1-13 契約の代償
「症状はかなり深刻なものとなっております…残念ですが今の私たちの技術ではこれ以上、手の施しようがございません」
病室で深々と頭を下げる外科医の先生に対して、俺は感情的に先生の胸元の白衣を掴む。
「なんでだよ、あんた医者だろ!?これ以上無理ってどういうことだよ。このままじゃあいつは…真雪はどうなっちまうんだよ!!」
「荒北さん、落ち着いてください。お気持ちは分かりますが、先生も最善を尽くしました。しかしこれが今の限界なのです」
荒ぶる俺を周りにいた看護師たちが後ろから抑えるようになだめている。
周りの看護師たちに制され、掴んでいた先生の白衣を手放す。
「ごほっ、ごほっ…いえ、荒北さんの気持ちは痛いほど分かります。私も最善を尽くさせて頂きましたが、これ以上の手術となりますと当施設の設備ではそれが出来ないのです。最先端の技術を誇る海外でしか現状を打開する術は無いかと…」
拘束から解放された先生が咳き込みながら申し訳なさそうに続けて言う。
「海外って…そんな金あるわけねぇだろ」
先生の一言に絶望した俺はその場で跪く。
何も考えられなくなり、唯々声を挙げて泣き崩れていた。
その姿を見た先生と看護師たちは、何も言わず泣き崩れる俺に一礼すると病室を去っていった。
先生たちが去ってから暫くして、泣き崩れていた状態から立ち上がると、横のベットで眠っている妹(真雪)の顔を見る。
今は投薬の効果で穏やかに眠っているが、今朝がた激しい痛みに苦しんでいた真雪の顔を思い出すと胸が痛くなるのを感じた。
俺の妹、荒北真雪は正体不明の病に侵されていた。
数か月前、真雪が高校3年生になった始業式の日、学校から真雪が始業式の最中急に倒れたという連絡が入ったことがきっかけだった。
最初は軽い疲労によるものだと思われていたが、日に日に症状が悪化し、次第に体中を蝕むような痛みが続くようになった。
真雪の苦しむ姿に耐え切れなくなり、これまで2度にわたる手術を行ったが、今までに見たことのない症状の病であると判断され、結局上手くいかなかった。
先生が言ったようにこの国の医療技術では治すことの出来ない病というのは本当のようだ。
真雪を海外に連れていくにしても、俺にはもうそんな余力は無かった。
俺が高校生の頃、俺たちは両親を事故で失っていた。
その後は親戚に引き取られたが、親戚の親父さんとそりが合わず親戚の家を出ることになり、俺たち兄妹は6畳間の古びたアパートを借りて生活をしてきた。
高校を卒業した俺は大学へは行かず直ぐにアルバイトを始め、両親が残してくれた財産と日々のバイト代で真雪を何とか高校に進学させてやることが出来ていた。
しかし真雪が倒れてから2回に渡る手術で両親が残してくれた財産は底を尽きてしまった。
俺の稼ぎだけでは到底、海外での手術なんて出来るものでは無かった。
虚無感が漂う中、暫くベットの横にある椅子に座りながら窓の外を眺めていた。
「…おにぃ…ちゃん?」
ベットの方から声が聞こえ、声の方を向くと真雪がゆっくりと目を開けて俺の方を見ていた。
「真雪!?目ぇ覚ましたのか。体はもう痛くないか?」
「うん、今は平気だよ」
そう言いながら真雪がゆっくりと体を起こす。
「おいおい、無理に体動かすなって」
「大丈夫だよ。それよりお兄ちゃんこそ目の下が赤いけど大丈夫?」
「あぁ、これか?さっき目にゴミが入っちまってよ。そのせいで涙が出ちまっただけだ」
さっきまで泣いていたことを誤魔化すように目元を手で拭う。
「そうなんだ…ねぇお兄ちゃん、学校の皆は元気にしているのかな」
「あぁ、みんな真雪のことを心配してるはずさ。ほらこれ」
