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虹色の実

作者: toharu

とある森にはアルテミス族と呼ばれる種族が住んでいた。

コノハ森の木にはいくつか小さい木の家が立ててあり、数人のアルテミス族が緑色の毛糸の様な苔の上を歩いている。

アルテミス族は茶色の服に緑色のローブを着ていて緑色に光るエメラルドのネックレスを首にかけている。

肌は少し白く、髪は灰色のような茶色で目は緑だ。木の枝の様な角が頭に生え、体に木の芽が生えたり腕や足が完全に木になっている者も中にはいた。

アルテミス族は基本穏やかな性格で、木から生まれ半生を人間、もう半生を木で過ごし、背中に背負う弓は木で出来た弓の中では最上級の物らしい。文学が進み書物が大量にあるともいう。

森の人気者のキロもそんなアルテミス族の一員だった

キロはとても優しくたくさんの人から好かれていた。

ある日、キロはとある行商人にあった。その行商人はとても空腹の様だった。もう二日も何も食べていないという。

キロは狩りで取ってきた肉の半分を行商人に分けてやった。

行商人は大喜びし、代わりにこれをやると言って、茶色の豆のような形をした種を渡して帰って行った。

キロは早速、家の庭に種を埋めた。そして水をやり、もう一度狩りに出かけた。

次の日、もう種から芽が出ていた。子葉が二枚生えていてクローバーの様な柄がある。キロはあの行商人を探してみたが、もうどこにもいなかった。

そしてまた次の日、茎は五センチほど伸び、葉は四枚も新しく生えている。どうやら木ではないようだ。

三日目、謎の種は驚くべき成長を遂げた。

茎は一メートルにまで高くなり、葉は数えきれないほどついている。葉は相変わらず丸い形でクローバーの様だ。茎の太さも一センチはある。

 さすがにこの変化にはキロも驚いた。これは一体何の種だろうか。

 四日目、キロが様子を見に来るとそこには茶色でしわだらけのつぼみが咲いていた。

キロはどんな美しい花が咲くだろうと楽しみにしていたが、まさかこんな花だったとは。

キロはがっかりした。すぐに掘り起こしてやろうとも考えたが、せっかくだから最後まで育てることにした。

 五日目、キロは森の木になりかけていてもうろくに歩けない者の荷物を持っていた。荷物を届けて家に帰り、庭を確認すると、花はいつの間にか透き通った虹色のガラスの様な色になって咲いていた。キロはこれを見て大喜びした。いつかこんな花を庭に植えたいと夢見ていたのだ。

六日目、二個目の虹色の花が咲いた。もしかしたら受粉して、実が出来るかもしれない。

七日目、ついに虹色の実が出来た。キロは欲張り、もしかしたら種を落とすかもしれないと思い、そのままにしておいた。

八日目、悲しい事だ。なんと虹色の花は枯れてしまった。茎の一番下から上まで、すべて枯れきってしまった。

次の日、キロは森の木に付いていたキノコを取ってあげた。すると、木から茶色の豆の様な種が落ちてきた。

虹色の実は植えた人の心が成長を左右するのかもしれない。


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