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黄金竜外伝  作者: 雷帝
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黄金竜外伝その1


彼女は自身が特別な存在だとは思っていなかった。

 知恵ある竜として生を受けたのは確かだ。

 父は強大な力を誇る龍王であったし、母もまた古き竜王であった。

 二つの属性を有し、世界全体で見れば、紛れもなく生まれながらにして将来の竜王を約束された強大なる竜であった事は疑いない。

 けれども、竜であれ、子供である事に変わりはない。

 そして、確かに四体の兄姉の内、三体は自分と違い知恵を持たぬ竜として生を受けていたが、長男は自身と同じく知恵を持ち、また妹である彼女よりも上手く力を扱う事が出来、彼女より多い四つ全ての属性をその身に宿していた。

 身近に自分を更に上回る竜の中の天才とも言える兄がいたからこそ、彼女は傲慢になる事なく無邪気でいられた。


 そんな彼女達の傍らには一人の人族がいた。

 時折島に打ち寄せられる彼らの船の一つにいた少女であったという。

 キアラというその少女に時折ブラッシングをしてもらうのが彼女は好きだった。分厚い鱗の代わりに母譲りの黄金に輝く毛並みを持つ彼女は丁寧に梳ってもらうのが心地良かった。こればかりは母にしてもらうのも難しかった。

 また、兄が羨ましそうに見ているのにささやかな優越感を感じてみたりもした。

 まあ、小さい子の「いいでしょー!」というべきものであったが、何せ長男である兄は毛並みを持たず、結晶のような頑丈な鱗を有していた。さすがにこれではブラッシングは不可能だ。……デッキブラシのような固いブラシでゴシゴシこするなら可能かもしれないが。

 とはいえ、後のテンペスタはそれを求める事はしなかった。

 可能ではあっただろうが、少女にそれを求めるのは酷だと理解していたからでもあるし、果たして鱗をこすってもらって気持ちよくなれるのか自信が持てなかったというのもある。事実、後にキアラが亡くなるその時までテンペスタがそれを求める事はなかった。

 ただ、それでもキアラは兄のものだと彼女自身は認識していた。

 だからこそ、彼らが巣立つ時、兄がキアラと共に行くという事にごねたりしなかったのだ。


 そんな彼女が東方へ行く事を決めたのは特に理由はない。

 共に旅立つ兄がキアラの故郷である西方へ向かうと言うので、「じゃあ自分は反対へ行ってみる!」と決めた、ただそれだけの話だ。

 そんな理由であったから、どこへ行こうという目的も理由も特になかった。

 結果、東へ向かったと言っても真っ直ぐ向かったのではなく、子供の好奇心の向くままにあっちへふらふら、こっちへふらふら、というのが正しい。無論、その過程で他の竜の縄張りに入り込む事も多々あったが、別に竜王も含めて住み着いて、というのでなければ立ち寄った子供に目くじら立てたりはしない。

 だからこそ、気ままに旅していた彼女がそれを聞く事になったのはまったくの偶然からだった。


 (あれ?)


 人族の集団がより少数の人族を追いかけていた。

 幸い彼女はまだ人族の見分けがつくし、彼らについての知識を多少なりとも持っていた。キアラという存在が傍にいたからこそ、人というものに興味を持っていた為だ。

 だから、追われている二人が子供といっていい年齢である事も、追っている側が大人である事も理解出来た。


 (あー、大人が子供苛めるなんていけないんだ!)


 彼らの事情なんて知らない。

 彼女自身がここまで竜王に出くわした際、彼らは可愛がってくれた。

 それ故に、純粋に義憤から彼女は手を出す事にしたのだった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 はっはっはっはっ。

 苦しい。

 けれど、必死に少年は幼い妹の手を引いて走っていた。

 後方からは複数の大人達が追ってくる。

 これが同じ村の大人達ならここまで一生懸命逃げたりしなかっただろう。だが、追ってくるのは揃いの武器と鎧を身につけた明らかに兵士、と呼ばれる者達だった。その大多数は簡素な槍と短剣、皮鎧であったが先頭に立って追ってきているのは明らかに立派な鎧を着込んでいた。

