はドラゴン魔石が簡単に手に入るし意外とすぐ作ることができた。とりあえず着地しようにも地上は倒してもきりがない数の魔物がいる。ドラゴンに変身できないラジーナは「もどかしいですね」とこぼしていた。ナリシャがお腹にいるからな。

杖を使って雷属性で攻撃していく。下では倒れた魔物は次々と魔石に変わっていた。今回はスタンピートが起きたのでコアを止めるしかない。圧力魔法で降下速度を緩めながら地上に到着する。

魔物は内部にもたくさんいたが闇属性魔法でまず突っ込む敵を一掃。風魔法で戻したあと、氷を地面の下に配置して滑らせる。滑った敵をさらに凍らせて内部に進む。浮遊ブーツを用意しているので氷で滑らずに済む。氷で滑らせたりそもそも魔物の上を歩いたりする想定でこのブーツは用意した。反重力、いや圧力魔法が組み込んであり起動することで常に浮遊状態をキープできる。

これもまた今回からの登場である。ドラゴン魔石が動力源なのでまず寿命は半永久的なのだ。

とりあえず倒しながらコアの下にたどり着いた。「よく来たな。賢者よ。私はダンジョンマスターだ。」魔族の強硬派で間違っていない。ダンジョンマスターになって意図的に発生させていたのか。ただ大量の魔力消費をしてほぼ魔物は倒されたので打つ手はない、、魔法で殴って倒そうとしたら変身した。「私こそが魔王なのだ!」どうやら周辺残存魔力を全て吸収したようだ。

エネルギーを取り込んでいることもあり強い。全体魔法もガンガン使ってくるしな。そこに勇者が突入してきた。「暴走野郎はさっさと倒す!」ヒヒイロカネの魔剣で突き刺す。熱伝導が異常なことを利用して炎属性を刺すときに発動していたようだ。魔王?の身体が強く燃える。「私はまだ、、」ここで絶命した。

「あの魔王のほうがよっぽど手応えあったぞ、交渉できそうだから殺さないで済んだが。」こんな瞬殺でさらにとどめ、容赦無しかよ。「賢者は大丈夫か?」「ああ、大丈夫だ。」コアを停止させて持ち帰ることに。

調べてみるとこれは魔力の塊の魔石をさらにさらに圧縮して作られたものだった。いわゆる超高密度の魔石。つまりポテンシャルの中心なので勝手に付近に魔力が集まってくる。集まった魔力を質量変換して魔物等を作ったりしているのだ。この性質があるからダンジョンマスターはすべての魔力を自分のものとして魔力を扱えるのだ。魔石付近の魔力をコアを通して使えるんだな。

コアを動力源にしようとなるのは当然だった。ただ、大きな出力が出せるもの、巨大ゴーレム?でも弱そう。とりあえず今国内全国放送されているものと別に確保できたわけでこれで映画ではなく放送局を作ることに。人材を雇用して各地から情報を集めてニュースにする。勇者や俺の記憶を頼りに娯楽番組、歌番組を中心に作る。ここには通信機材など新しく作ったものが大活躍した。マイクのようなものも作ったぞ。放送には必須だしな。

ちなみに仕組みは音を集めて大きくすると言う地球と同じ仕組みだ。動力源が魔石に変わっているだけで。

リーナがケンジとリマを出産した。あ、エルバンド家にマイナさんが嫁いできた。3年も前だから時系列がバラバラなんだよな、、リーゼが騎士団に入った。ようやくあの二人の恋の物語が始まるのか。ちなみにリズさんは双子を妊娠していた。やっぱりな、ただ、時系列が早いぶん年齢差が少なくて済む感じだな。

ジューレとアトラの夫婦にも子供ができた。リズさんと同じ時期に出産らしい。あ、そういえば記憶魔法の発明のもとになった女性たちはまだ拐われていない。流石にあんな記憶はあらかじめないほうがいい。エルバンド領にゴブリンの巣ができないように定期的に見守るようにお願いすることに。あれは魔吸いのお香以前からあったものだ。リーナが時系列通りにいけば次は5人も妊娠するわけで、メイドさん達の負担もあるしリーナ自身も危険だからやめさせた。「一気に5人はやめてね?」「あのときは死んじゃったって聞かされていたところに生き返ってきたからよ。でもちゃんとしてくれるなら問題ないわ。」というわけで数は一人になった。さすがに時系列とか言う問題じゃないし。

とりあえず、期間が早いがもう勇者は帰還することに。

「もうここは賢者のお前が頑張って発展させてくれそうだしね。ここのお土産はこの剣だけで十分だ。」「満里奈によろしく頼む。」「ああ、向こうでは気にかけることにする。」

そうやって送還魔法を自分にかけて消えていった。

でも、俺も行けるんだよな。とりあえず子供出来てるし挨拶はしたい。あと、今回は向こうでは死んでないから完全に行方不明扱いだ。だから一度顔を出したい。臨月のルーシャはさすがにやめとこう、あとラジーナはドラゴンだしあんまり日本ではハーレムはよろしくない。だからケンジ、リマ、リーナを連れて一時帰還をすることに。「絶対にちゃんと帰ってきてくださいね!」

「当たり前だ。子供だけこっちに残す父親になりたくない。」

ということで勇者帰還から数日後、帰還した。

転移地点は山の中だった。普通に脱出してバスや電車を乗り継いで東京へ。

リーナははじめての日本に大興奮だ。ビルに車などこっちでは見慣れたものでも異世界人には未来の世界だ。発展はさせてはいるがまだまだ途上でしかない。とりあえず電車に乗って実家へ。

ニュートが思い付いたポータル作戦はそもそも魔石をこっちに持ってくれば解決する。だから魔石を転移地点に埋めておき、すぐに帰還できる場所を作った。正直魔法を使うところを見られるとまずいからな。とりあえず実家に子供とリーナを紹介する。

さすがに趣味が研究ばかりの息子が突然結婚して子供を2人連れてきたら驚くなんてものじゃない。「無理やり交際を迫ったりとかうちの息子してないですか?」と母親が聞く始末。まぁ記憶を取り戻すときは若干無理やり感は否めない。ただ、取り戻したあとは完全にリーナのほうから迫ってるからな。「そんなことないですよ。本当に愛してますから。」リーナはそう返す。

「にしても俺のでかっ鼻がここまで遺伝するとは驚きだ。」そう言うのは俺の父だ。そう、鼻が大きいのは父親譲りだ。

「よく趣味が研究だけの息子がこんな金髪美人の嫁さんを連れてこれるわね。」母親がそう聞く。おそらく理由が知りたいだろうが信じるだろうか。「なんでそんな突拍子もないことがあんたに起こるのさ?」やっぱりな。両親とも異世界に飛ばされたことが信じられないようだ。とりあえず、でも魔石はあるから魔法を使おう。「これが魔法だよ」「嘘だろ、、」火属性魔法で手の上の空間がなにも無しに燃えている。信じられない光景がそこにはあった。「まったく知らなかったとは言え向こうに嫁が3人もいて全員が妊娠してるってそんな手の早い息子に育てた覚えはないんだけどな。」と父。というか異世界女性の積極性がすごいんだよ。びっくりするレベルだから。ちなみにリーナもまた一人妊娠してる。そうこうしてるうちに妹が帰ってきた。役目かんな。まだ高校生だ。「は?なんで行方不明のお兄ちゃん帰っているの?しかもその美人さん誰?しかもなんか赤ちゃんが二人いる?」

一応は妹に説明する。「へぇ、異世界ってこの世界と繋がってるんだね。私も行っていい?」「さすがに危険だしまだ高校もあるからちゃんと通いなさい。」「えー。」不満そうな顔だ。思いっきり魔法が使えるようになって帰ってきてるからだろうな。

ちなみに大学は休学になっていたがもう通うことはないので退学届けを出しておいた。この世界では高卒になるが向こうで基本的に住むしほとんどこちらの学歴は関係ない。

とりあえずせっかく戻ってきたしなんかこっちで買ってから帰るか。ちなみに神様に使うぶんだけアイテムボックス内のお金が変換される仕組みをつけてもらった。電車とかに乗れたのもこれのおかげだ。財布を購入して持ち運びを便利にしておいた。

専門書とかたくさん買おうかな。そうすれば翻訳の魔法で向こうの人が読めるようになって新しい知識が身に付くはずだ。

あとは通信端末だ。スマホみたいな万能タイプではないトランシーバーみたいな持ち運びできるやつだ。これを魔石で改造すれば半永久的に使えて一般の人でも使える。スマホは特殊技術の塊だから素人には無理だ。よくスマホやタブレットで無双するとかあるが主人公だけしか使えないものだ。量産するには高度過ぎるほどの技術を異世界人が学ばなければいけない。そんなハードルが高いもんをホイホイと作れるわけがないのだ。ちなみに召喚の状況が全然違うから俺はスマホを持って異世界に転移している。ただ、電池消費もあるしネット環境はないから正直ただのお荷物だった。あ、そうだ。メイドさんが屋敷が広くて大変だから全自動掃除機と食器洗浄器を買おう。電化製品は普通はコンセントがない異世界では使えない。だから魔石の魔力を交流電流に変換してくれる装置を作ってそこにコンセントを刺せるようにしよう。

全自動のほうは動力源を電気から魔石に変更してずっと稼働できるようにしよう。子供が嫁さんたちの要望もすごいからどんどん増えていくのは自明の理だ。ならばメイドさんの負担を減らしてしまおう、というわけだ。まぁ、トイレ、冷蔵庫、エアコン、ストーブとかは異世界にあるしな。テレビは持ってても使えないし。パソコンとプリンターも持ってくか。これも例の装置で頑張って動かそう。こうすれば手書きの論文ともおさらばだ。

こうして俺はたくさんのお土産を買って異世界に帰還した。

もちろん、色々な食べ物もゲットしたし、なんなら異世界にない植物の種とかも大人買いしてる。今度はラジーナやルーシャもちゃんと連れてこよう。

期間をかけすぎたせいでルーシャがまもなく出産というタイミングで帰ってきてしまった。こうなると屋敷を含めて大慌てだ。

なんとか見に行って、ルーシャはテーラとセナを出産した。

お土産は屋敷のメイドさん達に大喜びされた。「メイドを減らす気ですか?」とメイド長に言われたが「嫁さんが子供を欲しがるからな、あんまり屋敷の家事だけの人数を取りたくない。」

「なるほどです。頑張ってくださいね、お父様。」なんかスッゴい恥ずかしくなった。一番最初に妊娠しても2年という制約上どうあがいても先に別の嫁さんに子供が産まれるラジーナ。「それでもいいんです。ナリシャはたくさんの兄弟に囲まれて育つんですし。」彼女もまた、母親同様の宿命を背負って産まれてくる。

彼女はたくさんの物をタイムスリップしたことで守ってきた。おそらく、ナリシャもまたそういう女性になるんだろうな。成人済みの姿のナリシャは凛として美しかった。


亜人の国の発展は前回の歴史とは比べ物にならないものだった。

何よりお金がガンガン入ってくる。鉱山のミスリルやオリハルコンを加工して武器や防具にするだけで儲かるのだ。武器は平和になった今でも魔物は各地で人を襲って殺す危険性があるため冒険者という職業のあるこの世界では不要にならなかったのだ。

そもそもコアを停止したダンジョンなんてほんの一部だ。未踏の地にはまだまだダンジョンがある。ダンジョンがたくさんあるから人類がまだまだ発展できてない場所がたくさんあるのだ。

地球みたいに危険な生物があんまりいないところではそういうのを絶滅させたりして発展してきたが、魔物はそうはいかない。

人口が飢饉前で1万人だった人口がこの時点で、1万5000人になろうとしていたのだ。発展や移住によるものもあるが一番はサキュバス発のベビーブームだ。獣人族が協力したことで多産家庭が多く、ここまで爆発的に増えたのだ。前回の700人とは明らかに規模が違う。これが孝二を再び悩ませることになる。


ベビーブームが前回より想像以上に上だった。というかそもそも飢饉で死にすぎだったのだ。で、その結果として工場では繊維の大量生産をしているがまったく追い付いていない。

これは石油のほうもいるな。石油もまた大きく人類を発展させてきた。しかし、燃料としては変換効率がよく魔法との相性も良い魔力燃料があるので、今回は材料としてだ。

化石燃料と言われる石油や天然ガスは太古の生物が化石になったものだ。ただ、この世界では魔力を含んだ生物も多いので魔石油として今回は採掘することになる。工場は前回のノウハウもあるから任せても特に問題はないだろう。

まぁ今回は食糧支援もすることになるだろう。お金は持っているが大量の食糧を運ぶ技術が基本的にはないからな。俺達を除いて。とりあえず料金は後払いしてもらうとしてベータスから食糧を調達した。それで政府に売り払い貧困層に対して配給を行う。

そして、ここで俺が日本で買ってきた作物を栽培するのだ。

花の種もあるのでそれは花屋を作って売ってもらうことにしよう。ピーマンやスイカ、メロン、いちご、ブドウなどを植えてグロウアップの魔法をかけた。これは回復魔法の応用で細胞分裂→細胞成長を加速させるものだ。ブドウはワインにすればドワーフ達からの人気がすごくなるだろう。一応、ブドウを買うときにワインにする本も買ってあるので翻訳してドワーフに渡しておこう。渡されたドワーフ達は興味津々でブドウ畑を見ることになった。ちなみにこの種達の料金も日本の一割増しで買ってもらった。転売することで利益を稼ぎまくる作品とは違って定着が目的だからそこはちゃんとしている。まぁあれは情弱なことや異世界の事情を利用して稼いでいるからあんまりいい気はしない。そもそも俺達は色々な手段で稼いでいてお金は余っているのでそんなずるいことをする必要がない。ちなみに孝二は日本によってる間にライトノベルを買ってある程度理解しようとしていた。それを読んだリーナは「色んなジャンルがあるんですね。でもなんか主人公が無双する作品が多くありませんか?」まぁそれは昔でも今でもなんなら世界を跨いでもそんな変わらないから。「でも、こんな恋愛してみたかったですね。甘酸っぱい恋は憧れます。」「別に子供産まれた今からでも遅くはないと思うぞ?」「気持ちが完全に傾いた後と揺れ動いているときは違いますよ?」やっぱり恋愛ものの心理描写を読み取るのは孝二は苦手だった。ライトノベル以外にも絵本を買って子供達用にたくさん買った(自分の子供達以外のも含む)。話を戻そう。

