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最強魔王の背後霊  作者: のぞぞ
本戦編
54/63

魔王と猫


(凜猫、ルシ様、すこしいいですか?)


弘太は家に帰り、部屋に戻ると、凜猫と魔王に話しかけた。


(どうしたにゃ?)

凜猫が待ってましたと言わんばかりに返事をした。


「僕はどうすればいい。もっと強くなりたい。今のままじゃ足りないんだ。」



(我を頼るのか。)


魔王が弘太を威圧するように言い放った。


(お願いします!どうしても力が必要なんです!)


弘太は魔王に訴えを続ける。


それに対し魔王は不満そうな表情をしていた。


(力と言うのは、そんな簡単なものじゃないとまだ分かっていないのか・・・。いや、分かっていたのに見失っているといったところか。)


(今の弘太に力を与えても毒にしかなるまい。力におぼれることほど愚かなことはないからな。)



魔王の言葉に、弘太は絶望していた。


(それなら、わしからお主に課題を出してやろうかにゃ。戦いたい相手と当たるのは明後日なのだろう?)



凜猫の言葉を聞き、弘太は顔を引き締めた。


(課題とは何だ?)


(次の相手、試合を見ていた感じからして、一つの魔法を使っていた。その魔法が何なのか明日の試合の中で見つけてみるんだにゃ。)



弘太は、白と響の戦いを思い出した。


白が3人に迫った時か、それとも、牛神が地面をたたいた時か、どちらも確信を持つことはできなかった。


(とりあえず、もう寝るんだにゃ。明日負けたら意味もにゃいんだろう?)


凜猫のその言葉に、張り詰めていたものが少し緩んだように、弘太は眠りについた。




(凜猫よ。おまえは優しいな。)


(何を言ってるんですか。与えてはいけないときには与えない。その優しさこそが、ルシフェルド様のいいところですよ。)



(弘太を見ていると昔の仲間たちを思い出すのだ。我のもとに才能にあふれたものは来なかった。みな、才能がないことに嘆き、我と出会い、自ら成長していく。しかし、その中で、力におぼれるものも少なくなかったからな。)



(そうですね。あの頃は色々ありましたからね。それでも、部下は全員ルシフェルド様のことが大好きでしたよ。これだけは自信を持って言えます。)



(あぁ、そうか。それならよかった。)

そういう魔王の目元には涙がつたっていた。



(信じましょう。主を。もし踏み外してもルシ様なら大丈夫ですよ。)




(あぁ、そうだな。)



そして、準決勝の朝を迎えた。


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