10 戦争 急な宣戦布告
あれから数日、魔石を換金、魔法を貯めるのサイクルを繰り返していたら、ギルドで驚くべき情報を聞いた。
「えっ!?戦争準備って聞こえたけど…マジ?」
「ああ。あの…国の名前を言うだけでも忌避される例の国がとうとう勇者を使い大規模侵略を仕掛けてくるらしい…おっと、済まない、新しい情報のオーラを感じた!ではさらばだ!」
「おっ、おう、ありがとう、取り敢えずできることはしておくよ」
教えてくれたのは、情報は正義と言い張る情報仮面という情報だけは信頼できるギルドの有名人だ。
でもおかしいな?勇者…クラスメイトはそんな事しないやつらだと思ってたんだが…
「諸君!緊急速報だ!あの国、勇者を生け贄の呪術という人の命を消費して発動するやつを使って洗脳したらしい!」
せっ、洗脳!?ミネルバ、生け贄の呪術ってなんだ?
《生け贄の呪術:正式名称 魂の呪術 人の魂を使い様々な事ができる。なお、人の質は関係なく、量で威力が変わります。恐らく、勇者を洗脳する場合、一万人の魂が必要になります》
まじかよ…解呪って可能か?
《可能ですが、同じく魂の呪術を使う必要がある上、植物状態になります》
うっ…じゃあ殺す他ないのか?大事な人とかはいないが知り合いを…
《それを推奨します。この世界の植物状態の人間の平均寿命は3日です。また、マスターが手を出さなくても敗戦した場合、戦争の主要人物ということもあり、間違いなく処刑されます。それも残酷に》
そうか…わかった。俺も戦争に参加しよう。敵討ちと言えるかどうかは分からないがせめてあの国を滅ぼし、クラスメイトは安らかに眠れるように。
といっても知り合いを俺が直接手にかけるのは憚られる。
そこで、クラスメイトの相手は国軍や他人に任せ、他の雑兵を鎧袖一触にしてやろう。 いくらあいつらが強くても物量には勝てないだろうから。
それに向けて、新たに魔法を作ろう。今ある魔法は遠距離攻撃に特化してるが近接戦闘向きではない。という訳で、近接戦闘で使える魔法。イメージは既に湧いている。
崩壊断爪
手に魔法で作られた鋭利な長い爪が形成され、その爪で切断された断面から半径5㎝の範囲が分子・原子単位で分解される。
新しい魔法を創ったはいいがまず出番はないだろう。
例の指輪には数万発レベルでアイアンバレットが貯まっている上、その補充に使っているとは言え、まだ北海道を焦土に出来るくらいの魔力は残ってる。
この上にこれから回復するMPを考えるとまず大丈夫だ。
と言った所で、また情報仮面がやって来た。
「諸君、奴等が宣戦布告してきた。名目は『その土地は我々のものです返してください』だそうだ。現在、ロックゴーレム七万に歩兵五師団で五万、騎兵二師団で二万、魔法兵一師団で一万、補給兵千人の史上まれに見る大軍が国境侵犯している!」
「聞いたな?皆のもの、緊急事態宣言を発令、本来、我々ギルドは国家間の戦争には干渉しないが、今回の相手は国際法を一切合切無視する、侵略国家である!よって我々ギルドは、奴等を人間亜種という魔物と定義し、強制依頼で奴等を討伐する!上位ランクの冒険者及び自信のあるものは各員参戦し、その他は後方支援に徹せよ!」
「了解!」
「「「おう!」」」
「「はい!」」