とりあえず石油工場も稼働したがやっぱり足りないので古着の加工や魔力繊維工場(魔力を繊維に変えたり、服に直接変える工場)

も作ったことで、ようやく対応できるメドがついた。

きつすぎるなって思っていたら実はラジーナのドラゴンの里でもベビーブームが起きてるらしい。大儲けしてるのであっちは大量に服を仕入れられるだけの資金と物流(ドラゴン)があるので問題なさそうだ。正直こっちのせいで調達が大変になっていたのだ。

まぁ数が違いすぎる(ドラゴンは約300体で産まれたのが50体)

ので問題にならなかった。ただドラゴンはすぐに衣服を破壊してしまうほどの力があるので大変らしい。赤ちゃんだからその辺の力加減は難しいだろう。ちなみにレヴェーナさんも出産していてパールくんというラジーナの弟ができたそうだ。お父さんが俺達に対して謝罪していた。「パールは間違いなく私の息子だ。ラジーナ、今まで娘じゃないとかさんざん疑ってすまなかった。お前のおかげでそっちの世界線にはいなかったパールが産まれてくれた。本当に感謝している。」「理解してくれたならいいですよ。パールを見せてくれますか?」「ああ。」この子もやっぱりお父さんに似ているんだな。「かわいい弟ですね。」「そうだ。俺が父親としてしっかり守っていく。お前もそろそろ出産なんだろ?」「ええ。そうです。」「産まれたら孫を見せてくれないか?」「もちろんです。」ちなみにこの会話は通信の魔道具だ。

前は追放に加担してラジーナはナリシャが産まれたことさえ知らせなかったらしいから、だいぶ変わったんだな。


図書館には孝二が購入したライトノベルや小説、童話や絵本が寄贈されて置かれていた。もちろんちゃんと読めるように翻訳済みだ。本に魔法をかけるのだが、普通にかけるだけでは翻訳はされない。魔力質量を持つように一旦魔力をかける。そして翻訳の魔法ができるように魔力が浸透するのを待つ。そこに翻訳の魔法で翻訳するのだ。地球のただの本には魔力がないからな。

正直孝二は色々なものを買ったせいでだいぶ手持ちが少なくなることになった。まぁ異世界で色々やって購入したものを色々した結果また増えることになったが。


かんなは兄が異世界からお嫁さんを連れて帰ってきたことに驚いた。誰にも話すな、と両親からはきつく厳命されていた。確かに話してしまえば巻き込みかねない問題だと思っていた。

ただ、あれ以来明らかに変わったかんなの様子をいぶかしむ女の子がいた。鈴木美奈子。彼女の数少ない友達だ。

「どうしたの?」「なんでもない」「なんでもないように見えないから聞いてるんだけど」「なんでもない!」「答えて欲しいのに」もう何か抱えてるのはバレてる、でも巻き込むわけにはいかない。「お兄さんが帰ってきたの」かんなはバレないように嘘の説明を交えながらなんとかごまかす。海外からお嫁さんを連れてきたという嘘も。さすがに子供までいたことは嘘だと思われるので言わなかった。「へぇ、研究熱心だったあの人が海外に行っててお嫁さんを連れて帰ってきたんだね。すごいじゃん」「海外に研究しに行っていたらしいよ。」「さすがにそこはぶれないね、かんなのお兄さんは。」なんとか納得してくれたようだ。

ここでなんとか家に帰ったかんなはごまかせたと思っていた。しかし美奈子はラノベ大好き少女だったのだ。「今聞いたこの展開、ラノベの異世界転移そのままじゃない?」さすがに不審な説明から推察するのは早かった。「じゃあ、私も行けるのかな、異世界に!」「行ってみるか?」「へ?」そのまま謎の空間に吸い込まれてしまった。しかも、孝二達とは別の世界に。

これが大騒動を巻き起こすことになる。

翌日、鈴木美奈子は行方不明になってしまう。当然昨日の話のせいだ、とかんなは自分を責めることになる。とは言えごまかした話だけでどうしてこうなってしまうのか彼女にはわからなかった。お兄ちゃんはしばらくこの世界には帰って来ない。だからどうすればいいんだろうか、と途方に暮れることになる。

彼女はインターネットで調べていく。すると「なんでもできます!便利屋?」なんでも色んな依頼を解決しているらしく、不可能とも思える依頼でも解決してくれて、匿名でも依頼が出せるらしい。「これだ、これしかない。」ここに依頼することに決めた。一方。歴史通りに進んで男の子を出産して母親になった満里奈と父親になったニュート。そんな彼らに一通の依頼が。

「行方不明の友人の手がかりを探してほしい」ニュートは便利屋をしていた。ガンガン稼いでいたことでかなり有名になったが、テレビの取材は絶対にNG、依頼者についてくることを禁止するなどかなり謎が残る便利屋だった。魔法が使えるなんて絶対に言えないからな。さて、依頼者に会いにいこう。匿名なので指定したファミレスで落ち合うことにした。

「はじめまして、便利屋です。」「はじめまして、かんなと言います。」かっこいい。かんなは見とれていた。

「さて、依頼の内容について話してください。」「はい、実は」

話を聞いたニュートは驚いた。兄が異世界から帰ってきたと言うのだ。嫁さんと子供を連れて。その話を友人にごまかしながら話したら、次の日に行方不明になったらしい。「ふむ、それは難しいですな。」「変ですよね、異世界から帰ってきたなんて」

もしかしてと思った。そもそも異世界に召喚されて戻ってこれるほどの人物なんてニュートには思い当たる限り二人しかいないからだ。勇者と賢者だ。「かんなさん、名字を聞いていいですか?」「役目です」「やっぱりね」「え?もしかして兄を知ってるんですか?」知ってるも何もここで活動できてるのは賢者のおかげだし。「僕は君のお兄さんの魔法で地球から来たパートナーと一緒に帰ってきたんだ。それで異世界の魔法を駆使して仕事をしてるんだ。」「すごいですね」「今のは内緒だよ?」「はい」

店内にあまり人がいなくて良かった。

「それで情報を聞く限りではその子もおそらく召喚されてしまったんだ。」「兄と同じ世界なんですか?」「いや、可能性は低い。あそこはかなり平和な異世界だ。お兄さんはそこでここの知識とか自分で独自に魔法を解析して発展の礎を作った。だからあの世界には役割がない。」「そんな、、」でも、方法はないわけじゃない。この世界にはまだ勇者がいる。勇者は世界を渡る力を持っている。そして当然、速見太郎という名前も。

「でも可能性はある。それにかけてみるよ。」「ありがとうございます。」ニュートはすぐにお店を出て、見えないところで転移をかけた。「今の魔法は企業秘密ってことで。」見たかんなには口封じをした。唖然としていた。

でも、肝心の勇者はもう日本にはいなかった。どこにいたのかと言うと最初に召喚された世界に帰還していた。イブとともに。

「仕事長かったですね。でもあの世界であの魔法も知れたので試してみたいんです。」「今晩相手するから一緒に子供達のもとに戻ろう。」そう、彼らもまた子持ちだった。あくまでも無性生殖がダメなだけでイブと太郎が交わってできる分にはなんの問題もなかった。「おかえり、母ちゃん、父ちゃん。」「ああ、ただいま。」魔族なのですぐに成長する。これはおそらく遺伝子の改良によってすぐに戦えるようにするためだろう。生産する以上は何かしらの目的がある。魔族は力と魔力が人間より優れている。それで数年使えないのでは兵器としてみるとまずいのだ。

ただそのぶんそういう魔族は命が短い。2、30年経つと老化してしまう。だから5年経っただけで身体は大人に成長して自分で魔物を取ったりできて自立もできる。

「今回はしばらくこっちにいられそうですね。」「そうだな、賢者様のおかげだ。」そう、このときは事件が起きてるとは知る由もなかった。


「どこなの?ここ」美奈子は知らない場所にいた。

「聖女様、我らをお救いください!」ここは勇者がいる世界でも、賢者のいる世界でもない。流行り病が人間を襲っていた。

魔法はあるが、魔族も、亜人も存在しない。だから、テンプレ展開の魔王を倒せなんていうことは起きなかった。

ここには「魔物」さえいなかった。魔力を持った動物は存在するがドラゴンはいない。伝説の回復魔法が使える人間として美奈子は呼び出された。しかし彼らは致命的なミスに気づいていない。聖女は勇者と違って最初は魔力を持っていないのだ。勇者ならはじめから魔物と戦う前提のため、魔力を持っているのは当たり前だ。ただ、聖女は癒しの力を使う。この力は本来は魔物なりを倒して入手するがこの世界には厳密にはいない。だからスキルは持っているのに魔力がなくて発動できないのだ。

本来は神様が与えるべきだった。しかし聖女召喚に答えるため慌てて彼女を召喚したせいで忘れてしまったのだ。

だが、流行り病ならなんとかなる、と美奈子は思った。だてに数年保健委員はやっていない。流行病の影響もあって衛生には気を使うところから来ただけに対処方法は対症療法とは言えわかっていた。しかし。水も汚いし、水源も遠い。貧しい暮らしの人が圧倒的な数存在する。これでは流行り病が出るのは当然の環境だった。この意識を変えようと美奈子は色々と国に働きかけることになる。召喚した魔導士に浄化魔法をかけさせて水源をきれいにして、街道を整備し馬車の糞の処理を命じて、さらにきれいな水で手洗いうがいさせるように厳命した。もちろんトイレも変えた。

これだけでピタリと流行り病は治まるようになった。

ただ、このままではまだ貧しいままで根本解決にはならない。だから食糧を安定生産できるいもや麦を中心に行った。今まで食べられていなかったらしいから驚きだ。どうやら動物の肉や食べられる野草を中心にしていたらしい。なんとか食糧を取れるところまで頑張っているが、「早くこんなところから帰りたい!異世界に来たいなんて言うんじゃなかった!」現代人には栄養が足りないから、少しずつ弱っていく美奈子。果たして、、

このとき召喚から4か月が経過していた。


さて、ラジーナがナリシャを出産した。

何回見てもかわいいな。でもまた突如として泣き出した。

また、何かが起こったのかもしれないな。テレパシーを使うとやっぱり異空間に。「どうしたんだ、ナリシャ。」「お父さん、向こうの世界で異変が起きてるみたい。」「なんでわかるんだ?」「ドラゴンは血縁者の感情がわかるの。たとえ異世界だったとしてもその力を持って接触した相手なら分かる。」

ドラゴンは血の繋がりを大切にする種族だから、家族なら本当に離れていてもわかるらしい。世界を一度超えて向こうの家族に会ったことでナリシャにとっても家族だから反映されたようだ。

というか前回もそうだけどこの子赤ちゃんなのに有能すぎる。

「じゃあ、行こう。」「私も連れて行って。」「なら、ルーシャとテーラとセナもな。」「わかった。」

とりあえず、向こうの世界に行こう。

説明すると「何が起きているんですかね?」「私達で解決できるんでしょうか?」と疑問の声が。ラジーナは「本当にあなたは優秀ですね。お母さん嫉妬しちゃいます。」と時の巫女としてすでに才能を開花させる娘に嫉妬しているようだ。まだ産まれたばかりだけどな。

送還魔法をかけて家族みんなで出掛けることに。子供が産まれたジューレ夫妻に家をお任せすることになった。リズさんも出産していたがここでは割愛する。

まぁさすがにドラゴンとエルフはまずいので、認識阻害をかけてみんな人間に見えるようにした。

とりあえず転移して全員実家近くに移動。認識阻害を強くして見えなくした。それで入るときにもとに戻して実家を尋ねる。

すると、「お兄ちゃん!」とかんなが泣きながら抱きついてきた。「え?またお嫁さんなの?」「ああ、ルーシャとラジーナだ。」「なんでこんなにモテモテなの?」「成り行きだ。」

とりあえず両親も含めて話に入る。

なんでもかんなの友達の一人鈴木美奈子さんが異世界に飛ばされたらしい。行方不明のまま3か月が経過していた。

「これはまずいな。」「便利屋さんがお兄ちゃんを探していたよ。」「便利屋さん?」「ニュートさんだってさ」あいつか。

便利屋をやっていたのか。確かに能力として転移とアイテムボックスは記憶魔法で使えるようになってたからな。便利屋というのはぴったりな職業だ。一応、スマホのアドレスを満里奈と交換して使えるようにしていたはず。「ニュートに会いたい。家の住所を教えてほしい。」住所に行ってみる。ちなみに妊娠してなくて空を飛べるラジーナに乗ってだ。リーナとルーシャ、子供達は初体験だ。「速いですね」「すごい風が来ますね」テレパシーで「お母さん、速いね」とナリシャ。家に呼び鈴を鳴らして入る。

「久しぶりだな」「まさかこっちに来るとは思ってなかったぞ」

「しっかし大所帯だな。部屋狭いぞ?」まぁ大丈夫だろう。

とりあえず話を聞く。やっぱり今の異世界の可能性はだいぶ低そうだな。現代人は不便なことに耐性がないから生きていてもかなりきつそうな状況だと言うことも。「どうするんだ?」

「当たりをつけて探すよりは聞いたほうが早いな」「誰に?」

「どこかに少女を召喚しなかったか?」「ああ、したぞ」

やっぱりか。どうしてそうなった。「で、どの世界に送った?」

「それは秘密だ。」「その少女の命がかかっているんだぞ?」

「彼女がそれを望んだ以上、送還はできない。そもそもそんな簡単にホイホイ世界を渡られては困るのだ」それは分かるが命がかかっているこの場面で言うべき言葉ではない。

「じゃあ、なぜ呼んだ?」「それも言えない」でも、ある程度想像はつく。勇者は力が強い男がほとんどだ。賢者も同様。じゃあ、ラノベで女性がメインの主人公はだいたい悪役令嬢か聖女。

(当然それ以外の作品もあります。)なら、彼女の役割は聖女だ。

かんな曰く保健委員をしていた経験も込みで考えるとそれが一番だ。ここで満里奈と妻達は子供の面倒を見ていた。満里奈もすでに一児の母らしい。「ナリシャちゃん、大きいですね」「ドラゴンですからね、ゆっくり大きくなります。」

と見せ合う感じになっている。ラジーナに力を貸してもらおう。

「ラジーナ、神界で行方不明の彼女を探して欲しい。」「わかりました。ナリシャはどうするんですか?」「ナリシャはその能力を買って彼女の部屋に残る記憶から世界を探して欲しい。」