 村にやって来た彼らが村長に話を聞いている時はこんな事になるとは思わなかった。

 だが、自分と妹を見た兵士の一人が声を上げ、指差した。

 それからずっと追われている。

 いや、分かっている。きっと彼らは自分達が、妹が抱えている子龍を見て追ってきているのだと……。こう言ってはなんだが、少年とて自分達にそれ以外に追われるような価値などない事ぐらい理解していた。というより、「待ちなさい!その抱えているものを渡しなさい!!」と言われれば嫌でも分かる。

 しかし、この子龍は彼らの友達だった。

 村から少し離れた所に大人達が「主様がいるから近寄ってはいけない」と言う場所がある。

 とはいえ、子供というものは「いけない」と言われているからこそ、ついやってしまいたくなるものだ。大人が近づかない事もあって、子供達の隠れ場所みたいな事になっていた。もちろん、主様がいる場所へは入り込まない。何しろ、そこは中心に近づけば近づく程地面はぬかるんで泥地と化す。泥が独特の臭気を持つ事もあり、下手に入り込めば即大人にばれて大目玉を食らう事になる。

 だから、子供達はその周辺で遊んでいたのだが……最近の事だ、そこでこの子龍に出会ったのは。

 彼らの秘密基地の近くにいたそれが龍である事を、実は彼らは知らなかった。先程から子龍と言っているが、子供達は動物の子供だと思っている。龍、竜という言葉やその意味は知っていても、本物の竜を見た事がある者は限られており、どんな姿をしているかを知る者もまた限られている。殆どの人は生涯、その姿を見る事なく一生を終えるのだ。

 だからこそ、この子供達も気づかず……ただ、普通に動物の子供と思い接し……何時か仲良くなった。

 それこそ、最初の頃は遠くにいて、近づくとぱっと逃げてしまう程度だったが、次第に距離を縮めてしばらく前からは撫でても大丈夫になった。

 そして三日程前の事、何時ものように「じゃあね」と別れようとして、トコトコとついてくる子龍に「ダメだよ、お母さんとこに帰らないと」と言ってみたものの、首を傾げてやっぱりついてくるので結局家へと連れて帰ってきたのだった。

 そうして……今日のこの追跡劇へと続く。


 子龍の事を知る子供達同士で連携して、慣れた地形という事で善戦はしたものの……所詮は子供と鍛えられた大人の足だ。

 間もなく追い詰められる事となってしまった。


 「ふう……まったく、結構手間取ってしまいましたね」


 先頭に立つ騎士風の男はやれやれ、と言いたげな様子だった。

 まあ、彼にしてみれば余計な手間をかけさせられた、といった所だろう。とはいえ、そこまで手間がかかった訳でもないからか、怒っているような様子は見られない。後方の兵士の一部が「手間を取らせて……」と少し不機嫌になっているようにも見えるが大多数は苦笑程度だ。


 「さ、その子を渡して下さい」

 「………」


 少女の方はその言葉にきゅっと子龍を抱きしめる。

 ちょっと苦しかったのか、子龍が鳴き声を上げて抗議して、慌てて力を緩めたりしている。

 そんな様子に騎士もまた苦笑すると、一歩前へ出ようとして……凍りついた。

 彼だけではない。後ろの兵士達もまた一斉に顔が強張っていた。

 その様子に騎士兵士を睨んでいた少年も「あれ?」と言いたげな様子になったが彼らの視線が自分達の背後、より正確には背後の少し上へと向いているのに気付いて……振り返った。

 振り返ったその視線の先、最初に見えたのは綺麗な毛皮だった。

 キラキラと陽の光を浴びて輝くその毛はサラサラで撫でたら気持ち良さそうであり、同時に綺麗だった。


 (わ、すげえ)


 そんな素直な感情が浮かんだ直後……違和感に気付いた。

 村にも動物はいるが、目の前が毛皮のみ、というのは見た事がない。普通は脚や頭が見えているはずだ……だが……まるで壁のように今は黄金色に輝くその毛皮しか見えない。だからふと視線を上げて……さすがに驚きであんぐりと口を開いた。