俺は机の引き出しから真雪の同級生がお見舞いに持ってきてくれたノートを取り出して真雪に渡す。
「さっき真雪が眠っている間に持ってきてくれたぞ。何かクラスのみんながコメントをたくさん書いてくれてたぞ」
「ほんとだ。みんな、ありがとう…私も早くみんなと一緒に学校で会いたいな…」
ノートに書いてある励ましの言葉を見ながら涙ぐむ真雪の頭を俺はそっと撫でてやった。
「あぁ…きっとすぐに会えるようになるさ。あ、そうだ真雪。喉乾いてないか?朝から何も口にしてなかっただろ。何か買って来てやるよ」
涙を流す真雪の姿につられてまた泣きそうになってしまったが、何とか誤魔化す。
「別にそこに置いてある水で大丈夫だよ」
「遠慮すんなって。そうだお前の大好きなリンゴジュース買って来てやる」
「ふふ、ありがとう。じゃあお言葉に甘えてお願いするね」
目元の涙を拭いながら俺に笑顔を見せる真雪。
その笑顔を直視することがどれ程辛いことだろうか…俺も悲しみを悟られぬように無邪気な表情で親指を立てると病室を後にした。
真雪のために飲み物を買いに外へ出た俺は、二人分の飲み物を買い終えると、真雪の病室に戻る前に気持ちを整理するべく病院の屋上へと足を運んだ。
病院の屋上に着くとフェンス越しに外の景色を眺めながら胸ポケットから煙草を取り出し火をつける。
煙草を吹かしながら自分たちの置かれた状況を考えると世の中の理不尽さに憎悪の念が込み上げてきた。
「くそっ、何で俺たちばかりこんな目に合わなきゃいけねぇんだ。神様ってのは弱いものに味方してくれねぇのかよ」
込み上げる怒りで握りしめた拳をフェンスに叩きつける。
「ほぉ…神が憎いか…」
突然背後から不気味な声が聞こえた。
「誰だ?」
咄嗟に声のした後ろを振り返る。
俺の目に映ったのはこの世の生物とは思えない醜悪な三つ首を持つ犬の姿だった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
目の前に現れた化け物の姿に驚き声をあげる。
「そうか、貴様にはこの俺の姿が見えているのだな人間よ」
「お、お前は…一体何なんだ…!?」
「我が名はケルベロス。貴様たち人間で言うところの悪魔という存在よ」
「悪魔だと…そんなバカげた話を信じられるか!」
「信じるも信じないも貴様の自由だが、俺たち悪魔が見えている貴様に神滅が宿ったことは間違いないのだ」
「神滅?何だそれは」
「貴様ら人間の怒りや憎しみ、負の感情が魔瘴気に干渉することで生まれる力のことだ」
ケルベロスと名乗る悪魔曰く、俺の中に煮えたぎる怒りや憎しみが悪魔を呼び出す力を手に入れる糧になったらしい。
不条理な世の中で生きてきたことが原因か…悪魔という信じがたい光景を目の当たりにしているにも関わらず、現状を段々と受け入れられるほど気持ちに落ち着きを取り戻している自分がいた。
「未だ信じがたい部分もあるが…悪魔様がこんな貧しい人間に何のようだ?」
俺は2本目の煙草に火をつけて一服してからケルベロスに問いかける。
「人間よ、俺と手を組んではみないか?」
「はっ、正気かよ。人間が悪魔と契約するなんて御伽話じゃあるめぇし。大体お前たち悪魔と手を組むメリットって何があんだよ」
「俺との契約を果たした暁にはお前の望みを何でも1つ叶えてやろう」
「何でも望みを叶えるだ?なら俺の妹の病を治すことも出来るってのかよ?」
「残念だが人間に直接干渉することは出来ぬな」
「はっ、ほら見てみたことか。そんな都合のいい話を信じると思うか?」
「そう言うと思ったぞ人間。ならば面白いものを見せてやろう」
ケルベロスが俺に向けて前足を突き出してきた。
その前足の周りを不気味な紫色の瘴気が包み込む。