テレパシーで「わかった、お父さん。」と返事が。

「リーナ、ルーシャは満里奈とここでお留守番だ。子供達の面倒を頼む。」「わかりました。でも埋め合わせはしてくださいね?」「わかったよ」「お前も尻に敷かれてるな」「ほっといてくれ。」転移で実家に戻って彼女の家に行くことに。

「来ないでください、私達も怖いです」そこには怯える両親がいた。娘が自宅で行方不明になったんだ。それは恐怖症になってもおかしくない。「彼女を助けるためなんです。」「なぜ赤子がいるんですか?」「この子が鍵なんですよ。」「わかるのであればお願いします」と両親は彼女の部屋に案内してくれた。いかにも女の子らしい部屋だが、恋愛ものや普通のラノベがたくさんある。なるほどね。嘘から推理した結果なのか。するとナリシャから「ここの部屋からだね」とテレパシーが。「お母さんに伝える。だいたいのイメージはわかった。魔族とかがいない世界で魔法があるのは結構限られる。」そこまでわかるのか、万能すぎるわ。わが娘は探偵をする上ではチートすぎる。

すると「発見しました。突入します。」ラジーナからのメッセージだ。「お母さん大丈夫かな」「ああ、必ず帰ってくるさ。」

そもそも敵はいない世界なら敵にならないだろう。


ラジーナは彼女の世界に入ってきた。

とはいえそう簡単にはお近づきにはなれない。聖女になっているからだ。それで前の場面でつぶやいたところに戻るのだ。

美奈子はこの世界の愚痴をつぶやくときは当然他の人間がいないところでやるしかなかった。そこで声をかけた。

「もとの世界に戻りたいですか?」「あ、あなたは誰ですか?」

「私はラジーナ。世界を渡りあなたを探していました。」

「え、助けにきてくれたんですか?」「そうですが、聖女としてちゃんと役目を果たさないと彼らは何度でもあなたを呼ぶでしょう」「そんな!一体どうすれば」「私も手伝います。あなた、魔力がないようですね」「そうです、どうすれば」「これをどうぞ」ラジーナはあの世界の魔物の肉を取り出した。久しぶりの美味しそうなお肉に美奈子はかじりついた。「おいしい!これは?」「魔物の肉です。少しずつ体内に魔力を入れていくんです。」「って、アイテムボックスですか?すごいですね!」

目の前でラノベと同じスキルが見れたことに美奈子は興奮していた。何個か食べて、魔力を発動することに成功する。

「これで回復が使えますね。やっと役目を果たせるではないですか。」「やりまし、、」「誰だ、貴様は!」すると聖女とラジーナの周りを兵隊が取り囲んでいた。「面倒ですね。」ラジーナは即転移をかけて脱出する。「聖女様、ご無事ですか?」「あ、はい。」「何者なんだ、あの女は。」兵士の一人がこぼす。確かに助けにきた割にはあっさり引き下がりましたね、というか転移魔法も使えるんだ。まぁ世界を渡ってこれるわけだし。

「とりあえず指名手配します。」帰れなくなるんじゃ、でもまずいここで反抗するのは。「はい、お願いします。」

美奈子は回復魔法が使えるようになり患者を治せるように。「ようやく聖女として本格的にできるようになったのですね。」「あ、はい。」とりあえずラジーナさんのいう通りこの世界に役目を与えるまではおそらく帰還できない。帰還しても再召喚されたら意味がない。流行り病自体は終わったが貧困をなんとかする必要があると思う。聖女のスキルってなんだろう。魔力があるのだからステータス開かないかな。「開くのね。」あ、これだ。

グロウアップ。彼女は回復魔法の一部だとは全く気づいていないいないのだが、こんな便利な魔法があれば種を収穫して、再び作ることも、さらに増やすことができる。

これで一気に作物を収穫、さらに増産したことで聖女の実績を讃えるような声と、王子との結婚話が飛び出す。確かにそれなりにイケメンだが、彼らにはこの世界にいて欲しいのだという思惑が透けて見えた。それだけのためにこんな不便な世界にはいたくない。今こそ帰るべきだ。「帰りたい。」「待ってました。」

そこにはラジーナがいた。いつの間にか。


一方、地球。ルーシャがデートしたいらしい。テーラとセナを預けて、外に出る。「どうしたんだ?」「精霊さんが騒いでます」

ルーシャはエルフだ。精霊の声を聞くことが出来る。

それは地球であっても同じだった。「何が起きてる?」「魔力反応が近くにあります」魔力反応があるというのはもちろん、家に残している家族たちではない。地球にはまず魔力反応がないからだ。何かが侵入しているのだ、この地球に。魔力を持った何かが。家に残された満里奈とリーナは今は子供達におっぱいをあげていた。すると吸っていたナリシャがなぜか泣き出す。「どうしてこの子は、、」これは伝えたいことがある合図なのだ。

リーナはテレパシーを使う。すると孝二同様異空間に。

「リーナ母さん、この世界で面倒なことが起きたようです」

「あなたがナリシャなの?」成人済みの姿に驚く。

「そうです。時の巫女ですから、姿を操れます。」

「で、なぜ今なの?孝二に伝えれば良かったのでは?」

「お父さんとルーシャ母さんは今その対処をしているからです」

「なるほどね」だから今家にいる私に伝えたいのね。

その頃、下水道に反応があるらしくマンホールのふたを外して孝二とルーシャは魔力反応を調べていた。「なんで下水道に魔物が普通にいるんだよ、、」そう、魔物がいた。いてはいけないはずの魔物が。ルーシャはマジックアローを繰り出して攻撃する。

マジックアローは無属性の攻撃で、魔力さえあれば簡単に発動できる魔法だ。ルーシャは魔石のペンダントをしているので普通に地球でも発動できた。仕組みは至ってシンプルで魔力で直接攻撃するものだ。ただ誰でもできる代わりに威力が魔力の密度などによって変わるのでエルフのような精密な魔力操作ができるタイプには使いやすい魔法だが、人間は魔力の密度を保って攻撃が難しいので威力が低い。

魔力操作が非常に得意なエルフゆえか、マジックアローにホーミング機能までついている。「奥に巨大な反応があります。」「行ってみよう。」肉体強化をかけて急いで到着する。そこにはホールと呼ばれる穴と、親玉らしき魔族がいた。「なんか空間に穴が空いてると思って調べたら魔力がない代わりに魔法の使えない人間しかいないから楽勝だと思ったのに邪魔された」と説明っぽく台詞を言う魔族。魔法をガンガン使うがルーシャにすべて打ち消される。マジックキャンセルというエルフが得意とする魔法を打ち消してしまう技らしい。魔素である窒素を止めて、魔力の壁を作ってガードして消す技らしい。「来るな!」と叫ぶがルーシャは止まらずに進む。「かかったな!」と罠に嵌まったと喜ぶ魔族だが、その罠は発動しない。ディスペルマジックで魔法式の罠を強制解除してしまったのだ。魔法陣に多量の魔力を流して破壊してしまう魔法らしい。「ルートバインド」根っこを強制的に生やして拘束する技でエルフのみが使える技らしい。「どうしますか?賢者様」「賢者だと?」「そうだな、せっかくだしテイムを試してみるか。」「何?そんな下等な生物に成り下がる気はない!」「で、問題はこっちですよ」「ホールか。これは簡単。アイテムボックスを使う要領で閉じてしまえばいい」そう言うと孝二は本当にホールを閉じてしまった。「賢者と言ったが本当にお前は何なんだ?地球人なのか?」「ああ、紛れもなく地球人だ。異世界帰りの、だけどな。」「なん、だと?」

「じゃあ、テイムしようか。」「やめろ!」テイムの魔法は相手の同調を経て魔力を一部同一化させることでその同一になった部分を元に召喚魔法で呼び出すことができる。シンクロさせることで魔力の証を作る魔法なのだ。ただ拒否してる相手には厳しい。

だから、「スリープ」魔族は眠りに落ちた。魔法で脳に眠りにつくように指示を出して強制的に眠らせる。「本当にこのまま殺されていいのか?」暗示魔法だ。眠っている相手には効果絶大。

魔法で脳波を発射して夢の中に干渉するのだ。「嫌だ、死にたくない」「なら仲間になれ」テイムの抵抗が一気になくなる。

こうして魔族のテイムが完了した。とりあえずこいつはリーパと名付けよう。まぁホールで故郷には帰れないのでうちの世界につながる異空間でしばらく寝ててもらおう。

「魔族をテイムするなんて前代未聞ですよ?」「テイムの魔法は俺が試したかった魔法のうちの一つなんだ。試せてよかったよ」

「そういうことじゃないんですけど」「で、後片付けしたらデート再開しようか。」「そうですね!東京に行ってみたいです!」

このあと夕方までたっぷりと夫婦としてデートを堪能した。

夜、ニュート達の家。さすがにこの部屋で子供6人はきついな。

「ホテルに行こうかな」「そうですね」「満里奈とニュート、また来るかもしれないからよろしくな。」「ああ。」

とはいえ子供5人はホテルに入るのも面倒だ。あと当然前の一人暮らしの家も引き払っている。だから、実家に戻って交渉してみるか。それで無理ならホテルに行こう。「狭いけどいいなら喜んで泊めるよ」実家からOKが出たのでリーナとルーシャ達ともに実家に。俺とルーシャは一応戦闘もしてたのですぐに寝落ちした。「全くこの子ったら風邪引くっていうのに」「手伝います」「子供がたくさんいて大変だろうけど、息子のこと頼むわね。」「はい。」「まぁ、孫がここまでたくさんできるとは思ってなかったわ。しかもまだ22だって言うのに。」「そうですね。私も同い年です。」「そうなのね。リーナさんのお腹にはもう次の命が宿っているのよね。あの子ったらもう、、」他愛もない会話が続いた。ラジーナは大丈夫だろうかと心配していたリーナだった。


その頃。異世界ではラジーナが美奈子のそばにいた。「出たな、曲者!」「今度は逃がさんぞ」と兵隊達は臨戦態勢だ。「まぁ、弱いですけど、正体くらい見せますか。」と突然変身しだした。

突然周囲が光に包まれる。「なんだ、前が見えないぞ!」「まぶしい、、」美奈子も何事かと変身を見ている。するとラジーナは大きなドラゴンになった。「な、ドラゴンだと?」「伝説じゃなかったのか!」ラジーナは驚いている兵隊達をしっぽを振り回す攻撃だけで一掃した。「飛んでいきます。乗って!」美奈子はドラゴンの背中に乗った。本当にドラゴンはいたんだ。そしてそのドラゴンが世界を超えて助けに来てくれた。それで嬉しくなったのだ。「邪魔の入らない上空から時空転移します。」「ラジーナさんは何者なんですか?」「私は時の巫女と呼ばれるドラゴン。時空間を越える力を持っているの。」勇者でも賢者でも美奈子は助けることができない。彼らは時空魔法を使えないから、彼らのいた世界以外には飛ぶことができない。本当に助けられるのはラジーナだけだった。

「なぜ、私を助けてくれたんですか?危険を犯してまで」

「それは賢者様の妹の知り合いだったからよ、ここまで助けられるのは知り合いじゃないとできないけどね」異世界転移、転生は実はあらゆる場所で起こっている。さすがに死んだ人間か、人生をあきらめた人間とかでないと神様を持ってしても無理だ。現世の神様が厳格にルールを定めているからだ。ただ、時空変動によって縁のある魂が生きていた場合は例外だ。孝二がそれに当たる。彼と満里奈以外の人間が神様の召喚によってあの異世界に行くことはもうない。縁を持った魂ですでに世界は発展の軌道に乗った以上むやみに巻き込む理由がないからだ。では、今回は異世界ものの謎、異世界転生の謎を解明しよう。異世界転生は死んだ魂が別の人間に宿ることを指す。ではなぜ転生は起こるのか。物語だから、という設定は置いて考察する。そもそも死んだ人間がどうなるかについては死んだ人間が記述等が何もできない以上想像でしかない。臨死体験をした人間の話はあるがそれも実際に死んだわけではないためこちらも想像である。まぁ、肉体が残る以上は亡くなった魂だけが残り現世に残ったり、天国に行ったり地獄に行ったりすると言う話がある。では魂はどうなるか考えてみると、現実世界には実体として存在できなくなるわけだ。そうすると霊界、つまり虚数の世界に逃げ込むと考えられる。

で霊界は神界と繋がっている空間にある。霊界にいたところで霊以外の何にもなれるわけではないから、神界で選択をするわけだ。

一つは天国という名の神の領域に至ること。で、犯罪を犯すような悪い人間は負の領域に囚われる。数学のマイナスiの部分に行くと考えられてこれがいわゆる地獄なのだ。つまり、天国と地獄でさえ数学で定義できるのだ。で、もう1つがもう一度やり直すこと。これは悪人だったとしてもチャンスが与えられる。でも現実世界に遺体なり遺骨が存在している以上は実体は現実空間に持てない。だから別の異世界に転生するのだ。そして、実体を持つためには身体が必要である。大人は基本的に魂が確立していて入る余地はない。そこで魂が不確定な赤ちゃんに入るのだ。これが異世界転生の理由である。別人転生は当人が死亡して魂が抜けたところに入るのが基本であり、悪役令嬢系はこれが多い。転生の神様側の最大のメリットはその2で話した通り、実体としての魔力を持てない神様が世界に与えられる影響は自然現象などしかなく限定的だから、それをスキルを持ってある程度コントロールできる人間を送り込むことで運命を操作できることだ。

話を戻すとラジーナは美奈子を元の時間軸に戻そうとしていた。

まぁ、満里奈から時間も含めて戻さないと現実世界では行方不明では色々影響が出ることを知っていた。だから、元の生活に戻そうとした。つまり、影響が出た4か月はすべてなかったことになる。

ちなみにあのホールは彼女を召喚した穴を塞いだときに誤って作ってしまったものだった。布を考えてもらうと一方を塞ごうとして一方がはみ出てしまった、、というものだ。

「時間を戻します、覚悟はいいですか!」「もちろん!」

ラジーナは彼女を時間軸に送って今の現実世界に向かった。この世界も美奈子が生きていれば彼女が普通に生きている世界として書き換えられることになるのだ。「ただいま」「おかえりなさい。」全員が待っていた。ここはニュートの自宅だ。神界に入るときに使ったのがここだから当然ここが出口だ。現実に帰ってきたことでラジーナは泣いていた。ナリシャを抱かせてもらってようやく現実だと実感した。