 もっとも、少年以上に驚愕したのは騎士や兵士達だった。

 何せ、突然少年達の背後に音もなく竜が舞い降りたからだ。

 それも今彼らが追っていたような少女の腕に抱かれるような小さな龍ではなく、見上げるような巨体だ。竜でないなどとは考えない、こんな相手が竜以外にいるはずがないからだ。

 その全身は柔らかそうな毛に覆われている。

 だが、見た目通りにただ柔らかいだけではないだろうとは思う。事実、彼女の外皮は見かけこそ柔らかそうで、さすがにテンペスタのそれには劣るものの高い衝撃吸収性と耐刃耐魔法を併せ持ち、人が剣を振った程度では通しはしない。

 その性質上、槍とはやや相性が悪いがそれでも皮膚を貫くのはまず不可能だ。

 だが、何よりその姿を印象づけるのはその色。


 「……黄金の、竜」


 兵士の一人が思わず、といった様子で呟いたようにその体は黄金色に輝いていた。

 ……そんな竜に睨まれていればさすがに騎士だの兵士だの呼ばれていても、一歩引く。

 拙い。

 騎士はさすがにただ怯えているだけではなく、何とか事情を説明しようとするが圧迫感に口が動かない。

 直後……。


 「え、ええ、えええええ!?」「うわ、うわああああああ!!!」


 悲鳴を上げて、彼らは遠くへとぶっ飛ばされていったのだった。

 急展開にぽかーんとしていた少年だったが、物怖じしなかったのはその妹の方だった。

 何時の間にやら子龍を抱えたまま、黄金竜の前に立って、子龍共々その姿を見上げていた。

 さすがに少年も焦ったが、声を上げずにあわあわと慌てている前で、頭を下げた黄金竜の頭をそっと手を伸ばした少女は撫でる。それに気持ち良さそうに目を細めて声を上げるその様子に少女もまた笑顔になって撫で続ける。

 そんな様子から少年も恐る恐る近づいてそっと手を伸ばす。

 ちらり、と少年に黄金竜は視線を向けるが睨んだとかそういう感じではなく、そのまま伸ばした手に柔らかい最高の感触が伝わる。


 「あ、すっげえ気持ちいいな」

 「うん!」


 二人の撫でるのは少女の抱いた子龍が「自分も撫でて!」と言いたげに抗議の声を上げるまで続くのだった。


 『きゅー!』


 という声と共に子龍が少女の頬を鼻先でつつく。

 それで我に返ったのか「ごめんねー?」と言いつつ、少女が子龍をそっと撫でると気持ち良さげに子龍が目を細めた。

 ほんわかした空気漂う中、子供達が話しかけてくるのだが、彼女は困っていた。

 何しろ、言葉が通じない。

 兄であるテンペスタがキアラに対して行っていたように思念で繋ぐという手はあるのだが、あれはあれで面倒だ。何より、解除するのが自分の好きなようには出来ないのが嫌だった。

 とはいえ、少年少女もまた彼女から離れようとはしない。

 こちらも分かる、先程追いかけられたばかりなのだ。もし、離れたらまた追われるのではないか、と考えるのは当然の事だ。そんな事はない、と伝えようにも……。

 そこまで考えた所でふと気がついた。


 (そういえば、声というのは)


 空気の振動だよね?

