軽い棍棒~完成~
「さて、材料は揃ったし作り始めるか」
スイミンキノコの胞子とバジケアリの蟻酸があればギミックはできる
あとは爆破耐性があり硬いこのメテオライトを組み合わせないと
メイスは軽いと威力が低いから効果を付け足してあげる
爆発する追加効果と相手を眠らせる効果のある胞子をつけることで威力をあげるだけでなく物理攻撃に耐性がある相手にも戦力になるようにする
ただ問題が3つある
1つは爆発するタイミングや威力
殴ってすぐ爆発すれば攻撃した本人にまで危険がおよぶ
かといって威力を下げるとダメージが期待できない
2つ目は胞子の量
こちらも多すぎると本人にまで飛んでいく
飛ばす方向も気を付けないと使い手や仲間まで眠る
量はともかく方向には調整に時間がかかりそう…
あとは力いっぱい殴った時にだけ胞子を出すようにすればいいしそもそも眠らすためだけにこの胞子を使うわけではない
胞子の本来の目的は爆発の威力をあげるため
爆発するとその火種が胞子について爆発の威力をあげるという仕組み
3つ目は素材
これが一番の難関かな
さっき爆破耐性の高いメテオライトを使うとは言ったけどこれはかなり重い
そのまま素材にしたら10キロ近くなってしまう
そうなっては依頼人どころか並の使い手でも使いにくい
だから軽いカーボンメタルと組み合わせて使うけどカーボンメタルは爆破耐性がないから量を間違うとメイスが壊れる
カーボンメタルは強度は普通の鉄とほぼ同じだけど鉄の半分の重さしかないからこれをベースにしていく
殴打する部分に表面的にメテオライトは使わないと…
後はこの3つの素材を調整するのみ!
しばらく寝れなさそう、いや、胞子のせいで眠ってしまうか…
1週間後
「すいません、サトキですけどメイスできました…ってうわ!大丈夫ですか!?」
「…うん?あ、サトキさん…いらっしゃーい…」
「大丈夫ですか?こんなことで倒れて!」
「ん、あー、胞子で眠っちゃってたのか…大丈夫ですよ。ちょっとメイスの調整で手こずってて」
失敗した時の方が部屋に残ってたみたい
そのせいでまさかの床でねてしまってたとは
「すいません、無理言って…」
「大丈夫ですよ!完成したので!!」
「ほんとうですか?」
「はい!こちらになります!」
そう言って私は近くに転がってるメイスを差し出す
「これが…適当に出したわけじゃないですよね…?」
「そんなわけないじゃないですか!しっかり飾ろうとしたら寝落ちしただけです!」
「そんな威張って言われても…あ、この棍…メイス、軽いです!」
「それだけじゃないですよ。このメイスは力いっぱい殴ると爆発する蟻酸を相手につけてさらに睡眠効果のある胞子が出るようになってます」
「それで床に眠ってたんですね」
「うっ…コホン、使う時の注意なのですが殴ったらすぐ離れるようにしてください。威力や量は調整してるとはいえ爆発に巻き込まれたり胞子を吸ったりするかもなので」
「爆発ってどんな感じなんですか?」
「バジケアリの蟻酸を使ってます。氷の様に冷たいアイスメタルで冷やしてるのですぐには爆発しませんが殴ってから3秒ほとで爆発します。爆発する酸を相手につけて胞子と一緒に爆発するようにしてます」
「武器が壊れたりは…」
「それは大丈夫です!しっかり調整してますし爆破耐性のあるメテオライトも使用してます。それと力いっぱい殴った時にしか出ないようにしてるので持っててちょっとぶつかったぐらいでは出ません!爆破の威力はストーンゴーレムの片腕を一撃で破壊できるほどです」
「ほんとですか!こんな軽くて威力の高いメイスをありがとうございます!あ、お金を」
「お金は1000Gで結構です。」
「そんな安くて大丈夫なんですか?素材も希少なのを使ってるみたいですが…」
「はい、ですがメンテの時は必ずうちに来てください。その武器のことを知らない人がメンテをすると大事故になりかねないので。それと間違っても味方を殴り付けないようにしてください!」
「わ、わかりました!それで、その使ってみたいのですが…」
「では外に練習場があるのでそちらに行ってみましょう!」
練習場
「そ、それじゃあいきます!…せいっ」
その掛け声と共にサトキさんはメイスを木でできた練習用のかかしを殴る
そのあとすぐさま後ろに下がるとドゴォンという音と共にかかしは砕け散る
あーあ、またかかしを作り直さなきゃなー
「ありがとうございます!この武器、とても大事に使います!」
お客さんのこの満足そうな顔見れるなら安いもんだよね
さあ、次の仕事も頑張るか