テレパシーで「ちゃんと帰ってきてくれましたね、母さん」とナリシャが言ってくれた。そのまま異世界に帰ることにした。

「さすがにここに来たときにこの家に転移やったら息子のケンタが驚くから絶対やめろ?」とニュートから警告が。さすがにプライバシーを犯すようなことはしない。「便利屋頑張れよ」「ああ。」

そうして俺たちの異世界に全員で帰還した。


帰還した俺達が見たのは大泣きしている子供をあやすジューレ達だった。「なんで泣いてるの?」「ケートがトイレをしまして、その後始末をしていたところです。」アトラが返事をする。ケートちゃんはジューレが産んだ娘だった。「あら、帰ってきていたのね」そこにはリズさんの姿が。「なぜここに?」「休暇中だからですね。」マットとライルを産んだのは時系列通りなのだが、よくわからない。

「妻が最新式の魔道具が見たいからたまたま来たんです」とボールさん。確かにここにはメイドさんの負担を減らすための設備が揃っている。ただ、家電もあるから地球の設備を使うには一苦労いるんだが。

ん、たまたま?本来の用事があるのかな?「本当の用事ってなんですか?」「実はエルバンド領で大規模なオークの巣が確認されました。誘拐被害はまだ発生してませんが、放っておけばゴブリン同様のことになるでしょう。それを王様に報告に来るために馬車で来たんです」実はボールさんとリズさんにはラジーナの能力について話してある。そこでゴブリンキングが出るほどの巣があって、5人の女性が誘拐されてレイプされていた事実があったことを伝えていた。

ここで魔道具から連絡が。「クロードか?」「大変だ!リーラがオークに誘拐された!」「何?」それはまずい。彼女は2年後フィート王子と結婚するのだ。その身体が汚されることはあってはならない。

話によるとリーラは魔物狩りをしていたらしいがオークの群れに囲まれたらしい。何匹か倒したが数が多くてそのまま誘拐されたらしい。

「リーナ、話は聞いたか?」「ええ。リーラがピンチなら何が何でも助けないと。」「私達も協力します。」「ギレーノ、いるか?」

「ここに。」「先行して助けにいけ。救出だけ優先しろ。」「御意。」その頃。孝二とは全く違う思惑を持って動く人物がいた。


時の巫女としてラジーナが貴族になった時まで時間はさかのぼる。

王族は当然時の巫女の役割を正確に理解していた。つまり、改変は何か重大な使命を持っているということ。そこで、フェイム王はその未来を聞いてみることに。「改変する未来は我々に関係あるか?」「ありません。」「なら、未来を聞きたい。」そこでラジーナは第1王子のメルドが魔族のアーミア姫と結婚すると語ったのだ。「それは本当なのか!魔族と結婚するなど今はあり得ない!」「本当なので信じて欲しいのですけどね。」「ではフィートは誰と結婚するのだ?」「エルバンド家のリーラ嬢です。」「あの変わり者貴族か?」「ええ。非常に仲睦まじい家庭を築いていました。」そして、一年後。実際に勇者が魔族を無力化してアーミア姫が嫁いでくることになったとき。

「時の巫女は本当に未来を見ていたのだな、、」王は感心した。

そしてフィート王子はリーラ嬢を未来の婚約者として意識するようになる。前回の歴史ではお互いに知らなかったのだが。

このとき、王子の能力が発動した。彼の能力は家族がピンチになったときにいち早く気がつくことができる能力だった。彼の家族は王族で何かあれば国が傾く。王族ならではの能力だった。当然、未来だろうが結婚するであろうリーラもまた対象になったのだ。

「お待ちください、王子!」馬でかけていく王子を追いかけるのはクーロの兄である近衛騎士団長だ。「何があったのですか!」「リーラ嬢がオークに拐われた。」「なぜわかるのです?」「ピンチになればわかるようにできているのだ。」そしてそのままエルバンド領の森へ。「本当だったのですね」オークの群れを見て、驚く騎士団の面々。「あそこだ。」そこには数体のオークに囲まれた気絶したリーラの姿が。「まずいです。あのままでは、、」「王子!」フィートはオークが犯そうとするのを見て飛び出していた。幼い頃から剣術はたしなんできたが魔物の戦闘との経験値は全くない。無謀だった。しかし、フィートがオークの注意を引き付けたことでオークの関心はフィートに向かい、その隙に影がリーラを救出することに成功する。「全く、無茶をなさるお方ですね!」騎士団長がオークを切りつけながらそう言う。剣と魔法でこちらの存在に気づいていたオークは一掃した。「あれ、ここはどこです?」リーラが気がつく。「フィート王子殿下があなたの危機を救ってくれましたよ」兵士の一人がそう言う。

「リーラ、無事でよかった。」「え?なぜわたくしを知っているのですか?」「それは私の婚約者だからだよ?」「へ?」リーラがきょとんとする。なぜそうなったかは未来の話だからだ。

それで孝二達が到着するとすでにキングを含む巣は駆除が完了していた、というわけだ。「リーラ!無事で良かった。」「お姉ちゃん、ありがとう。王子が助けにきてくれたみたい。」「?」孝二は思い当たる人物に聞いてみる。「ラジーナ、未来教えたの?」「ええ、影響ないかと思いまして。」「思いきり影響あったじゃん、、」

当然この話が広がった結果フィートとリーラは結婚を前提とした婚約者に内定したのだった。彼女が学校を卒業後に結婚することになるのだが、それはラブラブな夫婦として国民からも知られるようになる。


その出来事に大きな影響を受けた二人がいた。リーゼとクーロの二人である。フィート王子が表向き助けたとしているが実際に活躍したのはクーロの兄によるもので、リーゼはそんな人達に妹を救われたのだ。リーナは専属護衛で本来は騎士団所属ではないのだが、孝二があまりにも妊婦であるリーナをほったらかしで出発することが多いので、魔法騎士団に指導する立場で出入りすることが増えていた。妊婦が騎士団に出入りするなど本来はあり得ないはずだが、前回では圧倒的な強さを誇る騎士団長だったのだ。だから、「強すぎる、、」「あの人妊娠してるの嘘だろ、、」というレベルで格の違いを見せつけられていた。そもそも前回よりレベルは下がっているが魔法の威力が上がっているのでたいして変わっていない。それでいて隙あらばのろけが始まるので「あんたのお姉さん強すぎるのなんとかして」とリーゼにまで苦情が入るのだった。

「全く、賢者さんがちゃんとお姉ちゃんを連れていかないのも悪いけど、妊婦なのに出入りするお姉ちゃんがもっと悪いわ。」と愚痴をこぼす。「姉の愚痴とは随分だな」「なに?苦情を言われる私の気分にもなってよ。」「まぁ似た者同士だな。強い兄がいるからその気分はわかるぞ。」「そう。」クーロとリーゼは毎年戦っている。リーゼが入った年に互角で引き分けだったせいでお互いにライバル視して、軽口を言い合う仲になっていた。

それで、今回の事件である。「あんたのお兄さんがうちの妹を助けてくれたんでしょ、、その、ありがとう。」「ああ、ちゃんと伝えておく。」周りの視線が痛い。男女が感謝を伝えていると言うより、愛を伝えているかのような口調になっているからである。「待って!」

「うん、どうした?」「直接会って伝えたいの、だから紹介してくれる?」「ああ、いいよ。この後でいいなら。」魔道具で連絡してこの後すぐにヘルズ家の別宅で会うことになった。

「こちらが兄のソール·ヘルズだ。近衛騎士団団長でここの家の領地の領主代行もしている。」「はじめまして、リーゼさん。お礼を言いにわざわざこちらまで出向いていただき恐縮です。」「い、いえ。大切な妹を救っていただいてお礼の一言を直接言わないのも違うと思いまして。本当にありがとうございました。」「ところでクーロ、リーゼさんのこと7年間も騎士団に入ってくるのを待ってたって本当?」

「ば、馬鹿!そういうことを言うな!」「本当っぽいな。リーゼさん、こんな弟ですがよろしくお願いいたします。」「へ?」

「あら、話聞いてませんか?これ縁談だと思って組んだんだけど?」

「「聞いてない!」」二人揃って反論する。「いや、すでに話進んでますから、、ねぇ、ボールさん?」「はい、大切にしていただけるようですので、リーゼのことよろしくお願いします。」「「いつの間に!」」すでに魔道具で連絡を取ったときからソールはリーゼの騎士団における噂とクーロがおそらく懸想してるのではないかと疑っていた。だから、エルバンド家に連絡を取って正式な縁談として進めてしまったのだ。完全に外堀を埋められた二人は正式に付き合い、すぐに結婚した。子供もすぐにできたという話もある。ちなみにこれをもって騎士団と魔法騎士団が統合になった、という噂もあるが実際には賢者が論文を発表した段階から段階的に進められていた計画で結婚を機に発表しただけ、としている。


???「あの賢者に邪魔されたことでうちの面子が潰されてしまった。そこでだ、お前にあることを頼みたい。」

???「わかりました。お父様。必ずあの賢者に報いは受けてもらいます。そのために私を使うのは問題ありません。」

その後。???「ふふ、うちの娘はお転婆で困る。賢者殿にはちゃんと引き取ってもらわないとな。」


とりあえずあの事件で本来は2年後に結婚する2組が結婚することになった。どっちも実はラブラブカップルなのできっかけさえあれば勝手にくっつくとは予想していたが。というか俺がまたもや公爵になったんだよな。なんでだろ。公爵って基本王族の家族だよな?一応妹のリーラ嬢が結婚予定なので確かに家族にはなるんだけど。

そう思っていたら爆弾が投げつけられた。

なんと俺とベータス王国の第4王女、レーハ姫との婚約が発表されたのだ。これには家族一同驚くが、一人納得していた。ルーシャである。「あのとき賢者様は私にこだわってベータスの第3王子との婚約を母に破棄させましたよね。機嫌を損ねるとまずいから受けたわけですが、勝手に破棄されたベータス側は面子を潰された形になります。相手が賢者でベータスにも多大な恩恵を与えている手前文句は表向き言えないですが嫁いでくれば婚約者として堂々と言えるわけです。」

なるほど、国としてのプライドってやつか。確かに歴史通りに結婚しようとしてかなり無茶な方法でルーシャと婚約した。記憶を取り戻したルーシャも納得はしてくれたがその歪みでこうなったわけか。

これは完全に婚約者というよりはベータスからの使者だな。

「でも、勝手に追い返すと余計に事態は悪化するだろうな。」

「そうですね。とりあえず受けるしかありません。」さて、どうなるやら。明らかにこんな婚約に乗る姫様はめんどくさいやつだな。


レーハ姫が家にやってきた。「はじめまして、賢者様と奥様方。レーハと申します。」その後も紹介が続くが本題に入ってきた。「ベータスからの伝言です。あの婚約破棄の代償として確実に結婚してもらうと。」お前の意思はないのかい。「レーハ、君はこの結婚に満足してるのか?」「ええ、賢者様にはベータスとのつながりをより強固にしてもらいませんと。」100%国の利益しか考えてないな、これ。

とりあえず、レーハには一旦部屋に行ってもらって嫁さん3人を交えて会議する。「大丈夫かな?なんか色々不安なんだが。」「その通りですね。完璧な政略結婚だとうちに馴染めなくて困る可能性が高いです。」リーナがそう言うとまたナリシャが泣き出す。赤ちゃんだからテレパシーは頻繁に使えないので泣くことで合図を出しているらしい。とりあえず例の空間に。「どうした?」「あの人は意図せずして最悪の未来を回避したんですね。」「どういうこと?」どうやら、彼女は前回の世界線だと婚約相手が見つからずに結婚した相手が魔族の王子だったらしい。彼女自身は大の魔族嫌いで子供ができないまま生涯を終えることになっていた、らしい。「なぜそうなったんだ?」「なんとなくわかると思いますが彼女自身の性格が一番ですね。わがままで人の言うことを聞きません。」「なるほどな」

で、戻ってきた。ナリシャを抱いていたラジーナは「確かにそんな感じがしますね」ルーシャは「私に対抗意識を燃やしてるのかもしれませんね、同じ一国の姫ですし。」それはあるだろうな。

「会談は終わりましたか?」レーハが戻ってきた。

「ああ、終わったぞ。」「早速ですがベータスのためにしていただきたいことがあります。」「なんだ?」「うちにも天然ガスなり何か他国に売れるような特産品が欲しいです。」そう来たか。亜人の国は加工技術、製作技術。アトワースには天然ガス、ヘリウム。ドラゴンの里には希少金属鉱山と魔石。魔族側は今はまだない。ただ、人間側で唯一特産品がない状況はなんとかしたいのはわかる。じゃああれだな。地図魔法プラス分析のレーダー魔法。これで探そう。

「ちょっと待ってて、、」「ここで探すんですか?」「賢者様は規格外だからね。」あった、これだ。これはこの世界において重要なものだ。「ボーツマス東部のかつてスタンピートが起きた場所。そこに魔鉄鉱山がある。しかもかなり巨大なものだ。」魔鉄とは魔物に鉄の成分が入っているもの(例メタルシープ)が死んでできたものだ。通常と異なるのは時間をかけて鉄分に魔力が入っているので加工しやすく、またこれでできた剣は通常より圧倒的に魔力の付与がしやすい。よって威力の底上げがしやすいのだ。これがあれば色々なものに革命を起こせる。魔道具も当然作りやすくなるし。「本当ですか?嘘をついていたら承知しませんからね!」

レーハはこう言うとすぐに速達を出して調べさせるように言った。

実際すぐに魔鉄鉱山は発見された。ボーツマス東部はスタンピートの影響もあり手付かずだったが、これで発展が始まるだろう。あそこのコアはすでに取ってあるからもう何か起こることもないし。

