勇者、研究される。
弘太は子供と一緒に山に来た。
「弘太!鬼ごっこしよう!最初は弘太の鬼な!」
<<<< 無色魔法 電光石火 >>>>
そう言うと4人は弘太の返事を聞かず、すごいスピードで走り去っていった。
(今のは、魔法!?)
<どうやら、弘太の使っている魔法と同じ系統のようだな。魔力が足に集中しておる。それもだいぶスムーズにだ。熟練度で言ったら弘太よりだいぶ上だな。>
魔王は嬉しそうに笑いながら、そう言った。
(なんですって!こんな子供たちがですか!?)
<あぁ、そうだ。流石、勇者の伝説が残る島だな。弘太の魔法を強化するヒントが何かあるかもな。>
魔王から、子供たちよりも劣っているといわれて弘太は燃えていた。
(僕も魔法を使います!)
< 黄魔法 雷装 >
弘太はそのまま、4人を探す。
「くそ!どこに行った!」
「弘太さんこっちですよ!」
声のするほうを見ると、木の上には魔法を纏った陸の姿があった。
弘太は、陸の声を聞くと、最高速度で陸のほうに向かうが避けられてしまう。
そのまま、足だけでなく、柔軟に移動をし、両腕も使って木を登ったりしながら縦横無尽に逃げていき、全然追いつけなかった。
結局、途中で魔力も切れて、4人とも捕まえることができずに夕暮れを迎え、4人は家に帰ることになった。
「弘太はまだまだだな!」
健は勝ち誇った顔で弘太に言ってきた。
「でも、弘太さんの魔法はバチバチしてかっこよかったです!」
「・・・。かっこよかった・・・。」
陸たち兄弟がすかさずフォローをする。
「明日こそ、リベンジするから!」
弘太は悔しがりながら4人に言った。
「それなら、晩御飯の時にでもコツを教えてあげますよ!」
愛が、笑顔で語りかけてきた。
「あぁ、お願いしようかな。」
弘太のその言葉に、4人は嬉しそうに笑った。
宿に帰ると、背の高い男の人がこちらに来た。
「君が弘太くんだね!僕はこの宿の主人で、この島では博士って呼ばれているから、君もそう呼んでくれ!」
「はい!博士さんって、勇者について詳しいからそう呼ばれてるんですか?」
そういうと、博士は笑った。
「僕はもともとこの宿の客だったんだけど、彼女とこの島の魅力に引き込まれて住んでいるんだ。この島には勇者についての研究の一環で来たからみんなからは博士って呼ばれているんだ。」
そういうと、博士は座り直した。
「勇者について知りたいんだってね。それじゃあ、僕が15年間の研究で知ったことや考察でいいかな?」
「はい!十分です!お願いします。」




