Yさん 過去編
私達は運命の相手に出会ってしまった。
私の中でその感情は、「とても衝撃的で情熱的」というものだった。
初めてそんな感情に出会った私は、ちょっぴり大人になったと気付けなかった。
それがいけなかったのか、私は彼を永遠に失う事になる。
そんな事、気付かないうちに恋に落ちてしまった。
私はその日、お父様に「新しい私の弟子になる人だ」そう言われて彼を紹介された。
彼はいわゆる「貧乏な方」の出身で、どうしても父の弟子になりたいと言われたので、どんな腕なのか見せてもらい、これならと思って、彼を弟子にしたらしい。
お父様はその時、罪を犯したとは気付かなかった。
その判断がお父様を苦しめるなんて、後にならなきゃ分からなかった。
そんなお父様は、今も私と彼の事を許してはいない…自分の思い通りにならなかった娘と弟子を、憎んでいる。
そして、その事に対して後悔している。
私にはわかる、今はもう魂になってしまった私ならば…。
私はいわゆる、貴族の娘として生きていた時代がある。
その時の話は、今でも私を苦しめている。
その恋愛には、後悔しか残らなかった。
そんな結末なら、そんな恋愛しなければ良かったって思うけど、私にとっては必要な恋愛だったの、人を愛するなんて、初めてで、分からない事だらけだったけど。
彼を愛していた記憶は消えないと良いな…。
だってまだ、好きだもの、愛しているもの…。
魂になって、新しい人生を歩むその時まで…。
私は彼を愛し続けたいもの。
お願い…今度こそ、生まれ変わった次の人生こそ、彼と私を同じ身分の人間にして。
そしてもう一度、彼を愛させて、彼と一緒に居られる時間を、もう一度私にチャンスをちょうだい。
もう、道を間違えないから…。
続く