朝
朝起きて、ご飯を食べていると、冬華が起きてきた。
「おはよう、弘くん!今日はお互いに頑張ろうね!」
冬華が弘太に話しかける。
丁度、ご飯を口に運んだところだった弘太は味噌汁でご飯を流し込んだ。
「おはよう、冬姉。今日は負けないからね。」
弘太は闘志あふれる表情で冬華に言った。
「私たちも最後だしね!負けるわけにはいかないわよ。」
そう言いながら、弘太に微笑みかける。
「最後だからこそ、僕らが勝つんだよ!」
弘太はそういうと、そのままご飯を食べて、部屋へと帰って行った。
(冬姉だけじゃない、瞬の兄にも、義経先輩にも勝つんだ!)
弘太は、立ち去るときに一瞬だけ冬華の方を見た。
(弘くんもどんどん成長しているのね。)
そんな冬華は、弟のここ最近の成長を感じて嬉しく思っていた。
弘太が学校に向かっていると、いろんな生徒から応援の言葉をかけられた。
「おーい!」
そんな中、聞き覚えのある声がこちらに向かってきた。
「決勝進出おめでとうございます!昨日言いたかったんですけど言えなくて・・・。」
そこには、息を切らした風馬の姿があった。
「おはよう、風馬。」
弘太は風馬に微笑みかける。
「ずっと、応援ありがとうな。まぁ、今日勝ってそれも終わりだけどね。」
弘太は無邪気に笑いながら言った。
「弘太さん、緊張とかないんですか?」
風馬は驚いたように弘太に問いかけた。
「あぁ、自分でも不思議なくらい体や心のコンディションがいいんだ。これも、風馬たちの応援のおかげかもね。」
「そ、そんな僕たちの応援なんて!でも、そう言ってもらえて嬉しいです!絶対に勝ってくださいよ!」
風馬は、弘太の言葉に照れながら、弘太がとてもいい状態であるということを知って喜んだ。
二人で話しこんでいるうちに気が付いたら学校についていた。
「それじゃあ、今日も精いっぱい応援してるんで、頑張ってくださいね!」
風馬は精いっぱいの大声で叫んだ。
「ありがとう!」
それに対し、弘太は左手をつきあげてそれに答えた。
弘太が控室に入ると、そこにはすでに2人の姿があった。
「おはよう、弘太君!今日は頑張ろうね!」
康太が元気いっぱいに話しかけてきた。
「あぁ、おはよう。今回は緊張してないんだな。」
弘太は初日の康太の緊張していた姿を思い出し尋ねた。
「牛神先輩と試合をしてからなんだか体が軽いんだ。そのおかげで気持ちにも余裕ができて、早く試合がしたいくらいだよ!」
康太が笑顔で答える。
「なんだか、気持ち悪いわよね。悪いことじゃないんだろうけど。」
春が、弘太の様子を見ながらがっかりした表情を浮かべていた。
「まぁ、なんでもいいさ。試合が終われば僕らが学校ナンバー1だ!」
弘太の言葉に、やたら元気な康太も、がっかりした顔をしていた春もうなずいた。
「それじゃあ、行くか!」
そう言いながら、3人は観衆が待つスタジアムへと向かった。




