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最強魔王の背後霊  作者: のぞぞ
勇者と伝説の島
37/63

勇者の島、別れ


島に来て1か月、弘太は様々な遊びという名の修業を行っていた。


「健見っけ!」


「弘太、本当に探すの上手くなったな!」


「そうですね!弘太さん最初は木にぶつかったりしてたのに。」

そう言うと、健と陸は笑っていた。


「もう!あんまりからかったらダメだよ!ね!弘太さん!」

愛が二人を怒り、弘太に話を振った。


「あぁ、3人と遊んでるの、本当に楽しいよ!」

弘太が笑顔で3人に向かって言うと、3人とも照れたような笑顔を見せた。


「それなら、いっそのことこの島に住んでしまえばいいんじゃないですか?」

愛が少し頬を赤く染めながら、弘太へと言った。


「それも楽しそうだけど、僕には僕のやらないといけないことがあるからさ。」


「もうそろそろ、一か月になるから明日にはこの島を離れようと考えていたんだ。」


弘太のその言葉に3人は悲しそうな顔をした。

「大丈夫!また休みができたら遊びに来るからさ!」


(罪な男じゃにゃ)

凜猫が語り掛けてくる。ここのところにゃーにゃー鳴きすぎて口調が変わっているところが少し気になるが・・・。



「絶対ですよ!」

3人は嬉しそうにそう言った。





宿に帰ると、3人と女将さん、健のお父さんが来た。


「弘太も明日帰るんだろう?お別れくらい言わせてくれ!」

健のお父さんは豪快に笑いながらいった。




その夜はみんなで大盛り上がりだった。





そして、わいわい騒ぎも終わり、部屋に戻り眠ろうとしていると、部屋のドアが開いた。


「弘太さん、起きていますか?」


愛の言葉に、眠ろうとしていた弘太は上半身を起こした。


「あぁ、起きてるよ。」


弘太の言葉に、愛は頬を赤らめながらしゃべり始めた。


「弘太さん、明日にはもういなくなるんですよね?」


「あぁ、そうだな。」


「また、この島には来てくれるんですよね?」


「あぁ、いろんな思いでもできたし、おまえらにも会いに来ないといけないからな。」

そう言いながら、弘太は微笑んだ。


そして、弘太のその笑顔を見て、愛は下を向いてしまった。


「わたし、弘太さんが好きです。」





「え?」

愛のいきなりの言葉に弘太は困惑する。





「だから、弘太さんのことが好きです。大好きです。元々、かっこいい人だと思っていました。仮面の人にやられるとき、弘太さんともう話せなくなることが一番怖かったです。そして、助けられた時、この人のそばにいたいと強く思いました。だから!」


愛のことだが強くなった。彼女の目には涙が流れていた。

弘太は、女性から気持ちを伝えられるという経験はなく、正直困惑していた。




そして、決意したように口を開いた。


「僕は、正直言うと人を好きになるというのが分からない。

でも、これだけは分かるんだ。



好きになった女性も、好きと言ってくれた女性も守れなければダメだって。

今回の戦いで僕は愛を守れなかった。

だから、僕はもっと強くなる。人々を守れるように。


もしその時まで、僕のことを好きでいてこれたら、その言葉をもう一度君の口から聞きたい。」



弘太は無意識に泣いていた。今回、3人を守れなかったこと、サクラギの時も康太がやられてしまったこと、後悔してもしきれない感情が頭の中で回っていた。



愛は、泣くのを止めて真っすぐと弘太を見ていた。


「分かりました。なら、私はそれまでに素敵な女性になってますよ?弘太さんから告白しちゃうくらいにね!」


そう言い残し、愛は去っていった。



結局、弘太は一睡もできなかった。





翌朝、愛が起こしに来た。どうやら、船の時間らしい。

彼女の目はとても腫れていたが、その吹っ切れた顔が弘太にはどこか魅力的に見えた。







本日も2話投稿です!

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