数秒してケルベロスの前足を包み込んでいた瘴気が少しずつ掃けていく。
「こ、これは」
瘴気が掃けた瞬間、目の前に6本の金塊が積み重なった形で現れた。
「見るところ人間界で言う金というものに困っているのだろ?」
「おいおい、まじかよ」
こんなこと有り得ないと思い、ケルベロスが出した金塊を1つ手に取る。
「重い…本物かよ」
「まぁ金に限らず他の物でも用意できるぞ…さぁ、どうする人間よ」
「…代償は何だ。俺の命か?」
御伽話の入れ智恵だが、悪魔と契約するということは何かしらの代償を払う必要があるのだろうと、
ふと思ったことを口にする。
「貴様の命が代償?クハハハハ、貴様の命だけで足りるとでも思ったか。そうだな、貴様の命は別に必要ない。貴様以外の100人の人間の魂を俺に捧げよ。それが契約の条件だ」
ここまで上手い話を信じていいのだろうか。
人間の魂を捧げるってことは俺が人殺しに手を下すことになってしまう。
他人を殺めてまで自分の願いを…真雪を助けることに意味があるのだろうか。
いや、俺たちを不幸にしたこの世の中が腐っているだけだ。
真雪を助けるにはもう悪魔に縋るしか他に無いのだろう。
真雪を助けるためなら何だってしてやろうじゃねぇか。
「100人の人間の命か…分かった。その契約を結んでやるよ」
「ほぉ、意外と素直に引き受けたな。同じ同胞の魂を悪魔に売り渡すというのに冷酷な奴だな」
「大事なもん守るためなら、俺は悪魔に魂を売ったって構わない。俺たちの不幸を踏み台に幸せを謳歌する奴らは全て俺が潰してやる」
「ククク、やはり貴様には悪魔使いの素質があるようだな。よかろう貴様が俺との契約を果たした暁には貴様の願いは叶えてやる。期待しているぞ人間」
「俺は荒北誠人だ。人間って名前じゃねぇよ」
「ふん、威勢のいい奴だ。ならば荒北よ、お前のその怒りや憎しみを愚かな人間に知らしめるがいい」
ケルベロスは嘲笑いながらそう言い残すと、俺の目の前から姿を暗ました。
ケルベロスが消えた後、右腕に違和感を感じ視線を向けると気色の悪い寄生虫のような物体が腕を覆うように憑りついていた。
その物体から悍ましい負の力が体中に流れ込んでくるのを感じた。
「なるほどね。これが悪魔と契約した印ってやつか」
悪魔に魂を売った以上、もう後には引けない。
俺は俺のやり方で大事なものを守って見せる。
瘴気の中から姿を現したケルベロスは、自身と同じ背丈ほどある剣を担ぎながらヘラクレスとガブリエルの方を見る。
「おいおい、犬公の悪魔が人の姿になりやがったぞ」
「これは私たちと同じ人化の能力…悪魔にも人の姿になれる力があると言うのですか」
先程まで獣の姿をしていた悪魔が人と同じ姿になったことに驚いているガブリエルとヘラクレス。
「貴様ら神も人外の姿をした悪魔が人の姿になるとは思いもしなかっただろう。まぁ、我々悪魔の中でもこの力を使える者は限られているからな」
人の姿になったケルベロスが嘲笑いながら言う。
「この姿を見せた以上、貴様らはここで終わりだ。その魂を残らず喰らってくれる」
ケルベロスが剣を振りかざしながらヘラクレスに迫り来る。
その刀身には牙のように鋭い突起物が数本生えており、まるで獲物に喰らい付く獣の牙そのものを表しているような剣だった。
迫るケルベロスから振り下ろされる剣をヘラクレスが同じく大剣で受け止める。
「俺と接近戦でやり合おうってのか。良い度胸だ」
「ふっ、かかったな愚か者め」
鍔迫り合いの状態になったケルベロスが不敵に笑う。
「灼熱の炎に焼かれるがいい。灼牙!!」
ケルベロスの持つ剣から生える牙から黒い炎を纏う。
黒い炎が拡散し、ヘラクレスの体に襲い掛かる。