「賢者様、本当はすごい方なんですね」「いや実績見たらすごいのはわかるでしょ。」ルーシャに突っ込みされていた。一旦整理するだけでもすごいな。研究論文とその特許、空港建設、繊維工場建設、加工工場建設、石油加工工場建設、魔力繊維工場建設。ここに食糧増産。さらに日本から帰ってきてルーシャにおねだりされたプロジェクトも進行していた。ラジーナの鉱山発掘、魔石産業も含めたら正直まずこれから先管理しきれなくなるし、実際管理しきれていない。でも、ノウハウも何もない異世界人にすべて任せるわけにはいかない。だから子供たちの未来にこれらの事業を分社化して細かくしてもらうことに期待しよう。建設業は任せているが他は地球の知識がないと難しいものが多いからな。そのせいで初期投資はうちがやる代わりに収入もまたうちに入るハイリスクハイリターンな事業が多い。とりあえず現状は俺個人でここまで全てやってしまっているのだ。超巨大企業のような状態で工場に人を雇っているような状況であるが、企業化していない。まず、企業にして明確にするのもありだな。分社化はそれからでないと無理だろうし。「とりあえず、実績を含めたら今の事業は十分過ぎるレベルで巨大なので、会社を作ろうと思っている。」「それなんで今まで思い付かなかったんですか?」「忙しくてね、、暇がなかった。」「会社名は役目コンツェルンにする。コンツェルンは複合企業っていう意味だ。」「いいですね!」というわけで役目コンツェルンが起業した。基本的には今やっている事業をちゃんと会社としてやるよ、ということを中心に行っていく会社だ。当然俺が社長になった。副社長に事業をやっているラジーナが就任した。秘書がリーナとルーシャが担当する。レーハは今のところは役職なし。

とりあえず、オフィスを作ることにした。そして、従業員を募集した。ただでさえ会計処理が山ほど存在するのだ。さばいてもらう人材が欲しい。賢者が会社を始めるということで山ほど人数が集まった。

基本的に工場で働いてくれている人はそのまま採用する形だ。で、希望があれば本社のオフィスで働いてもらうことにする。ちなみに亜人の国とベータスにも支店のオフィスは置く予定だ。

で、1ヶ月後。オフィスが完成してついにスタートした。

この異世界で株式でお金を集めて資金繰りをする会社はおそらく初だ。何しろ巨大にもほどがあるから個人だけではどうしようもないことも株券を使って金を集めてあげればできることもある。

その株券で一定期間ごとに配当を回すことで買った人にも利益を渡す。これが株式会社だ。コンツェルンとは銘打っているが、株式の上場自体は各部門ごとに行っている。じゃないと複雑すぎるから。

そもそも一社しかその世界にないので独占禁止法が今は通用しないのだ。競争力を上げないと値段がこっちで勝手に上げたりできるから本来はその方が望ましい。孝二はそう言うことはしないからなんとかなっているが子孫たちが勝手に引き上げる可能性もあるのだ。

ちなみにあまりにも巨大企業故に国策事業として見られているものも多い。ちゃんと道路建設もしていったり、鉄道も開発して駅周りの開拓もしないと空港だけだと部分的すぎるからな。

そして、ルーシャのおねだりの事業もいよいよオープンする。

遊園地だ。ジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドもある。

あと、パンダに模したゴーカートやティーカップコースターなど、地球に似せた設備もなるべく搭載。特にジェットコースターは異世界人が肉体強化による加速に慣れていることも考慮して超魔導現象を引き起こしてめちゃくちゃ加速できるようにしてある。超魔導現象は超伝導の魔力版だ。魔力抵抗が0、つまり神界と同様の状況を再現できる。魔力質量を持つ物体を加速させるには魔力をかけて加速させるわけだが、当然抵抗が少ないほうが加速しやすい。だからこその超魔導現象なわけだ。異世界では電気よりも魔力のほうが使用頻度が高いので、有用性は高く、また冷媒の液体ヘリウム自体も地球より数倍は用意しやすい。そのため今後の鉄道にも応用が聞くことが予想されている。これは同じポテンシャルエネルギーである魔力には静電場同様の遮蔽の概念や、渦の概念が存在すること、相互作用もまた単位系は違えど似た式で記述できると予想できることから導出される。

観覧車は電気ではなく魔力で動かす。基本的にアトラクションは魔力で動かすものが多い。いちいち電気に変えて動かすよりはダイレクトに魔力でやったほうが効率がいいからな。ちなみに当然亜人の国に作りました。(ルーシャが地元に作ってくれと頼んだから)

そこに俺は転移ではなくルーシャと共に遊園地周辺の街を見てから向かうことにした。そのとき、とある女性に目が止まった。

猫の獣人族の女性で年齢は少し年上と言った感じか。憂いを帯びた瞳と垂れたしっぽがなにか悲しいことがあったことを伺わせる。

「あの、どうしましたか?」思わず声をかけていた。「いえ、なんでもありませんよ。」その女性の匂いと佇まいに見とれていた。

「好きです。」「へ?」孝二はなんと無意識にそう言っていたのだ。

隣のルーシャも思わず変な声をあげる。「いえ、そう言われても困ります、、」と女性が返事をする。「他の男性がいるんですか?」「いえ、娘が待っているんです。」他の男性のものを取る気はさすがになかったが、シングルマザーなら普通に許容範囲内だ。孝二が珍しく自分から女性にアプローチしていた。「別に私は気にしませんよ。」

「賢者さん、さすがにここで道草食うのは良くないですよ、あの女性も困ってますし、行きますよ。」と行こうとルーシャが手を引っ張ろうとしたとき、「賢者様なんですか?」と女性が一転して声をかけてきた。「あ、はい。賢者の役目孝二です。」「娘が病気で困ってるんです。見てくれませんか!」「お安いご用です。」

ということで娘さんのいる自宅に。「古い建物だな、、」こう言ってるがかなりのボロが来ているところだ。かなり貧しい暮らしをしているのだろう。「娘のロールです。風邪が直らなくて、、」これは栄養失調だな。ちゃんと食べないと回復魔法だけではダメだ。見るとその女性もだいぶ痩せている。かなり貧しくなった原因があるはずだ。それなりに稼げる国にラジーナと俺が頑張ってしたわけだし。アイテムボックスから食べ物を取り出して少しずつ食べさせてから回復魔法をかける。するとみるみる元気を取り戻した。ただ、この生活ではまずいな。「何が起こったのか話してくれませんか?」「はい、実は」

女性はローニャと言うらしい。ローニャさんは結婚前は仕事をしていたらしいのだが、エルフの男性と結婚して退職。で、その男性がクズだった。獣人族が多産であることをいいことにひたすら肉体関係を求めた。ベビーブームがあったからだろう。で、当然妊娠はするのだが、産んだのはロールちゃん一人。ロールちゃんはエルフではなく獣人族だ。当然エルフではなかったことで夫は激怒。離婚することになるがそれまでに相当暴力を受けたり、離婚したらお金を全部持っていかれたりと散々な目にあっていたそうだ。で、やっと娘と住めたのがこのボロ屋。でも働けるけどそこまで収入がなくロールちゃんは徐々に衰弱していたらしい。「こんな実態があったなんて、この国の姫として断じて許すことはできません。」とルーシャがキレる。

「ローニャさん、僕はあなたのことが好きになりました。でもこの状況で暮らすのは娘さんにとっても良くありません。だから、家で暮らしませんか?」「とってもありがたいのですが、私なんかで釣り合うのでしょうか?」するとルーシャがこう言う。「賢者様は本当に感情に関することは弱いです。でもあなたを見て一目惚れをしたんです。身分で奥さんが決まるわけではありませんよ。」とフォローする。

フォローと言えるかは若干怪しいが。「リーナさんとラジーナさんもOKを出しました。あとはローニャさん、貴女が決めることです。」

レーハ頭数に入ってないのね。一応婚約者だけど。まぁテレパシー使えないし覚えようともしないからな。

「私は賢者様がやってきた事業とかが国に色々繁栄をもたらしているのを知ってました。もともと好感は持ってます。だから娘がいてもいいと言うなら、その言葉受け入れたいと思います。」「もちろん、大丈夫ですよ。」とりあえずこのボロ屋の契約をさっさと打ち切って、うちに転移させた。「遊園地はどうするんですか?」の問には「奥さんが新しく増えるほうが全然大事だろ?」「確かに。」「明日改めて行くから心配しなくていい。」「わかりました。」

そして家にて。「はじめまして、ローニャと言います。新しく賢者様の妻になります。こっちが娘のロールです。よろしくお願いします。」「よろしくお願いしにゃす」ちょっと猫入ってるのかわいい。

すると、レーハが乱入してきた。「なんでそんな獣人族の女を新しく妻にしてるのよ!意味わかんない!」とぶちギレる。

「俺が好きになったから妻になってもらっただけだ。」「なんでそんな平民がいきなり妻になれるのよ!」「別に孝二は平民とかそういうことは一切気にしてないわよ」とリーナ。その通りだ。日本にいればわかるがそんな階級制度のない国から来たら普通のことだ。

今でこそ貴族だがもとはただの平民でしかないからな、俺。その隙にラジーナがローニャさん達を争いから避難させる。「そもそも結婚してあげたのになんで手を出さないのよ」「そんな意識の人間に優先して手を出すやつがいるかっての。」「貴女はそもそも勘違いしてるわ。結婚はして終わりじゃないの。ちゃんと生活を共にするってことが大事なの。いつまでもいがみ合っていたら別居されちゃうわね」

「聞きたいんだけど、なんでそこまでお前はわがままになったんだ?理由がちゃんとあるはずだ。」「それは、、パパが構ってくれないからよ」レーハが理由を話し始めた。ベータス王はハーレム上等で何人も妻がいた。当然子供も何十人といた。その何十人かでかわいがってくれるのは当然能力が高い子供や、一番愛してる第1夫人の子供が中心だった。彼女は第3夫人の子供でかつ弟を産むときに母親は死んでしまう。特筆した能力のない彼女はあまり構われなくなった。そのとき思い付くのは問題を起こして構ってもらうことだった。母親がおらずろくな愛情を受けて育って来なかったせいで考え方が子供のままなのだ。だからそんな厄介ものの彼女にできるのは賢者を引っ掻き回すことだった、というわけだ。これは身につままれる話だな。

ハーレムものの主人公は嫁さんをたくさん侍らせて終わり、みたいな話が多い。でも考えてみるとこういうのは子供が沢山できたら父親は一人しかいないわけだ。で、実の母親まで死ぬとこの場合他の母親はライバルでしかない。つまり愛情は受けることができない。

俺も例外とは言えないし、どうしようかな。ちょっとあの三人の嫁さんで会議するか。ラジーナがテレパシーで「ナリシャがなんとかするようです」と連絡が。あの子の能力時の巫女とは言えチート過ぎる。


レーハはラジーナから「この子を抱いてください」となぜか赤ん坊を託されていた。なんで他の人の子供を抱かなきゃいけないのよ、と思っていた。するとレーハは異空間に飛ばされていた。そこには成人しているドラゴンの姿があった。「もしかしてだけど、君ってあの赤ちゃんなの?」「はい、そうですよ。」「なんでこうなるの?」「それは私が特別なドラゴンだからです。」レーハは頭に大量のはてなが浮かんでいた。赤ちゃんが異空間に転送して成人になるってどういうこと?「では、貴女のお母さんに会わせてあげますね。」「え?」

「レーハ?レーハなの?」「お母さん!」本当にお母さんがいた。

どうして会えるのだという疑問はすでになかった。

「ごめんなさい。貴女のことちゃんと見てあげられなくて。でもね、ちゃんと愛してくれる人は世の中にはいるの。だからとげとげした態度をやめてみて。そうすればきっとうまくいくから」レーハは大粒の涙を流していた。本当のお母さんはすぐに死んでしまった。でもちゃんと霊体として見ていてくれたのだ。それだけで十分だった。

「うん、私頑張ってみる。だからちゃんと見守っていてくれる?」

「もちろんだわ、愛してるわよ、レーハ。」

お母さんは消えていった。でも見てくれていた。それでいい。

「私は時の巫女です。様々な過去や未来を繋げる力を持っています。でもさすがに赤ちゃんなので使える力がもう限界です。だからお休み、、」気がつくと異空間から戻り、赤ちゃんは眠っていた。

「どうでしたか?」「お母さんがいました。ちゃんと見てくれているって言ってました。」明らかに魂が抜け落ちたかのように素直になっていた。もう人を攻撃するようなことはないだろう。

「我が家の中でも本当優秀な子なんですよね、ナリシャは。でも別に他の子供を愛してないわけではないですよ?」「時の巫女ってあの時の巫女なんですか?」「そうです。私と娘は両方時の巫女です。そして、その素質を持つ孝二さんは時の賢者です。」巫女と賢者と勇者しか世界を渡ることはできない。それに伴うことはできても資格がないからだ。「私、本当に子供みたいなことをしてたんですね。今思うと恥ずかしいです。」「お母さんやお父さんに構って欲しい子供はそうですよ。でもちゃんと見てくれているなら子供でもちゃんと前を向けるんです。」「赤ちゃんに説得された気分はどうだ?」「不思議ね。自分に呆れてもナリシャちゃんに行く気分にはならないわ。」

「今のレーハなら十分に素敵な女の子だと思うぞ?」「そ、そう?」

そう言われて顔を赤らめるレーハだった。


さぁ、レーハはなんとかなったから次はローニャさんだ。

乱入でそれどころではなかったからな。まぁレーハのほうに先に手を出すことにはなるだろう。王族っていうこともあるが娘のロールちゃんもいるのにイチャイチャするのは難易度がわりと高い。ロールちゃんは乱入のせいでだいぶ怯えていたからなだめるのが大変だった。

そりゃあんな大声で女性が怒ったら小さい子なら怯えるわ。しかも獣人族でだいぶ大きく音が聞こえただろうし。

「おそらくですが、多産なのに全然妊娠しなかったり、一人しかできなかったのはプレッシャーによるストレスですね。」妊娠にはストレスは大敵だ。流産のリスクが上がったり、不妊になったりする。

「そうですか、、エルフが絶対できるって夫が言ってましたけど」

「それは違います。あくまでも可能性が高いだけでちゃんと獣人族も産まれます。」遺伝的には劣勢遺伝子だが、普通に存在してることからもわかる通り獣人族が産まれる確率だってちゃんとあるのだ。

「ちゃんとご飯を食べてください。執事に用意させてます」

「アトラです。新しく奥様になられたローニャ様ですね、これからよろしくお願いします。」ロールちゃんやレーハなど家族が揃って食事する。レーハはロールちゃんに謝っていた。「ごめんなさい、さっきは大きな声出して」「いいの、お姉ちゃんだいぶ優しくなったから」

