魔王、妥協させる。
魔法を使えるようになったと思っていたが、いざ使おうとすると使えなかった。それを踏まえて、また特訓をすることになる。
< 暗黒魔法 孤独牢 >
僕は再び、この真っ暗な空間に戻ってきた。
「この孤独牢の本当の使い方を教えてやろう。ここではあくまで、我らは精神体であり、我の力により、時間を圧縮すれば、数時間で何ヵ月分もの練習を行うことができるのだ。」
「ほんとうですか!?それなら、今日中に魔法反応をマスターすることもできるんですね!」
ルシ様からの言葉に、興奮を隠しきれなくなり、息遣いも荒くなっている。
「あぁ、しかし、その間、精神への疲労は蓄積されるからな。弘太の精神力次第では限界を迎える場合もあるから、そこは気合だぞ。」
ルシ様からのそのアドバイスに改めて、気合を入れ直した。
数か月後
< 炎魔法 操炎竜 >
「できた!やっとマスターできました!!」
「まだマスターしたというにはほど遠いがな、よくやったな。」
「やった・・・。」
やり切った気持ちで、ずっと続けていた集中が切れ、僕は意識を手放した。
「そろそろ限界かな。」
魔王は、倒れる弘太を支えると、そのまま魔法を解除した。
< 暗黒魔法 孤独牢 解 >
翌日、自分の体を重たく感じながら、教室に入ると、心配そうな顔で瞬が話しかけてきた。
「おはよう、弘太!なんか疲れてるみたいだけど、眠れなかったの?」
「おはよう瞬、ちゃんと眠れたよ!」
「それならいいけどさ・・・。あんまり無理はするなよ!」
「ありがとう、今日の魔法実習も頑張ろう!」
(あんまり、心配かけるわけにもいかないな。)
昨日と同じように、先生が実演するようで、僕たちは先生の魔法を見るように言われた。
「それでは今日の、魔法実習では、青魔法を行う。青の変化で一般的なのはこれだな。」
< 青魔法 水槍 >
先生の魔法により、あたりに水の槍が刺さり、あたりのものを濡らした。
< 青魔法変化式 氷化 >
その瞬間、水は当然のこと、水に触れていたものまでも凍らせていた。
「青魔法はこのように、魔法で範囲を広げ、変化式で真実の攻撃をする。というのがやりやすい属性になっている。さらに、変化式を使う前提で行う場合、魔法の威力を弱めて、スピード重視で行き確実に当てるように知るなど、様々な応用方法もあるから、覚えておくように。」
「それでは、昨日みたいにみんなそれぞれ、青魔法を使ってくれ。」
< 青魔法 水球 >
< 青魔法 水刃 >
「それじゃあ、次は、伊達剛紀、青魔法だ。」
< 青魔法 蒼拳 >
「青魔法も装備できるのか。もしかして、他の属性も?」
先生のその言葉に、一瞬、瞬のほうを見てから勝ち誇った顔で答えた。
「はい、赤青黄緑茶は、使うことができます。」
「5属性もか!すごいな、変化式を覚えれば、それらのもさらにバリエーションが増えるからな、がんばれよ。」
「はい、ありがとうございます。」
「じゃあ次は、犬神瞬、やってくれ。」
「いきますよ。」
< 青魔法 氷狐 >
瞬の前には、いまにも溶けそうな儚さと、氷の力強さを持った、中型の狐が現れた。
< 青魔法変化式 氷狐 魔装>」
瞬の目の前にいた氷の狐は瞬の体にすり寄り、装備された。
「これが僕の青魔法です。」
そういう、瞬の体は、狐を装備したことにより、全身から魔力があふれていた。
「流石だな。まさか、変化式で魔装までできるとは・・・。すでに国内でも相当なレベルにいると思うぞ。」
「ありがとうございます。昨日の伊達君の魔法を纏うのをイメージして、やりました。」
それを聞くと、伊達は悔しそうな顔をして瞬を睨んでいた。
「その向上心は素晴らしいな、それじゃ、最後に織田弘太、できるか?」
昨日にこともあり、先生は心配そうな顔でこちらを見ていた。
(どうしよう、炎系統は使えるようになったけど、青に属する水や氷は全然使えないし・・・)
<できないなら、できないといえばいいだろう、余計な見栄は、成功にはつながらないぞ。>
(そうですよね・・・今日の夜も、修行をつけてくれますか?)
<もちろんだ、むしろ、弘太の精神が持つ限りはいくらでも鍛錬に付き合ってやる。>
「・・・。すみません、使えません。」
それを聞くと、先生はどうしようかと少し考えてから、提案をした。
「わかった。その代わり、放課後に職員室に来てくれ。魔法の使い方について、根本から教えてやるから。」
<我の使う魔法と、現在の魔法の違いを知るためにはちょうどいい機会だろう。>
魔王のその言葉に、早く鍛錬したい気持ちを抑え、先生の話を聞くことに決めた。
「わかりました。ありがとうございます、よろしくお願いします。」




