崩壊
「行くぞ、弘太!」
瞬が弘太の方に突撃していく。
その瞬間、大地が揺れた。
スタジアムは真っ二つに分かれ瞬は挟まれ、身動きがとれなくなった。
「くそ!なんなんだ!今から弘太と戦うんだ!」
力ずくで出ようとするが出られない。
魔法を使おうとするが発動しない。
気が付くと、周りの人間がドンドンいなくなっていた。
目の前の弘太だけがこちらを見ていて、その他の人間は誰もいなかった。
康太や春、伊達や秋までも・・・。
「弘太!助けてくれ!」
瞬の訴えに弘太は無言でただただ瞬の様子を見ていた。
「なんなんだ!なんなんだよこれは!」
瞬はただただ叫んだ。
しかし、その声は誰にも届かない。
やがて、弘太も立ち去り、犬神瞬は一人きりになった。
「なんなんだこれは・・・。」
瞬は、数日間の間、孤独と絶望の中で戦っていたが、やがて、抗うのをやめた。
(これはいったい何なんだ・・・。)
そのまま、犬神瞬は心が折れた。
「これでおわりだな。」
そういう、義経の目の前には倒れ込んだ犬神の姿があった。
「こっちも終わったわよ。」
その声の先には、冬華がいた。
その目の前にある、氷の檻に伊達と七條秋奈は捕まっていた。
うずくまっている、犬神瞬の姿を戒は見ていた。
(ここからどうなるかは、おまえ次第だ。)
時は遡り、伊達が犬神の攻撃を防いでいたころ・・・
「ごめんね。二人に経君の邪魔はさせられないの。」
< 青魔法 凍土 >
冬華が使った魔法により、スタジアムがスケートリンクのように氷漬けになった。
「こんな魔法、関係ないわ!」
< 赤魔法 灼熱鞭 >
秋の真っ赤に燃え盛る鞭が冬華を襲う。
ように思われたが、秋の魔法は出現した瞬間に氷漬けにされた。
そのまま、秋自身も氷漬けにされ、動けなくなった。
伊達の方も苦戦していた。
狐たちを触手でとらえた伊達だったが、狐は捕まった瞬間に雷へと変わり伊達を襲った。
「くそ!負けてられるか!」
伊達は意地になり帯電した状態で戒に襲い掛かる。
「おまえじゃ、あいつの主人にはなれないな。」
戒はそれだけ言うと魔力を練った。
その瞬間、伊達の体から雷の狐が2匹現れ、それと同時に伊達の意識も刈り取られた。
そして、時間がたち、犬神瞬は目覚めた。
その顔には生気が宿っておらず、魂が抜けたような表情をしていた。
犬神はあたりを見渡した。
そして、義経の顔を見ると、その魂の抜けた表情から一転して、鬼のような形相となった。
「おまえか!おまえがやったのか!」
瞬は怒り狂っていた。
天国から地獄へ突き落とした男に対して。
そして、簡単にそれを許してしまった自分に対して。
「義経!おまえは俺が絶対倒す!」
そういう瞬の魔力は今まで見たことがないほどに高まっていた。