「かわいい!」抱きしめたくなったところをルーシャが魔法でストップさせる。「いきなり抱きしめるのは怖がられるでしょ」「はい。」

気持ちはわかるぞ。ちなみに他の子供達も一緒だ。特にケンジとリマは同い年なのでロールちゃんとすぐに仲良くなった。「ママ、しっぽ触らせてもらったよ!」「あんまりやっちゃダメよ?」リマがしょんぼりする。ロールは俺が使っていた名義って言うのもあって親近感がすごい。ちなみにケンジはロールちゃんをじっと観察している。無口なタイプのようだ。またリーナは気がつくと臨月になっていた。今回は一人だけどちゃんと元気な子供を産んで欲しい。ちなみに女の子なので取り決め通りマーサと名付けることが決定している。

「お腹よく見たら大きいね」レーハが話す。気づかないのもすごいな。よっぽど人をちゃんと見てこなかったのだろう。


さて、一旦エルバンド家に話を移そう。

実は兄嫁として嫁いできたマイナさんは結婚が2度めだ。一回めの結婚はプレッシャーがすごかったらしい。お世継ぎの。流産を繰り返したせいで向こうから離婚を申し込まれたそうだ。そのせいでマイナさんは不妊症になっていた。ボールさんとリズさんは全くこれに関してはノープレッシャーだった。前回もそうだが、この二人は子供に対して孫をせっつくようなことはしない。自分のペースでやってくれてそれで産まれればいい、と考えているのだ。特にリズさんは女性のそういう考え方を支持していた。だからこそ魔法の実験するときにマイナさんにふらず、自分の身体で試したのだ。

でもクロードさんとの間にも半年間子供に恵まれなかった。やっぱりするときにトラウマが甦るらしい。前回あんな肉食獣になってたのに、と思う方。続けて話を聞いて欲しい。そこでリズさんに彼女は相談したわけだ。そこでエルバンド家と学園で教える受精の魔法を伝授した上で、こう言った。「子供を作る、という感覚ではなくしっかりと愛し合うこと。これが男女間にとってとても大切です。あくまでもおまけと言ったら子供に失礼ですが、きっちり愛し合うのであれば結果はちゃんとついてきます。」リズさんは前回ラジーナの改変したことを知っているので、マイナさんには二人できることを知っている。で、リットが産まれるとクロードが尻込みしてしまうことも。だから、「その上で、三つ子ができる魔法を授けます。」そう、自身で前回は使った魔法をマイナさんで試すことにしたのだ。そして、歴史が改変されている途中で前回はその子供にリットとディートと名付けたことを告げた。「わかりました。しっかりクロードさんと愛し合うことにします。」こうして夜の営みをすることになる。しっかり愛の言葉を交わしあい、キスをする。そして行為本番。お互いに気持ち良くなることを意識する。ここで彼女はようやく違いに気付いた。子供を作る作業でしか今までの営みはなかったのだ。目の前にいる人と愛し合うことこそ本質だと気付いたとき、お互いに絶頂に達した。

もちろん、魔法はかけた。だから大丈夫。

そう思って日々を過ごすことにして2か月。3つ子を妊娠してることが発覚した。クロードは驚愕していた。不妊症の妻がいきなり3人も妊娠したのだから。「やりましたわ、お義母さん。」「よかったですね。」やっと気付いた。母さんのせいか、と。別に責めてるわけではない。子供は欲しかったからだ。まぁちょっと多いけど。

言い方はあれではあるがストレスを減らしたことで妊娠しやすくしたのだ。リズさんなりの安産祈願と言えるだろう。


さて、話しは孝二に戻して。

「明日の視察、レーハとデートしながら回ろうと思う」と妻達に言った。「わかったわ、やっとそういう対象として見てくれるのね」「ああ、今のレーハなら十分付き合えるからな。」「よかったわ、性格変えて。」よっぽどお母さんの存在が大きいのだろう。

テレパシーでルーシャに伝える。「例の件はどうなった?」「あのあとすぐに母さんに連絡して例のエルフは逮捕したわ。」「あれ以外にも当然こういう事例はあるだろうから、調べてくれ。」「わかったけど、そういう女性達はどうするの?全員と結婚するわけにはいかないでしょ?」「ちゃんと考えはあるぞ。母子家庭用のシェルターと生活支援施設を作るんだ。」地球にこういうのがあるのはテレビでちょっと見てたからな。ニュース番組は一緒に見てたし。

「それ、準備するの?」「もちろん。うちの会社が資金を出して、人間の国と亜人の国両方に作る。魔王国はまだ保留かな。」「わかった。母さんに言っとく。」というわけで後日作られた。

亜人の国では100名ぐらい、特に獣人族が多かった。ここで就労支援しながら生活の自立を促す。幸い遊園地とか働く場所は多いから、なんとかはなるだろう。もちろん、相手の男性は軒並み逮捕されることになり、資金を没収して強制労働の奴隷として鉱山で働くことになる。まぁ魔鉄鉱山が見つかったばかりだし働くところには困らない。


デートの時間がやってきた。とりあえずジェットコースターに乗ってみる。「すげぇ速さだなぁ!自分で作ったけどこれ速すぎ!」なんとその時速200キロ越え。普通のジェットコースターではまずない数値だ。「なにこの乗り物!怖すぎ!」とレーハが叫んでいる。正直怖さを伝えるならもっと絶叫シーンを書きたいのだが文章だと難しい。

「はぁ、はぁ、速いよ、こんなの始めてだわ、、」とレーハが魂抜けた感じを出している。とりあえず、色々乗ってみると「あれは無理だけど他はちゃんと楽しいわね♪」と喜んでいるようだ。

最後はもちろん、「観覧車だな、デートの最後はやっぱりこれでしょ。」「でかい車輪だね、、」その車輪の大きさ、100メートル。さすがに地球にはもっと大きいのもあるが予算とかの関係だ。

「普通にちゃんと女の子の反応しててかわいかったぞ?」「そういうこと言わないで!」観覧車の中で照れてる。頂点に近くなると、「今のお前は好きになれるから、もっと俺を好きになってくれるか?」「いいわよ。」頂点に到達するところでキスをする。ムードは最高潮だ。このあとはもちろん、、「着いたぞ。」「ラブホテル?」

そう、カップルが訪れてイチャイチャする場所が近くにないと困るだろうからとラブホテルを遊園地内の観覧車横に建設したのだ。この作戦は大当たりだったと後に売り上げとかで知ることになるんだけど、今は置いておこう。「ここは、ムードが上がったカップルが、あれをする場所です。」「言いたいことはわかったわ、確かにキスしたらしたいから」

やる気になってくれたようだ。ちなみに王族なのにあれを知らなかったっぽいので、リーナに仕込んでおいてもらった。さすがに一人は産まないとこの子の立場が危ういし。

もちろん、地球でもそうだが異世界はさらに防音が強化されてます。そのための道具も魔法があるのでバリエーションがアップしているのでだいたい対応可能です。ラブホテルを作る計画をしたらルーシャにそういうお店に直行させられて確認しましたからね、はい。うちの嫁さんはそういうところも抜かりない。ちなみに魔法があるのでだいたいのアダルトゲームとかのシチュエーションや道具も再現できてしまう。あの子とつながれる、、、は感覚共有魔法があるのでいけて、実際のあれも召喚魔法でなんとかなってしまうので遠隔で妊娠できてしまう。ただ、こんなものは作れるがモラルの問題でカップルで遠距離の場合に限定するが。当然、道具があるのだから使ってみる。「なに、これ、頭が、おかしく、なっちゃ、いそう」「やめ、て、、、、」レーハをこれでもかといじめる。「不公平だよ!私もやる!」と今度は俺が色々される。

まぁ、ちゃんとやることはやって、「家でこれやらないの?」「そういうと思って用意はしてあるよ。他の嫁さんも試したいだろうし」

その途中にドアが開いたときはレーハはびっくりしてたけどな。

あれはギレーノの奥さんだ。影の一族同士しか結婚できないのでそうなるんだけど。ちなみに一人子供がいるらしい。で、彼女は恃中なのだ。要は営みが完遂されたか確認する女性のことだ。で、わざと開けて見たよアピールをしてうちの嫁さんに報告したってわけ。

「レーハだいぶ弾けてたみたいですね」「うちにも道具あるんで夜が捗りますね。」嫁さん達の会話は夜の間続く、、

さすがに朝は料金を支払ってさっさと転移する。転移できるお客様用の仕組みも準備しておく予定だ。まぁ、まだ予定があるんでね。


「今度はローニャさんとデート?」「ああ、せっかく遊園地があるんだから、子供の目線で楽しんでもらおうと思って。」「あ、じゃあロールも連れていくんですね。」「そうです。」さすがにジェットコースターは無理だが、それ以外のもので身長制限のないものはいけるだろう。もちろん、ラブホテルは行く。おそらく夜おねむになるだろうロールちゃんを自宅に転移させて、イチャイチャする予定だ。これはすでに嫁さん達も同意済みだ。「まぁ、子供がいるのにイチャイチャは難しいですからね」「ローニャさんは母親ではあるけど、それ以前に一人の女性で俺の妻だ。だからそれを意識してもらおうかと。」「いいと思うわ。」テレパシーでローニャさんに聞こえないように嫁さん達と会話する。そんなこと言ったらレーハ以外は全員母親なわけで、ちゃんとそこは意識しないといけないってことだ。会社として社員を雇ったことでかなり事業は順調に回せているからこそ、休暇としてこういうこともできるのだ。


「こういうところ見るのはじめて!」とロールちゃん。はじめて見る遊園地にテンションMAXで猫耳がパタパタ振られている。「娯楽なんてこの世界になかったですから、楽しみです」ローニャがそう言う。さすがに母親としての顔を持っているが、ちゃんと一人の女性として見るため敬称を取った。メリーゴーランドとかは普通には乗れないけど、俺が乗せてあげたりした。「楽しいー楽しいー楽しいなー」の三段活用が出るくらいはしゃいでいた。ゴーカートに乗って「わーい」と喜んでいる。しっぽもフリフリしてるし。なかなか娘がいる前でデートっぽくはならないけど、まぁ彼女を送ってからが本番だ。午前中に遊びまくったおかげで夕方にはすっかりおねむになっていたので転移魔法で自宅に送っておいた。「これで二人きりですね」「ええ。」邪魔とは言わないけど、母親ではなく妻としての彼女が今必要なのだ。観覧車で告白する。「ローニャさん、今の僕には貴女が必要です。だから、これを受け取ってもらえませんか?」

「これは。」「婚約指輪です。レーハにもあとで渡しますが、これで夫婦お揃いになります。」そう、満里奈が作ったアダマンタイトはまだ残っていた。それで作るヒヒイロカネとの組み合わせでできた指輪は、他のカップルには真似したくてもできない代物だった。あとで普通にできる指輪は流通させる予定ではあるが。

「はい!」二人はしっかりとキスをする。やっぱり子供はいないほうがよかったな。父母が愛を誓う場面にいても意味がわからないだけだろう。まだ2歳だし。

ラブホテルで色々していざ本番のとき、衝撃の事実が判明する。

「それ、めっちゃ大きいですね、だいぶあの人のは小さいので」

なるほどな、そもそものサイズが足りてない問題ね。そりゃ女性はいかないしなかなか精子が届かないわけだ。受精の魔法は当然知ってるみたいだからな。それで騒いで女性のせいにするのはマジでない。

ちなみに、道具で遊んであげるとだいぶ気持ち良くなって「こんなの、はじめてです」としっぽを振って喜んでいた。まぁ地球よりその問題解決もだいぶ簡単なんだから、病院にそういう専門を入れよう。専門書は様々な分野買ってあるからな。

「ローニャさん、行きますよ」「わかりました。」「全然、違い、ますね」「そりゃなぁ。」「、、、一人の、妻、として、愛して、くれて、大変、嬉しい、です」「当たり前です。あんな男を忘れてしまうくらいのものにします」「、、あの、子、を、育て、るので、不安で、二度と、愛され、ない、んじゃ、って、怖かった、んです。」

「そんなことありません。僕がいます。」「もっと、激しく、お願い、します」「いきますよ」お互いが絶頂に達するまでやる。

「たくさん出ましたね」「うまいですね」これを聞いたラジーナとルーシャに同じレベルのものを次と次の日に要求されたのは言うまでもあるまい、、そして、リーナがマーサを出産する。レーハにこの前に指輪は渡しておいた。「なんで最後?」「気にするな。」


2ヶ月後。リーナ以外の4人全員の妊娠が発覚する。まぁすることすればできる魔法ありますし。ラジーナは3人、ルーシャは2人、そしてローニャは4人。レーハは1人。これだけ増えると当然屋敷が狭くなってくるので増改築を行うことに。ただでさえ、子供がロール入れて7人もいるからな。ちなみにマイナさんがリットちゃん妊娠かと思いきや3人妊娠したと聞いたときは驚いた。これはリズさんのせいだな。リーゼも結婚して妊娠したらしいから、エルバンド家の人に関わると子宝に恵まれると囁かれるようになる。それはリズさんもまた双子を妊娠したせいだろうな。俺らの家庭も間違いなく関わっているけどな。もう40なのに性欲のブレーキが壊れてるよ、あの人。ボールさんがかわいそう。


さて、日常がこのまま続くと思っていた。しかし、敵対勢力がそのまま残っていることを忘れていないだろうか。人類至上主義者である。

彼らが狙ったのは小さいロールだった。ケンジ達子供で遊ばせようとした。もちろん危険だと思ったのでリーナも一緒にいたのだが、いつの間にかロールだけ消えていたのだ。魔道具が置いてあってそこには囚われたロールがいた。「無事で返してほしければ身代金金貨100枚用意しろ」と完全に誘拐だった。ただ、あいつらの狙いは抹殺だ。はなから交渉なんて狙ってない。だから、ギレーノとリーパを派遣することにした。「魔族のお前達で救出を頼む。」「やっと出番ですかい。待ちくたびれたぞ。」リーパは眠そうだ。

大丈夫。子供達が誘拐されたり、殺害を狙われるなんてことは最初からわかっているのだ。だからその対策はしてある。

一方、敵対者達。ロールを誘拐して有利に立ち回ろうとした。しかし相手は賢者で配下が山ほどいる。その映像を映して実際には殺すつもりで動いていた。金は貰うが主義に合わない子供は殺すと。何しろ国家を相手できる超巨大企業の社長なのだ。今まで潜伏できていたのは自分達の技術のおかげなのだと。しかし、それは敵に回してなかったりしただけである。最初から対立することは見えていたが証拠がない状況で捕らえても不起訴になることは見えてるからである。もう映像は渡っている。だから、殺す。「やめて、、」「死んでもらう。」

