その1
平成最後ということで何となく久しぶりに短い創作を書いていて本来なら予定では短い話になることからすべて完成させてから掲載する予定が、急に出掛ける用事が出掛けてしまったのでとりあえず切りがいい最初の部分だけ掲載する。
今回はオリジナルであると同時にパロディでもあるので、SNSのほかにブログと小説家になろう、そしてもともとはイラスト閲覧がメインだけれども、同時にアニメの二次創作用として開始したpixiv版(ただし未だにアニメだとかゲームだとかの二次創作はなく一般的な作品だけだけれども・苦笑)の4つと同時掲載と、平成最後に書くものは色々とはじめてである。
あとは帰宅する時間によって平成内で最後までかけるかそれとも年号をまたぐかの問題である…
わたしはこれまで幾度となく国際探偵機構の日本特別部隊の活躍を趣味をかねて、そう昔ながらの語り役として手記という形で残していた。ふとした偶然と国際探偵機構の広報ということもあって、幸いにもあくまでも「わたし」という主観ながらも公的な資料として発表させてもらう機会を得てきた。
わたしはただ、「わたし」という目を通して彼らの出会う事件を記録していたに過ぎないのだけれども、世の中の人は探偵によって謎が暴かれるということが本当に好きなようで、自分でも驚くほどの反響があり今ではただの女子高生に過ぎないわたしなのに、世間一般では…ワトソン・ガールだとかレディ・ワトソン(ちなみにこれまで度々突っ込まれていたけれど、わたしは別にワトソンでもワトスン表記でも気にならない人間でその時の気分で使っていたけれど今回は最初に発表したときのワトソン表記で統一する)だとか呼ばれて困惑してしまうけれど、さすがに海外の方から手紙が届いたときにはどうしていいのかわからなかった。
これまでわたしは単に語り手として日本特別部隊の面々を中心に描いて「わたし」という存在はそれこそリュウ・アーチャーのように透明なものに徹していたつもりだったから、妙な印象を…それこそかわいらしい女の子を連想してしまっているのではないかと思うと申し訳ない気持ちになってしまう。
そして恐らく…今回の手記がわたし、綾川梓にとって最後の手記となるだろう。
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いつの時代にも悪というものは存在するものだけれど、ここ数年世の中を騒がせ、日本特別部隊結成のきっかけともなったスパイダーほど大きな組織はなかっただろう。
そもそもスパイダーという名前もいつの間にかつけられたもので、気がつけば存在して本当に実在するものなのか当初の頃は疑問視されていた。それでも確実に事件は起こり、ついには最新科学と結び付いてしまった。つまり最初は人間による犯罪だったのが、怪人となり怪物となり機械と多種多様になってしまったのである。そして最初は人間自身を改造していたのがついには新しい生命を作り出し、そして暴走をしてしまうほどの巨大さを持つに至ったのである。
ここに至ってその組織に対する様々な捜査が行われたけれど、一般的に公表されている情報…わたしは特別に一部だけ目を通す機会を得たけれどその結果は大部分が謎というものだった。
誰が、何の目的ということすら不明だった。それこそ構成や人数すらも不明でこれまで逮捕されてきたなかには本当にメンバーだったのか疑問視されている人物もいる始末だった。
だからこそ一部の探偵ではスパイダーという組織は存在せず、ただ勝手に人々が作り上げてしまった虚構の存在なのではないかと推論する者もいて、そしてなおかつそれを否定する決定的なものも未だに発見されていなかった。事件が起こるのはその虚構が人々に心理的な影響を与えて、勝手にそのなかでありもしない存在を作り上げて事件を起こしているのではないかというのだ。
わたしには難しい話はわからないので、この程度しか理解していないしそれ以上は触れるつもりはないけれどつまりそれほど謎の組織ということだった。
ただ一般的には中心となる人物がいて、まるで蜘蛛の巣のように糸を伸ばして…それこそ本人すらも知らない黒幕として世界を脅かしているのではないかと言われているのはすでに承知のことだと思う。そしてそこから仮定の黒幕をスパイダーマン(蜘蛛男)と言われているのも今さら説明する必要もないと思う。ただそのもしもいたらとしての黒幕が男とは限らないとはよく言われるけれど、前々からわたしは仮にいたとして性別というものがあるのかしら?と思っていた。あまりに多種多様すぎて逆に中性的にわたしは感じてしまったのである。とはいえこれは単に直感に過ぎずふとしたときに口に出したとき笑われてしまったのだけれども。
ただ探偵といっても様々なタイプがいて事実の積み重ねで推理を行い直感というものを嫌うものもいれば、直感というものはそれまで蓄積された経験によって無意識に導き出されたものてそれだけに固執するのは危険だけれど決して軽視すべきではない、なぜそう思ったのかが大切と考える探偵もいて本当に「推理」というものだけでもこんなにも方法があるのだと実感される。
そしてわたしがこうして手記を発表するきっかけとなり、何よりも様々な事件に関わることとなった隣に住む同級生にして日本特別部隊の正式メンバー五人のなかで最年少にして少女探偵の中島春子も直感を軽視しない探偵だった。