宿主、照れる。
そしていよいよ、試合が始まる。
闘技場に入ろうとすると後ろから声をかけられた。
「弘太、先に本戦で待ってるぞ。」
そこには、先ほどBパートを優勝した瞬の姿があった。
「そうだね、瞬を倒すには本戦に行かないといけないもんね。」
僕が笑って言うと、瞬は嬉しそうに大笑いした。
「楽しみにしてるよ、弘太!」
「あぁ、言ってくる。」
僕は闘技場に向かった。
改めて、闘技場に入ろうとすると、さっきまで審判をしていた人から止められ、選手紹介をするから呼ばれたら入場するようにと言われた。
会場のほうを見ると、見るからに強そうな男が立っていた。
「レディース&ジェントルメン!いよいよ、Aパートも決勝だ!これで勝ったほうが本戦への出場資格を得る!審判兼解説は、2年の予選で本戦出場を勝ち取ったこの俺、響がさせてもらう!」
2年の本戦出場者の登場に会場のボルテージは今大会の最高潮を迎える!
「それでは、選手紹介だ!まず、4クラス23位猿神光輝!圧倒的体術で、ここまで多くのものをノックアウトしてきたぞ!」
その紹介とともに、猿顔の男が入場した。男は、大きく拳を突き上げ歓声にこたえる。会場は、4クラスがここまで残っていることを知り騒めいている。
「続いて、4クラス30位関くるみ!その小柄な外見とは裏腹に、鉄壁の防御でチームメイトを守ってきた!」
まさかの二人目の4クラスに会場は大盛り上がりを見せる。少女は緊張しているのか、少し照れながら入場した。
「最後に、リーダー!4クラス48位最下位の男、風馬翔!今大会選手中入試成績は最下位だったにもかかわらず、ここまで勝ち残ってきた、奇跡の男!決勝ではどんな戦いを見してくれるのか!」
風馬という少年の存在に康太と春は動揺を、弘太は興味をその表情に宿していた。
(本当に、勝ち上がってきたんだな。)
「続いては!もう一つのチームの紹介だ!1クラス20位斎藤康太!そのもじもじ系から想像もできないようなバチバチの拳法家だ!」
その紹介にもじもじしながら康太は入場していく。
「二人目は!1クラス12位前田春!二人の体術家の援護をここまでしてきました。決勝でもその援護で勝利をつかみ取れるのか!」
紹介された春は、堂々と入場していった。
春の登場に、会場の男子のボルテージが張り裂けそうなほど上がっている。
「そして、ラスト!この1クラスチームのリーダー!1クラス1位最高点の男!織田弘太!魔力点最下位にも拘わらず、他で飛びぬけた成績を残し、入学した異端児だ!」
ぼくも紹介に合わせて入場する。
紹介文の目新しさからか、会場は大盛り上がりだ。
入場すると、風馬が話しかけてきた。
「織田君、戦えてうれしいよ。僕みたいに魔力の少ない人間からしたら君はヒーローなんだよ?」
人からヒーローなどと言われたことなどなく、弘太は照れてしまった。
「そんなこと言われても負けないからな!」
「はい!正々堂々、お願いします!」
「両チーム準備はいいか?始めるぞ!」
僕らはお互いに構えた。
「はじめ!」
先輩のコールで試合が始まった。
< 無魔法 魔封陣 >
試合開始と同時に、風馬が聞いたこともないような魔法を使った。




