「サイコロを振って結婚することになりました」
正月の私の恒例のおきまりは、親戚の年下の子達のお相手。
疲れるけれど、その分お年玉を弾んでもらえるから喜んでやっている。
子どもは好きだし。
ぎゃあぎゃあ騒ぐいとこたち諸々数人、まとめて遊んであげている。
「お姉ちゃん、プリティごっこしようー!」
「いーや、戦隊ごっこのお姫様役だ! お姉ちゃんは!」
「はいはい、みんなで遊ぼうねー」
ふう。大変大変。
「おい、お前ら。一緒にこっちですごろくしないか?」
「大我お兄ちゃん」
意外、いつもは子どもが苦手って言っている親戚のお兄ちゃんの大我君がみんなを誘ってる!
「奈央もやれ」
「私には命令ね」
苦笑して、みんなですごろくをする事にした。
すごろくなんか久しぶり。
何だか、みんなでワイワイやるのってやっぱり楽しいな。
ここ最近、暗いニュースばかりだったし。
サイコロ振って、幾つか進んで戻って、止まった項目のお題をやる。
おふざけも少しあって、その場はみんなが笑顔だ。
「お。俺は……。"6"だな。えーっとお題は。『今、好きな子の名前を言う』か」
え、待ってそんな項目子ども相手にやるの⁉
でも大我お兄ちゃんの顔は真剣だ。
「奈央」
「はい⁉」
声が裏返る。
え、待って待って!
私って今、言った……?
ってゆーかみんながニヤニヤ顔だし。
え、何か静かだと思ってたら酒盛りしておせち食べてた親戚一同注目しているし!
「奈央、お前の番」
「奈央姉ちゃんの番だよー」
「サイコロ振ってー」
「え、え、あーもうサイコロ振るのね!」
やけくそになって、サイコロを振る。
出たマス目は一。
コマを進めた項目には……。
「『今、告白をされた相手と結婚する』ことー⁉ これって何よ⁉ 冗談じゃない!」
「嫌なの?」
「うっ」
従姉妹の三歳のめいちゃんが純粋な目で私に聞いてきた。
曇りの無い、真っ直ぐな目。
思わずたじろぐ私。
「い、嫌じゃない……」
だって、大我お兄ちゃん背高いし、顔はイケてる方だし、それにそれに……。
「昔から、大我お兄ちゃん私の憧れだし……」
「じゃあ、結婚する?」
まためいちゃんの純粋な言葉。
私の顔はもう真っ赤。真っ赤っかだ。
「し、したいです!」
もうやけくそなんかのレベルじゃない。
この際だ。
私からも告白してしまおう。
「大我お兄ちゃん、好きです。私で良かったら、お嫁さんにしてください!」
頭を下げて言うと、
「いいぞ。世界一幸せなお嫁さんにしてやる」
ぎゅうっと抱き締めて言われた。
親戚一同がわあっとその場で沸いたのだった。
お読み下さり、本当にありがとうございます。