「ぐっ、ぬぁあああああ」
間合いを詰められた状態から回避する間もなく黒い炎がヘラクレスを包み込む。
当然その炎の熱が俺にもフィードバックすることは言うまでもなかった。
「熱っちぃ!!おいヘラクレス、早くその炎を消してくれ」
体が燃えているわけではないが焼きつく痛みが俺の体に襲い掛かる。
「くっ、うぉおおおおおお!!」
ヘラクレスが体に闘気を纏い一気に放出すると、その勢いで黒い炎を吹き飛ばした。
「ぜはっ!…っ死ぬかと思った」
焼きつく痛みが治まり、一旦呼吸を整えようとする。
「おいおい、気ぃ抜いてる場合か?」
しかし俺に呼吸を整える間も与えず、荒北が目の前に迫り殴り掛ってきた。
「ちっ、容赦ねぇやろうだな」
ギリギリのところで殴り掛ってきた荒北の拳を掴む。
拳を掴まれた荒北はすぐ様もう片方の拳で殴り掛ってきたが、もう片方の拳も空いている方の手で掴み受け止める。
「勇飛様!」
ガブリエルがこちらに加勢しようと寄って来る。
「ガブリエル、お前はヘラクレスのサポートだ」
荒北との取っ組み合いの状態から向かってくるガブリエルに対して命令する。
「ですが先程のダメージが…」
「大丈夫だ。人間同士の喧嘩は俺に任せな」
「…分かりました。でも無理はなさらないようにしてください」
ガブリエルは心配した表情を見せるが、俺の意志を魔具から感じ取ったのか、ガブリエルも俺の意志に応えるようにヘラクレスの方へ向かっていった。
「ガキの癖に中々やるじゃねぇか」
荒北が取っ組み合う手に力を込めながら言う。
「生憎喧嘩には昔から縁があってね」
その力に押されまいと俺も手に力を込める。
その時だった。
『私も早く元気になって皆に会いたい…』
『大丈夫だ。お前の病気は兄ちゃんが絶対に何とかしてやるから』
…
…
『妹を助けるためにその身を悪魔に売るとはなククク』
『俺は俺のやり方で真雪を助けるだけだ!!』
…
…
『らしくねぇことは言うもんじゃねぇな。だがこれで真雪を助けることができる…』
何かがフラッシュバックするように俺の頭の中に流れ込んできた。
これは…荒北の記憶?一体なぜこんなものが…
今は深く考えている場合ではないが、荒北にも荒北なりの義があって悪魔と契約せざるを得なかったってことか。
「なぁ、お前は何で悪魔なんかと契約したんだ。お前も何か目的があって悪魔と契約せざるを得なかったんだろうが、こんな人を不幸にするような真似をして何になるってんだ」
「はっ、ガキが俺に説教か?テメェには関係ねぇことだろうが!!」
互いに硬直した状態から荒北が右足から蹴りを入れてきた。
「がはっ!!」
左の横腹に蹴りが直撃しそのまま横に吹き飛ばされる。
飛ばされた勢いで壁に激突しそのまま地面に倒れた。
「どうした。喧嘩が得意ってのは口だけか?」
吹き飛ばされて地面に倒れる俺を見下すように荒北が言う。
「はっ、お前こそその程度か?全然効かねぇな」
俺は体に走る痛みを堪え、立ち上がりながら荒北を挑発する。
「生意気な野郎だな。さっさとくたばりやがれ」
荒北が再び殴り掛ってきた。
「そう易々とやられてたまるかよ!」
俺はその拳を受け流すと荒北の腹に一発入れ込む。
「ぐがっ!!」
俺はそのまま荒北を殴り飛ばし、吹き飛ばされた荒北が地面に倒れる。
「これでお相子だぜ。ほらどうした、もう終わりか?」
倒れる荒北に対して挑発し返す。
「…っこのやろう。調子こいてんじゃねぇぞ」
荒北は怒り任せに拳を地面に突きつけながら立ち上がる。
「ケルベロス!!このふざけた奴らをさっさとやっちまいな」
荒北が声を荒げてケルベロスに命令する。
「なんだ荒北、その小僧に押されているようだな」