ロールに剣が突き刺さり血が噴き出す。しかしすぐに血がもとに戻り剣がもとに戻された。もう傷痕も残っていない。「なんだ、これは。」「あれ、痛くない。」よく彼女を見ると変なペンダントをしていた。「これか。この魔道具が原因だな。」その魔道具に手を伸ばして触れようとする。しかし。首から外れない。外せなくなっているのだ。壊そうとしたが、その直後後ろから意識をその男は刈り取られた。「間に合いましたね、お嬢様。」「誰?」「俺はリーパ、魔族だ。お前のお父さんにテイムされた契約者だ。」「へぇ。」よくわかっていない様子だ。その後はアジトにいた全員誘拐容疑で逮捕された。ちなみにさっきの種は身代わり魔法を魔道具にしたものである。

三回までは致命傷となる攻撃を身代わりしてくれる、貴族の子供達にとって重要になるものだ。さっきも出ていた通り、ペンダントが持たせるアイテムになっている。ちなみに一回でも発動すると自動的にセーフティモードが発動して保護対象の首から外れなくなる。しかも、一度攻撃すると対象者の位置が保護者に通達されるおまけつき。

ちなみに二回攻撃すると対象者を自動ガードして、周囲を全方位の属性召喚魔法で攻撃しまくる仕組みになっている。三回めはそもそもさせる気がない。ガード状態に入るし位置情報は伝わってるしな。

まぁこれを貴族に販売したら馬鹿みたいに売れた。安全を金で買えるなら安いものだしな。

ちなみに一回発動しても1日経つと回数がもとに戻るように設定してある。三回ガードできるのが大事だしな。もっともこれに気付いて無理やり外そうとしても保護者に位置が伝わるし、二段構えなのだ。

これは対象者の魔力を認証してそれ以外の人間が外そうとするとそうなる仕組みだ。保護者も認証しておく必要があるけどな。

さて、ロールの心のケアをしよう。

「怖かっただろ、安心していい」「パパ!」彼女がはじめて俺をパパと呼んだ。彼女だけ父親が違うが、そんなことは関係ない。

しっかりと抱き止める。「怖い人がたくさんいて、本当帰れないんじゃないかって、不安だったの。」「ああ、もう悪い人は捕まえたしそんなことはさせないから。」鎮静化の魔法をかけてロールは無言で受け入れた。


忙しくも平穏な日々を過ごしていたがある日、俺宛てに招待が届く。

「魔王国との取引について検討していただきたい。ついては一度魔王国に参上して欲しい」と書いてあった。ついに来たか。こっちとしても手を出すのか迷っていたところだ。ラジーナは妊娠したから飛べないので馬車を使うことに。早く鉄道を整備しないとな。まぁ沿線付近の魔物が来ないようにする必要があるけど。泊まりは転移で帰ることを繰り返しながら、一週間で着いた。飛行魔法もあるけどラジーナも一緒だから難しいな。翼は人間形態で出せないわけじゃないらしいけど。王都に到着して王城に向かう。そこには魔王がいた。

「賢者殿、お初にお目にかかる。我が魔王だ。」すごいプレッシャーだな。これとあの男は戦っていたのか。

「堅苦しいことは抜きにして早速本題に入ろう。我が国と本格的に貿易についての交渉がしたい。そちらの技術をどんどん取り入れて欲しいのだ。なぜこちらに対して遅れたのか理由を聞かせてくれるか?」

「それは、全くコネクションがなかったからです。しかも、亜人の国や人間の国で色々と事業を行っていたため、こちらに手を出す時間が取れなかったことも理由になります。」「そうか。」

「とりあえず治安状況はどうなのでしょうか?」「勇者殿のおかげで至極平穏に民たちは過ごしておる。強硬派も捕まって今は強制労働させられているしな。」「なにかうちにも特産品が欲しいのだが、、」

確かに。だが、この魔王国は力で人類側を抑えていた。漁業が南部でしかできないのはそのためだ。なら彼らの強みは広大な海。魚はもちろん、海底資源なんかも含めればすごいことになる。

「ならば、海で養殖や、海の魔物を捕獲して食べたり、海底資源を掘っていったりするのはどうでしょうか?」

「素晴らしいアイデアだな。養殖とはなんだ?」「養殖とは普通に漁をすれば資源は有限なのでいつか枯渇します。それを卵を取ってきて増やすのが養殖です。しかし、今ほとんど手付かずのうちから養殖で食べる魚を増やせば、かなりの効果が期待できます。卵を産んでから食べればもう養殖に卵を取ってくる必要がないので、かなり安全なサイクルができあがるでしょう。」「海底資源はどうやって取るのだ?」「それはうちにノウハウがありますから。」天然ガスを掘ったときのアイデアを水中に変える。ただ水圧も考慮する必要があるから一筋縄ではいかないだろう。「海の魔物はなぜ捕獲するのだ?」「養殖の邪魔ですからね、海のスペースを養殖に割いていけば必ず魔物にぶつかります。」「なるほど、邪魔してくるものを取って、さらに食糧にするわけか。」「はい、そうです。」「素晴らしい。是非契約して欲しい。」「わかりました。」こうして会社として魔王国の発展に協力することに。空港を建てたり、鉄道を伸ばしたりして、人類側とは豊富な漁業資源と交換していく。これですべての国と契約ができた。もちろん、亜人の国とかに作った施設は順次人類側、魔族側の国に波及させていく予定だ。遊園地は大人気すぎて第2弾の建設計画がすでに決定しているからな。やっぱりカップルや家族連れに人気でラブホテルも相当儲かっているらしい。


そんなある日。久しぶりの休日。「パパ遊んで」ロールが声をかける。あの日以来すっかりパパ呼びが浸透したロールは暇そうにしてると声をかける。こっちは社長なので休日でもしょっちゅう会議とか連絡事項がある。するとローニャが「パパは忙しいの。ママが遊んであげるから」「パパがいいの!」だだをこねるロール。

これはレーハのハーレムの話を含めてちゃんと考えないとまずいな。

父親としてあんまり子供に構ってあげられないのは苦しい。だが体は一つしかない。うん?身体は?あ、あれだ。あれを作ろう。

ただ、この対処方法はおそらく俺にしかできない。そこで普通の貴族の人向けに父親代行のサービスを始めた。ハーレムの人や忙しくて子供に構ってあげることができない人向けに、子供と遊んでくれる専用の人材を派遣するのだ。運動とかままごとなど、子供が自由に使うことができる人。もちろんある程度審査はする必要があるが、子供が欲しがっているのは愛というよりも一緒にいてくれる時間なのだ。

だからちゃんといてあげる。なるべくその子の父親の代わりとして。

それでも、全くかかりきりにされても困るので、使うときにはなるべく親子の時間を取ってくださいとアドバイスする。

まぁこれをする人に愛情を持ってない人はほぼいないだろうから、その辺は気にしていない。

で、本題に入ろう。おそらく俺たちの子供は俺相手でないといけない。賢者という肩書きもあるしな。思い着いたのが傀儡魔法だ。そこに記憶魔法で行動パターンとかを入れておく。俺の顔、とかを模した体を作る。コピーは一度作ると簡単だからな。増殖魔法なんてものもあるからな。要は行動パターンを模した俺の体に似せた傀儡で遊びたいときに遊んでもらう。「パパ、作ってくれてありがとう!」と子供達から感謝された。ちなみに遊んだデータは本体の傀儡に転送される仕組みだ。だからどういう遊びをしたかまで一発で分かる。なくさないようにそれは金庫で保管している。

ある休日。「ねぇ、お母さん達お腹が膨れてるけど、赤ちゃんがあの中にいるの?」ロールがそう言う。なんか嫌な予感が。「そうだよ。」「どうやったら赤ちゃんができるの?」ほらやっぱり。

「それはね」「それはピー」「おい、やめろ」「?」リーナが仕組みを語ろうとしたので無音魔法で聞こえなくさせる。というかまじで全部話すんじゃない。もうすぐ3歳になるとは言えさすがに性教育は早すぎる。「あら、じゃあ今日作ってくれるのね?」「え?」「だってそろそろ結構経つしちょうどいいじゃない。」「今日赤ちゃんができるの?」「そうよ。」おい、わけわかんなくなったぞ。

「じゃあ見ていいの?」「だ」「いいわね、あとのための勉強になるわよ、でもやるのは大人になってからよ?いい?」「うん!」

あとに退けなくなった。リーナめ、、

「もしかしてこんな幼い頃教えてもらったのか?」「そうね、お母さんから教えてもらったわ、魔道具で様子を見せてもらって。もちろん父は知らなかったみたい。」やっぱりか。リズさんからその血筋が受け継がれているな。「じゃあ私たちが教えますね」とラジーナ。今日はみんなに見られながらやるしかないらしい。恥ずかしいなんてもんじゃない。さすがに魔道具越しで邪魔にならないようにするとか。

「恥ずかしくないのか?見られてるのわかってるのに」「あら、出産してるからそうでもないわよ?むしろ興奮してるわ。」変態め、、

今はお互い裸になっておもちゃで遊んでいる。もうおもちゃなしには戻れないぐらいはまっているとか。ちなみになんでできると聞いてみたのかと尋ねると「お父さんとお母さん達の変な声がたまにするから」らしい。おそらく無音が効かないくらい大きく聞こえていたらしいな。これは他の子供も聞いているっぽいな。

「どうして私にだけ手を出さなかったのよ、他の子には手を出してるじゃない?」行為に入る前に聞いてくる。「お前の場合は妊娠するからな」「避妊の魔法があるじゃない。」「それが通用しないのを知ってるんだよ、、」そう。男性版の避妊の魔法は万能ではない。精子を異空間に飛ばす際に女性側でその異空間の出口を子宮に持ってこられた時点でアウトなのだ。サキュバスが精子を利用するための魔法なのでかなり欠陥がある。ただコンドームはまず普及はしないだろうからこの弱点は残ったままだ。そもそもラジーナとルーシャにはこの避妊の魔法を使っていた。まぁまず間違いなく無効にされると予想した上で、だ。妻達は子供が欲しいのはわかるし。で、結果は4人とも妊娠。だからこそリーナには手を出さず妊娠した妻だけにしたわけだ。妊娠していたらさらに妊娠はできないからな。全員妊娠にしてもなるべく時期はずらしたいからな。行為を始める。

「何人欲しいんだ?」「今回は、5人よ」「多いな」「前回、産んだ、子供達、の名前、早く、つけたくて」「じゃあ全員女の子にするのか?」「いえ、自然に、任せるわ。でも、ちゃんと、そうなると、思うわよ。」まぁ前回も偶然だったらしいし。「今回はあんなめちゃくちゃなことするなよ」「わかっ、てるわ。だから、ちゃんと、そうなる、ように、するから、頑張って、ね」このあと絞り取られて回復魔法で強制的に元気にさせられるのループに。「あら、よっぽど私のこと欲しいんだ。」「自分でかけたくせに!」「頑張ってね、パパ。」朝までやらされてヘトヘトになった。


ロールは結局途中まで見てたけど肝心の部分はおねむになってしまったので母のローニャが運んでいた。「なんとなくそんな気がしてましたけどね。」「まぁ記録の魔道具なのであとでお母さんがじっくり教えればいいんじゃないでしょうか?」「そうしますね。」

で、記録を見たロールが行為に興味津々になったのではなく、「どうしたらパパと結婚できるの?」と聞いてきた。困る質問だな。「どうしてそう思ったんだ?」「パパ、ママ達と頑張っているのかっこよく見えたよ」あれでそう見えるのか、、不思議だ。

「さすがに大きくなっても俺はお母さんが好きだからなぁ、、」そう、ロールが好きなのではなく、ローニャが好きなので結婚して娘として一緒に暮らしているのだ。瓜二つの親子に成長したとしても手を出すことはないだろう。困っていると、リーナが「じゃあ、ケンジと結婚するのはどう?」と聞いていた。ケンジが「なんでそうなるの、母さん!」って突っ込んでる。「どうしてなの?」とロールが聞く。

「ケンジは赤ちゃんのときもそうだったけど、ほんとにお父さんそっくりなの。性格ももちろんだけど、成長したらもっと顔とかめちゃくちゃ似てくるわ、だからお父さんに近いケンジでどうかな?って。義理の兄弟だし問題はないわ。」「いいの?」「リーナ母さんは賛成するわよ?勝手にお父さん取られたくないし。」「わかった。ケンジと結婚する。いいでしょ?」「いや、、」「ケンジはロールのこと嫌い?」「そうじゃないよ、好きだよ。」「なら、いいよね!」

こうして未来の縁談が決まってしまった。義理の兄弟ってこともあって嫌いではないから断り辛かったのだろうな。ちなみに成人後に本当に第一夫人として結婚することになるのだが、それはまた別の話。


リーナが5人も妊娠すると言うことで大幅に改築計画を見直すことに。ちなみに今までの屋敷は改築中なのでラジーナが与えられていた屋敷で生活している。結構子供がいて狭く感じるけどな。過去に売却しないんですか?とラジーナに聞かれたが万が一とか、あるいはこのように増改築しないといけなくなるだろうってことは予想してたから売らずに取っておいた。もちろんいつでも使えるように屋敷は維持をしていた。で、計画だが二階建てを4階建てだった。だが明らかに足りなくなるだろう。なにしろ今妊娠してるだけで15人だからな。

なので6階建てに変更する。リーナ曰く「最低10人は産みたい」って言ってるからなぁ、、どんだけ子供欲しいんだよ。もうすでに8人まで出産予定なのにね。リズさんのせいだな、間違いない。

だいぶ警戒して魔法をかけたからか今回はたいした体調不良は起きていない。つわりはひどそうだけどな。

で、さすがに15人増えるともなれば子供達にどう接するかは大事だ。もちろん平等には扱うつもりだけど、子供達がどう受け取るかは別の問題。これがおそらくハーレムを組む中で一番大きな問題だろう。

