勇者、伝説になる。
翌日、登校していると、後ろから声をかけられた。
「弘太君、おはようございます!」
風馬は、朝からとても元気だった。
「そういえば、弘太君って誰に魔法を習っているんですか?」
唐突な風馬のその質問に、弘太は魔王のほうを見て動揺した。
「独学だよ!今の自分に何ができるのかとか考えながらやっているんだ。」
後ろで魔王がほくそ笑んでいた。
(ルシ様のことなんて言えるわけないじゃないですか!)
弘太が強めに言うと、魔王は面白がった。
「独学であそこまでできるってすごいですね!僕の知り合いにも体中に魔力を循環させる人がいたから、その人の知り合いとかに習ってるかと思ったんですけど・・・。」
「そんな人がいるのか!?」
「はい!大勇島というところの出身の人なんですけど、そこの秘伝の魔法らしいです。本当は門外不出なので、弘太君のことが気になったんです。大勇島には、勇者の伝説が残っていたり、そういう特殊な戦い方があったりで弘太君にとっても面白いかもしれませんよ!」
風馬の言葉に、魔王はいち早く反応した。
(勇者伝説か・・・。)
弘太が魔王を見ると、魔王は悩んでいるような顔をしていた。
(ルシ様は勇者さんを知ってるんですか?)
<あぁ、ちょとな。>
「面白そうな島だな。2か月の休みの間に行ってみようかな。」
それを聞いて、風馬は嬉しそうにほほ笑んだ。
「ぜひお願いします!僕も行ってみたかったんですけど、時間がなくて・・・。土産話、お待ちしていますね!」
「おはようございます。ふうくん!」
そんな話をしていると、後ろから関が現れた。
「何の話をしていたんですか?」
「な、なんでもないよ!それでは弘太君、お疲れ様です!」
「ふうくん、待ってください!」
風馬は走り去り、関はその後ろを追いかけていった。
教室へ入ると、僕以外の本戦組の5人が話していた。
「みんな、どうするのー?私はもう少し学校にいるけど。」
秋が他の4人に聞いている。
「私もそのつもりよ!変化式くらいは覚えたいし。」
「犬神!俺と修行してくれ!」
伊達は、どうやら瞬と特訓をしたいみたいだ。
「うーん。まぁ、いいよ。その代わり、本気で行くから。」
瞬は、あまり乗り気ではなかったがやるにはやるらしい。
「僕は、修行の当てがあるから学校には来ないかな。」
「「え!?」」
秋と春が同じ反応をした。
「こうくんのことだから、魔法をもっと学ぶのかと思ってた。」
「私も、真面目そうなイメージだったから。」
「僕も、決勝の時みたいには負けられないからね!拳法をもっと極めながら魔法をやりたいんだ!」
康太が決意を語っているところに弘太は合流した。
「弘太は、2か月の間どうするの?」
瞬が、弘太の姿を見るや否や聞いてきた。
「僕はちょっと行きたいところができたから、学校には来ないかな。」
それを聞いて、春は少し悲しそうな顔をしていた。
「それなら、1か月は各自で、それからは3人そろってのトレーニングにしない?」
春の表情を見て、康太が提案した。
「それなら、いいよ!連携の練習とかもしたいしね。」
そうして、僕らはそれぞれトレーニングをすることとなった。