「うるせぇ、そこの神どもを殺れば結果的にこのガキも始末出来るだろうが」
「ふん、まぁいい。そろそろ終わりにしてやろうか」
ケルベロスの周りに瘴気が溢れ出す。
「この瘴気…まずいな。本気で来やがるつもりだ」
ケルベロスを見ながらヘラクレスも大剣を構え警戒する。
「ヘラクレス!」
ヘラクレスの下にガブリエルが合流する。
「警戒した方が良さそうだぜガブリエル」
「えぇ、あの瘴気の量を見れば分かります。私たちも神魔の解放レベルを上げる必要がありそうですね」
そう言いながらガブリエルは何かを詠唱すると光の結界を展開し、その結界の中にヘラクレスとケルベロス共に閉じ込めた。
「ほぉ、小賢しい真似をする。この中で一騎打ちという訳か」
「俺たちが本気でぶつかったらこの部屋が持たんだろ。それにこの結界の中なら手加減の必要もねぇからな」
「この結界に囚われたあなたに勝ち目はありません。懺悔の刻です」
「ふん、戯言は俺を倒してから言うことだな」
ケルベロスが剣を振りかざしヘラクレスに襲い掛かる。
「雷牙!!」
先程の炎とは別に今度は雷を纏った剣がヘラクレスに襲い掛かる。
だがヘラクレスはその雷を纏った剣を闘気を纏った大剣で受け止める。
「同じような手は効かねぇぜ」
「なにっ、雷が通らぬだと」
「わりぃが俺の闘気は電気なんか簡単に通らないぜ」
ヘラクレスが受け止めた剣をはじき返す。
「くっ、やはりそう簡単には殺れぬか。ならば俺の本気を見せてやろう」
ケルベロスはヘラクレスとの間合いを取ると、剣に瘴気を収束させた。
「我が瘴気と共に喰らいつくしてくれる。牙瘴狡刃!!」
振りかぶった剣を勢いよく振り下ろしたのと同時に瘴気の斬撃がヘラクレスに襲い掛かる。
「そろそろ本気出して来ると思ったぜ。闘神の咆牙!!」
ヘラクレスも大剣に纏わせた闘気をケルベロスに向けて放出する。
闘気と瘴気の斬撃が衝突し相殺される。
「相殺だと?馬鹿な!」
全霊を込めた一撃を容易くいなされたことに動揺するケルベロス。
「お前も中々の力を持った悪魔だが、残念ながら俺たちにはまだまだ及ばねぇってことだ」
動揺するケルベロスに指を突き付けながらヘラクレスが得意げに言う。
「ほざけ!!それで勝ったつもりか?まだ終わりでは…なっ!?」
挑発されたケルベロスがヘラクレスに再び襲い掛かろうとした瞬間、ケルベロスの足元に展開された魔法陣から無数の光の鎖が現れ、ケルベロスの体を拘束した。
「な、なんだこれは?」
「守護の光鎖。これでもう逃げられませんよ」
「こんな鎖など引きちぎってくれるわ」
ケルベロスが暴れ鎖を引きちぎろうとする。
「この鎖は巨人族のキュプロプスでさえ一人では壊すことは出来ません。人化したあなたの体では猶更難しいでしょうね。さぁヘラクレス、終わりにしましょう!!」
ガブリエルの合図と共に闘気を纏った大剣を振りかぶるヘラクレス。
「今度は逃げられなかったみてぇだな。これで終わりだぜ」
「くっ、この俺が…ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」
ケルベロスが怒りの声をあげる。
「ケルベロス!!テメェ、こんな奴らに負けるのか?俺との約束は…」
荒北が結界の外からケルベロスに向かって叫ぶ。
「残念だが荒北、俺達の勝ちだ。いけ、ヘラクレス!!」
「あぁ、勇飛。手こずらせてしまったがこれで終わらせる。闘神の剣!!」
ヘラクレスの闘神の剣がケルベロスの体を斬り裂いた。
人間が何故悪魔と契約することになったのか。。。
という回想を書いていたら長くなりすぎました。。。
あと複数のキャラクターがいる中での戦闘描写が難しい気がします。