「どうすればいいと思う?ナリシャみたいにとびきり優秀な子供がいるとどうしても自分が劣っていると感じるのはしょうがないと思うんだ。」そう、ナリシャは時の巫女という特別な力を母親から引き継いだ存在だ。それゆえに失敗を色々と予知したりしてそつなくなんでもこなせてしまうのだ。だから他の子供達とどう向き合うのが正解なんだろうか。「ちゃんとその子のことを見てあげればいいのよ。あくまでもナリシャはナリシャで、その子はその子なんだから。」「そうですね、それでも何か抱えているなら私達母親が協力して悩みを聞いてあげたりすればいいと思います。」「でも、数が多いとなかなかその子だけ、というわけにはいかないのでは?」「確かにそうですね。でも、私達には便利な魔法が使えます。伝えたいこと、言いたいこと、でも言えないこと。そんなことを理解できる魔法があります。」「テレパシーとかですか?」「そうですね。でも、お父さんが傀儡でみんなのこと見れるのは大きいと思いますよ。常にではなくても見てるわけですし。」そのために開発したからな。

するとそこにいたナリシャがテレパシーで異空間に呼び出す。

「私のことを優秀って思ってくれてるのは嬉しいです。でも別に他の子供達に勝ちたいなんて思ってません。」「ナリシャ自身はそうだろうな。でも見方を変えたらお父さん達の考えることが問題になるんだ。」「なら、私に考えがあります。」「彼らの素晴らしい未来を見せるんです。ひたむきに頑張ればちゃんとたどり着く未来を見せれば、いちいちくよくよしたり、人と比べて落ち込んだりはしなくなるでしょう。」やっぱりこの子は考えるスケールが違うな。

「まぁ見せることで子供達が頑張ってくれるであればそれでいい。やってみなさい。」「ありがとう、お父さん。」

その後、子供達がナリシャの近くに集合する。全員がその異空間に引き込まれたようだ。「すごいな、ナリシャ」「私、頑張るね!」「お父さん、絶対頑張るから応援してね!」と各々未来を見たようだ。

もちろん、それに対して「もちろんだよ」とかの返信をしていく。

すごいな。ナリシャが優秀なのは分かるがそれを子供達全員が認めていてかつ誰もそれを劣等感に思っていないのは。まぁスペックが違いすぎるのも大きいんだろうな。

これによって子供達は大きく自分の目標を作ってそれに対して小さな1日を積み重ねるようになったのだ。だからこっちも素直に誉めることができる。ところで、ナリシャ自身の夢を聞いていなかったな。

「ナリシャは何になりたい?今は2歳になろうとしてるけど将来は時の巫女とは言え決まってないんだろ?」「そうですね、時の巫女だからこそできることを極めていきたいです。今でも色々なことができますがラジーナ母さんみたいに実際にタイムワープできるわけではないですし、時の巫女としての試練が来るかもしれません。」それは巫女である以上具体的に何とは言えないが必ず来る。そういうものだとラジーナは言っていた。「だったら、魔力制御をして来るべきときに備えるってのはどうだ?」「それはどういうことです?」「魔力を増やし、使える魔力をコントロールしていく、これが魔力制御だ。巫女としてこの能力は欠かせない。俺も偉そうに言っているが魔法をすべて見つけたわけでもないし最強になったわけでもない。だから、これから一緒に頑張っていかないか?」「そうですね、お父さん。私これから練習していきます。だから見守っていてください。」「もちろんだよ、ナリシャ。」


一方、エルバンド家。ここには臨月を迎えた妊婦が二人いた。マイナさんとリズさんだ。人数が増えることを見越してメイドさんが増えている。これは前回と同じだが、賢者の家からの発明を増殖魔法で増やして持ってきていた。増殖魔法は基本的には創造魔法の応用である。

そう、魔力を物質に変えるのだ。このときにコピーしたいものを魔力で作り上げていくことでできるのが増殖魔法だ。基本的に生物は増やすことができないが、死体や植物の種なんかは増やすことができる、だからこの世界では人口過多からの絶滅なんてあまり考えなくてもいい。増殖魔法にグロウアップもあって食糧にありつけず絶滅は考えにくいからだ。最もこの世界のすべての人口でも500万人に届くかどうかレベルで、まだ70億行って食糧がなくなるとか騒いでいる地球と比べれば全然たいしたことがないのだが。地球の場合もちろん食糧はこのままだとなくなっていったりするだろうが。

話が脱線したが家で二人とも陣痛が始まり破水してしまう。こうなると辺境で医者が少ないここでは難しい。なので、、

「すまないが、妻達の出産を手伝ってくれ!」と孝二達にお願いせざるを得なかった。幸い今の屋敷にはジューレがケートと一緒に住んでいた。そう、ここはアトラ夫婦に住んでもらっていたからここまで維持ができたのだ。ジューレはベビーブームで聖職者でありながら助産婦の経験もある。リーナはまだそこまで妊娠期間が長くないので回復魔法を使える戦力になる。うちもそろそろ妊娠から出産まで近いのが3人もいるし。出産まで長いラジーナにも行ってもらう。うちからは俺も含めて4人ですぐに二人のもとに向かった。おいおいマイナさんのほうはすでに頭が出ているぞ。リーナと俺は回復魔法で二人を回復させて、ジューレとラジーナが助産婦として出産をサポートする。

切開するナイフはあるが医療用ではないし勝手なことはできない。

「お母さん、マイナさん頑張って」とリーナが声をかける。

二人は苦痛に顔を歪ませていて返事もできない。時々サポート魔法を二人にかける。使っているのは鎮静化だ。激痛が襲っているので少しでも痛みを和らげるために使っている。

二人とも一人は出産したが、双子と3つ子なのでここからもまだ続くのだ。ボールさん達は産まれた子供二人を取り上げて安静な場所に連れていく。出産はまだ続く。苦痛で叫びながらも少しずつ赤ちゃんは産道を進んでいく。回復魔法と鎮静化をかけて二人の出産を少しでも楽にする。ほぽ同じタイミングで二人めが出てきた。二人とも男の子だな。さっきの子は二人とも女の子だったのでマイナさんはリットとディートと前回の名前をつけることになるだろう。しかしまだマイナさんにはもう1人いる。出産が終わったリズさんは完全に疲れきって気絶している。そりゃあれだけきつい出産だったしな。当然マイナさんは激痛に襲われたままだ。いくら産道は開いていても赤ちゃんは自分から道を切り開いていくわけで当然そのときに激痛が母体を襲う。

「お母さん、よく頑張ったわ」とリズさんをリーナが部屋から連れ出していく。おそらく別の場所で寝かせるのだろう。ボールさんも「本当によく産んでくれた、、」と涙を流していた。

ジューレが「マイナさん、あと少しです!」と励ましていた。

そして、3人目が出てきた。女の子だ。さっきの子たちよりも一際大きい産声を上げた。「やっと産まれたよ」という合図なのだろう。マイナさんも気絶してしまったのでクロードさんが部屋に運ぶ。

「妻の出産を手伝っていただき、本当に感謝している。子供達に会えたのは賢者様達のおかげだ。」と感謝された。マイナさんが頑張っていたのを俺達は手伝っただけだ。

気絶していたのが回復したのは2時間後。二人とも赤ちゃん達に会った。「本当によく産まれてくれました。ありがとう」「やっと会えましたね、私の子供達。」リズさんとボールさんは二人の子を女の子のほうをリインちゃん、男の子のほうをカインくんとした。似た感じにしたかったのだろう。マイナさんはリットちゃん、ディートくんは同じで、最後の女の子を大きな声から発想してマイトちゃんと名付けた。やっと女の子のリ縛りから解放されたようだ。


そして、臨月になった三人を家に残して俺は魔王国の海にいた。

そう、海底資源の探索と発掘のための調査だ。ここにはラジーナもいる。資源担当でもあるし。

「ここに魔力燃料がありますね。魔石から溶かすよりはこっちからのほうが良いでしょう。」魔力燃料はこの異世界では魔法があるためガソリンより効率はいいのだが、魔石からの効率はすこぶる悪い。

ドラゴン魔石でっかいの一個から100mlも取れないのだ。これではろくに機械が稼働しない。ドラゴン魔石でっかいのが一個あるだけで切り分ければ魔道具数台分は動かせるのだ。これを考えれば直に取ったほうが早い。とは言え水圧の問題だ。沈めれば沈めるほど圧力がかかって並の素材ではペシャンコになってしまう。水属性を使うことでこれはある程度は解決できる。逆召喚で考えれば任意の水を使ったあと戻すことができる。じゃあ、使う水をこことして定めて、魔導士のみなさんに水属性魔法を使ってもらうことで圧力魔法を使って下まで下ろすことは可能だ。あとは空気が通っている間に貫通魔法を使う。

物質をある程度の固さなら貫通させることができる魔法だ。これは風属性魔法のウィンドカッターの応用だ。大気のエネルギーを高くして面としての攻撃力を持つウィンドカッター。魔力エネルギーを高くして貫通させる力を付けるのだ。そもそも魔力エネルギーは一部または全部を即質量にできるエネルギーだ。重さと純粋なエネルギーで貫通させるのは地球でも常套手段だからな。

貫通させたあとでパイプを通す。一度通してさえしまえば圧力で潰されることはない。水圧も空気と同じなのであくまでも全方位に圧力がかかる。パイプを無理やり遠そうとすれば先が潰されてしまうのだが、貫通したところにさっさと通せば問題なし。

さて、少しずつ掘っていくと、、「採掘できたな」「ですね。」

なんとか採掘を開始できるところまで持っていけた。とりあえずここにプラントを建てて安定採掘できるようにしよう。

プラントを建てる技術は前回ヘリウムと天然ガスのプラントを建てた技術者を引き抜いているので問題なし。まぁ給料もよくしたし普通はこっちに来るだろうな。なんでも建設業だけに任せ続けるのは無理がある。なにしろ今回は海上だからな。

まぁ、船で資材を持ってきて圧力魔法で資材を固定する。基本は浮力で浮かせるほうが楽だ。パイプで固定されているから流されることはない。数日かけて作業をしてプラントを作った。

さて、そろそろ出産なので屋敷の増改築を急がせた。順調に魔力燃料が回収できているらしくなによりだ。そして、その時は来た。

ルーシャが双子を、ローニャが4つ子、レーハが男の子を出産した。

ルーシャの双子は男の子だ。検討した結果、イントとセントと名付けられた。ローニャの子供は彼女が待望した男の子が3人。そして女の子が1人。種族は獣人族と人族が2人ずつ。女の子が獣人族なので男の子と女の子に獣人族がいることになる。人間の男の子の名前はハイルとコール。獣人族の子供達は男の子がラインで女の子がレーネだ。

ロールは一気に4人のお姉ちゃんになったことになる。にしても父親が俺になった瞬間に多産になったのだからよっぽどストレスとかもあったのだろうな。レーハの男の子の名前はタントと名付けた。ルーシャの子供達がトで終わる名前だからだろう。

そんな赤ちゃん達が7人も退院してくるこの日、ついに増改築が終わったので屋敷に入ってみた。さすがに異世界の建て方では高層にするのは難しいので、建築の専門書を読んでもらい地球の方法で建ててもらった。専門書をジャンル問わずに買いまくったのは正解だった。

まぁ圧力魔法主軸なので重機とか必要ないのはこの世界の強みだ。

だからこそ地球では無理な期間で増改築をさっさと終わらせることができたのだ。もうただでさえ改築前に出ていたオーラがさらに増して本当に豪邸って感じがする。増築部分もかなり広くて子供達が喜びそうだ。「まぁ、私達の出産もあるしこれくらいは当然よね」とリーナ。レーハは「もっとみんなみたいに子供が欲しいわ。」だって5人の中でたった一人、1人しか子供産んでなかったらそう思うのは当然だな。子宮の産道が閉じてちゃんと子供が産める態勢に戻ったらおねだりの嵐だろうな。ラジーナが「どんどんお腹大きくなりますけど、出産まで待てる状態なんですかね?」と聞いてくる。まぁラジーナもドラゴンなせいで今はナリシャしか子供がいないけど。三人お腹にいるんだもんな。おそらく2年とは言わずどこかで帝王切開になるだろう。サイズ的にギリギリだから未熟状態で退院を待つ形になるだろう。リーナの5人のときみたいに。出産回数自体はみんなたったの二回(リーナは三回)なんだけどな、受精の魔法の改良がうちの子供の人数に大きく直結している。ローニャも「もっと旦那様に甘えたいんですけど、いいですか?」とこちらもやる気だし、ルーシャは「エルフの繁栄のためにお願いしますね?」とこっちも理由があるから強気だ。ちなみにイントとセントは二人ともエルフだ。

その張本人であるリズさん達のエルバンド家は5人+リズさんが前産んだマットとライルの世話で大忙しらしい。うちも人のこと言えないというかもっとひどいからな。増築も終わったしメイドさんも増員が決定している。増殖で全自動掃除機もかなり増やした。

「パパすごいね、お家おっきい!」とロールはじめ子供達も大喜び。

さて、家も増築、子供がさらに増える、新規事業もたくさんある超巨大企業の社長の日々はこれからも続くのだ。

彼の願いは当初はこの異世界の魔法の解明だったが、今は社長になったこともあり、将来の子供達による巨大化した会社の分社化だ。ケンジは魔法解明に興味があるようなので父親が全力で教えている。魔法科学部門を引き継ぐ存在になるだろう。

最後にこの作品の出てきた要素を少しおさらい。魔素は窒素であり、それを魔力で変化させたり、触媒として発動することでできるのが魔法である。で、魔力は位置エネルギーであり、魔力遮蔽や魔力渦などマクスウェルの方程式に単位系こそ違えど似た挙動をする。それにより超魔導現象も起こる。で魔力エネルギーは魔力質量と密接な関係にある。魔力エネルギーは任意の物体を作ることができる。ドラゴンなど生物の変身においては魔力質量とエネルギーの値が必ず一致する。

彼らの未来、一体なにが起きていくのかはナリシャでさえわからない。



ついに書き終えることができました。新ヒロインが二人も登場、日本に戻ってひと騒動、そして社長に、、

社長展開は予定していなかったのですが、やってる事業規模がスケールが大きすぎるのでそうしたほうがよいと判断しました。意図せずにどこかの創業者の人生をなぞるかのようになりましたが、完全に偶然です。

一応完結としましたが反応次第では書く予定です。ただヒロイン達が子供を望む関係で子供達全員の名前は登場はできないと思われます。

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