軽い棍棒
初めての投稿で至らない点が多々ありますがどうか暖かい目で見ていってください
鍛冶屋メメルに来た注文はメイス
それも軽くて火力のあるメイス
メイスは重さが命なのに対して軽いというのは少し厳しいがメルルはとあるメルルを進めるも…
ここは地球とは遠く離れたパーチェストと言われる世界
その中心にある央都から南に離れた村の外れにある小さな鍛冶屋の話
鍛冶屋メルルは日々、土地の開拓やダンジョン攻略に行く冒険者たちの武器や防具を作っていた
そんなメルルは今日も仕事の鍛冶に勤しんでいた
さて、今日も頑張るか
どんな武器作ろうかな
「ここはメルルさんの工房で合ってますか?」
そう言って背中に小さなメイスを持った冒険者がやってきた
「いらっしゃいませ!ええ、そうですよ。剣や槍、弓や防具などどんなご要望の武器も作ります」
初めて見るお客さんだ。ここらの冒険者じゃなさそう…
「僕は東のとあるパーティで棍棒使いをやってるサトキといいます。オーダーメイドをしてほしいのですが…ここではどんな武器も作ってくれるんですよね」
なるほど、ここで鍛冶屋をして2年…東で作ってもらわないあたりかなり癖のある武器をご所望かな
「ええ、私に任せてくださればその人に合った武器を作ります!時間と少々の代金が必要になるかもですが」
「えっと、新しい棍棒を作ってほしいです」
「棍棒?」
「はい、今持ってるのでは火力が出せず、サポートもできなくてパーティの足を引っ張ってばっかりなんです!」
「それならそれより重い物をご用意しましょうか?いくからあるのでお持ちしますね」
「待ってください!実は…僕…とても非力で、今持ってる棍棒も1キロ程で…それ以上になるととても重たくて自由に動けないんです」
「っ…」
ならメイス使いやめればいいのに!って言いたかった…
仮にもお客さん。ここは理由も聞いておかなきゃ
「な、ならどうして他の武器種に変えようとしないのですか?」
「央都直属のギルドの棍棒使いの人に憧れて、自分もあんな風に戦いなって思って…」
「っ…」
やら鍛えなさいよ!って言いたかった…
でもここでそう返したら何でも作るメルル鍛冶屋の名折れ。
「でも、僕あの人のようには戦えないしで、鍛えようにもその間食いつなぐのも辛いし…やっぱり僕、棍棒使いやめるべきなのでしょうか…」
彼にも彼の意地ってのがあるのね
冒険者として鍛える途中で他の仕事をしてていつの間にかそっちの道に行ってしまったって人も少なくないわ
それに他の武器で冒険者続けても彼のプライドが傷つくだけ
冒険者をサポートする鍛冶屋としてはそれは避けたい
「わかりました。それなら軽くて火力が出るメイスで良ければ紹介しますよ」
「ありがとうございます!」
「こちらなんてどうでしょう?殴打する箇所にスパイクを付けて軽くなっています」
「す、すいません!僕、先端恐怖症でして…とげとげしたのを使うのはちょっと、怖いです…」
「っ…」
もう冒険者やめなさいよ!味方や敵だって持ってるのよ!!
「すいません…我が儘ばっかりで。でも僕冒険者に憧れててこんな僕でも棍棒なら扱えるかもってなったんです。少しぐらいなら大丈夫なのですが自分が使うとなると震えて足がすくむんです」
なるほどね。これは大分きびしいわね
でも、ここで向いてないから冒険者やめときなさいって言うのは私の仕事じゃない
私の仕事は要望されたりその人に合った武器や防具を作ること
新たな職に進めるのは別の人の仕事。でもなー…いや、ここで私が断れば私のプライドが傷つくだけじゃなし彼のプライドも傷つく
鍛冶屋としてそれは避けたい
合う武器がないので冒険者辞めましたなんて冒険者をサポートする鍛冶屋としてはいけない
軽くてスパイク無しで火力が出せるメイスか…そんなウィザードの杖じゃないんだし炎吐いたりする訳じゃないし…
……もしかしたら…
「わかりました。それなら軽くて火力の出て、さらにスパイク等のトゲがないメイス、作ってみましょう」
「え、本当ですか!?」
「ええ、私に作れない物なんてないので!」
「ありがとうございます!!」
「素材の方はこちらでご用意しますがその分代金は少々高くなるかもですが大丈夫ですか?」
「はい!今まで必死に貯めてきた分があるので大丈夫です」
「わかりました。では一週間後にまた来てください。」
「わかりました!お願いします」
深々と頭を下げてとても嬉しいそうに
きっといくつもの店で断られたんだろうな
さて、仕事にかかるとしよう
まずは素材集めを依頼しないと
翌日
「メメルさん、こんにちは!昨日依頼されてた素材集めてきたよ」
「いらっしゃい、カナト。ありがとう」
うちの常連のカナト。片手剣使いでよくうちに武器や防具の整備来ては素材を提供してくれる
「いつも悪いね。これ依頼料の1000Gね」
「いやいや、メルルさんにはいつもお世話になってるからね。しかし今回は変わった素材だよね。バジケアリの密にスイミンキノコ、大変だった…」
「だから依頼料は5000Gって言ったのに…」
「いやいや、メルルの頼みならタダでもやるよ」
いつもお人好し何だから…
バジケアリは触れると爆発する蟻酸を持っているモンスターで敵に向けてその蟻酸をかけてくるし攻撃するときは頭か胴を狙わないと間違っておしりに当てたら攻撃した者を巻き添えに爆発する危険なモンスター
スイミンキノコはその名の通り吸うとすぐに眠ってしまう胞子を出す。少しでも揺らしたらたちまち半径5メートルは眠り効果のある胞子まみれになる。使い方次第では睡眠薬にもなるが捕獲が面倒なため手をつける人は少ない
こんな面倒な物を2つも揃えて翌日に持ってきてくれるとは
5日以内って依頼書には書いたはずなんだけどなぁ…(笑)
「今度は何を作るの?」
「メイスよ」
「メイス?この材料で?」
「うん。軽くて火力が出せてスパイクがないメイス」
「それ本当にメイスなの?また面倒な依頼だね…断ればよかったのに」
「断ったらうちの看板に傷がつくでしょ。それでお客さん来なくなったら困るもん」
「…俺はどんなにたとえ看板がついてもここに来るのに」
それに必死に頼みこんだあの子のことを考えたら頑張ってあげようって思ったし
「それじゃあ俺次の依頼行ってくるから!また来るね」
「うん、またいつでも武器の手入れしてあげる」
カナトを見送った私はさっそく仕事にとりかかる
さて、今回の仕事も一筋縄じゃいないな