伝説に挑むもの
レジェンズがサンクチュアリと戦っているころ、弘太たちの控室に猿神が来ていた。
「何の用なんだ、試合前で集中しているんだ。」
弘太はなぜか控室に来た猿神に対して強く当たった。
「そんなこと言わないでよ。猿神も別に遊びに来たわけじゃないんだろうし・・。ねぇ、猿神?」
荒れている弘太を康太がなだめる。
「あぁ、今日は、今回の相手の伝説打破についての話をしにきたんだ。」
「なんだって!」
猿神の言葉に弘太は反応した。
「あぁ、そうだ。調べてきてやったんだから少しは感謝しろよ。」
猿神はドヤ顔で弘太の方を見た。
「すまなかった。で、どんな話なんだ?」
「前回の大会のことだ。1回戦で、武光先輩たち第二の矢と戦ったらしいんだが、今回の1回戦の時のように、夢先輩が魔法を使わずに瞬殺したらしい。そして、2回戦でレジェンズの3人と当たったらしい。」
猿神が、話すのを、3人は真剣なまなざしで聞いている。
「そして、鼠神先輩と、牛神先輩で犬神先輩を抑えて、その間に夢先輩が織田先輩と義経先輩に襲い掛かったんだ。義経先輩は、対人戦が苦手な織田先輩を守るように夢先輩と戦った。その中で、今回のように催眠をかけたが、なぜか夢先輩には効かなくて、去年の大会でただ一人、義経先輩に攻撃を当てたらしい。」
猿神の言葉に弘太は犬神瞬のことを思い出した。
「なんで、催眠が効かなかったんだ?」
弘太が猿神に問いかける。
「おいらにも詳しいことは分からなかったが、夢先輩は目が悪くてほとんど見えないらしいから、そのせいかもしれないな。」
猿神の言葉に3人は動揺する。
「待って!目が見えないのにあんな動きをしていたっていうの?」
春が思わず叫ぶ。弘太と康太も同じことを思ったのか、一緒に驚いていた。
「知らなかったのか?まあいいが・・・。」
「それで、その後戦いに負けて、元々のチーム名がホワイトと言うものだったんだが、今年は伝説を倒すという意味で伝説打破と言う名前にしたみたいだ。」
弘太は、昨日の白の姿を思い出す。
(あれが、本気で伝説を倒そうとしている人の姿か・・・。)
そんな話をしていると、観客席から大歓声が聞こえてきた。
「そろそろ行こう。」
康太が弘太と春に言った。
「猿神、ありがとう。最初はあんなこと言ってごめんな。」
「別にいいさ。その代わり、勝ってこなかったら許さないからな。」
そう言いながら、猿神は3人を送り出した。