 そう気付いてからは早かった。

 意気揚々と彼女は自らの持つ二つの属性の一つ、風を操り……。


 『NえみE、#Oこ%L?』


 見事に変な音になった。

 あれれ?と首を捻りつつ、再チャレンジ。


 『るEKKい、$NE(』


 やっぱり失敗した。

 とはいえ、思わず、といった様子で少年少女が噴出し、笑う。

 その笑い声に少しほっとすると共に、見てろーといい、これまた意味が通じないながらも何時しか困惑した空気も硬くなった雰囲気も忘れ、皆が自然と笑顔になっていた。

 一生懸命に声を出そうとするのは伝わったのだろう、彼らは笑いながら、或いは子供達から指摘されながら言葉を形作っていったのだった。


 『あいうえばー』

 「あー惜しい!最後一個ずれたー!」


 子供達の声にきゅー!きゅー!と子龍も楽しげに鳴き声を上げる。

 彼女もまた楽しそうに、大気を操り、少しずつ振動を操るコツを掴み、声を作り上げてゆく。

 ちょっと弄るのを失敗した事で音程がえらく高くなったかと思うと、逆に渋い男性の声になったりして、また笑い声が響く。

 けれども、そんな時間も瞬く間に過ぎる……。


 「……あっ」


 少年がふと気付いたように声を上げる。

 気付けば太陽は傾き、沈みかけていた。

 楽しい時は終わり、彼らは家に帰らねばならない。


 『おくっていってあげるよ、のる?』

 「「うん!」」


 ゆっくりならば何とか好みの声を作れるまでになった黄金竜は二人を乗せ、村へと向かう。

 短時間ながら空の旅を楽しみ、そして子龍を連れ、再び舞う。


 「「またねー!!」」

 『また、ね』

 『きゅー!!』


 そんな子供達はこの後、親に目一杯怒られる事になるのだった。

 もちろん、子龍の方も……。 



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 さて、騎士達は一体何故、あの場にいたのだろうか?

 少しその辺りの事情を語ろうと思う。


 「……失態であったな」

 「……はっ」


 騎士からの報告に指揮官は重い溜息を吐いた。

 中央からは多少離れたこの地にはある砦がある。そこでは深刻な顔で騎士達が話をしていた。


 「とはいえ、仕方あるまい……まさか、他の竜が来るとは想定外だ」


 他の者も黙って頷いた。

 黄金に輝く竜、それも風の魔法で吹き飛ばされたとなると間違いなく属性竜であると判断すべきだろう。それは彼らが深刻な顔を突き合わせている理由を更に上回る脅威になりかねないからだ……。

 この地方に腐毒龍リティオ、そう呼ばれる下位竜がいる。

 見た目は青みのかかった鱗に銀色の輝きを纏った美しい蛇体の竜であるが、その実、その銀は強烈極まりない液体毒という竜である。

 住処に入り込んだりした相手には獰猛ではあるが、反面滅多な事では住処から出てくる事はない。

 が、もし何らかの理由で出て来た時、その被害は甚大なものとなり、小国レベルであればただ移動しただけで崩壊・滅亡を招きかねない竜である。

 そんな竜ゆえに監視の為にこうして砦が設けられているのだが……先だって縄張りの外、山頂に設けられた監視拠点から連絡が入り腐毒龍が動き出した事が判明した。


 当然、砦は一気に臨戦態勢へと突入した。

 王都へと緊急の伝令が走ると共に、何故動き出したのかを探る為に各自が動き出した。腐毒竜リティオは滅多な事では住処から出てくる事はない。逆に言えば、滅多な事が起きたという事であり、まず疑われたのは住処に何か異常が発生したのではないか、という事であったがこちらはすぐに否定された。

 住処は相変わらず人の侵入を阻む沼地であり、奥からは大地の毒が僅かながら流れ出すのも変わらなかった。

 では、侵入者か、とも疑われたが、これは腐毒龍の動きから否定された。

 腐毒龍の動きが酷く遅かったからだ。

 もし、これが何者かの侵入が起きたのならば、あのようなゆったりした動きではすまない。迅速に襲い掛かり、とどめを刺すべく動く。

 原因を探るにしても相手が相手だ、「何をしているんですか?」と尋ねる訳にもいかないし、そもそも言葉が通じない。

 しかし、相手を動物と考えるなら可能性は幾つかに絞られる。

 一つは食事。

 そして、もう一つが子供を捜している、という可能性だ。

 そして、可能性としては後者の可能性が高い、と判断された。既に監視拠点ではその望遠の魔法によって子育てが確認されていたからだ。何せ、子供が生まれたとなれば当然、将来大人になった腐毒龍が新たな居住地を求めて親の元を離れて動き出す事を意味する。こうした情報はそれこそ最重要の情報だ。

 無論、殺したりすれば怒り狂った腐毒龍が暴れ出す可能性があるので、もうこれに関しては将来の被害を減らすべく今から十年以上先の事ではあるが、対応を練っておくしかない。

 その幼子が抜け出した。

 ここで問題なのは腐毒龍は子供の頃は毒を排出しない。

 成竜となって初めて、毒を放出するようになる。

 つまり、下手に他の猛獣に襲われたりしたら……防ぎようがないのだ。おまけに他の竜と比べても小さい。

 幸いというべきか、腐毒龍リティオの子供は本当の意味で身の危険を感じると何らかの匂いを放出するとされ、それを感知した親は一気に殺気立つ。

 逆に言えば、のんびり動いている腐毒龍の親の様子からして、子龍は危機感を抱いてはいないのだろう。

 だが、それでも、親が人の生活圏に出てくれば、それだけで悪影響が出る。土地が毒に犯され、木々は枯れ、耕作にも適さない土地へと変貌してしまうのだ。

 だからこそ、彼らは急ぎ子龍を探し出し、住処へと帰そうとした。

 緊迫した探索の中、ある村で彼らは子龍を抱く子供達を発見し、回収を図った訳だが……まさかの事態が発生した訳だ。


 「……村人達には説明してあるのだな?」

 「はい、子供達が戻り次第、ちゃんと親の所に帰すよう伝えるようには……」

 「そうか……ならば後は時間との勝負であろう」


 子供が親の所に何時戻るか、だ。

 その前に子龍を親の所に帰そうとするならそれはそれで良し。

 連れて村に戻ったとしても、親の側からちゃんと「お母さんの所に帰してあげなさい」と説得してくれれば良い。

 ……幸い子供の事だ、そこまで遅くなる事はあるまい。問題は……。


 「腐毒龍がここまで来るのが早いか、子龍が帰るのが早いか……賭けだな」


 着実に腐毒龍はこの砦へと接近しつつある、という事だった。

 ……結論から言えば、ギリギリで間に合った。

 いよいよその巨体が目視出来る距離に迫り、騎士や兵士が決死の覚悟を決めた時……天空から黄金の竜が舞い降りた。

 夕日を浴びて輝くその姿は美しく、誰もが思わず見惚れた程だった。

 腐毒龍はしばらくその姿を見詰めていたが、黄金竜の手から降り立った我が子が駆け寄ると静かに我が子を背に載せて住処へと戻って行ったのだった。


 ……もちろん、今回の一件は所詮先送りにほかならず、後年この子龍が移動を開始した際に大騒動になるのだが……それはまた別の話。


という訳で……

声というものが空気振動である以上、実は精神による思念会話よりもこちらの方が普通に会話出来たり

テンペスタはなまじキアラがいた為に不自由感じず、だから考えが至らなかった次第です

まあ、こんな手法がなければ大嵐龍王が遠く離れた巫女さんとかに声届けたり出来ない訳でして……無論、テンペスタにも教育期間中に教えています


掲載していたファイルも同時に掲載しておきます

【ドラゴンファイルNo.5】

腐毒竜リティオ

・脅威度:E/時期によりA

・討伐難易度:A

住処に入り込まなければ危険度は低い

また、鉱毒などの毒を含んだ沼沢地という人が近寄らない地域を住処とする為に住処に一般人が入り込む事もまずない事から人の側から干渉しない限り、まず暴れる心配のない大人しい龍と言っていい

見た目は銀色に輝く鱗を持つ美しい蛇体の龍だが、その輝きは体表に分泌される液体毒によるもの

この液体毒が曲者であり、移動の際に大地に染み込み、土を殺す

危険を感じたとかではなく常に分泌されている事、長期間分解されずに残り続ける事から移動した跡はその周辺含めて立ち入り禁止に指定される程。この為、偶々通り道となった小国が滅びたという記録も存在する

普段は滅多な事では外に出てこず、移動はまず巣立ちか住処への侵入者への追撃

この為に馬鹿な冒険者などが入り込まないよう砦を築く国もあり、また巣立ちの際は誘導を行う事で被害を最小限にしようとする動きもある

では、何故冒険者が入り込むのか

原因はこの龍の体はその全身が何らかの薬として加工可能である為。いずれも強力な薬となる為、一攫千金を狙う冒険者が侵入するが、まず帰って来る事はない

幼少期は毒を分泌せず、捕獲しても薬の素材とは出来ない為、成長の過程で毒を体内に取り込み、変質するのだと考えられている

戦闘においては猛毒の毒ガスをブレスとして吐き出す他、全身これ毒の塊のような龍であり、人はかすり傷でもあの世行き確定とさえ言われる


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